長畑山 1612m 近江山 1446.9m
2014.12.6(土)
曇りときどき雪 単独 宿ノ平地区より時計回りに周回 行動時間:4H51M
@林道分岐点(橋)6:24→(20M)→A尾根取付き点6:45→(42M)→B1260高点7:27→(79M)→C長畑山8:46〜48→(15M)→D1547高点9:03→(18M)→E1552高点9:21→(25M)→F1515高点9:46→(19M)→G1460高点10:05→(15M)→H近江山10:20〜30→(32M)→I林道に降り立つ11:02→(13M)→J林道分岐11:15
@小横川川を左岸から右岸に跨いだ橋の先で林道が分岐しており、そこに駐車。 | ます池の様子。やっていないよう。 | 二の樽橋。立派過ぎる真鍮の銘板が付いていた。 | A小沢を跨いだ先、右側の尾根が取付き尾根。 |
A小沢の上流には堰堤が見える。 | 取付いた最初。暫くササが煩い。 | 1150m付近。刃物痕も残る。 | B1260高点通過。 |
大岩手前から尾根の右にトラバースする道形が在った。 | 1370m付近 | 1430m付近にはこの標柱が埋まる。 | ササが出てくると山頂も近い。この付近にも伐採木が見られる。 |
直下はやや深い。中途半端に雪が乗ると分けるのに重い事。 | C長畑山到着。最高所の様子。 | C東側に僅かに下るとこの標柱がある。 | C進んで行く北側の様子。ササは低い。 |
C見出し標が最高所に在る。 | 1540m付近。これらリボンが乱打状態で続く。 | D1547高点 | 1430m峰には下降点道標が立っていた。 |
1430mから北側。 | E1552高点。 | F1515高点。標柱が立つ。 | Fシナノゴールドで水分補給。 |
G1460高点を北から撮影。 | H近江山到着。 | H川島小学校の登頂記念の、寄せ書きされた標柱が並ぶ。 | H北側の展望は悪くない。 |
H北側から見る山頂。 | H三等三角点 | Hヤキソバパンの適季。凍る事のない強靭さ。 | 近江山の南側1430m肩から東に降りて行く。最初は黄色い紐が流されている。 |
1260m付近、途中から青い紐に変わる。尾根上に深く掘れた道形が続く。 | 1220m付近。幅3mくらい、深さ1mくらい掘れているだろうか。 | 麓側にはこのような看板が在った。林道側より撮影。 | I林道に降り立つ。 |
I出た場所から見上げる。CP番号「681」の場所。 | 宿ノ平に唯一暮らす一軒屋の工房。 | 神社。この樹林の中に大きな社が在る。 | 廃屋。見るも無残であるが、元々はかなり大ぶりな家だったよう。 |
J林道分岐に戻る。猟師の車が溜まっている。 |
終末寒波を言葉にするにはまだ早いような、そもそもこの時期にこれほどの寒波自体が稀なのだが、「雪」の週末となる予報。逃げるように関東南域の選択もあったが、台風一過のように、降雪後の好天を少し期待してしまう。あえて降る場所へ出向いてみよう。
中央アルプスが諏訪湖側に落ち込む尾根上にあり、その長畑山と近江山、そして穴倉山と3座同時に狙いたい場所であった。そう見ると、小横川を抱き込むように弧を描いており、自ずと小横川側から取りつくコース取りを考える。その中央に位置するのが宿ノ平地区。林道の様子が判らないので、グーグルで衛星画像を見ると、驚いたことに林道の奥まで撮影車が入っていた。それを見るとかなり状態のいい林道があることが分かった。天気が天気であり、下見になるかもしれないので、周辺の里山も少しプロットしておいた。
2:15家を出る。よく冷えておりマイナス2℃を表示していた。小淵沢を経由しようか和田峠にしようか迷いつつ佐久まで上がり、せっかく新品のスタッドレスなので、より雪深い経路をと和田峠を選んだ。長和町のセブンでヤキソバパンが空振られ、ホットコヒー飲みながらR142号を諏訪に向かって行く。それにしてもすごい降り様、今日は止めようかと後ろ向きになりそうなほどに強く降っていた。多くの車が有料道路の方へ進む中、旧道に折れてゆく。勾配とカーブに、すぐに車体が流れだし、すぐさま四駆に切り替える。もがくように峠に上がってゆくのだが、力餅の旧販売店付近から上は、本当にやっとやっと登っているように深かった。そして峠のトンネルの信号待ちの物寂しい事。潜って下諏訪町側に出ると、意外なほどに雪が少なかった。こちらは除雪してあったのだった。下諏訪に降りて岡谷でヤキソバパンをゲットして、高速に沿うように辰野駅に進み、小横川入口交差点から小横川沿いの林道に入ってゆく。
林道沿いはやや古めの民家が立ち並ぶ。気持ち雪がおさまっていたが、再び強く降り出す。場所を変えようか迷いつつも、ここまで入ったことを無駄にしたくなく下見はしておこうと奥に進む。ストリートビューで見た景色に雪が纏っている。右に工房が見える辺りからダートになり、この辺りが基点としようと思っていた宿ノ平。確かに平らな地形が多い。廃屋なども見られ、現存するのは工房が唯一のよう。この先にはます池があるようで、その看板が続いて見える。特にゲートはなく先に進むことができる。どこまで行けるのか可能な限り見ておこうと先に進む。
