白神岳 1235m 蟶山 841.1m
2014.8.13(水)
くもり 単独 二股コースを登りマテ山コースで下る 行動時間:6H4M
@休憩所(駐車場)5:37〜39→(5M)→A記帳所登山口5:44→(27M)→B二股コース分岐6:11→(59M)→C二股7:10→(106M)→D白神岳8:56〜9:37→(56M)→E蟶山分岐10:33→(3M)→F蟶山10:36〜37→(1M)→G蟶山分岐帰り10:38→(40M)→H二股コース分岐帰り11:18→(23M)→I駐車場11:41
R101より日野林道へ入って行く。 | @駐車場を出発。駐車場は水が溜まり蚊が多かった。 | @立派な休憩舎。 | @休憩舎内部 |
A登山届け記帳小屋 | A登山道口 | 立派なブナが早速出迎える。 | コンクリート舗装されたような掘れた溝。 |
B二股コース分岐。 | 小さな沢を跨ぐ。 | 二つ、三つ、四つほど。 | 一の沢通過 |
階段を伝い、このまま高度を上げるかと思ったが・・・。 | 流れを跨ぎ | 一番の崩落地。30mくらいルートが抜け落ちている。二の沢? | 対岸へ渡る場所が不明瞭。 |
古いロープで降りて行く。 | 三の沢 | 美しすぎるブナ林 | ロープが張られた渡渉点。飛び石が滑る。 |
C最後の渡渉。飛び石の配置が微妙。 | C下流を振り返る。 | C残り1.8Km | 急登開始。 |
太いロープが流されている。山頂にヘリで上げて、降ろしながら設置したらしい。 | 残り0.9Km | 覆いかぶさるような道。 | 雨の後、朝方、雨具必須。 |
急登をロープに掴まりながら・・・。このルートの刈り払いは暫くしないとのこと。 | D白神岳三角点峰。最高点は小屋の方。 | D一等点 | D避難小屋 |
D小屋内部。 | 立派なトイレ | 祠があったり | 十二湖への分岐。このルートは刈り払い完了されたとのこと。 |
快適なブナの尾根。 | 荘厳な感じ。 | E蟶山下分岐点。道標類無し。 | F蟶山。展望のないピーク。 |
F蟶山の標識。 | F三等点 | G分岐に戻る。 | 新しい階段。 |
この日は、パトロールの方が2名入って、蟶山コースの枝払いと、もう一名が二股コースの崩落地等不明瞭箇所にマーキングを設置したよう。判り辛いので、後からロープを流すと言っていた。 | |||
H二股コース分岐に戻る。 | 記帳小屋の前まで戻る。 | 駐車場の様子。 |
志水哲也氏の本を読んでいたら、無性に白神岳に登りたくなった。氏が足繁く通っている様子から、魅力のある山域であることが伝ってきていた。本来は北アの2000m超の薮漕ぎ予定をしていたのだが、11号台風の到来以降でかなり不安定な予想天気となった。これでは無理、丁度いい青森に行こう。
そう決めたのが12日。急いで13日〜16日まで遊べそうな山をプロットしコースを把握する。どこを登るかは天気と体調とを天秤に掛ける事として、地図を5エリアほど準備した。降られるのは間違いなく、衣服もそうだが雨具も3式装備に入れる。ワクワクする東北への一人旅にいざ。
12日19:00家を出る。数キロ走って登山の衣服を車に乗せていないのを思いだし取りに戻る。物忘れが多くなっていることを気づき始めている(笑)。関越に乗って一路新潟を目指す。流れはお盆風味。北陸道に入り、その先の日本海東北道が無料区間で朝日まほろばまで開通したのでかなりの省力になった。ついこの間まで新潟空港ICで降り下道を走っていたのに・・・通ってみて驚かされた。あとは7号を北上するのみ。窓を開け磯の香りを嗅ぎながらのロングドライブ。信号が少ないので、本当に快適な道だと思える。
能代を過ぎ八峰町を最後に秋田から青森に入る。白神岳登山口駅を気にしながら進んで行くと、右側に登って行く林道入口に「白神岳」の文字を見る。迷う事無く林道を進んで行く。各分岐には標識が掲げられ迷う事無く広い駐車場に到着する。既に10台ほど停まっており、うち準備をしている方が4名(台)ほど居られた。停まった横には上州ナンバーの車がおり、持ち主もこちらが気になっていたようであった。
