道満山 1314.1m 小屋沢ノ頭 1764.2m
2015.1.17(土)
くもりときどき晴れ 単独 徳和駐車場より道満尾根を登り反時計回りに周回 行動時間:4H26M
@徳和6:55→(9M)→Aゲート(道満尾根登山口)7:04→(56M)→B道満山8:00〜01→(107M)→C小屋沢ノ頭9:48〜57→(3M)→D月見岩10:00→(11M)→E国師ヶ原10:11→(5M)→F錦晶水10:16→(23M)→G銀晶水10:39→(18M)→H登山口10:57→(13M)→I乾徳神社11:10〜12→(9M)→J徳和11:21
@徳和駐車場からスタート。 | 吉祥寺前通過。 | 村落を見下ろす。 | ゲートに登山案内が書いてはあるが・・・。 |
ゲートの上側は鹿の足跡が濃い。ゲートが役目を果たしている。 | A徳和峠登山口。 | 掘れた道形が続く。 | 分岐している下降路も太い。 |
B道満山 | B四等点 | B朽ちてきている標識。 | 林道下 |
道満尾根上部 | 大平を見下ろす。 | 林道を跨ぐ。 | 大平側からもトレースは上がっていなかった。 |
扇平手前 | 直下。 | トレースを引っ張りながら。 | C小屋沢ノ頭。三角点の場所より20mほど北側の方が高い。 |
C朱に塗られた二等点。 | C小屋沢ノ頭から見る乾徳山。 | Cヤキソバパンと南アルプス。 | D月見岩 |
E国師ヶ原 | F錦晶水 | 鹿が多い。そして慣れているのか逃げない。 | 道形を跨ぐ。 |
G銀晶水。付近は凍てついた地形で滑った。 | 林道を跨ぐ。 | H登山口に降り立つ。 | さすが200名山、2台とも県外の車。 |
I乾徳神社に挨拶をして・・・。 | 神社前の養魚池 | 徳和地区内で飼われていたシカ。 | J駐車場に戻る。 |
登っているようで、まだ登っていない。奥秩父の山梨側には地形図に記載されている山を含め、日本山名事典掲載の未踏座がまだまだ多く残っている。点在しているので、それらをどう繋げようかと悩んでいるのだが、悩むほどに残っているのだからありがたいと思わねばならない。
15日(木)平地にも降雪もあり、晴れ予報なら素晴らしい景色が見られるだろうと、少し背伸びして高い場所へ行きたくなった。歌を忘れたナカリヤのように、やや高いところを忘れつつある山屋になりそうだが、たまには挟んでいきたい。山は雪山が一番美しいと思っている。
2000年11月に、2005年の7月に入山しているが、どちらの時も大平から入山しており道満尾根は伝っていないので、道満山は登っていない。しかし扇平は通過しているのに小屋沢ノ頭を残していた。全ては日本山名事典の初版発刊時期の問題となる。それ以前のバイブルだったコンサイス日本山名辞典には掲載されていない。2004年に初版であり、2005年に登っていないのは・・・となるが、完全なる見落としであり恥ずかしい。
深く潜るか・・・ワカンを持とうと思ったが、持たずにもがくぐらいが楽しい。アイゼンのみを装備に入れた。1:30家を出る。往路は雁坂トンネルを潜ってゆく。しかし大滝の山道を進んでゆくと雪がしっかりと舞いだした。“今日は晴れでは・・・” ろくに天気図も見ないで予報表示のみで行動していた。山は深夜帯でも降っていたようだ。こうなるとワカンが恋しい。まあしょうがないとして730円を払って山梨側に降りる。一気に下り徳和入口交差点を右折して、ツルツルの圧雪の坂道を登ってゆく。
徳和地区に到着すると、広い駐車場には番号が振られているのが見えた。これに悩んでしまった。なにか地域で契約している人が居るのではないか・・・。そこまで狭い村落ではないので、余計な心配とも思ったが、番号の有無が悩みの種でエンジンを切ることができなかった。他に駐車する場所は無いか、再び下に行きスポーツ広場の場所に行ったり、再び戻ったり、深夜に怪しく動き回っていた。雪も降る中、その行動にも疲れ、ようやく駐車場の4番に突っ込む。4と言う番号を嫌って契約者は居ないのではないか・・・と思った。1を聞いて10を知る。ビジターでありジモティーとのトラブルは避けたい。4時ようやくエンジンを切り仮眠とする。
フロントガラスにはまばらに雪が積もっていた。向かいの公園に小水に出ると、傾斜地は結構にツルツルしていて神経を使う。仮眠中に冷めきった紅茶を胃に落とし、さあ出発。誰か来られるかと思ったが、駐車場は我一人なり。道標に従い道満尾根を目指す。吉祥寺の天神祭の解説を読んで、菅原道真と天満宮との合わせ技で道満尾根となっているのだと自分なりに理解した。各分岐点には道標があるが、判読できない物もある。駐車場の鳥瞰図には、徳和峠ルートと、その西側のルートが引かれていた。現地は前者のルート道標しか判読できなかった。日が上がったが村落内に人影はなく、静かに高度を上げてゆく。その村落の上部から徳和集落を見下ろすと、平和なのんびりとした景色が広がっていた。
