次郎岳 1560m 荒海山 1581m
2015.6.20(土)
くもり時々晴れ 単独 沼ノ沢登山口より往復 行動時間:6H31M
@林道廃ゲート前4:40→(27M)→Aタケノ沢に迷い込む5:07〜16→(4M)→B登山口(徒渉点)5:20→(24M)→C沢屈曲点5:54→(22M)→D尾根下降点道標6:16→(110M)→E次郎岳8:06〜07→(4M)→F荒海山8:11〜31→(125M)→G沢屈曲点帰り10:06→(29M)→H登山口(徒渉点)10:33→(38M)→I廃ゲート11:11
@「一般通行禁止」標識前で駐車。廃ゲートの場所。 | 駐車場所の20mほど先で、押出しで林道幅が狭くなっている。普通車だと厳しい幅。 | 沼ノ沢の中には橋があったり・・・。 | 表示の無い分岐。左に。 |
入山沢橋を渡る。 | 心地いい林道歩き。 | 最初の大きな徒渉点。「マイタウン平成町」なる不思議な看板も見える。別荘地として拓いたのか。 | 左の写真の山手側には、ワサビ田が連なる。 |
流れを跨ぐ。 | 三度跨ぐ | ここまで歩いて初めて出てきた標識。 | A標識の先の分岐を左に入ってしまった。右が正解。ここも道標なし。 |
Aタケノ沢砂防堰堤。この先の大堰堤下まで進みルートミスを確認して戻る。 | A分岐に戻る。 | タケノ沢を徒渉。 | この木の先が登山口。 |
B太郎山登山口。しかしこの場所からの進路が良く判らない。渡渉して対岸へ。 | 左岸側の道形を進む。 | 道形は踏み跡程度になり、なめ沢の脇を進む。 | 高巻の場所はタイガーロープが流してあった。 |
滑りやすい中を濡れながら遡って行く。 | リボンが続く。 | 大半がなめ。 | C沢が屈曲する場所。90度左に進路を変える。 |
屈曲点付近。二つほどこの形態のマーキングが見られた。 | 小滝を右に見て、中央の中州的尾根を登る。 | 不明瞭な進路にルートファインディング力が試される。野草でルートがほとんど見えない。 | サワグルミの根元に標識を見つける。これだと遠目には在りかが判らない。 |
急斜面にはタイガーロープが流してある。 | D小尾根に乗った場所。90度進路が変わる場所であり、下降点道標でもある。 | 尾根上は完全に藪化している。 | 高度を上げると、下界が一望できる。 |
途中の大岩群の場所には赤ペンキが導く。 | 1400m付近。樹木の中に大岩が続く。かなり不明瞭。 | 1430m付近。この標識の先は、判りやすい。帰路、ここから下でルートを外す。 | 「本州大幹縦走」と書かれたリボン。 |
手前峰から次郎岳を見上げる。 | E荒海山東峰(次郎岳)到着。 | E二等点 | E次郎岳から南東側。 |
F荒海山西峰。会津側からのルートがはっきりと下っている。 | F下地は剥げているが、黒ペンキの強さを感じる。 | F美生柑と、後ろは尾瀬側の山々。 | F西側の様子。 |
F碑は落ちてしまっているが、その場所が腰掛けるのにちょうどいい。 | F東峰を望む。 | 降りて行く尾根筋。潜らずに展望が利く場所は2箇所ほど。 | タケノ沢堰堤が見下ろせる。こちらに降りてしまおうかとも思ったが・・・。 |
往路はここを通らなかった。小さな標識も残る。 | ルートを外し、適当に高度を下げてゆく。大岩の脇を通過。 | 1200mの肩の場所を乗越して南に進路をとる。 | 伝った小谷。なめの場所もあるが、伝いやすい谷であった。 |
1110m付近で水が湧き出していた。水源地。 | 1090m付近。快適で心地いい場所。 | 唯一危険そうな急流の場所。両岸が伝える。 | 往路に伝った場所に出る。往路は中央の尾根を登る。降りてきたのは、右に見える沢。下流から上流を見上げる。 |
パイプを縛ってあるマーキング。 | G沢の屈曲する場所に戻る。写真が下流側。 | H徒渉して登山口に戻る。 | 林道を戻って行く。とても清々しい林道。 |
I廃ゲートの場所に戻る。駐車余地は2台分。 | I通行禁止表示 |
