若御子山 730 m 大反山 863.7 m 矢岳 1357.9 m
大平山 1603 m 大ドッケ 1315 m 栗山 813.9 m
2013.11.16(土)
晴れ 単独 浦山ダム左岸公園よりCCWで周回 行動時間:9H9M
@浦山ダム左岸公園6:11→(3M)→A若御子山登山口6:14→(20M)→B尾根に乗る(鉄塔下)6:34→(6M)→C国見の広場6:40〜42→(27M)→D若御子山7:09〜10→(21M)→E大反山7:31〜32→(137M)→F矢岳9:51〜53→(33M)→G1448高点東(トラバース道の出た場所)10:26→(10M)→H天目山林道に降り立つ10:36→(82M)→I大クビレ11:58→(14M)→J大平山12:12〜21→(36M)→K大ドッケ12:57→(60M)→L栗山13:57〜14:01→(26M)→M巡視路入口(ダム左岸)14:27→(53M)→N左岸公園15:20
@浦山ダム左岸公園に駐車してスタート | A若御子山登山口 | A入口道標 | 植樹帯の中の道 |
B尾根の乗った場所に鉄塔がある。伝って来たのは巡視路。 | C国見の広場。樹木が茂り展望はいまひとつ。 | 国見の広場南の下降点分岐。 | 倒壊した社 |
山腹の社。 | 岩が出てきたら右巻き。 | 急峻地形にはタイガーロープあり。 | D若御子山 |
D朽ちた倒木にしがみついている達筆標識。 | E大反山 | E大反山三等点。 | E達筆標識の標高が書き加えられている。 |
中川駅への下降点。 | 大きな鉄塔下を潜る。 | 再び下降点。 | ここからがスカイライン。東側の展望が素晴らしく、快適尾根。 |
伐採斜面が終わり樹林帯に入ると、大きな虫ようを見る。 | F矢岳 | F矢岳三等点 | F通常の縦横比とは違う達筆標識。 |
矢岳の北側の古い峠。ここから1448高点の東側へトラバース道を辿る。 | Gトラバース道が出たところ。ここで道形は有耶無耶になり、適当に斜面を下る。 | 降りて行く谷形状の斜面。この先に岩場あり。 | H天目山林道に降り立つ。 |
H降りてきた岩場斜面。中央あたりを伝って来た。 | 途中にある作業小屋。林道上は落石だらけ。 | 林道は荒れていて押し出しで3mほど埋まってしまっている場所もある。 | 大久保谷の源頭と林道が交差する場所。 |
途中で工事がされていた。この付近からは歩き易くなる。 | I大クビレ | 大平山への道形。 | J大平山 |
J大平山三等点。 | J標識 | きたがわへの下降路。笹枯れが多い。 | K大ドッケの一つ南のピーク |
K大ドッケの北側の古い道標。 | モミジが見ごろ | 植樹帯に入ると歩き辛くなるが、展望はいい。 | さらに下の植樹帯は、真新しい伐採痕があった。 |
岩峰は、緩やかに左に巻き上げる。 | ややドキドキする通過の岩峰の上。落ちれば・・・痛いではすまない。 | L栗山 | L栗山三等点 |
L古い山名標識 | L栗山の北東は伐採地で展望がいい。 | 鉄塔下を通過 | さらにもう一つ通過。 |
M浦山ダム左岸に降り立つ。 | 大久保橋を渡って行く。橋の中央で釣りをしている人が居た。そして釣れていた。 | 絵になる浦山ダム。 | 左岸の道は流れが多く、サワガニが居たりした。 |
往路の登山口。 | N左岸公園に戻る。観光客で賑わっていた。 |
しばらく私らしい山行をしていない。なにが私らしいのか、特に「これ」って事も無いのだが、病気なのだろう時にして長い距離が歩きたくなる。となれば、インドアでトレッドミルでもいい事になってしまうが、長い時間自然の中に居たいというのが本音となろう。そしてそこでじっとしててもいいのだが、なにせ歩きたい。
天気も良好予報。久しぶりに秩父山中に入る事にした。天目山林道沿いの大平山をポツンと残し気になっていた。どう登ろうか・・・。検索をすると「福寿草」と絡めた記事が目に付く。季節が少し違うが、ルートは存在するようだ。色んなコース取りを精査し、細久保地区を経由して登り、下りは天目山林道を伝っての周回コースを予定した。
1:15住処を出発。外気温はひと桁。空には沢山の星が瞬いていた。いくつかの峠越をして秩父に入る。いつも寄っていた浦山口にあるセブンは、残念ながら廃業しており、その先のローソンに入る。いつものヤキソバパンが手に入るわけもなし。店が出来たり消えたり、自然淘汰となろうが、そこにあるヤキソバパンに験担ぎをしている者にとっては、ちと困る事。そこまで言うなら、出掛けに自分で作ればいいだけなのだが・・・。以前はおにぎりも自分で握って持って行ったが、もう遠い昔の出来事のようで忘れそうになる。
