金岳 511m
2014.12.20(土)
くもり 単独 林道宮沢線入口より尾根に取付き縦走 行動時間:3H34M
装備:ヘルメット、ザイル40m・20m、ハーネス他
@宮沢線入口(尾根末端)6:31→(28M)→AP1 7:09→(1M)→B1・2のコルで岩武装7:10〜14→(6M)→C金岳511高点P2 7:20〜23→(2M)→D2・3のコル7:25〜28→(11M)→E3・4のコル7:39→(8M)→FP3 7:47〜48→(27M)→G岩窟探訪8:15〜19→(6M)→HP4 8:25〜28→(24M)→I551高点P5 8:52→(6M)→J峠8:58〜9:03→(12M)→K最奥民家9:15→(20M)→L県道284号に乗る9:35→(28M)→M宮沢線入口10:03
@林道宮沢線入口、尾根末端から取付く。お墓あり。 | いきなりの急登 | 森林公社の標柱が続く | 露岩が現れだす。 |
最初の肩的場所。 | 植樹林が西側に出てくる。林道側から登っても良さそう。最初に見るマーキング。 | AP1を北から見ている。 | B1・2のコル付近にある、巻道の入口マーキング。付けたてホヤホヤ。 |
目の前に聳えるP2を仰ぎ見る。 | P2の南側はザレた岩斜面。 | 斜面途中に杭が刺さっている。 | 直下。少し垂直気味だが、ホールドはある。 |
CP2 金岳511高点。 | C登ってきた南側。下る場合は懸垂必須。 | CP2より武甲山側の展望。 | CP2最高点。赤い杭が立つ。 |
CP2からP3を見る。 | P2の北側斜面。比較的歩き易い。 | D2・3のコルから見るP3側。ちょっといやらしい岩壁がある。左にピナクル。 | D2・3のコルからP2側の様子。 |
2・3のコルにあるピナクル北側の小ルンゼ。ここを登っても良かったか・・・。流れやすい場所。 | P3は東側の岩壁の下を巻いてゆく。 | 3・4のコル下から、3・4のピナクルを見上げる。写真中央を登って行く。 | ピナクル下にあるマーキング。この場所から左側に登ってしまった方がいいのかも。 |
E3・4のコルから南にピナクルを見る。 | ピナクルの東側にある細いバンドを伝ってP3に向かう。ここを伝わない場合は、下側を巻く。 | P3の岩壁。ホールドは多い。 | 小ぶりなチムニーがある。ここを登らず東側を巻き上げた。 |
最高所が近くなると西寄りに伝う。 | FP3山頂。視界を遮る樹木は無い。大展望の場所。 | FP3にも杭が埋まる。 | FP3からP2を見下ろす。 |
FP3から室久保地区側。 | FP3からP4側 | GP3の西側に岩穴がある。 | Gこちらは獣が棲家としていたよう。 |
Gピナクルの西側には、大きくハングした岩壁がある。 | P4に向かって行く。 | HP4 | HP4からP3を見る。 |
P4の北側で懸垂一回。15mほど。 | 快適尾根 | IP5 551高点 | 危険箇所が無くなり峠が近くなる。やや登り勾配で峠に向かう。 |
最後に越えてきた岩場を振り返る。右(西)側から降りてきたが、東側基部を巻いたほうが安全だったよう。 | J峠に到着。岩装備解除。 | J室久保地区へ下って行く。 | 趣のある峠道。 |
小屋が残る。 | 畑が見え出す。 | ゆず畑。ちょうど収穫期。 | K最奥の民家。この先の分岐は左に行かないと民家の庭先に入ってしまう。 |
コンクリート舗装された歩道に出る。 | 車道に出る。 | ショートカットと右に下ったが、民家の付近からの道がよく判らなかった。戻って左へ。 | 途中から見る金岳5峰 |
L県道284号に乗る。 | 岩崎神社。ここに降りてくる道もあったよう。 | 天狗の石。石に纏わる民話があるよう。 | この場所に良く似合うお地蔵様。 |
M民家が見え、入山口に戻ってきた。 | M林道宮沢線入口が尾根末端。 |
秩父の金岳を目指す。つい先月に新ハイ浦和の猛者諸氏が縦走し、きっちり記録を上げてくれた。このことにより見えない部分が見えてきた金岳。地形図だけ眺めていたのでは、何とも危険な場所に見える。それが緩和され先駆者に感謝したい。それでも、岩装備は外せないようだ。グーグルアースで空からも眺め、用意十分で現地を目指す。