ます池の先が泥濘地形で、そこに雪があるのでタイヤをとられる。さらに勾配も増してきていやらしい林道であった。四駆にものを言わせて登ってゆくと、長畑山の取付き点としようと思っていた尾根末端まで入れてしまった。雪の上に轍を刻め、これならラッセルの省力ができる。そう思うと、登頂の可否は判らないが、ここで腰を据えて登ろうと決めた。少し進んでUターンし、さきほどのます池まで戻る。ここには広い駐車場があり適当だった。ただし唯一あるバリケードが物を申していた。少し下り、林道が分岐している場所に十分な余地がありここに停めた(5:40)。雪が降っていなければ月明かりのある夜。3座を思うとスタートを切りたかったが、マイナス4℃と示すインジケーターに、動きが渋り夜明けを待った。
6:24林道分岐点をスタート。ます池施設を右に見ながら自分の付けた轍に伝って行く。やはりラッセルの負荷がなくなりかなりスピーディーに進める。我ながらいい仕事をした感じ。そして立派な真鍮の銘版がつけられた二の樽橋を渡ると、10分ほど進んだ先が取付き点となる。ここは林道を横切るように小沢があり、そこだけ黒く雪が切れていた。尾根末端には薄く踏み跡が見られたが、もっといい場所はないかとさらに林道を詰めつつ右側斜面を見定めていた。しかし見えてこない。さきほどの尾根末端まで戻り林道を離れ取付く。
最初は雪の纏ったササの尾根で、分けつつ掴みながら進むような場所であった。10分ほど我慢すると植生が緩むが、道形がハッキリ見えてくるような場所ではなかった。それでも間伐された倒木は目に入ってくる。1260高点まで上がってしまえば、かなり快適と思える様相になった。下草がかなり少なくなり鹿の食害かとも思えたが、雪の下になり確認することはできない。この高点のわずか先で、にぎやかにリボンが巻かれた場所が出てくる。尾根の北側を巻き西に進んでゆくような道が続いていた。少し伝うも、すぐに見切り尾根に戻る。
少し急峻地形になり、植生も強くなる。そこに雪が乗っているので進路の視界を塞がれたような感じで登ってゆく。その途中、1430m付近には「五」と彫られた境界標柱も埋まっていた。回復傾向にあると思っていた天気は、雪雲が居座っているのか小雪が舞ったまま。温度計を見ると、マイナス7℃位までに下がっている。この標高でここまで冷えるとは・・・。これ以上の標高場所を選ばずに良かった。今季初の雪山で、極度に冷やされたのでは体が順応できない。グローブも凍って堅くなってきている。これだともっと分厚いのにスイッチしないと危ない感じもしていた。
尾根上にササが出てくる。幼少のササは雪の重みで押し込まれているが、深いところで30センチほどの積雪にも上層のササは強固に起きており、その重いササを分けつつ進むようになる。動かない場所は、足を高く上げて踏みつぶすようにしないとならなく、時間のかかる通過点だった。かんじきがあれば・・・とも思うが、無いものを思ってもしょうがない。それでももう山頂はわずか先、雪まみれになりながらもがいて登る。
長畑山山頂。最高点のわずか西側に下った場所に山名の入った標柱が建てられていた。それだけ見ると、登山対象の山のように思えるが、それらしい情報はまだない。あるのだが聞こえてこないだけかもしれないが・・・。主稜に上がると、それまでの経路の状態に対し、低いササの状態で、かなり歩き易い場所に見えた。暗い景色の中に赤い見出し標が目立つ。ジッとしていると寒く、すぐに北に進んでゆく。
薄く道形が確認できる。主稜上には道が在るのか・・・。杣道としてのものか、林業関係者か、ピンクのリボンがいやらしいほどに続く。1547高点を越えて、その北側にある1530m峰には、立派な道標が建っていた。そこには「長畑山」と「近江山」の表記もある。そして「大長谷林道」「横川湖畔」の表記もあり、どうも作道されたルートがあるように見えた。その立派さから、近江山側への尾根筋もこのまま歩き易い尾根なのかと期待してしまった。しかし最初こそいいが、1分もしないうちに雑木や野草がはびこる尾根となった。先ほどまでは腕を使わずに進めたのだが、ここからはそれらを分けながら進むような形となった。道標はあったものの、あの下降点から北側には公式な道は無いようであった。
1515高点には、林業関係の標柱が建っていた。水分補給をとシナノゴールドを齧る。ここで少し立ち止まったのがいけなかったのか、ここ以降で指先がジンジンとしてそれが治ろうとしなかった。温度計は相変わらずマイナス7℃と変わっていない。グローブした手を擦り合わせるも、気持ち暖かくなったような気がしたが結果として変化なし。急いで分厚いグローブにスイッチする。持っていてよかったとなるが、ここまで必要にならないだろうと思ってザックに入れたものが生きてきた。予想と想定と、それとは別に慎重を期することは大事なのだった。自分の身は自分でも守る。グローブを取り換えたら途端に暖かくなった。何年も歩いていてもこんな程度、自然には勝てるはずもなし。