徳和峠に向かっていると、ゲートが現れそこに矢印付きでごちゃごちゃと書いてある。ここが登山口なのか、フェンス伝いに登って行っている道形もある。でもおかしい。フェンスゲートを越えるとシカの足跡がたくさん見られた。これはフェンスの効果絶大となるか。そしてフェンスから20mほど登ると道標の立つ取付き点が現れた。ここか・・・。先ほどのゲートの案内書きがこの場所を示しているようには見えなかった。
山道を登ってゆく。林業関係者も加味してよく歩かれるのだろう、掘れた道形が続く。そして枝道も多く、間違えないようにだろう各所に道標が立っている。東へ西へと分かれる枝道を見送りながら尾根頂部を伝って行く。最近ここを伝った登山者は居ないよう。薄い雪の上にはトレースは無かった。
風が強く、木々に乗った凍った雪が鋭利な姿で落ちてくる。痛く冷たく雨具を着こむ。“晴れるんじゃないの”また口にしそうになった。鼻水を拭き拭き登ってゆく。後の景色がどんどん下になってゆく。今日も200名山を目の前にして踏まないで帰る。普通なら踏むのだろうけど、狙った獲物しか獲らない。不思議な我が掟。そうこうしていると平らな場所に登りあげる。
道満山到着。ややくたびれた標識が待っていた。そしてここは四等点が眠る場所。それがわずかに雪から顔を出していた。ここまではさほど雪に悩まされなかったが、これが前週の北アだったら、しっかりとラッセルをしている頃(標高)だろう。ところ変われば何とやらである。尾根を拾って北進を続ける。しばし快適尾根でストライドが伸びて行く。
ガードレールが前方に見えてきて、左から巻き上げるようにして道形に従って行く。その先は有刺鉄線に沿うような道で、東側に懐かしい大平の地形が広がる。そこからアプローチした当時当日の記憶がよみがえる。闇雲に登っていた当時、今は十二分に山を楽しんで旅にしている。再び林道に出合う。この先それらを縫うようにして尾根を伝って行く。だいぶ雪の量も増えて膝下くらいのツボ足が続く。だれも歩いておらず、我がトレースのみがついてくるのが嬉しい。膝上まで潜るようになってくると扇平も近く左側に開けた地形が見えだしてくる。その前に、凛とした姿の乾徳山が見えだし、高所に上がってきたことを意識させてくれていた。
月見岩が見える。過去2度通過した時も、ここから月でも見て見たいと思ったが、深夜にそれを実行したことはない。その目印の岩を左に置きながら進路をやや東に向け高みを目指す。なにか標識でもあるのか・・・。少し期待しながらもがきつつ登る。拓けていて気持ちがいいが、そんな場所は風が強いと言う事。雨具のジッパーを首元まで上げた。車内で冷たくなった紅茶を思い出す。そんなことはないだろうが、ザックの中のテルモスの湯が冷えていたり・・・。暖かい湯を欲している裏返しであった。
小屋沢ノ頭到着。二等点が赤く塗られて埋まっていた。そして周囲の木が、最近切り落とされたように鋸刃の跡が残っていた。のんびり腰を落ち着けようと思っていたが、そうさせない風の強さだった。そそくさとヤキソバパンをほうばり、暖かい白湯を飲む。パンが甘く感じる。雪山での楽しみの一つでもある。見える乾徳山の山頂。あと1時間ほどもがけば着くだろう。そそられる容姿だが、今日はここまで。下山行動に移る。
飛ぶように広いストライドで月見岩まで降りる。するとそこにトレースが上がってきていた。全く気がつかなかったが、乾徳山へ向かっている人が通過したようだった。ありがたくトレースを利用させてもらい降りて行く。踏んである場所は格段に早い。あっという間に国師ヶ原に着き、その下の錦晶水で喉を潤してからさらに降りて行く。シカの聖地なのだろう、全く逃げようとしない温和な固体が多く見られた。
駒止付近まで降りるとだいぶ雪の量が減る。ここまでに出会ったパーティーは4つ。単独を含め7名とすれ違った。その時感じたのは”みんないい服着ているなー”と言う事。なんとかシェルと呼ばれる最新式のスマートな服に対し、こちらはゴボゴボとした雨具を羽織った様相。でもいい、人間は中身。古いほうが味がある(笑)。銀晶水付近は、周囲温度が下がり登山道が凍っている場所が多かった。足許に注意しつつ通過して行く。
途中、集落が在ったような場所に石垣が見え、そこに丸い井戸のような石組みも見える。こんなのを見るのが楽しい。そして登山口に降り立つ。その登山口近くに駐車できるのかと思っていたこちら側だが、だいぶ手前に駐車スペースが在った。それでも、こちらからの入山者が多いのは、ここが一番楽に登れるからで間違いない。道満尾根の今日はどれほどだったのか、駐車場に行ってみれば判るだろう。
乾徳神社に無事の下山を挨拶して行く。派手さの無い神社だが、乾徳山山頂の奥社に対する本社がここで、大事な存在でもある。その下側に養魚場があり、何千・何万もの川魚が泳いでいた。村落内を降りて行くと、大きなものが動いたのを見る。なんと鹿だった。それも檻の中で飼われている鹿。こんな姿を見るのは珍しい。さらには小鹿も寄り添っている。なんとも柔和な表情に、こちらもホッコリした気分になる。
前橋を渡り駐車場に戻る。横浜ナンバーが1台増えていた。うまくトレースを使えたろうか。私のはやや広めなので使い辛いとは思う。
この翌日は、素晴らしい青空となった。この週は日曜日での行動が大正解だったよう。八ヶ岳・北岳・甲斐駒・富士山、みなクッキリと見ることが出来た。