畑薙山 1835.5m
2014.8.2(土)
くもり 単独 沼平より 行動時間:5H10M
@沼平ゲート4:54→(29M)→A畑薙大吊橋5:23→(13M)→B鉄塔5:36→(91M)→C1672高点7:07→(29M)→D畑薙山7:36〜
46→(17M)→E1672高点帰り8:03→(45M)→F1403高点帰り8:48→(34M)→G畑薙大吊橋帰り9:22→(42M)→H沼平10:04
@沼平ゲート | 主稜線はモルゲンロートに。 | 林道は崩落箇所もある。場所を違えれば通行止めにされるような雰囲気もあった。 | 蓬沢通過 |
A畑薙大吊橋休憩舎。ウソッコ谷に入る猛者が装備を切り替えていた。 | A吊橋をゆく。楽しい通過点。 | B鉄塔の下を潜って尾根をゆく。 | 急登斜面が続く。 |
黄ペンキがルートを示す。 | 「沼津かもしか」 | 登りで見えるのは黄丸。下りは青丸。 | 1403高点通過。 |
ガレの縁を伝って行く。 | 畑薙湖を見下ろす。 | C1672高点の場所は、特異な山稜を成している。 | 急登が続く。 |
直下最後の斜面。 | D畑薙山 | D三等点。昔の茶臼山への道標が残る。 | DMLQのいたずら書き。 |
D朽ちてきた標識 | D具沢山 | 下り用は青丸。 | E1672高点の南側のピーク、双似峰のように北側にも顕著な高みがある。 |
南側より伝う縁を見る。 | F1403高点帰り。 | 急斜面が続き、ターンの繰り返し。 | 鉄塔帰り。 |
G大吊橋帰り | H沼平に戻る。 | H駐車スペースの様子。 |
夏山ハイシーズンとなり、各登山口が賑わうようになってきた。しかし南アの芦安は完全に閑古鳥が鳴いているようだが、そのしわ寄せを奈良田が受けて凄い事になっているよう。と言ってもこの付近の未踏座は無く出向くことはないのだが、同じ南アの畑薙湖からでは気になる1座が未踏になっていた。
畑薙山。その昔は茶臼山に抜けるルートが在ったようだが、今は廃道になっており、一般的な登山対象の場所から外されている。好事家が稀に登る場所。私も好事家の部類なので行かないと気が済まないのだった。
前夜19:30に家を出る。経路はいつものコース。須玉から52号で南下して行く。現在は口坂本側が不通のようで、いつも通り富士見峠経由で井川に入って行く。ここに来るとホッとするのは、何年経っても景色が変わらないからだろう。発展するのには変わった方が良いのだが、訪れる者にしてみると変わらない方が嬉しい。
畑薙湖下の臨時駐車場には、20台ほど停められていた。宴会をしているのか、テントから漏れる灯りも見える。それらを横目にさらに登って行く。ダムの場所では出かける準備をしている人の姿もあった。時計は2時を回ったくらい。その姿は釣り師だったが、釣り師も山屋に負けないほどにアクティブである。
沼平は、ここでも20台ほど並んでいた。“みんな歩くのか・・・”そんな事を思いながら仮眠に入る(2:17)。何やらゴソゴソと周りが喧しい。ドアの開け閉めの音が頻繁にされ、早出は良いのだが何せ煩い。ほとんどの人が自転車の用意をしていて話し声も多い。ヘッドライトに照らされる彼らをみると、どうも釣り師のグループの中に駐車してしまったようで、3時半頃5名ほどが出発して行った。スッキリと仮眠が出来ない状況で、バイオリズムが悪いというか何というか・・・。少し明るくなったので、道中での飲みかけのコーヒーを胃に流し込み出発の準備をし出す。
ゲートの場所には水が出ているはずで、酌みに行くと、なんてこった水が停めてあった。沢水は流しっぱなしにしていないと飲めるまでに時間が掛かる。カランを開くと、案の定茶色い水が出てきて、しばらく待ったものの飲めるようなものになるまでにはしたたか掛かるように感じ、ここで汲むことを放棄した。“水無でいいか”この先の蓬沢で汲めれば汲むことにしてスタートする事とした。
水を汲んでいる時に、ヘルメットをかぶった猛者がゲートを越えていった。この御仁の70mくらい後を追うのだが、いつもなら追いつくものを、この時は全く追いつかなかった。素晴らしい脚力、最初だから飛ばしている様子は無く、普通でこのスピードなのだろう。途中、蓬沢通過で水が気になったが、降りて行くのが面倒なので、「水なし」を決め込んだ。そしてその先の畑薙大吊橋に到着。小屋の中で先ほどの御仁が装備を変更していた。