1460高点は最高所が判らないまま通過してしまった。そして通過した先に、こんもりとした高みが見えてきた。地形図と照らし合わせると、まちがいない近江山の山容だった。緩やかに下ってゆき、登りに入り1430mの肩の場所まで上がると、東側に黄色いナイロンテープが長く流してあるのが見えてくる。〆山の場所でよく見るテープだが、そこにアカマツが見えるわけでもなし、なんだろうと思えるものだった。そうこうしていると、前方が開ける場所に到達する。川島小学校の記念登頂の杭もたくさん立っていた。
近江山到着。北側は谷を擁する地形の関係か展望がいい。三角点が雪に埋もれ、ちょこんと顔だけ覗かせている状態であった。小学生が毎年のように登る山とは知らなかった。藪山だとてっきり思っていたが、北西に降りてゆく尾根には間違いなく道形があるようだ。雪の下ではっきりとは分からないが、川島小学校の標柱がそう思わせた。ヤキソバパンを白湯で流し込みつつ地図を眺める。時計は10時、穴倉山まで3kmほどであるから、長畑山からここまでの距離と同様。悩んでいる時、一発の銃声が轟いた。近くで猟をしているよう。東側から聞こえてきたようだがハッキリと判らない。猟の邪魔をしたくはないし、被害に遭いたくもない。長く山中に居続ければ、それらのリスクは続く。天気も天気であり下ろう。そう決めた。
小横川川側へ下るには東側に太い尾根が二つ走っている。先ほど見ているナイロンテープが、1430m地点から東に降りているのを見ている。あそこを探ってみよう。南に戻り、その場所から東に降りてゆく。すると、尾根上には深く掘れた筋が、途切れることなく続き、まるでボブスレーのコースのようになっていた。間違いなく道形が在ったようであり、今は雑木が繁茂し自然に戻りつつあった。そこに続く黄色いビニールひもが、途中から鮮やかなブルーに変わった。雪が乗っている事をいいことに、かなり強引にグリセードして降りてゆく。1050mを過ぎたあたりか、道形は尾根を外れ南側に降りだすが、無視して尾根を行く。しかし尾根末端付近は広い地形になり、あやふやになったので道形を求め南に修正する。その途中、「入山禁止」の大きな表示があった。かなり威圧的な看板であり、これなら入山を憚るだろう。
沢の音が近くなると、上流(右側)から道形が降りてきていた。さらにもう一つ下段にももう一本あり、その方が濃いので下の道に伝って行く。そして林道に出た場所は、「681」とコンクリートポールに振られた場所であった。林道を南に登ってゆくと、次々に猟師の車が追い越してゆく。6台ほどが通過し、まだ山中にも居るであろうからこんなにたくさんの人で猟を・・・と思ってしまった。工房前を通過すると、番犬が吠えることなく静かにこちらを見下ろしていた。家主も出てきて、間違いない住人が居る事が判った。不審者に見えただろうか、少し背中に射るような視線を感じた。
この先に地形図にも記される神社が右手にある。やや山腹の高い位置にあり、その高低差が寄り道を拒んだ。大ぶりの社が林道からも見える。悩むくらいなら行けばいいのだが、結果として素通りしてしまった。次に見える廃屋の屋根の上には、13個もの蜂の巣箱が乗っていた。日当たりがよくいい場所だからなのか、置き場所がなく片づけにちょうどいい場所だったのか、なにせその並ぶ姿と多さに圧倒された。そして崩壊の進みように、「あばら家」と言う言葉がぴったりとあてはまる。ただし、造りは強固だったろう様子もあり、角度を違えると、大きな立派な建物であった。
対岸に林道が見えているので車を置いた分岐点ももうわずか。先にその上にあるます池の施設が見えてくる。近づくと、先ほど追い越して行った猟師の車が溜まっていた。私の車までもそれらに同化しており違和感がない。分岐点に到着すると、待ってましたとばかりに質問を受ける。「罠かい!?」、罠を仕掛ける人に見えるのだろうか、「いえ違います」と答えると、次に「釣りかい!?」と矢継ぎ早に・・・。小横川川では魚釣りも楽しめるようだと判った。「長畑から近江まで歩いて下ってきました」と答えると、「へぇ〜ご苦労だねぇ〜」と言葉を頂く。今度はこちらから質問をかける。「こんなところでどうしたんですか、山を歩いても獣は少なかったし、今日はダメだったでしょう」と感じたままを伝えた。「犬が居なくなって、今探しているところなんだよ」と言う。獣を探すより、身内の犬を探さねばならないとは・・・。たしか、近江山からの尾根末端付近に、大きな犬の足跡が上に向かっていた。それが逸れたのだろう。いつもここで猟をしているグループらしい。見るからにロートルな人がほとんどだった。攻めているような猟だが、年齢的には守りに入っているような方ばかりに見えた。20分ほど長話をしてザックを降ろした。