蛭が出る時期になり、水遊びができる場所が限られる。でも暑い時期は水が多くある方が涼やかで楽しい。残雪の山で適当な場所が思い浮かばず、「会津・那須・日光・尾瀬」エリアでの300名山で、最後に残った荒海山を目指す事にした。メインルートは会津からの入山のようだが、水分量が多いのは太郎温泉が拓いた沼ノ沢よりの沢コース。雨上がりの日、そして降られそうな日であり、どうせ濡れるのならと計画する。
1:17家を出る。R122を経て日光に入り、今市に抜けて鬼怒川経由でR121を中三依温泉駅前まで伝う。駅を右に見てその先左側に太郎温泉の案内看板が見えてくる。そこにはルートが現役なように、「太郎山」と「芝草山」の登山口表示が見える。集落内を経て奥に続く林道を進む。渓流釣り場を左に見ると、その先からやや絞られた林道幅となる。そしてダートにもなる。どこまで進めるのか。意外と状態はよく、突き上げるような起伏が無い穏やかなダート林道だった。
進路に「一般車通行禁止」の表示が現れる。その先で土砂の押し出しがあり、普通車だといやらしい道幅となった。軽四でなら問題なく通過できるが、この日はギャンブルはしない事にして、注意看板前の余地に停める事にした。ここまで車で入れれば十分。荒海山までの直線距離にしても2.5Kmくらい。回り込むにしても大した距離ではなし・・・。すぐに準備をする。
4:40歩き出す。ここにはゲートがあったようで、撤去したそれらが山手側に寄せられていた。程よい流れのある心地いい林道歩きで、沢を挟んで対岸に行く巡視路が見えたりした。10分ほどで分岐となり沢沿いの左の道を選ぶ。すぐに入山沢を橋で跨ぎ、この辺りまでは、廃ゲートの所の押し出しがあった以外は車での通行に障害があるような場所は無かった。それでも快適に入ってこれるのは軽トラかジムニーになろう。751高点の北側はとても心地いい林道歩きで、広葉樹の濃い緑が出迎えてくれた。
無名沢ではないだろうが、大きな沢が左から横切る。その沢沿いにも林道幅が分岐していた。それに沿うようにワサビ田が段々に連なっている。ここに「マイタウン平成」なる奇妙な看板も見えるが、予想するにはこの奥を別荘地として拓いたのであろう。コンクリート舗装された上をジャブジャブと渡渉してゆく。林道を奥に進み、小さな流れを含めると4つ目になるか、コンクリートで固められた場所で数えると3つ目の沢を跨ぐ場所を過ぎると、やっとここで道標が現れた。ただしその先に判断が50:50となる分岐が現れた。右に行く道がやや下り勾配なのを嫌い、左の道を選ぶ。大きく方向を変えるが、その先に荒海山山頂があり、これでいいと判断した。
分岐から進んだ林道脇には大きな堰堤が現れる。銘版が2枚並列になり、「タケノ沢砂防堰堤」と「タケノ沢砂防ダム」と読めた。表記内の堤防長さが異なり、上流の堰堤とこの堰堤を指していると読めた。上流側にはさらに大きく立ちはだかる構造物が見える。そこを越えてルートがあるのか。いつしか林道幅はその前まで行き、流れに削られて進路が見えなくなった。削られた中に飛び降りて周囲を探すも、ルートらしきものは無し。違う・・・。ここから詰めてもいいが、ルートがあると知っていながら、そのすぐそばでそんなことをするのは・・・。先ほどの分岐まで戻り、右側の道を選ぶ。
またまたコンクリート舗装された沢を跨ぐ。そして3分ほど進むと、倒木の向こうに登山口道標が現れる。今度は間違いない登山口のよう。ただし進路がどこなのかが判らない。芝草山登山口への矢印指示もあることから、何も書いていない方は他の方向へ進むと判断できた。そうなると対岸に行くしか見えてこない。予習ゼロなのでこんな為体、先が思いやられる。ルートが無い方が優しく、在る方が探すのに難しかったりするのだった。
沼ノ沢を渡渉し右岸側からの支流に沿う道形を見つけ、そこに足を沿わせてゆく。梅雨時期にしても緩い流れで毎秒バケツ3杯分ほどの水量に見えた。それを左に見ながら左岸を伝って行く。暫くするとその沢の中にリボンが現れ、それを追うようにして徒渉を繰り返すように遡上して行く。水量が少ないので心地よい沢歩き。渡渉がほとんど負担にならない場所であった。ただし滑る。ほとんどでナメ状態の沢であった。
