大山   1860 m     
 

 
2013.8.31(土)    


   晴れ     単独      奥秩父林道を使い時計回り      行動時間:5H14M 


@奥秩父林道起点6:05→(79M)→A四里観音避難小屋への取り付き点7:24→(40M)→B縦走路に乗る8:04→(6M)→C登山道を離れる8:10→(21M)→D大山8:31〜43→(14M)→E登山道に戻る8:57→(43M)→F四里観音避難小屋9:40〜50→(16M)→G林道に降り立つ10:06→(73M)→H林道起点11:19


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中津川林道は、17時から8時まで通行止めとあるが、信州側は開いている。林道内は四駆が8割。普通車は一部で底を擦る。 三国峠から降りて行く。峠のトイレは埼玉側に設置。 @奥秩父林道入口。中津川林道に交差するように切られた林道にしては特異な起点。 50mほど進むとチェーンゲートがあり南京錠が施錠。
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大きな堰堤を上下に置き、林道が通過。 最初の無名橋。 しらいわ橋通過。 大きな崩落も見られる。
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A四里観音避難小屋への取り付き点道標。 A最初のハシゴ。この上のハシゴもややこしい。 バリケードを過ぎると、林道はかなり荒れてくる。 押し出しを乗り越えてゆく。
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林道が落ちてしまっている場所。流れやすく要注意。 完全に押し出しが林道を覆っている場所。 トラバース。こんな場所が続く。 二つ目のバリケードが現れると、危険地帯はなくなる。
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バリケードの場所から下に降りる踏み跡があり、「シオジ群落」の道標あり。 B白泰山からの縦走路に乗る。林道形は尾根を巻いて南西に進んでいる。 林道形が終わり、登山道に入って行く。 C大山の南側で登山道を離れ取り付く。
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アセビの多い斜面。下草は無い。 経路で開けた場所は1箇所。他は樹林の中。 D大山南峰。 D大山北峰。南峰と同じ標高。
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D南峰を北から。山頂部には一切の人工物は無かった。 下降途中、開けた場所から見る白泰山側。 降りて行く尾根。上の方。 E登山道に乗る。
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F四里観音避難小屋。静かな居心地のいい場所。 F立派なログ構造だが、倒木か、屋根が壊れていた。 F内部も綺麗に管理されている。 F水場の湧水は冷たく美味しかった。ただし、流れは細い。
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下降点から林道へ降りて行く。 このルートは踏み跡が薄い。マーキングや刃物痕を追う。トラバース後の尾根に乗った辺りが特に不明瞭。 G林道に降り立つ。このハシゴが滑りやすく朽ちてきていた。 陽射しを受ける場所も多いが、このように涼やかな場所も多い。
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昆虫採集の方(研究者だろう)が入られていた。 H中津川林道に戻る。

 



 
北陸の険しい峰に行く予定で前々から準備をしていた。表妙義に入ったのもその準備だった。しかし15号台風。日本海側通過であり、これまでのデータから予想すれば、さして大したことは無いと思えるのだが、それは平地の事。高所はやはり荒れる。早々に同行者に「中止」を告げた。これにより代替場所を探さねばならなくなった。太平洋岸側の方が天気が良いのは見えており、目をそちらに寄せてゆくが、この夏の時季に適する涼やかな高い場所が見えてこない。やはり中部山岳に目が行ってしまうが、それでも出来るだけ南側にしたい・・・。苦慮して探していると、奥秩父に未踏座が近接して2座ある場所を見つけた。

 
 甲武信岳の北、十文字峠のすぐ南に大山がある。ここは通過者が多く有名かもしれないが、すぐ近く、十文字峠の北東側にも大山がある。こちらは登山道が山腹を巻いているので、登頂しているのは好事家くらいだろう。ここをまだ踏んでいなかった。もう一つは、その北の三国山から東に降りる、松尾尾根にある丸山。地形図には破線が入っているが、完全に藪山となっているよう。今回はこの2座狙いでいってみることにした。この2座なので、中津川林道から大山はアプローチすることにした。大山だけなら、毛木平から入るのだが・・・。

 
 1:00家を出る。久しぶりの川上村。3時台でもレタスの収穫をされている姿があった。真っ暗いなか、これがここの普通。村道は軽トラで賑やかで、のんびり走っていると煽られるほど。川上村の平均年収は2500万と聞く。沢山稼ぐには、そう甘くないのであった。でも頑張れば稼げる土壌でもあり、昔の日本がここに在るようにも思えた。高原野菜畑に挟まれた道を秩父側に進んで行く。戦場ヶ原の先から細い、両側から野草が覆いかぶさるような林道になる。オフロード車ならいいが、普通セダンだと視界が非常に悪い。暗い中なのでヘッドライトに反応できるが、昼間だったら対向車に対し間近にならないと気づかないような場所。以前はもっと走りやすかった気がしたのだが・・・。

