牛籠山 1480.5m
2014.8.30(土)
くもり 単独 牛牧マレットゴルフ場より山頂を踏んで南大島川へ降りる 行動時間:4H34M
@牛牧マレットゴルフ場6:45→(44M)→A1009三角点峰7:29→(72M)→B1280m屈曲点(切り拓きに出る)8:41→(35M)→C牛籠山9:16〜21→(20M
)→D1280帰り9:41→(23M)→E林道に降り立つ10:04→(47M)→F林道入口分岐(山の神)10:51〜55→(24M)→G牛牧マレットゴルフ場11:19
@牛牧マレットゴルフ場の駐車からスタート。ここは水道もトイレもあり便利。 | @駐車場から見る山手。中央にお墓も見える。山手側全体に高圧線を通したフェンスがある。 | マレットゴルフ場から道を山手側に行くとこのフェンスがある。手で開けられる。道は先に続くか、フェンスに沿って南に進むのが正解。判り辛い。 | 道に乗ってしまえば、最初はこんな明瞭な状態が続く。 |
山腹に入り、九十九を切りながら登る道。 | この山全体で、いろんなキノコが沢山生えていた。 | 途中、明瞭な道形が左から合流した。 | 合流した場所の麓側の絵。 |
こんな看板が現れ驚く。似つかわしくない綺麗な分岐道標。蟻塚と書かれた方に進むが、その「蟻塚」は何処なのかが不明。 | 途中に在った山の神。 | 二つ目の道標。三角点峰までが記されている詳しさ。 | A1009.0m三角点峰。展望なし。 |
A四等点が眠る。一見、みつけづらい。 | 1009峰の北側にも指示標がある。「隠れ山」と言う魅惑的な山があるようだが、場所が判らない。この標識を最後に道標らしき物は無くなる。 | 茸山であり、道がしっかりしているのだろう。1号口。 | 1の次が6となる変則的な配置。 |
6の次が2。この先で再び6が現れる。 | ムラサキシメジ・・・なのかと思ってみていたが、無知なので色を楽しむのみ。 | 2回目の6号口の表示の場所で分岐となる。右側の道を選ぶとトラバース道となった。左側の道が正解だったのか・・・。右の道は途中で有耶無耶になり斜面を駆け上がり尾根上に乗った。 | 尾根の乗ると、赤ペンキで矢印がされている場所があった。ハッキリとした道形は無く、どうもルートを外しているようにも思っていた。 |
ササの中に道形があるが、ここまで覆っている。 | 細かい九十九折があり、かなり植生が濃い。雨具無しでは辛い通過点。雨の後ではびしょ濡れ。 | 二つ目の山の神があった。 | B1280mの屈曲点で南からの切り拓きに出合う。これには驚いた。雲泥の差。 |
登路の様子。 | ただし、切り口が60mmほど残り、歩き辛い。 | 飯田市と高森町の市郡界稜線に上がると、ここにも切り拓きがされていた。 | 分岐点の表示。 |
C牛籠山山頂。気にしていないとただの通過点。 | C三等点が眠る。 | Cヤキソバパンを掲げ。 | C北から見る南の様子。 |
分岐の帰り、南側へも切り拓きは降りて行っていた。沢の方から、林道から拓いたのかも。 | D1280m帰り。 | 切り拓きに伝ってみるが、1280mポイントから僅かに進んだところで残念ながら途切れていた。こちらから拓いたのでは無いよう。 | 切り拓きが終わった後に続く踏み跡の様子。かなり不明瞭で細い。 |
尾根が痩せるとルートが判りやすい。 | 途中で南に降りていたルートが南西に変わる。かなり不明瞭で藪勘が必用。屈曲点付近が暗い場所で植生がやや濃い。道形は写真の右に見えるほどに薄い。 | D林道に降り立つ。 | 林道自体の草刈もされていたのには驚いた。人の手が入っている林道で、よく管理されているよう。 |
「林道 弓矢沢線」と言う名前のよう。 | 途中に「山の神公園」がある。かなり寂れている感じ。 | リンゴ畑が見えてくると車道も近い。 | E舗装路に出る。 |
E伝って来た林道を麓側から見る。ゲートがあるかと思ったが、無い。車で奥の方まで入って行けるよう。林道から切り開きが在るならば、こちらからのアプローチが近いだろう。 | E分岐の場所にある行政の道標。 | E分岐の場所にある山の神。無事を挨拶して・・・。 | 車道に出て北東側へ戻って行く。概ね登り勾配。 |
F牛牧マレットゴルフ場に戻る。駐車スペース10台以上。 |