いつもなのか雨の後だからか、山手側のベンチのある周辺は薄く水が溜まっていた。その為なのか蚊がやたらと多い。ヌチャヌチャした足元の中、すぐに準備をする。曇り空に目指す先はガスに覆われて居るよう。上で晴れてくれれば良いが、ガスに覆われる湿気の多い白神も嫌いではない。ビジターセンター風の休憩舎に上がって行く。早くに着いた場合は、この中で仮眠でも良かったようだ。行き届いた施設であった。その脇から矢印に従い上がって行く。
すぐに林道に乗り、伝った先に新たな登山口らしき場所が出てくる。登山届けの記帳小屋が在り、先に出発した上州の方が書いて出てきたところであった。そこから始まる山道に入って行くと、すぐに立派なブナが出迎えてくれる。左から巻き上げるように登って行く。その先、白く舗装されたような路面となる。たしか松島の大高森のルートがこのようだったと思い出す。舗装と書いたが自然石の白さであった。
スタートから30分ほどで二股の分岐箇所に達する。迷ったら辛そうな方へ行く。迷ってもないが二股コースへ入って行く。直登コースと聞いていたので、いきなり急登が在るのかと思ったら、長い水平動が最初に待っていた。水平道と言っても、地形に添った起伏の在る道なのだが、あまり利用されていない様子は伺えた。廃道になった道を、世界遺産登録を契機に復活(整備)させたとも聞いている。細かい沢をいくつも跨いで進むが、その各所で対岸側のルートが見えづらくなっていた。
一の沢は標柱が建っていたのでそれと判った。ここを過ぎると階段が現れ、さあここから登るのかと思ったら、その先は杉林でハッキリとしない踏み跡を探すようにしてマーキングに導かれ先の登山道に繋げて行く。ここを抜けると、その先が大きく崩落している。30m程は落ちてしまっているだろうか、ルートが完全に寸断されていた。ルートのある高さをよくよく頭に入れて沢へと降りて行く。それが最良の方法だった。沢の右岸を辿るように遡上して行くが、かなりの倒木帯になり進むのが困難になった。“こんなルートなのか・・・”少しリセットしようと沢を戻って行くと、左岸側にルートが見えた。“徒渉だったのか・・・”少し前は全く判らなかった。
水を得た魚、道を得たハイカーは意気揚々と登って行く。がしかし、すぐに下降し出す。木の階段が施され、流されたロープは苔むしていた。この降りた場所が三の沢で、一の沢同様に標柱が立っていた。となると一つ前の沢が二の沢となる。周囲を見るとブナがひじょうに美しい。この緑が見られただけでも価があると思えた。進路に対岸へロープの張られた徒渉点が現れる。少し水量があるせいか足場が心許ない通過点。なんとか濡れずに左岸へ行く。少し遡上すると、そこが二股で、最後の徒渉点があった。ここは最後の一歩の石が場所が悪く、ロープに振られながらバランスを取りながら渡っていった。
指導標には「残り1.8Km」とある。ここからが急登のようだ。言われるだけあって確かに急登。それでもブナにガスが絡みついた景色が私には心地よかった。自然らしい景色と言おうか。白神らしいと思えた。ここに熊でも出てくれれば良いのだが、逢いたがっている人の前には出てこないのも熊である。急登には長い距離ロープが流してある。それも太いもの。持ち上げて設置するのも大変だったろう。
残り0.9Kmの指導標を過ぎると、道を周囲の草木が覆い出す。スパッツも雨具も着けずに来ており、もう僅かと楽をしたら、しっかりとずぶ濡れになった。晴れていても0.9Kmの標柱を見たら雨具を着た方が良い。分けて進み、潜って進み、ロープを引きながら身体を上げて行く。と、上から30代くらいの男性が降りてきた。ルートが荒れていることを伝え背を向ける。上の方が少し明るくなったりするが、ガスが取れるほどには回復しなかった。