 
 新三国峠に到着。十文字峠側への登路と道標がはっきりと見える。空は晴れ星空が見事で、外に出てしばし天体観測となる。ただし、寒い。外気温は16度を示していた。事前に林道の状況を調べると、17時から翌朝8時まで中津川林道は通行禁止とあった。峠の東側、秩父側のゲートがされていると思いこんでおり、この峠で夜明けまで仮眠を決め込む。シュラフの無い車内、半袖の服装では寒くて寝られず何度か暖房を入れるほどであった。我軟弱なり。

 
 夜が開け、それでも時間までまだ長いと思い偵察に秩父側に入って行ってみる。トイレ舎を左に見て、その横から三国山への登路が切られている。中津川林道には、やはり「夜間通行止」の表示がある。当然どこかで閉っているのだろうと、半信半疑で林道に車を降ろしてゆく。当然のダート林道。ほとんどブレーキに足をかけての運転であった。オフロード車だったら・・・。行けども行けども封鎖されている箇所は無い。途中で理解した。この18kmにもおよぶ林道を、秩父側から管理するのは容易ではない。本当に閉じたのなら、川上村の人が三国峠側のゲートを管理しないとならない。しかし県外。となると、この夜間封鎖は秩父(中津川キャンプ場)側からのみなのではないか・・・との答えに行き着いた。実際は知らない。そんなことを思いつつ、ダート林道にサスペンションをピョンピョンとさせながら降りて行く。もう少し荒れた林道と思っていたが、意外と走りやすい。ただし路面に対しタイヤを置く場所を選ばないと、普通セダンは底を擦ってしまう場所もある。

 
 まだかまだかと思いつつハンドルを握っていると、この林道にして立体交差する道が目の前に現れた。トンネル状のそれを潜ると、左から林道が分岐していた。ここが奥秩父林道の起点であった。駐車スペースは十分。こんな事なら、ここまで入ってしまえば夜明けとともにスタートできた事になる。結果として残念に思うが、公的発表の8時開門より前に林道に入れていることをありがたいと思わねばならない。さらには、新三国峠では素晴らしい星空が見えた。あそこであったから見えたわけで・・・。プラス思考で行く。

 
 アブを払いながら靴を履き、いざスタート。中津川林道を橋で跨ぎ、その先に南京錠が下がるチェーンゲートがある。脇が少し開いているのでオフロードバイクは入れそうであった。実際にブロックパターンの轍はあった。この林道は目指す大山の東側まで続き、平面距離は6km。おおよその予想として1時間ほどで行けるだろうと踏んでいた。立派な林道で荒れておらず歩き易い。多数の小鹿が前方を走っていったり、テンのペアが金色の毛を揺らせながら走ってゆく姿も見える。自然が多く残っている。その自然のために、少し林道が痛んだ場所があるが、車が通れるくらいには補修してあった。

 
 最初の無名橋を通過する。大ガマタ沢の支流となるだろうが、本当は橋の名前で沢名が判ったりするが、ここのいくつかは銘板が付いてない橋が多い。進む先の方にポコンと尖った大山らしき山容が見える。まだまだ遠い。1時間が経過し、付近の様子から現在地を割り出すと、林道全体の半分ほどしか進んでいないようだった。倍ほどかかっているようだ。最初こそ調子は良かったが、なにか体がおかしい。汗が尋常でなく出ている。寝不足の影響か・・・それしか要因が無い。いろんな症状は、身体からの悲鳴なんだろう。維持管理はちゃんとせねば・・・。

 
 しらいわ橋、ふたまた橋と渡って行く。そのふたまた橋から山手側を見ると、そのままそこに二つの沢が見え。登りたくなるような面白そうな傾斜が上に続いていた。この先3分ほどの場所で、大きな落石のある場所があった。これが残っていることで、この先には車は入っていないことが判る。そして、すぐ先に四里観音避難小屋への取り付き点が見えてきた。道標が現地に同化して判り辛いが、ハシゴ階段も見え、そこと判る。地図上ではっきりと現在地が判り、ここで林道の3/4ほど進んだ事になる。この先、大山を北側から巻き込んで縦走路に乗る。これが次のチェックポイント。

 
 避難小屋への取り付き点分岐の先で、黄色いバリケードがタイガーロープに結ばれ置かれていた。これの示す事は・・・進むとすぐに体感できる。押し出しや林道自体の崩落などが続くキケン地帯に入る。それでも鹿の足跡があったりするので、危険度は薄いが、それでも気を抜くと谷の方へ流れていってしまう場所は多々見られた。岩を掴みながら通過したり、足の裏に力を入れてグリップさせながら通過したりしていた。これほどまでに荒れてしまうと、修復は容易ではない。このまま放置となるのだろう。林道を造る目的とは・・・と思ってしまう。自然に戻っている林道は多い。

 
 二つ目のバリケードが見えてきた。これは、北側からの進入者に対してのバリケードと判り、危険地帯が終わった印でもあった。そこの僅か先から、北側に踏み跡が降りており、少し下った場所に「シオジ群生地」と書かれた道標があった。この道は大ガマタ林道へとぶつかるのかもしれない。左に見送りながら、針葉樹の幼木が繁茂しだした奥秩父林道を行く。もうすぐ縦走路と合流するのだが、やはり予定の倍ほど費やしてきていた。

