丸山 1344m
2015.10.24(土)
晴れ 単独 平川治山材料運搬路ゲートより 行動時間:4H8M
@ゲート5:55→(15M)→A平川隧道6:10→(14M)→Bさぶゆ橋6:24→(13M)→C十二山神6:37〜38→(5M)→D無名隧道6:43→(5M)→E三重泉橋6:48→(7M)→F三重泉隧道6:55→(4M)→G泙川への下降点6:59→(2M)→H泙川渡渉7:01〜05→(12M)→I林業資材残置場所7:17→(44M)→J丸山8:01〜12→(33M)→K泙川渡渉帰り8:45〜50→(5M)→L林道に乗る8:55→(71M)→Mゲート10:06
@暗い中、ゲートに到着。重々しい2重のゲート | @明るくなってからのゲートの様子。 | 最初の落石箇所 | 落石2箇所目。かなり大ぶり。 |
トンネル手前に高さ制限あり。 | A平川隧道 | 1.5kmポスト | 林道崩落箇所 |
押し出し箇所 | Bさぶゆ橋 | 2.5kmポスト | 林道途中から丸山 |
3kmポスト | C鉄製の赤い鳥居 | C「十二山神」と読める | 落石3箇所目。巨大大量。 |
D無名隧道。ここは東側出口上部が崩落している。 | E三重泉橋。ここから入渓する人も多いよう。緩やかにアーチ形状の橋。 | E橋の先からは三重林道と言うよう。 | F三重泉隧道 |
G下降点。左の木に「G321」と書かれたタグが打たれている。 | H泙川渡渉。流れは緩やか。 | H上流側では、護岸フェンスがこのようになっている場所もある。 | H北尾根の末端の様子。急峻。 |
角の立った岩が多い。 | 九十九折の道形(かなり薄い)が暫く続く。 | バン線が流してある。 | 美峰酒造の焼酎ビン。 |
I支点をとった残置箇所。ワイヤーやボルトが散見出来る。 | 最初のシャクナゲ帯。僅か。 | 肩の場所から見上げる。 | オオウラジロノキの実が沢山落ちていた。 |
J丸山山頂。北からの様子。 | J丸山山頂。南から。 | J皇海山側。見えているのは皇海山ではなく前衛峰。 | Jヤキソバパンと木漏れ日ハイカー。 |
往路の尾根を降りて行く。 | 往路のIの場所から道形を伝うと、尾根末端の最後は、西側の岩壁の傍に近づき北に降りて行く。 | 泙川に降りる最後の場所。それとなく道幅が見えてくるだろう。 | K泙川の渡渉点から下流に行き堰堤の上から下を見る。 |
K三重泉隧道の南側には岩穴がある。 | K渡渉後に北尾根末端のルートのあった場所を見る。写真中央の空間がそれ。 | K林道への急峻を登る。 | 林道への最後は攀じる。 |
L林道に乗る。 | L「G321」とオレンジ色のタグが打たれている。 | 三重泉隧道帰り | 三重泉橋帰り。欄干が緩くカーブしているのが判るだろうか。 |
無名トンネル帰り。上部の崩落箇所と、林道の落石。 | クサギの赤とブルーが綺麗。 | 萌えている。これぞ紅葉。 | さぶゆ橋帰り。 |
林道上は温かみがあり、周囲には爽やかさがある。新緑のような緑も多い。 | 平川隧道帰り。 | Mゲート到着。女性と、その向こう側にパーティーが準備をしている。 |
泙川(ひらがわ)と平川地区がある。どちらかに集約して欲しいが、双方を残す事の方が重要なのかもしれない。その平川地区から先は、2010年1月に峰山を狙った時に使った場所でよく覚えている。この時にも、孤島のような丸山を残している事が気になっていた。標高からして夏場に狙うような場所でもなく、渡渉が避けられない事から凍るであろう冬季も外れ、春遅くか秋の選択となっていた。そしてこの秋に、気になっていたがじつは忘れていた丸山を思い出し、遅まきながら出向いてみることにした。
2:00家を出る。最初のセブンではフラれ、沼田インターの先のセブンで装備(ヤキソバパン)が整う。この日まで、椎坂トンネルを通過したことが無く、2013年11月のトンネル開通以降で、久しぶりにこのエリアに入ることに気づかされる。積雪の中、恐る恐る越えていた椎坂峠だったが、トンネル開通でかなり安全が高まったと体感した。吹割滝の場所を過ぎ、右を気にしつつ行くと平川地区へ入って行く分岐が現れる。迷うことなく入ってゆく。
平川小学校前を過ぎ、日光神社前では社殿に目礼して通過してゆく。その先は一本道。途中ダート箇所が僅かにあるが、その先は舗装路が続いていた。時折落石があるが数えるほどを注意すれば良かった。峰山側に分岐する道を左に見送り、しばらく進んだ先の右側に林業従事者の小屋らしき建物が現れる。その先左側に雨量観測の施設が在り、並ぶようにシャッターの目立つ白い建物があった。ここを最後に林道沿いの構造物は無くなる。舗装状態もよく快適なまま進めるので、今日は楽勝と思っていた矢先、ゲートが現れた。カーナビに見える現地から、丸山の取付き箇所付近までは5Kmほど、往復10kmのアルバイトとなった。しかし、ここまで道が良く、他にも地図にない道が奥まで入っているのではないかと疑りだした。そして再び林道を戻る。
