矢櫃山 1343.0 m
2013.1.12(土)
曇り 単独 竜神湖周遊道からのアプローチは失敗。 高瀬川第2橋から登頂 行動時間:3H46M
携行品: 12本爪 アルミワカン
@トイレ付駐車余地7:06→(11M)→A中の沢出合前7:17→(5M)→B駐車余地に戻る7:22→(7M)→C仙人岩東源泉地7:29→(3M)→D高瀬川第2橋東取付点7:32→(10M)→E分渡沢右岸のの朽ちた橋7:42→(66M)→F北西尾根に乗る1190m付近8:48→(36M)→G矢櫃山南峰9:24〜27→(8M)→Hアンテナポイント9:35→(5M)→I矢櫃山最高点9:40〜59→(12M)→J北西尾根1300m付近から西尾根に入る10:11→(28M)→K分渡沢右岸の朽ちた橋10:39→(13M)→L車道に出る(アイゼン外す)10:52〜54→(2M)→M仙人岩駐車余地10:56
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| @朝方はモルゲンロートでのスタート。 | @トイレ付駐車余地前からスタート。 | 高瀬トンネル南口前から散策路へ入って行く。 | 散策路はずっと通行禁止状態が続く。ルートに倒木が多い。 |
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| A吊橋を渡って、中ノ沢を渡ろうと思ったのだが、氷結はまだ渡れるほどにはなっていなかった。戻る。 | B最初のアプローチは失敗。次の予定地へズレる。 | C分渡沢に入ろうと、仙人岩の東側余地に停める。高瀬川の渡渉は困難と判断し、高瀬川第2橋東側から道形を伝う。 | D取り付き点。「871番」CPが立っている。 |
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| D道形が見いたせない人には、何の為の立入禁止か判らないだろう。 | Dこの角度に道形が上がっている。最初に大木がルートを塞ぐ。 | 道形を伝うと、いきなり危ない場所が続く。凍っていたり、途中で橋に穴が開いていたりする。 | EH鋼構造で、上に横木が並んで居る。これを見て軌道跡なのかと思えた。進んだが、2箇所で大穴が開いており渡れなかった。 |
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| E分渡沢に入れず、北の小尾根に取り付く。かなりの急峻地形が1150m付近まで続く。 | 途中、しゃくなげ帯もある。冬季だからいいが、葉が開いていたら厄介。 | 尾根筋。緩やかそうに見えるが、足元はガリガリ、ツルツル。途中でアイゼンを装着。 | 尾根の傾斜が緩むと、もうすぐで北西尾根に合流する。 |
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| F標高1190m付近。北西尾根に乗り、快適に進む。 | 1230m付近。小さな雪庇が北側に出来ており、その堅い上を進んで行く。 | 1320m付近で、初めて人工的なものを見る。3本巻かれており、かなりの注意点の様子。帰路に判ったが、西尾根への下降点のよう。 | もうすぐ矢櫃山南峰。 |
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| G矢櫃山南峰の上。見ている方向が分渡沢側。 | G南峰から見る本峰(北峰)。 | 最低鞍部にケーブルが巻かれていた。 | Hケーブルはアンテナ用の物であった。この付近でアンテナを必要とするのは、葛温泉側のものと判断できる。 |
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| I矢櫃山三角点ポイント。山頂は東西に長い。 | I三角点ポイントから30mくらい東に進むと、北に尾根が降りている。僅かに尾根が屈曲する場所。 | I屈曲する場所から西側を見ている。ダラットした長い山頂。 | I三角点ポイントで三角点探し。5分ほどで掘り当てる。 |
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| I苔生した等級の判らない三角点。いい表情をしている。 | I西側から見る標高点をとっている場所。 | I今日はヤキソバパンが手に入る。 | I中央に鳩峰。左に北葛岳。右に蓮華岳だと思う。 |