少し以前は、南、中央、北と、順番に未踏座を狙うことが出来た。しかし最近は、それを上手く回せるほどに選べなくなってしまっている。特に中央アルプスにはそれが顕著で間違いなく足が遠退いている。主稜は歩き終え、前衛峰の未踏座も残り少なくなっていた。そんな時、気がつかなかった未踏座が見つかった。牛籠山。地形図に載っていないと基本見つからないのだが、山名事典の中にこの山を見つける。「こんな場所に隠れてたよ」これが素直なところ。見つけたあとは至極登りたくなる。夏の暑い時期に見つけ、標高がそう高くない場所であり少し涼しくなるのを待っていた。
前夜、本が面白くて読みふけっていたら出発が遅くなってしまった。2時半、家を出る。久しぶりに八ヶ岳の南面道路を巻き込み小淵沢に出て、杖突峠にて高遠に降りる。“今日は仮眠の時間が無いか・・・”夜が白み始め、現地入りした頃にはしっかり朝になっていた。経路4時間とちょっと、高速を利用すれば1時間ほど短縮できるのだが・・・。
地形図を見ながら、現地と見比べつつ破線の入口を探す。付近では、害獣駆除なのだろうオレンジ色のジャケットを羽織ったハンターがあちこちに見えた。猟期外であり作業としては嬉しいだろうが、何せ高齢者が目立つ。これが日本の現状。よほど害獣が多いのか、それよりリンゴという果樹の産地だからだろう、山手側はびっしりとフェンスが張り巡らされていた。時折扉を設けてあるが、よく目を凝らすと高圧電線が張られている。御大の館(温泉)の方まで行っても同じで、ネズミ一匹、いやそこまで細かくはないが猫一匹通せないようなしっかりとしたフェンスが続いていた。門扉の場所には、そこから奧に山道がある場所もあり、扉さえ開けられれば問題は無いようだ。ただし高圧電線の影響が・・・。
何処かに隙は無いかと、舐めるように見ながらマレットゴルフ場のところまで戻って行く。そこに犬の散歩をして居る方がおり、入山できるのか訪ねる。しかし判らないと返答。「それなら彼処によく知った人が居るから聞いてみて」と、ブルーベリー畑の中に居るオジサンを指さした。その方は、話しぶりから山中に精通している方のようで、「途中まで道はしっかりしてるよ」と教えてくれた。もしかしたらこの山を持って居る人なのかもしれないと思えた。目指す山を告げると、初めて聞いたらしく、何度も口にして覚えていた。そして「フェンスがありますが、中に入って良いですか?」と訪ねると、「良いよ、手で開くから大丈夫だよ」とまで言って背中を押してくれた。現地の人を味方につけた感じで心強いこと限りなし。
牛牧マレットゴルフ場に車を入れる。ここはゴルフ場自体は管理されず自然に戻りつつあるが、駐車場は十分使える。スペースとして15台ほど停められるか、トイレもあり水道もあり、出発や下山後に便利。ササッと準備をして山側へ登って行く。
「区民以外 立ち入りを禁ず」と書かれた区長の看板が堂々たる抑止力になっている。普通の感覚ならこれにより怯む。先に書いてしまうが、ここから先は止山であるための看板でもあり、その止山としての入山禁止期間は9月1日から11月で、危ない所だった。フェンスを恐る恐る触ってみる。通電の確認は草の葉を持って近付けてみると容易い。ゆっくりと近づけると電気が伝わってくる。門扉は3点のロック箇所がありしっかりとした物であった。中に入るとその先に道形は続く。しかし向かう方向が北北西を向いておりやや違うように思えた。ダメモトで、フェンスに沿って西側に伝って行ってみる。フェンスの際には、この場所に似つかわしくないハッキリとした踏み跡が続いていた。だんだんとそのハッキリさが強くなり、大きな岩が見えた場所から北に登りだした。ダメモトで選んだ道が正解だった。これは判らない。知っている人でないと伝えないだろう。麓側に表示類は一切無い。
そのハッキリとした道形に、地形図の破線の上に居る事を確信した。九十九折のある場所が在ったり、昔の峠道の雰囲気が強くし、かなり歩かれているのが判る。区分けとしては、登山道ではない峠道、少し登山道とは雰囲気が違う道だった。麓でオジサンが言っていた事が実証される。確かに明瞭な道で間違いない。付近にはかなりの数のキノコが見える。時季的に出やすいのだろうが、雨の後であり尚更なのだろう。ややの急登が終え、ひと段落した樹林帯の中で、左からの掘れた道が合流した場所が在った。フェンスの途中の、何処かの門扉からの道なのだろう。しかし合流をハッキリ確認できたのはここのみで、他は判らなかった。