登山口より13分進んだ場所で、左岸側に高巻する場所となる。薄っすらと九十九折の道が見え、伝って行くとトラバース箇所にはタイガーロープも施してあった。既に入渓して気付いてはいるが、登山道があるにしては表示も不明瞭で、道形も不明瞭、その前に太郎温泉の前を通過した時にそこは荒んだ風景があり廃業しているのはあからさまに判断できた。この要素から、管理されずに廃道となっているのだろうと予想できた。こう判断できれば、適当に道の在り処を追いつつ、適当に登り易い場所を登ろうとの思考になる。この先もナメ沢の中を行く。ソールのブロックパターンの軽微なものは、かなり滑りやすいだろうと思えた。濡れる事を気にせずジャブジャブと進む。常に蛭の存在を気にしてきたが、全く気配がない。そろそろ警戒モードを解いても良い頃かと判断した。
ナメ沢を進む事30分。突如進路が無くなったうように見える場所となる。正面には立ちはだかるような緑緑した斜面。そこまで行くと、正確に90度曲がるように谷が左(西)に曲がっていた。シダ類の繁茂する中を分けてゆくと、その足許に直径120mmほどのパイプが、長さ250mmほどに切られて紐に縛られている場所が見られた。先に進むともう一つあり、何かのマーキングに見えた。沢が絞られ向かう先が二股になる。右の沢には小滝も見える。その挟まれた中央の中洲的尾根に、薄っすらと踏み跡が確認出来た。そこを登ると、今度はその先で益々不明瞭な場所になった。こんな伝い方でいいのか・・・。既に大きく外しているのか、人工物の情報が全く無くなってしまっていた。
西に向かって登って行く途中、サワグルミだと思うが、その木の根元に道標が現れた。その上や、そしてこれまでの経路を見渡しても、道形らしきものは見えない。そのまま急登を登ると、その途中にタイガーロープが垂れていた。登山道はここで間違いないよう。それにしては荒んでいる。ロープの場所の先でも道形は見えなくなった。獣も使うような場所に作道するのが多いが、ここはそうではないようで、人間が入らない限りは状態が保てなかった場所のようであった。
小尾根に乗り上げた場所には、太郎山と中三依を示す道標が掲げられていた。と言っても、ここも地面に置くようにしてある。雪のためか、高い位置のほうが見やすいとは思うが、この方法だとこの時季にして草を分けて探さないと見えてこないのだった。顕著な尾根に乗ったがしっかりと藪化していた。その中に薄っすらと道形があるが、笹がニョキニョキと自然に戻しつつあった。既に全身濡れ鼠。薄日の日であり、少し寒いくらいに感じていた。高度を上げて行くと、やっと周囲が見渡せる場所となる。雨上がりの日らしく、雲海が広がっていた。
県境を前にして1250m付近では大岩が連なる斜面となる。ルートを外しているのだろう、クライミングするような場所もあり、右なのか左なのかと、ルートの在り処を探しつつやや危険度のある斜面を這い上がって行く。これだと下山時も間違いなく迷う。どうしようか・・・。マーキングをすればいいだけなのだが、最近はそれをしたくない意識がある。迷いたいのか・・・。同じ場所での登下降が少なくなり、その習慣が薄れてきたとも言える。
1430mまで上がると、ここでやっと道標が現れた。二本のリボンが下げられ、一本には「本州大幹縦走」などと書いてあった。この場所から15分ほど漕ぐと、かなり植生が和らぎ歩き易くなる。進む先に荒海山らしき顕著な高みが見える。もうちょっとだが、近づいてもなお、山頂側からの切り開きもなく、完全に封印されてしまったルートのようだった。笹薮に膝を押し込んで分けてゆく。青ヶ島での笹かぶれがトラウマになり、意識して中袖と軍手などをしてきた。ここまですると効果は如何に・・・。
荒海山東峰到着。300名山らしい登頂感のある場所であった。二等点が等級にそぐわないひっそりした様子で出迎えてくれる。尾瀬側を望むと、まだまだ白き峰々が見える。振り返ると、漕いで来た尾根が連なる。下山はあの1430mの標識の先をどうしようか・・・。まだ悩んでいた。踏み跡を追って西峰となる最高峰にズレて行く。