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| 下山途中から見る七倉ダム。 | 帰りは南峰の北側をトラバース。 | J1300m付近から、西尾根に入って行く。 | 1240m付近。このようなマーキングが広い間隔で続く。この場所の付近にケーブルが流されているよう。 |
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| 1180m付近にアンプが設置され、ケーブルを中継していた。 | 1070m付近。ここからの進路が良く判らなかった。少し北寄りに進んだのだが、この先は急峻になる。 | 990m付近。急峻地形の中。滑れば一気に下まで滑落。グリップをさせながら慎重に降りる。 | K朽ちた橋の所に降り立つ。ここにも送電用のポールが在った。無積雪期に、これを目印にしてケーブル伝いに取り付けばいいようだ。 |
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| K降りてきた急峻地形。上の方はスキーに適しているが、ここがあるので不向きな斜面にも思える。 | 道形の様子。(振り返り撮影) | L車道に出る前に大木がある。潜るにも乗り越えるにも嫌らしい太さ。 | M仙人岩東側の余地に戻る。 |
矢櫃山を狙う。ヤビツの名前で有名なのは、東日本では神奈川のヤビツ峠。塔ノ岳や大山人気があり、その登山口となる場所でもある。一方で西日本では、山口県に矢櫃山がある。ここは登山対象の山。国内にはもう一つ地形図記載の矢櫃山があり、それが長野は大町市に存在する。北アルプスの前衛的な場所に在るものの、その存在はとてもひっそりとしている。何故なのか・・・。多くの山が、何度かの登山ブームにおいて登られてきているが、この山は後世に残る記録があまり目に入ってこない。
高瀬川沿いの山々を踏破しながら、最後に残ったのがここであった。予想では激藪。それもシャクナゲの。高瀬川を挟んで相向かい鳩峰に登った時、少し上流の高嵐山に登った時、その植生を体験している。同じエリアであれば、斜面の方角こそ違うが、似たような出迎えだと思って居た。それがあるので、積雪期に狙う山と位置づけてタイミングを謀っていたのだった。標高こそ低いがとてもハードルの高い場所に思って居た。取り付きからの深い藪を想定し、雪まみれになる想像もあった。それでもマイナーな山ほどに、我が意欲が沸く。一種の病気だとは思っているのだが・・・。装備としてはスキーも考えた。全ては現地で判断しようとフル装備で準備、岩装備からスキーまでと考慮に入れた。
計画段階で、二つのルート取りが考えられた。地形図を見ると、北尾根に鉄塔がある事がダム施設の送電線の流れで読み取れる。とならば巡視路があると思えた。まずはグーグルアースで確認する。しかし北側の様子は緑ばかりでよく判らない。龍神湖を吊り橋で渡り、後は中ノ沢の徒渉だが、橋が在るのかどうかだが判らないまま。鉄塔があることを考えると、「在る」と見るのが普通。なければ凍結した上を渡るとなるが、全ては現地での判断とした。
二つ目のルートは、分渡沢を詰めての、先ほどと相対する南側からのアプローチ。しかしこれには二つの問題が発生。一つは高瀬川の徒渉。この時期、絶対に濡れたくない。そして分渡沢からは放射能鉱物が採れるという事を把握し、それが在ると言うことを知った。目に見えないそれら、なにか恐ろしい先入観を抱くのだった。検討すればするほどに、この山が難しくなってきた。それでも、北尾根ルートと南の分渡沢ルート、この二本立てて攻めることにした。
三連休であり、もっと大きな山行も予定できたが、日曜日に小用があり致し方ない。2時に家を出る。三才山トンネルを潜って松本に出て、いつものコースで大町ダムの方へ入って行く。高瀬トンネルを抜け出ると、すぐ左が龍神湖の散策路入口。しかししばらく立ち入り禁止になっている。見えるタイガーロープがそれを示していた。この先のスノーシェッドの横に脇道があり、降りて行くと広い駐車場があった。その先には発電所施設があるようであったが、トイレ舎もあり、散策者用の駐車場所なのだろうと把握出来た。入口には何も表示が無く、何度も通るが、初めて気づいた場所であった。そこで夜が明けるのを待つ。対岸の北尾根を見ると、中腹に明かりが見える。やはり人工物があり、そこまでのルートはあるはず。事前考察は間違っていないと思えた。