3:10家を出る。外気温は4℃でやや暖かな印象があった。秩父に入ったら和銅大橋側に少し走り、ヤキソバパンを仕入れてから戻るようにして旧の下吉田村に向かって行く。道の駅龍勢会館には1台の車が停まるだけで閑散としていた。横目に見つつ、その先の交差点を城峯山の方へ右折する。阿熊川に沿った県道284号を進むと、彦久保地区の北側の尾根末端には一軒の民家が建っていた。中からの明かりが見え、今でも住まいしている民家だった。その手前から林道宮沢線が左に入っている。まだ夜明けまで時間が早いので調査のために入ってゆく。林道は地形図どおりの場所で行き止まりとなり、その先の破線路はよく判らなかった。ここから取りついても良さそうだが、今日は縦走に拘ってみる。
ラジオを聴きながら夜明けを待つ。そして少し白み始めてから林道を下ってゆくが、右に見える谷には結構に雪が見える。先日の雪が解けずにあるようだが、これらが主稜の岩場に残ると厄介に思えた。林道を尾根末端まで降りて、尾根上にあるお墓の西側付近に停車する。民家があることから静かに準備をし、岩装備を再確認する。
6:31尾根に取りつく。道が在るが、伝って行くと尾根の東側に進み、県道脇のフェンスが続く横を進んでいた。お墓があるので避けた形で進んだのだが、その中を通るように尾根を登ってしまった方が正解だったよう。少し戻り尾根に乗る。いきなり急登となるが、なんとなくの踏み跡は続く。阿熊川の対岸から途切れることなく鶏の鳴き声が聞こえてくる。まあ犬に気づかれて吠えられるよりはいい。でもでも、鶏も驚くほどのセンサーがついている。鳴いているのは私に気づいて鳴いている場合もある。番犬ならぬ番鶏。
途中、森林公社の境界標柱が見え、この先も続く。思ったほど藪ではなく、それには終始痩せた尾根上で、進路がブレることなく伝い易い事もある。露石が多く出てくると、その先で尾根の肩のような場所に乗る。ここで標高450m付近。傾斜が緩む最初の場所とも言える。この先で左に針葉樹林が現れる。ここで初めてマーキングを見る。針葉樹は植林されたもので、このことから、先ほどの林道宮沢線終点地から取りついて植林帯の中を登る選択肢もある事になる。
進んでゆくと、岩峰がそそり立ちP2だと判った。ここでP1に気づかずに通り過ぎてしまった。少し戻り、P1の場所を撮影してから1・2のコルに行く。そこには、真新しい黄色い絶縁テープが巻かれていた。そこの東側わずか下にももう一本見える。新しさから、場所から、間違いなく新ハイ浦和のマーキングとなる。そこから山腹へ伝う踏み跡も見えていた。ここで岩装備に切り替え、そのまま尾根を行く。ザレた岩斜面だがホールドは多い。しかし、朽ちた木もあるので確認しながら掴んで登る。その途中には、赤い杭も見える。登山者でない人でもここを登っているのなら、登らないと・・・と思えた。やや東寄りを伝うような形で登ってゆく。危険が無いと言うと嘘になるが、勾配が緩いので優しい岩登りの場所。一箇所垂直な壁もあるがホールドはある。
P2とされる金岳511mピーク登頂。何と言って武甲山側の景色がいい。眼下の集落の青いトタン屋根の色合いも、緑に溶け込みとても田舎風で雰囲気があった。最高所には先ほどからの赤い杭が立っていた。北にP3の姿がある。植生の薄い赤茶けた荒々しい姿で立っている。グーグルアースでみた禿た部分がここなのだろうと思えた。見える範囲でルート取りをシュミレートしてみる。こちらから見ると、少し厄介な場所に見え、進路を悩みながら2・3のコルへと下降してゆく。
2・3のコルには、小さなピナクルがあり、そこを乗り越えて進む形となる。これがいやらしい岩壁。3mほど登ったが、根性なしなので下に見える巻道を選ぶ事にした。それでも、ピナクルの北側に入るクーロアールも伝えそうであり、下を向いた気持ちが再び上に向いたが、最終的には安全を選んだ。
東側を巻き岩壁の下を通過し、3・4のコル下に出る。ピナクルの北側に登りあげ、そのピナクルの東側にある細いバンドを伝ってトラバースしてゆく。ここは雪が薄く乗りいやらしい通過点だった。この先の小さなチムニーは、登る場所のようだが東側に回り込み植生のまばらにある斜面を上がる。ここも朽ちた木が点在し、ドキッとさせられる。直下付近から西側を進むような地形となり、眼下を気にしながら高度感を楽しみつつ登ってゆく。