甲府側(コンビニに寄ったので)から浦山ダムに入って行くのは、近いのは左岸側のルート。普通に進めば浦山大橋の袂に出て栗山地区に入れると思っていた。しかし、台風の影響で左岸側は大崩落となっていた。今では通過できるようブルドーザーが入って処理されていたが、その影響は大きく今でもかなり残っており、公には「通行止め」だった。しかし可動式のバリケードは開いており、進んでみる。行き着いた先の浦山大橋の所は、残念な事にしっかりとゲートされていた。こうなると国道140号まで引き返し、東にルートを変えて出直しせねばならなくなった。ここで、無駄が嫌いな私は頭を切り換え、山行ルートを違えてみることにした。大久保谷を挟み東西の尾根で周回も面白い・・・。
思い付いたはいいが、若神子山側の情報がほとんど無い。ダム側からの登路は地刑図に見える破線が唯一の頼み。その場所を見定めるように左岸を北に戻って行く。しかし破線のその入口の場所が今ひとつ良く判らない。深夜でもあるから・・・。そのままダムの堰堤側に進んで行くと、ハッキリとした階段があり、少し上がった場所に道標が見えた。ライトを持って階段を上がると、有り難いことに「若神子山」の文字が見えた。気になるのは登山道表記でなく遊歩道とある事。でもなんとか伝えそう。
左岸公園駐車場には1台も車がなく、ポツンと停めることになった。オリオン座とカシオペア座が並ぶように窓から見え、風の音を聴きながら仮眠に入る。しかし、何度もその風の音で目を覚ます。天気は良いが、少し寒い日になるか・・・。季節相応であり望むところ。夜が白み、サンドイッチをほおばりながら準備をする。やはり外は風が冷たい。
駐車場を出発し緩やかに登って行く。遊歩道入口から階段を上がると山の神が鎮座している。いつもながら旅の安全を祈る。道はハッキリとしているが、嫌な事に北に向かい出す。南に行きたい行程に対し逆行しており、山頂へ向かう登山道ではなく山腹を巻く散策路なのだと思えてしまった。そうは思いながらも半信半疑で伝って進む。一度ルートを逸れて薮斜面を登ろうかと思ったが、作道してあるそれが、どこに通じているのかも気になっていた。
伝って行くと、北を向いてた進路が南に向き、その先はスギの植林帯の中の九十九折りとなった。間違いなく尾根上を目指していることが判り少しホッとする。大きなカモシカの出迎えもあった。二頭がこちらをジッと見ている。その面前を静かに通過して行く。そして先の方に巡視路道標が見え尾根に乗り上げる。これで悩みがなくなりまずは南に進むのみ。すぐに鉄塔の下を潜って行く。
淡々とした尾根筋に里山を感じさせる風合いがある。僅かに上ると「国見の広場」に到達。そこに即道という韋駄天が居たことが書いてある。その微笑ましい石碑もあり、自分も負けじと韋駄天を気取る。東屋がありベンチもあるが、以前は良かったのだろうが、樹木が生い茂り展望は塞がれつつあった。南に進むと、すぐに下降点分岐がありはっきりとした道標が揚がっていた。この分岐から7分ほど進むと、崩壊した社が見られる。かなり荒んだ感じがするので撤去なり改修が必要のよう。その恩着せがましい気持ちをリセットしてくれるのがこの先の祠。先ほどのものが建て替えられたのかとも思えたが、こちらはこちらのように見えた。
鳥居を擁す社を見たら、その裏手の斜面を駆け上がると、その先で大岩が出てくる。ややルートが見出し難いが、ここはピンクノリボンが導いていた。大岩は右巻きのよう。進んで行くと、急峻地形にタイガーロープも流されていた。ここを登りあげると最初の目的地の若御子山となる。それがだんだんと見えてくるのだが、通過点のような場所で登頂感が薄い。
若御子山到着。最初に目に付くのが、トリコロールカラーの達筆標識。倒木にしがみつくように残っていた。この先を思うと、別の木に付け替えた方がいいが、棒倒しの棒にしがみついているようで愛嬌のある達筆に見えていた。ここからは緩やかな尾根で、僅かで大反山に到達。完全なる植林帯の中のピークで、標識や三角点が無ければ通過してしまいそうな場所でもあった。ここにもしっかり達筆標識が上がる。ヤニに対してだろう消えた標高の横に書き加えられている。そのためにヒマラヤのジャイアンツ並みの標高になってしまっていた。