夜明けから準備をしだし、アイゼンとワカンを持って北尾根を目指す。高瀬トンネル南口前から、タイガーロープを跨いで入って行く。「通過する人に見られないように」とおまじないをしながら跨ぐような気分。その先は橋のところには相変わらず単管パイプが渡され、進路が塞がれていた。大きく「立入り禁止」の標識も立つ。跨いで進む。渡りきっての散策路は、凍てつきバリバリに凍っていた。慎重にゆっくりと足を進めて行く。前回から保全はされていないようで、かなり荒れた雰囲気になってきていた。倒木も多く、自然のなすがままの状態となっていた。そろそろ鳩峰への取り付き地点と思って居ると、目の前のパンザマストに、見慣れた悪戯書きがあった。間違いなくSK氏の残した物であろう。筆跡で100%氏のものと判断できる。先に進み、中ノ沢の見える位置となる。対岸のその場所は、流れの上の氷はまだ薄いように見えた。巡視路に至る道がどうなのか判らぬ状況下、この絵面は引き返す判断となった。全ては自己責任と自分の判断。
北尾根からのアプローチを諦め、次の分渡沢側へ行く。一度ある事は二度ある。次もダメかもしれないとの思考も出てくる。一度仙人閣側に行くが、高瀬川を渡る容易な場所は見出せなかった。雪の乗った凍った川面は、この時期の通過を拒んでいた。対岸に行くには仙人閣のさらに西側に行くか、少し戻っての高瀬川第2橋のたもとからとなる。一度戻るように橋の方へ行き、注視して対岸を見ると、どうも道形が見える。そしてその続く先が予定した橋のところまで到達している。願ったり叶ったりのルートを見つけた。これで分渡沢に入れる。
駐車は仙人岩の東側の広みに停める。その東側には葛温泉の源泉地があるようであった。それを右に見ながら高瀬川第2橋を渡って行く。高瀬川を見下ろすが、やはりこの時期の徒渉は厳しい。渡りきるとそこに「立ち入り禁止」と書かれた大町市の標識があった。間違いなく、ここから始まる道形に対しての注意書き。でも、この時期に道形を見出せる人は、よほど慣れた人であろう。同化していてよく判らないのだった。入って行くとすぐに、大木がルートを遮断している。潜るように先に進むと、尾根を巻き込む辺りからルートは鮮明になり、土留めの杭が目立つようになる。しかし、急斜面に付けられたこの道は、かなり足場が良くない。橋のように板が敷かれているのだが、時折下が覗けるような場所がある。雪があるから埋まっているが、見えない場所に落とし穴が控えているだろう。確かめるように一歩一歩進んで行く。落ちれば30mくらい一気に落ちるであろうと思えた。
危険地帯を抜け、このまま行けば分渡沢に入れると意気揚々と進んでいたが、目の前に長さ20mほどの橋が現れた。ここにしてけっこう長い橋。対岸に行こうと進んで行くと、ここも大穴が空いており、積雪もそこが抜け落ちていた。見るとその先にも、さらに大きな穴が空いている。穴の両脇を伝えそうだが、そこに敷いてある木が、朽ちている状況は同じで抜け落ちる可能性も考えられた。落ちても死なない高さだが濡れる場所であり、そそくさと引き返した。ここに来て予定が狂う。分渡沢に入れると思っていたのが、完全なる糠喜びとなった。次を考えねばならなかった。斜面を見ると、そこから見える小谷には流れがあり、凍っている。谷は伝えない。となると、もう尾根伝いの選択しかなかった。
流れのある谷を右にして小尾根に取り付く。最初から勾配が強い。騙し騙し登って行くと、途中からシャクナゲが現れる。凍って葉を閉じている今、開いたら邪魔をする植生であった。斜度はどんどん強まり、途中でアイゼン装着。刃を突き立てるように凍った雪面を蹴りつけながら登って行く。一息つけるまでの我慢と、汗ばむほどの頑張りで立木に捕まりながら這い上がって行く。
1150m付近を越えると、斜度もゆるくなり安全圏内に入る。そしてその先で北西尾根に乗る。見上げる先に矢櫃山の山頂らしき場所がある。ここからはやや深いツボ足となった。ワカンを着けようかと思ったが、もう少しの試練を自分に与える。右側が針葉樹林帯、左側が広葉樹林帯で、明るいのは葉が落ちた左側であった。少し雪庇が出来た場所も在り、硬い上を伝うことも出来た。最初の取り付き斜面をを目を瞑れば、スキーで来ても良かったのかと思える場所であった。高度を上げて行くと前方に二つのコブが見えてきた。この尾根はその右側に見える南峰に突き上げている。これがあるので、スマートなコースは北尾根なのだろうと思っていたのだった。でも北尾根は伝えず。
1300mm付近。ここに来て初めて人工物を見る。やけに入念に着けたマーキングであった。色違いで3本巻かれている。これほどに巻く意味が最初判らなかった。不思議に思いつつ横目に通過して行く。当然その周囲は注視していたが、答えが出なかった。上に行くと、もう一箇所同じようなマーキングがあった。何故にこれほどに着けるのだろうか。それもここにきて・・・。