疑り深いのも悪い癖だが、平川小学校まで戻ってしまった。結果、他にないことを確認し、再度ゲートの場所まで進む。そんなことをしているうちに夜が明け歩けるほどの明るさになってきた。暗くて周囲が見えない事の無駄さもあるわけで・・・。用意をしながらゲートを見ると、なぜか1mくらいの間隔で2つのゲートが設置してあった。この意味不明さには悩んでしまった。どちらかでいいのではないか・・・。それとも、2つも設置するほど貴重な何かがこの奥にはあるのかと、ここでも疑り深いので勘ぐってしまう。林道名がよく判らなかったが、ここに「平川治山材料運搬路」と書かれていた。本当の名前は別にあるのだろう。林道泙川線とか泙川林道とか、でもその表記は経路では見られなかった。歩き出す。
ゲートから5分で、落石箇所が現れた。こういう事ならゲートの存在は納得で、歩くことは厭わない。とても現金な思考なのであった。この落石箇所から8分進むと、今度は一つが1.5tほどあろうかと言う大きな落石も混じり倒木と共に道を塞いでいた。もうこれで十分、ゲートは正しくゲートは100点満点、非の打ちどころがない設置であると思えた。この先で高さ制限のゲートが現れる。その先に何があるかは予想の範疇であるが、平沢隧道が口を空けていた。櫛ヶ峰への長く暗いトンネルを体験しているので、先が見える明るいトンネルは負担無く通過してゆく。
最初の隧道から5分ほど進むと、路肩に「1.5km」と書かれた標柱があった。ゲートからの距離で間違いないであろう。そのほかに距離を刻む基点となる場所は周辺にはなかったから。この標柱のすぐ先には、今度は路面が1/3ほど崩落した場所が現れる。もう十分、ここまでの荒れようをアピールしてもらえば、心がブレる事は無く「ゲートを肯定します」と誓える。それにしても周囲の紅葉が見事、ちょうど入山に際し適期を選べたようだった。錦の色合いを愛でながら、黄色く色の抜けていない落ち葉を踏みしめながら行く。
林道全体を覆う押し出しの場所もあり、そこを越えると「さぶゆ橋」と言う顕著な橋を渡る。渡った先には2.5kmポストが立っていた。この辺りになると、進む先に円錐形の目立つ山容が見えてくる。右に1364高点峰を従えた丸山の姿であった。谷が深いので、高みの上までの高度感があるように見え見上げていた。
3.0kmのポストが現れた。どうやら500m刻みに当初は設置していただろうと判る。この先で林道の左右がやや平坦な場所が現れ、何かが在っただろうと予想できる場所になる。すると山手側に赤い鳥居が現れ、奥に直立した構造物が見えた。お参りがてらに立ち寄ってゆくと、そこには「十二山神」と彫られている文字が読めた。側面にも何か彫られていたが、こちらは判読できなかった。山旅の無事を願ってから先に進む。
山の神の先3分ほどで、経路最大の落石地帯が現れる。鉄の比重換算では概算計算でも5tはあろうかと思える大きな落石が道を塞いでいた。ここまで連続するのは、地震のせいなのか大雨のせいなのか、今度はこの地盤の弱い地形によくも林道を切ったと思えた。二つ目の隧道が現れる。その東側出口上からも大量の落石があり林道に散らばっていた。岩盤が弱すぎるのでは・・・。ここまで連続すると、普段は気にしないが、山手側の露岩に気を使うようになってくる。周囲状況からはヘルメットを被っても変ではない場所となる。
二つ目の隧道を出ると、その先が三重泉橋のかかる場所で、緩くアーチ状になった構造が周囲景色を柔らかくしてくれていた。ちょうど923高点のある場所であり、周囲の開けた場所でもあった。渡りきると人工物が待っており、そこを見るとここからは「三重林道」と言うようであった。もう一つの看板には「三重泉国有林」と書かれている。三重なのか三重泉なのか、ここもどちらかに集約して欲しかったりする。次に三重泉隧道が現れる。となると「三重泉林道」にして欲しかった。いや待てよ、銘版作成者が間違えたとも言える。頭の中がこんがらがってくる。ちなみに、三重泉の読みは「さんじゅうぜん」。沼田市利根支所の回答による。
隧道を抜けると、右側に丸山が大接近する。どこからか泙川に降りねばならないが、見るほとんどの場所で急峻であった。探りながら行くと、林道脇の木にG321と記号が書かれたオレンジ色の札が見えた。ややこしいが周辺ではここが一番容易に伝えそうで、木に掴まり、岩を掴まえながら高度を下げてゆく。滑っても死なないであろう場所であるが、痛い場所ではあった。