 
 縦走路に乗る。ここから山道になるのかと思ったら、林道幅は尾根を巻き込んで南側の山腹に進んで行く。よう壁工事の跡も見えるので、林道が続いているのは間違いなく、ただしその道形は自然に戻りつつあった。尾根を跨いだ場所から3分ほど伝った場所で、とうとう道形が終わる。ここから山道に入る。もうここは大山の山腹であり、何処から取り付いてもいい事になる。地図を見ると顕著な尾根が南に降りており、これを伝うのが順当と思え、その尾根を登山道が跨ぐ場所から北側に進路を変えて藪漕ぎとなる。

 
 斜面はアセビが繁茂する場所で、幸いに下草は少なく歩き易い。マーキング類は一切無く、適当にルートを選びながら歩きやすい場所に足を乗せて行く。途中一箇所開けた場所があり、白泰山側が遠望できる。ここ以外は樹林の中となる。鹿の警戒音が谷間に響く。ヒグラシが夏の終わりを告げていた。なんの木だろうか、掴んだ木で手が真っ黒になる表皮を持ったものもあった。

 
 大山到着。人工物は一切無し。南峰がまずあり、少し下って登り上げると北峰がある。こちらにもマーキング類は無かった。展望はほとんど無い。それでも秋以降なら少しは見られるかも。時計はスタートから2.5時間を経過していた。林道がある事で楽に構えていたが、それなりに費やしての登頂となった。これでいくと、午前中は丸々大山に費やす事になる。ダブルヘッダーの丸山に行く元気はあるか・・・。疲労度からも少し後ろ向きになってきた。汗が収まった所で下山に入る。

 
 下山は西に降りれば登山道に乗るようだが、何処を見ても同じような風景で、迷いやすそうなので往路の尾根を降りることにした。これは正解で、コンパスを定めないとどちらに向いているのか判らなくなるような地形と思えた。登山道に乗り、ゆっくりと四里観音避難小屋に向かってゆく。細い流れが見える場所もあるが、水場と言えるほどではなかった。大壁の下を九十九を切って登り、何度かのアップダウンを経てグングンと高度を上げて行く。静かな登山道。獣も人も居ない静かな場所でとても居心地がいい。こんな静かな場所を延々と歩いていたい心境にもなるが、あまり言うと人嫌いに思われそうなのでほどほどに。

 
 奥秩父林道への下降点分岐が見えると、その先に避難小屋への分岐道標も見えてくる。そこからの道に左に入って行くと、下の方に立派なログハウスが見えてくる。しかし屋根がブルーシートで覆われている。近づくと屋根が大破している。倒木でも当たったように見えた。内部は綺麗になっていた。この寂れた場所にしてはよく管理された小屋と思えた。焚き木用の薪も中に外に用意され、そんな点も好印象。ここには水場もある。初めての人は戸惑うだろうが、小屋の先に続く道形を追って行くと水場に行き着く。やや足場が悪いのでアプローチには注意が必要。細い流れだが、冷たい美味しい水が出ていた。この水量だと、冬季は凍ってしまうのかも・・・とも思えた。小屋に戻り、縦走路に戻って行く。

 
 縦走路を伝い、弁慶岩まで行って北東尾根を降りようかと言う野心もあったが、林道と避難小屋間の道も気になっていた。調査のため伝うことにする。下降点分岐から降りて行く。踏み跡の薄い場所に、マーキングがルートを導いている。途中から北東側に大きくトラバースし、その先の尾根に乗るのだが、この尾根に乗った場所がとても不明瞭。どこにルートがあるのかが見えてこない。多分、この時はルートを外していたのだと思う。予想をつけて降りて行くと、再び道形に乗る。そして僅かで下の方に林道が見えてくる。最後はお手製のハシゴが2つ続く。上の方のハシゴは朽ちてきており、さらに滑るものとなっていた。慎重に足を乗せたい。タイガーロープの補助を借りて最後のハシゴに乗り、林道に降り立つ。

 
 また長い林道歩き。それでも樹林が覆う場所も多く、沢も多いことから自然の風も多い場所、涼やかに歩ける林道であった。途中で熊よけの鈴の音がしてくる。ハイカーかと思ったら、大きな二つの網を持った昆虫採集の方であった。昆虫を求めゲートからここまで登って来る信念は凄い。様子を見ていたら、物凄い細かい対象物を探しているようであった。歩きながら次の行動を迷っていた。これでやめようか、もう一つ行こうか・・・。丸山は藪漕ぎ距離2km、この体力だと・・・。“今日はこの1座にしよう”楽な方を選択。まあ、無理はしない。行ける時は行けばいいし、気持ちが乗らない時は無理はしない。

 
 ゲートを越えて、橋を渡り、奥秩父林道起点に到着。着替えていると、林道をオフロードバイクのツアラーが通過して行く。ここはオフロードバイクの聖地。これだけ長い林道が走れる場所は、だんだん少なくなってきている。ましてや、この路面状態なら、「走りやすい」部類になるだろう。爆音を上げるというよりは、清音のバイクが多かった。車に乗り、信濃橋からの丸山への取り付き点を確認して中津川キャンプ場へ降りて行く。


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