南峰に到着する。ここが山頂でもいいのではないかという心地よい場所であった。“分渡沢を上がってきたら、こっちから来るんだよな”と思いながら南側を見る。何となくルートがあるような幅があった。北側を見ると、確かにここより高い場所がある。高い場所があるからには、行かないと納得しない性分。鞍部に向け大股で下って行く。本当は帰りの事を考えるのなら、小股が適当なのだが・・・。
鞍部まで下ると、そこにケーブルが巻き付けてあった。その線のタイプから同軸線だと判る。何故にここに・・・不思議に思いつつ登り返して行く。登って行くと、やや濃いシャクナゲ帯に入り、その先に人工物が見えてきた。アンテナが立っていたのだった。鞍部のケーブルの意味がここで判った。標高点を取っている場所は未だ先で、やや東側を巻き込むように植生を避けて進んで行く。
矢櫃山到着。小さな赤い絶縁テープが針葉樹の枝先に結ばれているだけの山頂だった。少し調査をと先に進んでみる。最初に思った北尾根が使えるかどうかを確かめたかった。30mほど進むと肩的場所となり、その先は北に尾根が降りていた。まだここは山頂部の一角で、北尾根を望むまでには至らなかった。ここまで来て、東西に細長い山頂部だとよく判った。何処が最高所かと探すのも困難なほど起伏が少ない山頂であった。ただ、マーキングの存在は絶大で、そこの場所のみ展望が利き、鳩峰側がよく見える場所で、他と別格であった。この山塊での一番開けた場所に三角点を設置したのであろうと思えた。
さて三角点探しに入る。積雪量は40センチほどになるか、4畳ほどの場所を足で探って行く。なかなか見つからないそれに、かなり諦めモードとなるが、それでも、その一回のヒットを楽しみに足は動かし続けた。するとコツンと当たった。急いで手でかき分けると、苔むした標柱が出てきた。雪を纏い苔で覆われ、緑と白の綺麗なコントラスト。あまりにも綺麗なので苔を剥がすことはせず、等級は確かめなかった。念願の目標地に到達。もっともっと薮化していると思ったが、意外にもすんなり到達してしまった。北を見ると、鳩峰の露払いと太刀持ちの位置に、北葛岳と蓮華だけの姿が見える。この角度、何かいい感じ。欲を言えば、龍神湖がもっと見えれば良いのだが、東に進んだ先で僅かに見える程度であった。それよりも良く見えるのが七倉ダムとなるか、西に僅かに戻った辺りから望むことが出来た。
トレースを辿って戻って行く。鞍部まで降りたら、南峰を登り返さずトラバースして行く。戻りながら気づくが、意外とトラバースの足場も悪くない。西尾根に乗り1300m付近から復路は西尾根を降りてみることにした。すると、かなり広い間隔で、一連のマーキングが見られた。1180m付近まで降りると、アンプがケーブルを中継している場所も在り、さらに下ると雪の上にロープが見え、その先にケーブルが結ばれていた。全てが見えてきた。マーキングの所を、このケーブルが通っていて、先ほどの1300m付近の場所から南峰を通らず、鞍部へ向けケーブルが走らせてある・・・。そう思うと何となくマーキングの存在が理解できるようになった。付近は緩やかな傾斜でスキー向き。西尾根を伝えばスキーでも良かったのかと、少し後悔しつつ高度を下げていた。
1070mにこれまでと違う赤い三角形のマーキングが現れた。この先のマーキングが全く見つからず、適当にやや北寄りの尾根を降りて行く。ここからが急勾配。硬かろうが柔らかろうが、一度滑ればツーと下へ落ちてしまう斜度。立木をブレーキに使える場所を選びつつ万が一に備えて降りて行く。ケーブルがあるのはここより南の尾根側か。かなりの痩せ尾根になり、ここには這わせないだろうと下の方へ行って思った。進む先の方に往路で見た朽ちた橋が見える。その前にケーブル用のドブ浸けポールが見えた。往路にこれが見えていれば、少し勘づいたかもしれないが、見えなかったのだから仕方が無い。結局、この朽ちた橋の場所からケーブルを伝って行けば山頂へ達するわけで、ケーブル敷設の山道がハッキリとは無いであろうが、見える程度に残っているだろうと予想できた。この予想からすると、この山は残雪期ではなく、無積雪期でもいい山となる。いろいろがスッキリしてきた。こんなことを判るのが楽しかったりする。
往路のトレースに足を乗せて戻って行く。崖のへつりで落ちないように気を使いながら進み、最後の大木は上から乗り越えて行く。そして車道に出る。アイゼンを外しとぼとぼと高瀬川第2橋を渡って行く。