やや暗い大反山の山頂を背にしてさらに南に進むと、すぐに武州中川駅への下降点分岐が見えてくる。巡視路も兼ねているようでその標柱も見えていた。ここから7分ほど進むと鉄塔の下を潜る。急峻が始まり10分ほど喘ぐと、再び武州中川駅の道標を見る。マイナールートにかかるこれら、意外にいい風合いのデザインがされている。そして962高点付近で進路が南西に変わる。次第に進む先が明るくなり、樹林帯を抜け出すと、進む先の左(東)斜面は綺麗に伐採された斜面が広がり、素晴らしい展望地となっていた。言わばこのルートのスカイライン。外気温は3℃ほどを示していたが、日差しが暖かく歩くのにも快適。こんなルートが長く続けばこぞって人が入るであろうと思えた。
スカイラインが終わり樹林帯に入る。すると、これまで見たこともないような虫ようが杉の木に見えた。それは直径700mmほどの球形をしていた。坦々と傾斜に足を添わせてゆくと、1144高点の西側で少し痩せ尾根が出てくる。続くのかと思ったが、距離は僅かで全く危なげなかった。それでもこの先に急峻地形が待っている。矢岳を先に置いて、最後の踏ん張りどころか。思考の中に、ここでピストンにしてしまおうか・・・などと過ぎるほど。
矢岳到着。角の割られた三角点が印象的なのと、ここにも達筆標識がかかっていた。今日は三連続。それも全てトリコロールである。その達筆の裏には温度計が設置されており、見ると2℃を示していた。達筆は通常とは異形で縦横比率が違う物であった。あまり日の入らない山頂を短時間で後にする。持ち上げたシナノゴールドを行動食に齧りつつ、さらに南に進んで行く。
南の肩の場所にも小ピークがあり、やや大きなアップダウンをしながら越え、その先の1448高点に向かってゆく。すると途中に古い道標があり変則十字路のようになっていた。1448高点の東斜面をトラバースするように古の道が見える。林道に降りてしまおうと思っていたので、その東の道に入ってみる。しかし、出た先は明るい場所ではあったが、そこで道形は有耶無耶になり判らなくなった。下に林道が見えていれば心強いが、それはなくコンパスを見ながら適当に見定めて降りて行く。その降りた谷は、下の方で岩場になり急斜面となった。リボンが付いていた北側の尾根を下った方が良かったようだ。でも危険が増えるほどに楽しかったりする。潅木を掴み急斜面と格闘しながら降りて行く。最後の方で掴んだ潅木が枯れていて空を切った。ヤバイと思ったが、飛ぶように体を横回転させ着地。事なきを得た。
天目山林道に降り立つ。これほど荒れているのかと、驚くほどに落石の多い林道となっていた。靴に纏わりつく野草もあってかなり歩き辛い。これなら県境稜線を伝った方が早かっただろうと思えてしまった。それでも降りてしまった今、伝うしかない。林道を5分ほど歩くと作業小屋が見えてくる。しかし下側の扉は抜けていて、内部の荒んだ様子が覗き込む事が出来た。ゴロゴロする岩を除けながら南に進むと、岩場斜面に洞穴のようなものが見える。2.5mほど這い上がった場所に空いており、覗き込もうと思ったが、何か出てきたらほとんど無防備、遠巻きに見ながら通過して行く。途中に林道作業の銘板が見えた。平成2年と見える。23年ほどでここまで荒れてしまうのかと、月日の経過を目の当たりにする。
林道が高さ2.5〜3mほどに押し出しで埋まってしまっている場所も出てくる。これだけ崩れやすいと、その結果が放置となってしまうのだろうと思えた。乗り越えて進み、僅かで大久保谷の源頭部と林道が交差する場所に出る。下を望むといくつもの堰堤が並んでいる。流れも見え、これがあのダムに続くのかと・・・。荒れた度合いは少し緩和されたが、まだ林道歩きにしては不快な道が続いていた。くねくねとした林道を伝って行くと、意外にも人工的な音がしだしてきた。間違いなく工事の音。大久保谷の場所から25分ほど進んだ先で、林道の護岸工事をしていた。作業員は5名。「おっ、ごくろうさん」と仕事師が笑顔で声をかけてくれる。作業の邪魔をしないように重機の脇を足早に抜けて行く。この先は良く踏まれた快適林道になった。
南側を稜線に塞がれ、日差しが恋しい林道歩きであった。少し足早に大平山を目指すが、予想外にも長い林道を感じていた。既に林道に降り立ってから1時間以上経過している。それほどに荒れた林道とも言える。大きなヘヤピンカーブを経ると、やっと大クビレが見えてきた。休憩を入れずにそのまま尾根筋にある道形に進んでゆく。ほとんど登山道があると言っていいほどに道幅があり快適に登ってゆける。既に12時を過ぎた時間。やや雲が張り出し、暗い様相になってきた。途端寒さを強く感じるようになる。それでもここまで来た。大平山まで登れば、あとは下るだけ。