P3到着。遮るものが何もない突頂の上、360度のパノラマが待っていた。先ほど居たP2の511高点が既に下に見える。P2に居た時は、その場所が素晴らしい頂に思えたが、こちらの方が勝っている。まあP2の存在があるから、よりよく感じるってこともあるのだと思う。北に降りてゆく。ピナクルの東のバンドは、途中で足元の緩い場所があり注意が必要。そして3・4のコルに戻る。ここからは尾根西側にある岩窟を見学に降りてゆく。
滑りやすい地形を、木々や蔦を掴みながらズリ降りてゆく。やや南西方向に進むように高度を下げるが、なかなかそれらしい場所にならない。岩壁の下をなぞるように南に戻ると、高い位置に岩穴が見える。これは小さすぎて違うよう。さらに先に半畳ほどの岩穴を発見する。しかし目的の岩窟はこんなものじゃない。それでもその岩穴は、獣が居たようで、座っていた痕が残っていた。諦めて戻ってゆくと、ピナクルの東側下あたりに大きく弧を描くようにハングした岩壁があった。登ってゆくと、おにぎりの包装紙が落ちていた。ここなのか、岩窟らしくない場所で半信半疑。南側を探していたが、もしや北側なのか。戻ろうとしたが、切れ落ちていて進めなくなった。1.5mほど岩壁を登ると細いバンドがあり、それがコルへと同高度で続いていた。結局岩窟は・・・見ているのか見ていないのか。後者のような気もするが。
P4へ登ってゆく。優しい登りで、すぐに頂きに到達する。ここから見るP3も見事。次々に登頂峰の絶景を楽しめるのはありがたい。連続する岩峰がちょっとしたスリルを伴い楽しいのだった。P4の北側で、13mほど切り立った場所になる。ここで今日はじめてのアブザイレン。たぶんここも東側基部を巻けるのだろうが、積極的にロープを垂らして通過して行く。北東側に降りたのだが、下の方は少し空中懸垂気味になった。この先はもう危険個所は無くなる。
P5の551高点は、杭も何も無く気にしていないとただの通過点のような場所であった。危険箇所は無くなったと言うものの、最後の岩場があり、ここは北西側に降りて行く。やや流れやすい場所で、気を抜くと痛い思いをする場所であった。ここも少し戻れば基部を巻けた様子。そろそろ峠も近い。東側斜面に峠道を探すも見えてこない。進路がやや登り勾配になっているのも不安になる。最低鞍部付近に峠があると予想したのだが、鞍部よりやや北側に登るのだった。
峠の標柱が見え、あるべきものが在ってホッとする。岩装備を解いてから古の道を下って行く。道が流れないよう、竹で補強してある場所も見られる。そして竹やぶの中に作業小屋らしき建物が見えてきて、人の気配がだんだんと強くなる。進む先に畑が見え出し、目を凝らすと黄色い実の柚子の木が何本も見えてきた。ルートはそこを縫うように降りており、最奥の民家の前に出る。家主が畑作業をされていたので、邪魔をしないよう静かに進んでゆく。
県道→と書かれた標識の場所は、階段の方の道を選ぶと、民家の庭先に出てしまう。左に分かれる方の道が正解だった。民家の裏にもまた分岐があり、これら道を日頃使われるのは民家の人であり、ここでも民家側に進む道形の方が太くなっているので注意したい。左、左、左と進むとコンクリート舗装の歩道に乗る。そしてしばしでアスファルトの車道に出る。
新井地区のショートカット道を選ぼうと、途中の分岐を右に入ってみたが、ここも民家前で良く判らなくなった。住人が居る前でうろうろするのも憚れるので、真っ当に車道を進む事とした。途中ですれ違ったおばあちゃんが「寒いねぇ」と声をかけてくれる。温度計を見ると1℃だった。歩いているからあまり寒さを感じなかったのだが、言われて初めて寒さを感じる始末。振り返ると金岳5峰が鋸の歯のように並んでいた。
林道白岩線の基点の場所で県道284号に乗る。静かな村落内の道をトボトボと下って進む。途中にある岩崎神社を参拝し、さらに天狗の石という小さな名勝もあった。そして尾根末端の民家が見えてくると、その北側には守岩太吉さんの墓石があった。すぐに検索をかけると、秩父事件の一こまを学ぶ事ができた。民家の前にはシーツが干してあった。全く日が当たらない場所、山村では寒風で乾かすのをよく見る。周回完了。
P3の南面を端折ってしまったが、一応の岩尾根縦走完歩。プチ岩遊びな感じで、とても楽しかった。全ての頂きは、基部を巻けるよう。そんな通過方法であればザイルは不要となろう。P2の北側も特に使わなくとも登下行できる。まあ個人個人で感じ方は違うだろうから、「安全のために持ってゆく」のが正しい判断となろう。