西峰に到着。山名事典には、太郎・次郎と書かれていたが、どっちがどっちなのだろうかと思えた。まあ高いほうが太郎なのだろう。とならば西峰が太郎か。会津側からのしっかりとした登山道が上がってきていた。碑が落ちてしまっているが、その台座の場所が休憩するのに適当だった。日差しが強くなり、濡れた衣服を乾かすのにちょうど良かった。眼下にタケノ沢の堰堤が見える。あの場所を狙って降りてもいい、そう思って地形図を見たが、荒海山の南面斜面は等高線が密でゲジゲジマークも見られる。往路を戻らねばならないよう。持ち上げた美生柑で喉を潤しながら、飛び交う羽虫を手で払いつつ居た。戻ろう。
東峰を経て往路を戻って行く。往路より復路の方が道形が判断しやすかった。それでもそれは1430mの標識の場所までであった。コンパスで進路を確かめて進んではいたが、見えない視界も関係するが、何処に往路の尾根が存在するのかあやふやとなってしまった。大岩群の中は、気をつけないとザイルが欲しいような場所になる。その意識があったので、北か南かに振ったほうが安全との思いがあり、体が自然とその場所を避けていたのかもしれない。結果として北にズレて居た。この地形なら、県境の向こう側に降りさえしなければ、高度を下げれば自ずと沼ノ沢には降りられる。あまり深く悩む事無くルートを外した事を自覚していた。そう言えば、中三依の集落に行方不明者の掲示もあった。このルートならそれもあるだろう。
高度計を見ながら南を意識して降りて行き、小尾根を数度跨ぎつつ、方向だけは気にしつつ進路を選んでいた。途中、1200mの場所で、顕著な突起のある肩を乗越した。ここは根の蔓延る大岩の場所で、とても居心地が良かった。その南側の谷を降りて行く。土砂の下にはナメ状の一枚岩も感じるが、その土砂のおかげで踵を入れながら降りることが出来た。どなたかから、沢下りはご法度と怒られそうだが、最近のほとんどは沢を下っている気がする。どう降りても往路の沢に入って行くので、気にせずどんどん高度を下げてゆく。
1110mの場所で、これまで涸れ沢だった場所に水が湧き出していた。ここから下はかなり快適な沢歩きとなった。少し沢底に起伏が出る場所は、左岸側を伝って行く。一箇所急な小滝のような場所があるが、ここも左岸を伝って行ける。足許に一升瓶が出てきた。一升瓶を水筒代わりにするのは大昔。それでも人工物が見えてきたのはありがたい。そして、この沢にもリボンが見えてきた。そう思って降りて行くと、往路に見た中州尾根の脇に出た。予想どうりの進路で、判断は間違いなかった。藪化した尾根よりは、足許を邪魔しない沢下りの方がずいぶん楽に思えた。
輪切りされたパイプを見つつ、沢が屈曲する場所に戻る。ここまで戻ればハッキリとルートが判る。ナメ沢を楽しむように、あえてその流れの中を歩いたりし、水遊びをしながら高度を下げて行く。そうしながらも、作道した当初はどんな道なのかと想像したりもした。夏場に適当なルートとも思うが、廃道化する理由は、やはり人気がないのだろう。会津ルートの方が伝いやすいのだろう。時間的な兼ね合いもあるか・・・。そう言えば、往路に大型動物が藪の中に逃げて行った。その場所で周囲を見る。当然居る筈も無いのだが、人間の意識とは面白いもので、まだ周辺に居ると思ってしまう。高巻の場所をタイガーロープを掴まりながらこなす。
左岸側の道形が明瞭になり林道が近いことが判る。登山道と言うよりは、元々は作業道なのだろうが、ここではあまり林業作業が盛んだったようには見えない。植林された場所が見られないのと、多くは広葉樹だからだった。徒渉点を渡り登山口となる林道に乗る。沢でのバランスを取るのに使っていたストックを畳み、テクテクと戻って行く。軽四が押出しを気にせず奥まで入ってきていた。次回、芝草山を狙う時は軽四で来ようか。ただそれは、経路全体を思うと僅かな省力で、数キロ歩くか歩かないかの差でしかない。沼ノ沢には魚影もなく釣り人の姿も無かった。
廃ゲートの場所に到着する。よく確認したが、蛭の被害は全くなかった。ここはまだ大丈夫。でも、繁殖域になるのも時間の問題だろう。予定していた太郎温泉に入れず、三依温泉に沈没する。帰路につくとポツポツと降ってきた。
帰宅し腕を確認すると、露出していた腕時計の場所で発疹が出来ていた。保護していた場所は皆無。今後の対策が見えてくる。