大平山到着。三角点の鎮座する静かな山頂だった。落穂拾いの場所がとうとう踏めた。難しくない場所だが、相応の時間の掛かる場所であり、その部分では感慨が深い。完全に枯れ落ちた木々の間から、周囲が360度見渡せる。往路の尾根が北西に長く連なっている。相対して東側は大持山の山塊だろうか、どっしりと構えている。12時を少し回った時間だが、夕方のような暗さになってきた。長居は無用。
降りて行き、靴のゆるみが気になり縛りなおし立ち上がると、前方から単独のハイカーが上がってきた。かなりバテているようで、膝の運びがロボットのようになっていた。でもこの時期、ここまで上がる器量があるって事は、それなりの人。私の行動を聞いて、矢岳側が気になったようだったが、現在の時刻を見て、「今日はやめておいた方が」と伝える。笹枯れの尾根筋に、人一人分の切り開きがあるようなルート。そしてマーキングも続く。
大ドッケは、細久保地区からのルートが上がってくる場所。かなり気にしていたが、前後にポコポコと小ピークがあり、そこを同定せずまま通過してしまった。やや考え事をしていたせいでもあり、ちょっとした落ち度。その北側には古い道標もかかっていた。標高を落とすと、紅葉が見ごろになる。特に赤いモミジの群落は見事であった。ここを過ぎると杉の植林斜面となる。やや野草が茂り進路を邪魔する。東側の樹林の中に入ればいいのだが、西側を歩く理由がある。矢岳側の展望がすこぶるいいのだった。往路に伝った尾根が、しっかりはっきり見えるのだった。
二度目のモミジの群落を過ぎると、再び植林帯に入る。そこには真新しい伐採痕が残り、間伐道具も残されていた。直径120mmほどの幹、綺麗に枝が刈られた杉が姿勢よく並んでいた。快調に高度を下げてゆくのだが、こちらの尾根で唯一の危険地帯に入る。目の前に大岩が現れる。下巻きがし難そうな場所で、乗り越えるように上に上がって行く。自然と左に斜上するような踏み跡があり、伝うと岩の上に出た。天狗の何がし・・・と名前をつけたくなるような岩の上だった。ここの通過がやや危険。足を滑らせば、痛いだけでは済まされない高度差があった。危険個所は10mほどで、その先は転んでも優しい斜面に戻る。
栗山到着。ここも三角点が埋まって居なければ通過点のようなピークであった。古い山名標識がマイナーさを示していた。驚いた事に北東側の展望がいい。伐採斜面が広がっていた。そこを伝って東に降りることも可能だが、出来る限り北進しようと、広くなる尾根筋をトレースして行く。すると前方に送電線鉄塔が見えてきた。ということは巡視路がある。やや急峻の地形に足を降ろしてゆくと、ステップの刻まれた巡視路が見え出し、そこを伝って鉄塔下を潜る。さらに降りて行くと、もう一つ鉄塔を潜る。道形は降りるほどにしっかり明瞭になり、樹林帯の中の少し掘れた道形を伝って行く。
下の方に左岸の舗装路が見えてきた。ちょうどそこに工事車両が停まっている。進入禁止の場所だが、歩きなら咎められる事はないだろう。クネクネと九十九折を降りて行き、舗装路に降り立つ。さあここから左岸の舗装路歩き。最初に大久保橋を渡るのだが、なんとその橋の中央部から釣り糸を垂らしている御仁が3名居た。見るとけっこう釣れている。湖面までの高低差100m以上あろう、こんな釣りもあるんだと感心する。左岸の側道には赤色を塗られた自転車道的場所が設けられている。塗料のせいだろう、そこが濡れてコケが生え、スケート場のようになっていた。勾配があり自転車で通過したら間違いなく転ぶであろう場所であった。歩きの私でさえ滑ってコントロールできないほどであった。
テクテクと北に進んで行く。工事車両に混じってマイカーの姿も見える。禁を侵して侵入している車となろう。土砂の押し出しはそこそこ除去されているので、事故には繋がらないので工事関係者も見て見ぬふりなのだろう。山手側からの流れで湿っている場所も多い。冬眠しないのか、サワガニが舗装路の上に出てきたりしていた。時折歩いている人も見られる。周囲景色を見ながら、湖を見下ろしながらの散歩にちょうどいい場所。ダム湖を一周歩こうものなら、けっこうに時間がかかるだろう。アップダウンが意外にあり、平坦な道ではないのだった。
往路の登山口が見えてきた。もうすぐゴールと足早になる。駐車場は8割が埋まるほどの大盛況。家族連れや若者の姿が見られる。よく知られた景勝地となるのだろう。そこに混じって着替えをする。ちょっと視線を感じるが、一時の恥(笑)。楽しく周回が出来た。