塒塚 1600m 白塚 1400m 檜塚 1390m
2014.7.5(土)
雨 単独 富士山スカイライン側より 行動時間:6H43M
@林道ゲート5:20→(69M)→A富士山(大宮)林道起点分岐6:29→(26M)→B白塚林道分岐6:55→(46M)→C大沢7:41→(47M)→D塒塚8:28〜33→(30M)→E大沢帰り9:03→(49M)→F白塚林道分岐帰り9:52→(31M)→G白塚10:23〜24→(41M)→H檜塚11:05〜06→(39M)→I富士山(大宮)林道を跨ぐ11:45→(18M)→Jゲートに戻る12:03
@ゲート前は広いものの駐車位置は限られる。写っていない右側より二輪の進入している跡があった。 | 「スラッシュ雪崩 注意」あちこちに立っていた。 | 最初の分岐。地形図どおり | ここが間違えた分岐。CPナンバーは「078」の所。地形図の実線と同じ角度で折れており勘違いしてしまった。実際は破線のルート。 |
檜塚の南西まで進んでしまい林道を離れ北に進路を変える。 | 林道にやっと乗る。 | A現れた分岐点 | A伝って来た林道は「富士山(大宮)林道」だった。 |
Aここには、大沢とキャンプ場を示す道標が立っている。 | それにしても気持ちいい場所が続く。 | B白塚林道の分岐。本来はゲートからの道を伝ってここに来る訳であった。かなりアルバイトをしてしまった。 | B薄れた道標。判読不納。 |
大沢手前の分岐。左側へはテープで封鎖されている。 | C大沢の監視(電気)施設 | C大沢へはこちらも進入禁止となっている。 | C大沢に入って行く。写真中央に監視装置が見える。 |
C何気なしに撮影したが、下流のこの方向に林道が続いていた。往路は全く判らなかった。晴れていても絶対に見えない続き方。 | 右岸側の二つ目の沢を跨ぐ。 | 三つ目の沢。 | 昔の林業作業の名残が見える。伐採された大木が時折見られる。 |
塒塚への最後の登り。上の方の金色は笹枯れ。 | 雨粒が見えるだろうか。 | D塒塚山頂。笹枯れで閉鎖感がない。 | EMLQの赤い絶縁。かなり剥げてきていた。 |
D北側の様子。 | D西側の様子。 | 塒塚から南西に下り林道に降り立つ。立派な林道。林道の周囲は密藪。 | これは鹿の骨でいいだろう。林道中央に落ちていた。 |
手のかかった工事がされた様子が伺える。 | E大沢に戻った場所。こんな感じで林道からは左岸側は見えない。よって左岸から右岸の道の場所は見えてこない。知っていないと繋げる事は難しい。 | E一つ上流の堰堤が往路の場所。右岸を登って行く。 | E上の堰堤は、ピンポイントで這い上がる場所がある。鹿道が出来ている。 |
E大沢の監視施設にあるCPの番号は294。 | F白塚林道分岐に戻る。左に上がって行く。 | 緑の多い快適な林道。 | もうすぐ白塚。 |
G白塚山頂。 | G白塚のMLQの絶縁。こちらも剥げてきている。 | 白塚から林道に戻り、檜塚に向かうのに林道を離れた場所。 | H檜塚山頂。 |
H檜塚MLQ。赤い絶縁が黄色い絶縁に・・・。 | H西側の様子。しっとりとした景色でいいものの、視界は・・・。 | 植樹帯の途中でタヌキと出合う。全く逃げないタヌキに足を停める。 | 下りだして最初に横切る林道。少し南にズレる。 |
炭焼きの釜跡なども見られた。 | I富士山(大宮)林道を跨ぐ。北に少しズレ、青沢を下る。 | 青沢の右岸を伝って降りて行くと作業道に出合い、乗って降りて行く。 | この道も快適。途中に溶岩で出来た岩屋も見られる。 |
往路の林道に出る。カーブミラーが在る場所。 | Jゲートに戻る。駐車の様子。 |