勾配が緩んだ道を先に進むと、意外なものが現れた。分岐道標だった。それも立派なつくり。「蟻塚」「浅間様」「マレットゴルフ場」、マレットは判るが他の二つが不明。推理するに浅間様はなにかお堂でもあるのか。そう言えば大島川に沿う集落に神社のマークが見える。これか。となると選択肢は蟻塚しか残っていない。左の道を選んでゆく。途中、右手のアママツの根元に山の神が安置されていた。自然石に彫られたもので、古の雰囲気が強いものだった。蟻塚はどこを指しているのか・・・そんな事を思いつつ立派な道を伝って行く。
二つ目の道標が現れた。今度は1009.0高点にある三角点を示した表示があった。何でこんな所まで・・・不思議でならなかった。最終的に何処を目的にこれらが設置してあるのか、こんなマイナーな場所にここまで施してあるのが判らなかった。道標には三角点側は実線でなく破線で書いてある。その通りに特にハッキリとした道が無い斜面を登って三角点峰に着く。やや見つけ辛い感じに四等点が埋まっていた。
分岐に戻らず、そのまま北に藪を降りて行く。すると今度は「隠れ山」と書かれた分岐道標が掲げられていた。しかし分岐表示になっているものの、そのような分かれ道が判らないまま本道を伝って行く。この場所で、これまでに3つ続いた分岐道標は見られなくなった。その代りに止山として茸山としての表示が現れる。入札で場所が決められるのかエリア分けされており、その入口が山道の途中にある。まず1号口、次に2号口でなくなぜか6号口だった。その次が2号口で、最後に再び6号口が現れ、これで茸山としてのこれらの表示は最後になった。この最後の場所で左に上がる道と右にトラバースして行くような道と分かれる。右の方が本道に見えて右に入って行く。
暫く伝うと、尾根を乗越すところで道は無くなるように見えるが、さらに先に同じ高度で続いていた。しかしその先は自然に吸収され判らなくなった。地形図を見ると破線は頂稜を伝っているので、ここは間違いなのだろうと、適当に斜面を駆け上がって行く。頂部まで上がるまでにも、もう一本横に走っているトラバース道が在った。無視して尾根に乗ってゆく。しかし尾根上にはこれまで在ったような明瞭な道は無かった。よく見ると赤ペンキで矢印が書かれている場所もある。まあいいかと少し藪化した中を行く。それがどんどん藪化し、そんな中、右からの道形が合流した。と言うことは先ほど跨いだ道形が正解だったのか・・・。合流したと言っても、かなりモシャモシャした中を伝う。前日の雨を溜めた笹はおかげさまで全身をずぶ濡れにしてくれていた。
少し植生が緩むと、道形の右側にこんもりと高い場所がある。大岩もあり、その頂部にここにも山の神が安置されていた。麓にあるのをよく体験するが、ここまでいくつもある場所は珍しい。天気が良ければ展望を楽しめるような樹林の窓が開いた場所であった。この先も笹が続くが潜るような場所は無く、軽く漕ぎながら進んで行く。山頂まで立派な道形が続くのかと期待したが、伝えたのは上側の6号口までで、それ以降は藪化していると言っていい。楽に思っていた気持ちが途中で逆転。この調子の笹斜面だと4時間以上かかるだろうと予想していた。標高差700mくらいだからと楽に思っていたが、さすが中央アルプスとも言えるササの植生。奥念丈や前安平路への笹を思い出させてくれる。それが・・・。
1280mの屈曲点に到達すると、予想外にも下から上がってきた切り拓きが上に続いていた。これを見て、かなり損をしてしまった気持ちになった。“ここまで立派な道があったんだ・・・”と。切られた笹はまだ青く瑞々しい。最近の作業のよう。何のためか・・・。ルートをつけて公に紹介する為だろうか。一気に歩き易くなる。ただし、60ミリほど切り口が残り、その高さが邪魔をして一歩一歩が予期せぬ方向に振られる。歩き易いようで歩き難い道でもあった。それでも笹を分けて進むよりどれだけ楽か。どんどん高度を上げ、一度鞍部があり、その先を登り上げて行くと市郡界の稜線に乗る。ここも稜線上に切り拓きがされていた。ここには標識が掲げられ三角点表記がされていた。僅かに北にずれてゆくと目的地に到達。