白神山登頂。本来の最高点は小屋側の場所だが、三角点のあるここが多くの人の最終目的地。一人の男性がおり、神奈川から来た人だったのだが、田舎は上州の我が居住区の人であった。世間は狭く話してみるもの。北海道から300名山をやりながら南下しているそうだが、今年の北海道は天気が悪く、予定を切り上げて本土側に渡ってきたようであった。天気の回復をかなり待ち、山頂からの景色を楽しもうと思ったが、願いは叶わなかった。そうこうしていると、名古屋からの若者が上がって来る。彼とは下山後に温泉で一緒になるのだった。
三角点方から僅かに下り、小屋側へ登りあげて行く。小さな古風な小屋で収容人数は少ないようだが、これはこれで趣があった。ここで冬期一人で志水さんが過ごした記述を読んでいる。それが判っているからこその現地での嬉しさがあった。“この中で寒さに耐えて・・・”か、流石であり素晴らしい。小屋から出ると、その先でマテ山コースで上がってきた上州の方とすれ違う。
マテ山コースに向かうと、また小屋かと思うほどのトイレもあった。下って行くとすぐに十二湖へのルートが分岐している。そこから下はブナ林の中の快適な登山道。登ってくる人もチラホラある。途中、腕章を着けた方と行き会う。気さくな方で情報をたくさん下さった。二股コースは切り開きの申請を県にしているのだが、なしのつぶてだとか。一方で十二湖側のルートは刈り払いが終わったとのこと。もう一人が二股コースの整備に入って居ること。二股コースのロープはヘリで上げて上から下ろしつつ設置した事。立話をしていると、先ほどの名古屋の男性の急行が降りて行く。速い。膝が強い。頼もしい後ろ姿を見送った。
パトロールの方は鉈を振るいながら登って来たようで、その痕が左右に残っていた。蟶山への分岐に到着する。と言っても現地には蟶山を示す道標が無く無言の枝道が分かれているだけであった。気にしない人は通過の場所。直登するルートかと思ったら、九十九折りをする緩やかなルートが切られ、日の入らない暗い山頂に到着する。
蟶山。暗いわりには標識が明るく、それがために登頂感がある場所であった。円錐形の頂点の感じがするのもここの良いところ。その中央に三等点が眠っている。白神岳を陽とするながら、こちらは陰な感じか、ほとんどの人が下を通過して登らないのだろう。ここから下に行くルートもあるようだが、ギャンブルはせず往路を戻る。
分岐まで戻り本道を降りて行く。水場では冷たい流れがあり、これらがブナの地中を通ってきたと思うと、より美味しく感じるから不思議であった。もう僅かと降りて行くと、鉈を二丁持った方が登って来た。「先ほどの岩井さん(パトロールの方)と一緒の方ですか」と訪ねると「そうです」と返ってきた。二股の整備に入ったが、あまりの荒れように、マーキングのみをして戻ってきたようだった。後から不明瞭箇所にはロープを流して導くとの事であった。あと、降りていった若者は無事に通過して行ったとのことだった。不思議なのは、この日まで何も施されなかったのか、崩れたのは最近では無いようにも思うが、通過して行った台風や低気圧の爪痕と言う事か・・・。
御仁と分かれたすぐ先が二股コースの分岐であった。ここまで戻ればほとんど降りたも同然で、緩やかな道に足を這わせて降りて行く。濡れた全身もだいぶ乾いてきたが、この先の距離では完全に乾くほどにはならない。面倒くさがらず雨具を着れば良かったか・・・。
登山届けの記帳ブースのある場所まで戻る。少しづつ明るくなって来ていた。今頃山頂ではガスの上で晴れていたり・・・。そう思わないことにした(笑)。休憩舎に到着し、設備されている靴洗い場でしっかりと汚れを落とす。駐車場の車は半分くらいに減っていた。いい山だった。景色があればもっと・・・とも思わないことにする(笑)。
この後、不老不死温泉に行く。抱き合わせの湯としては最高の温泉地であった。