どこへ向かって行っても降られる日、マイカー規制が始まる前にと富士山に行くことにした。と言っても山頂を目指すわけではなく、寄生火山の落ち穂拾い。そろそろ落ち穂にも終わりが見えてきたが、あと数回は通えるほどには残って居る。
各寄生火山の記録は、SK氏のサイト「激藪の隙間より」に勝るものは無く、マイナーな場所に対しても克明に記録されている。そのいくつかをつまみ食いならぬツマミ読みをして、降られても快適そうな塒塚の記録のトレースをする事にした。パイオニア的な行動をしてくれた氏のレールに乗ればルンルンで行けるはず。でも100%情報を貰って行ったのではなにか不甲斐ない。参考写真とルート軌跡のみ参照させて貰い、作文は端折った。それにはだいたいの場所が判れば問題ないだろうと楽に考えて居たから。
1:15出立。須玉経由で甲府に入り、R358で精進湖まで南下し、R139にて朝霧高原を通過して行く。電光掲示板には富士山スカイラインのマイカー規制の注意書きが見られる。既にカウントダウンで週明けの10日からだった。それにしてはスカイラインに入ると車通りが多い。トラッカーが多く御殿場側と結ぶ抜け道となっているようであった。
麓側のヘヤピンカーブ最後のカーブの場所が、今回の入山口。強固な門扉が設置され、その格子の奧に林道が延びていた。既に雨、急いで雨具を着込んでゲートの脇を抜けて行く。その前に、たぶん内緒なんだろうが、ゲートの東側に大岩と大岩の間から自転車とバイクが入れる場所があった。明瞭な踏み跡があるのだが、間違いない持ち込みがあるようであった。そして持ち込めばとても楽しい場所で間違いない。
ゲートから歩き出す。進んでゆくと「スラッシュ雪崩注意」と書いた看板が見える。登山者に向けた案内なのか。それも冬期。この雪崩のことは、今話題の吉村昭さんの作品で勉強させて貰っている。あのような雪崩が沢を伝ってくるのかと現地を見つつ通過して行く。林道にはCPが建ち並び、先の方へ送電しているのが見える。先に何の施設があるのか・・・気になっていた。
最初の分岐が現れる。ここは地形図に見られるハッキリとそこと判る場所であった。「次は鋭角に東に曲がる場所」、この事ばかりを気にしていた。そこにCPナンバー78番の鉄塔が在る分岐点が現れた。カーブミラーもあり、曲がり方も地形図のそれと同じ。違うのはさらに先(北)にまだ道が伸びていること。先に続く新しい道が出来たのか・・・と解釈しそこを曲がって行く。しかし行けども行けども北に方向が変わらず、南に進むばかり。この日は山旅倶楽部の色つき地図で、詳細部がカラー色にてよく判らなくなっていた。地形図に見える、1136高点の北側を通過している林道に入っているとは気がつかなかった。そして嫌な事に車の音がし出した。“やばい富士山スカイラインに近付いている・・・” 深沢(現地に表示)を跨いだ時点で気づけば良かったが、地図には沢名は入っていないので気がつかなかった。
だいぶ南進してから、適当な場所で林道を離れて北進に変える。山腹には沢山の作業道が残って居た。木を切り出すとき使ったのか、コロのように丸太が等間隔に並べられている場所も見える。上に行けば林道があるのは間違いなく、少し焦りつつ登って行く。最初からこれでは先が思いやられる。思えばここ最近間違えばかり続いている、気の緩みだろうか。ハッキリと判るのは下準備の悪さ。現地で判断すれば言いと、詳細まで把握していない事。まあそれが面白さになっているのですが・・・。
1151高点近くで林道に乗る。30分ほどの大きなロスタイム。素直に林道を真っ直ぐ進んでいたら、今頃どこに居ただろう・・・。再び深沢を跨ぎ、その先2分ほどで分岐が現れる。ここには「大沢」「キャンプ場」へと書かれたの道標が立っていた。大沢はこれから向かう場所だが、キャンプ場はどこを指しているのか判らなかった。そしてここには「富士山(大宮)林道」が示され、今ほど伝ってきた道がそれだった。どうやら白塚の西南西にある分岐点のようで、道標に従い右上にあがって行く道に入って行く。