牛籠山。気にしていなければただの通過点。足許には深く三等点が眠っていた。新しい刃物跡が頭上の木にも残る。そして北側にも切り拓きが続いていた。展望はなし、逆にガスに包まれた周囲で、より暗く感じられた。ここまでの切り拓きを見ると、これを伝わない手が無い。市郡界に乗り上げた場所から南にも続いていたのでこれも使えそう。1280m屈曲点から下にも続いていた。どちらも南大島川側に降りているのは間違いない。どちらを利用しようか・・・。より安心なのは1280経由か、そこまで続く事が判っているから。往路を戻って行く。
ササの切り口の件以外は、勾配が適当で土地の土質が柔らかく膝に優しい道であった。どんどん高度を下げて行き1280ポイントに到着。往路に伝った笹尾根を左に見送りながら南に進む切り拓きに伝って行く。すぐに視界の開けた明るい場所に出る。ここは展望こそ無いが雰囲気的に休憩適地。しかし・・・期待した切り拓きはここで途絶えていた。下から拓いたのではなく上からなのか・・・。となると、正解は南に下る尾根だったか。そう思えてもここまで来てしまったので戻る選択はない。尾根伝いにある薄い踏み跡を降りて行く。尾根斜面が細くなると、集約されるのだろう踏み跡も濃くなる。濃いと言ってもあまり利用者が居ないのは間違いなく茸山側の様子とは違っていた。
下に行けば沢に降り立ち、そこに沿うような林道に乗れることが判っているので不安は無いものの。心許ない薄い踏み跡が足許に続いていた。何も無ければ自分の好きに歩くのだが、在るがばかりに伝わないとならないような義務感が出てくるのが不思議。この斜面にも沢山の菌類が出ていた。途中、大きく進路が南西に変わる。ここは判り辛く、植生の濃い薄暗い中を注意していないと外してしまうだろう。踏み跡は無く刃物痕のみが目印の場所もあった。降りて行くと下の方が明るくなり林道が見えてきた。
降り立った場所には、保安林の黄色い看板が在った。林道を降りて行く。すぐに「お観音入口−光沢」の表示があった。さらに下には沢向こうに「ひかげ桐山」などと、普通の人は絶対に見つけられないだろう表示も残っていた。どうもこの林道は散策道になっているようで、頻繁にこれらの表示が現れた。驚いたのは、林道の雑草が綺麗に刈られている事。あえて刈るほどまでして観光を意識しているって事のようであった。南大島川の流れは緩やかで、プチ沢登りには面白そうな、危険度の少ない水遊びが出来る場所に見えていた。途中途中に大きな堰堤があるが、そこのみを巻き上げれば楽しい場所に見えた。
牛牧砂防ダムがこの沢での一番大きな堰堤のようで、しっかりとした説明書きがあった。橋場の表示の場所で飲み水だろうか取水している設備が見えた。さらに降りて行くと「山の神公園」と揚がった広場が見えるが、かなり寂れた場所になっていた。そして付近から威嚇発砲の音がしだすと、リンゴ畑が現れてくる。収穫期を少し前にしたまだ青いリンゴが沢山実っていた。先の方に舗装路が見えてきた。分岐となり、ここには立派な山の神が安置され、しっかりと挨拶をして行く。この先はスパッツも雨具も不要。纏わり着くこれらを脱ぎ少し体を軽くして舗装路に足を乗せてゆく。
以前利用した御大の湯が見える。林道の途中に在った分岐道を入ればここに出たようだ。喫茶店と温泉との間に林道が出てきていた。それらを左に見ながら勾配を登って行く。朝に下見した場所が見え、戻ってきた事が判る。もうすぐ。伝っている道はバイカーが飛ばすには心地いいのだろう、かなりの姿が見えた。左にフェンスを置きながら、黙々と登って行く。右には南アルプスの山々があるが、中央同様にガスに覆われていた。正面に地域の集会場が見えてくる。そこを左に入るとマレットゴルフ場。登って行く。
駐車場に着く。トイレ脇に水道があり、ドロドロの雨具とスパッツを洗うのにちょうど良かった。そこに一台の営業車が停まる。お姉さんが出てきてトイレを利用していた。マレットゴルフ場としては使われていないが、こんな使われ方はしているようだった。
振り返る。復路に伝った林道にはゲートが無く車で奥まで入れるよう。地形図を見る限り最短はこの林道を利用した登り方となるだろう。ただし全体的な時間配分を思うと標高差700mとして麓側から登ったほうが面白いだろうと思う。