どこかで見たことがある。誰だろう。有名な人のようなのだが・・・。これからウソッコ沢を登るらしい。私のコースも伝えると、昔に登山道が在った時に伝っているとのことであった。先に私が吊り橋を渡って行く。右岸側の九十九折りを登っていると、御仁の鈴の音が上がってきた。これまた速いこと。間違いない脚力を見せつけられていた。逃げるように鉄塔尾根に入って行く。
昔ルートがあった形跡は、黄ペンキでの丸印が示していた。下山方向は青丸(これは新しい)となるのだが、こまめにふられている。その他にもマーキング類が乱打されており、踏み跡こそ薄いが、迷う場所は少ない。と言いながら帰りにミスルートしているのですが・・・。それにしても急登の連続。伝いながら廃道になる理由が頷けた。人は楽をしたい動物。稀に苦労が好きな人も居るが、多くは短く楽なルートを選ぶ。となると自然淘汰でここのようなルートが歩かれなくなるだろう。
目安としていた1403高点までがなかなか遠かった。高度を上げて行くと次第に涼しく感じるものの、この日は無風で経路に飲んできた2杯分のコーヒーがすぐに汗として出てきた感じであった。そして1403高点。ここだけ集中してマーキングが多かった。通過して行くが、やはり踏み跡は薄い。地形的な部分で、地面が流れやすい場所なのかもしれない。現に南側は大崩落している。複合的に歩かれなくなったと思えた。
ガレの縁は遮るもののない展望台となり眼下を俯瞰できた。やや雲の多い日、晴れでもなく曇りともいい難い微妙な天気であった。緩やかなガレの縁を足許に注意しながら進んで行く。下草の無さはこのエリアらしいが、下草が根付かないほどに流れやすい地形なのかも。それでも林道を除けば、このルートは樹林の下で夏向きでもあった。それで居て開けた場所もあり、歩きながら「わるくない」なんて思っていた。
1672高点は、とても面白い地形であった。普通に顕著なピークがあるのかと思ったら、深く抉れたカルデラのような凹地にその周りを囲むように南北にピークがある。その中央を通過するように薄い踏み跡が伸びていた。この先で再び急登斜面が待っている。大荷物だったらいやらしいルートで、歩けば歩くほどに廃道化した経緯が判るような気がした。
畑薙山到着。三等点のところには、茶臼山を示す古い標識が残されていた。立木に打たれた標識は二つとも朽ちて判読不能であった。MLQの絶縁が唯一山名を記していた。ここまで来ると茶臼山までのルートが気になるが、伝う日がいつか来るだろうか。今日のモチベーションは、この場所までで頭打ちのため往路を戻って行く。
下りは青ペンキが示しており、拾うように降りて行く。1672項点は南の頂上を通過して行く。そしてガレの縁を伝う場所は右側ばかりを気にして伝っていたら、いつしか1265高点へ降りて行く尾根に入ってしまった。これまでのマーキングが見えなくなり、不思議に思い気がついたのだが、迷う人が多いのか、こちらの尾根にも踏み跡らしきものが散見できた。登り返して正規ルートに戻る。しかし、このミスのおかげで、伝って行くガレの縁の写真が撮れたりもした。
相変わらずの急下降。九十九折を繰り返しながら降りるのだが、手ぶらよりストックが欲しい下りでもあった。鉄塔が見えるとルートが緩斜面になるのでそれまでの辛抱と降りていた。そして鉄塔通過し、大吊橋まで降りて高度感を楽しみながら対岸へ渡って行く。その先を椹島へ向かうバスが通過して行く。もうこの時間になると乗っている人は疎らであった。
林道をテクテクと戻って行く。途中トレランハイカーがすれ違ってゆく。にこやかに「お帰りなさい」と声をかけてくれる。とても心が豊かな方と思えた。背中には大きなザックを背負っていながら走っている。凄すぎる。他3パーティーほどとすれ違いながら沼平に到着する。この時も、自転車を載せた車が3台登ってきた。もうここでは自転車は付き物なのか。なにかその業界で紹介された場所なのかも。私も次は持ち込もうか・・・。でも未踏座は、鳥森山なので、自転車で行くには・・・。
15時の営業時間までにと、川根本町の「パンセ・ブレ」さんへ急ぐ。その前に温泉も入らないと・・・。