沢をいくつも跨ぐ。沢=溶岩の通過した場所で、けっこう奇形な見栄えのする場所も多い。鞍骨沢、アカイケ沢と通過すると、やっと白塚林道との分岐点までやってきた。SK氏が70分、私は95分も要してしまった。30分のロス分がそのまま上乗せされている感じ。と言って焦っているわけではなく、この雨の中の林道が心地よくてしょうがない。ガスが垂れ込めた状態で遠望は利かないが、フィトンチッドなどを強く感じられる場所が続く。今日ここを選んで良かったと思えた。
「緑の回廊」と書かれた標識がある。どうなのだろうか、ここは人が入るよう促している場所なのか、それとも既に過去の場所なのか。分岐が現れ、左の道は黄色いテープで塞がれていた。自ずと右を選ぶと、その先には大沢の監視(電気)施設が見えてきた。送電はこの為であったよう。そしてここにも先ほどと同じ黄色いテープが横切り、「進入禁止」とあった。それを潜って大沢の中に入って行く。視界は70mくらい。対岸に在るであろう道形は全く判らなかった。大沢の中を横切り右岸に行く。どこにあるのか少し上流下流と動いてみたが、見えてこなかった。諦め30mほど上流に登ってから、適当に北進を始める。
小沢を4つほど跨いで行く。笹枯れの後でそう負担にならない植生。少しだけ漕ぐような場所もあったが、僅かの距離のみで、あとは快適な斜面を伝って進む。目の前の勾配が強くなると、そろそろ塒塚の斜面に入ったのが判る。上の方に金色に見えるのが笹枯れの色。大木を伝った雨が、まるで蛇口が上に在るかのように流れ落ちている場所もあった。これも雨が降っていなければ見られなかった面白い自然の風景。
塒塚登頂。MLQの赤い絶縁が待っていた。山頂も笹枯れでこんもりとした広い場所で意外と居心地がいい。展望はないが広さ故の快適さと言おうか。なにか富士山エリアの場所ではないような、そんな雰囲気もあった。往路は大沢以北の林道が判らなかった。復路は確かめつつ戻りたい。南南西に進路を決めて降りて行く。
上の方は笹枯れ、その中の鹿道を選ぶようにして分けて行く。無毛の場所が出てくるが、畑のような柔らない地面で非常に滑る場所もあった。その次に密薮があり、これ出てくると林道は近い。我慢して分けてゆくと、立派すぎる林道が出迎えてくれた。こんなにいい林道なら、伝えば早かった・・・。全く荒れていない。この時季にして雑草もなく状態がいい。富士の土質からだろうとは思う。
林道を大沢に向け戻ってゆくと、背骨まで着いた髑髏が落ちていた。歯の様子から鹿だろうとは思えた。谷の場所では立派な工事の痕も見える。ここまでして廃道状態では勿体ない。国内にはこんな場所が無数にあるのだろう。作っては壊れ、そのうち使われなくなり・・・。利権や色々が絡み合っているのが林道工事だと思って居る。倒木の場所はマーキングがされ迂回路が切られていた。こんな場所に・・・何を目的に・・・。迂回路の踏み跡も、この場所にしてハッキリしていた。
大沢に出た場所は、往路の一つ下の堰堤前であった。そのまま真っ直ぐ進めば、往路で見たテープで塞がれた分岐の所に出るのだろう。しかしここで横切るには沢の中が起伏が大きく、一つ上の堰堤まで行って横切った方が安全だった。護岸工事された右岸の上を伝って行く。そしてピンポイントで登れる場所があり、鹿の足跡を追って堰堤の上にあがり左岸へ渡って行く。再び林道に乗り戻って行く。雨は途切れることなく降り続いていた。ここまで来て富士山の姿が全く見えないもどかしさ。
白塚林道への分岐点まで戻り、登って行く道に左(東)へ入って行く。こちらも快適な林道で緑が濃い。こんな場所をマウンテンバイクで駆けたら爽快だろうと思えた。広く整地した場所が現れると、その先から視界のほとんどが緑色に覆われるような場所で、宮崎映画の中に居るかのような自然美があった。そろそろかと思って進行方向右側を注意していると、こんもりとした地形が現れてくる。間違いない。林道を離れ登って行く。ひとつ登るとその先でいったん下がり、次の高みの上が白塚だった。
白塚の上にもMLQの赤い絶縁が残って居た。塒塚同様に既に剥げかけている。しばらくは落ちないだろうが、いずれ剥げ落ちてしまうだろう。防ぎようがなく落ちるも自然。林道へは北東に進んで行く。コンパスが無かったら、方角が全くわからないほどに視界が狭められていた。起伏地形、同じような植生。林道が見えたらホッとするほどであった。
さあ次は本日最後の檜塚。林道終点の延長線上にある山として地図で見えていたが、付近になると林道は先に伸び、進路右側にこんもりと高い場所が在るようであり、終点まで行かずして林道を離れた。やや細長い高みを経て僅かに下り、次に登りあげるとそれらしい場所に到達する。しかし赤い絶縁がない。ここまでに二つ見てきてここだけに無い事は考え辛い。とするとここは山頂では無いのか。もう一度地形図を見る。どうも本来の山頂の北西にあるピークに来ているようであった。一度北に戻り地形を確認し間違いないことを把握する。そして少しトラバースするようにして南西に進む。すると先の方にこんもりとした高みが出てきた。間違いない。
檜塚の山頂は下草がほとんど無くなった状態になっていた。MLQの登った7年前に対し、ここまでに変化しているようだ。そして笹が一度枯れると、芽吹きはしばらく無いと言うことも判る。ここの赤い絶縁は、日差しが入るのか赤が抜け黄色く変色してきていた。これで予定の3座終了。あとはゲートに戻るだけ。ここからもMLQの採ったコースに方向を決める。
最初は植林帯がある。柔らかいフカフカの斜面に踵を入れながら降りて行く。その途中、タヌキがすぐ傍にやってきた。10mほどの場所で逃げようともしない。とうとうタヌキに化かされる日がやってきたか、この視界になにか迷っているような気分が続いていた。そしてタヌキ・・・。全く逃げないタヌキに、まるでNHKの動物番組を見ているかのように行動を見入っていた。この樹林の先は、溶岩の流れなのだろう起伏があり、下り一辺倒ではなくなる。登ったり下ったり、ここでもコンパスをしっかり見ていないと明後日の方角に進んでしまいそうであった。
林道に出る。ここが実線で書かれている林道だろう。少し南にズレてから降りやすそうな場所を選んで高度を下げてゆく。少し下ると炭焼きの窯などの残骸が見える場所もある。その昔はここでも炭焼きがされていたよう。そして再び林道に出る。これが間違いなく富士山(大宮)林道となろう。少し北側にズレて青沢の標柱が見えたら、その青沢の右岸に添って降りて行く。すると、下の方で作業道に出合う。この道もとてもしっかりとした道で歩き易い。わりと直線的に切られているので見通しが良い林道が多い。直線性=快適さとも言える。今日は雨のおかげで喉が渇かない。出発してから一度も給水していない。いいようで、本当は体には悪いのだろう。昔は水は飲むなと教えられてスポーツをしてきた。たぶん、そのせいだとは思う。
往路の林道に合流し、僅かにダートを進むと舗装路に乗りマイカーの待つゲートに到着した。
今日もいい感じに歩く事が出来た。行き交う車の視線を浴びながら、ずぶ濡れの雨具を脱ぐ。脱いだときの開放される感じもけっこう好きだったりする。
振り返る。地図に載らない林道や杣道、作業道などが入り乱れている。それがために山麓は迷いやすい場所に思えた。道があるからどこかに繋がっているだろうなどと思うと、明後日の方向に連れて行かれたりするだろう。当然現地に道標などはない。その意味では、林道入口にゲートがされている事が理解できる。これからの夏の時季、富士山の登山道もいいが林道を伝う木陰の森林浴もお勧め。