泙川に降り立った場所には、錆びたパイプが立っていた。上流側を見ると護岸用の鉄柵が壊れて川の中に浸かっていた。水深は深いところで150mm程、場所を選べばわずかな水没で対岸へ渡ることが出来た。ただしここからの取付きが上手くルート取りできなかった。上流側にいいところがあるのではないかと探したが、逆に急峻になり、尾根の末端部分から這い上がってゆく。ややこしい勾配が続き、下りにはザイルを流したいような場所であった。
川面から20mほど登った辺りから、薄い道方が九十九を切っていた。それをしばらく伝うと、途中からバン線が長く流されていた。そこも道形は薄いまま九十九を切っており、その先には林業用の支点をとったような場所が現れ、朽ちたボルトやワイヤーなどが見られた。道形は登山道と言うよりは杣道のように思えたが、道形としてはここを最後に判らなくなった。ガレた場所がこの付近で終わると、その上でシャクナゲが現れる。ただ、そう密生は無く軽くかわして進むことが出来た。
尾根の肩のような場所で呼吸を整える。ここまで楽ではない勾配が続いており、この先も続くように見えている。肩の先には、オオウラジロノキがあるようで、その林檎のような赤い実が落ちていた。少しは甘いかと口に入れたが、びっくりするぐらい渋かった。思い切りハズレを引いてしまったよう。付近にはたくさん落ちていた。やや痩せた尾根形状にもなったり、左右に微細な小尾根も見える。下りで迷いそうでもあった。地形図にはゲジゲジマークも見え、注意は必要な場所ではあった。2回目のシャクナゲ帯も問題になるほどではなく通過できる。下草のほとんどない斜面を登って行く。
丸山到着。広い山頂で南側に最高所がある雰囲気の山頂部であった。フジオカの藪山ハイカー氏の紐が見えるが、判読はおろか千切れるにも時間の問題といった感じで残っていた。人工物は他に無し。南南東にそり立つ高みが見えるが、皇海山と言うより、その前の前衛峰が見えているのだろう。山頂には朽ちた倒木が多く見られた。周囲の谷を鑑みると風を受けやすい場所なのだろうと思う。寂峰のピークでありヤキソバパンも映えていた。さて下山。
下に現れる微細尾根を慎重に見通し選びながら高度を下げてゆく。そして泙川を挟んだ対岸の山稜の見え方に注意しながら、往路に見ておいた景色をそこに探し、方向を違えないように注意しつつ足を出していた。別尾根の派生角度は15度くらいだろうか、一度間違えて横ズレするが、慎重な足の運びが必要だった。シャクナゲが見えだし往路に通過した場所が確認できた。向かう先に僅かに傾斜が緩む場所が見え肩の場所と判る。下側のシャクナゲ帯を通過し、その下の道形の場所は、何処に連れて行かれるのかを追ってみた。すると、くねくねしながら高度を下げ、最後は西側に寄ってゆき、岩壁が現れる横で、尾根に沿うように北側に進んで川面に降り立った。確かに尾根末端部でここが一番伝い易い場所。往路は尾根を右から巻き込むようにルートを選べば最初から道形を追えたようであった。
渡渉点では、少し偵察にと下流側の堰堤の上に行ってみる。そこから下はザイルが無いと下れないような場所となっていた。そして全身の水没も必要。隧道側を見上げると、その隧道がある尾根の岩壁には洞穴があるようで、黒く見えていた。行きたかったが流れが阻んでいた。往路の渡渉点まで戻り右岸側に移る。そして林道に攀じ登ってゆく。一本タイガーロープでも下がっていればいいが、登山対象の場所でもないので仕方がない。林道に乗り上げテクテクと戻ってゆく。
往路で登頂を少し急いた分、のんびりと紅葉を楽しみながら行く。三重泉橋の下流側では川面に降りてゆく脇道もあり、付近は雰囲気のいい広い地形でもあった。二つ目の隧道を潜り、やや登り勾配の道を山の神まで伝う。そして山の神に挨拶を忘れない。さぶゆ橋の親柱の所には、珍しいものとして「追貝へ十一粁」と読める銘板が埋め込まれていた。橋でこのようなものを見るのは初めて。そしてまた橋の右岸側には祠が在ったのか、ワンカップのお酒が二つ供えられていた。本物が入っていたのだろう、その中にはスズメバチが複数匹浮かんでいた。
この日の一番の紅葉のいい場所がこの付近で、日差しが強くなるほどに発色をよくしていた。平川隧道を潜り、平川第5号橋を渡る。この橋から下は意外なほどに高度感のある場所であった。ゲートが見えてくると、その向こうに何かが動いた。こんな場所に居るのは獣以外に・・・と思ったが、その個体はピンク色をしていた。女性がこちらを向いて私のゲート到着を待っているのであった。
ゲート到着。お互いにこんな場所であり不思議に思ったであろう。丸山に行ってきたことを告げ、行動を聞くと、泙川沿いを林道を詰めて、沢で幕営をするとの事であった。この時季に入渓するとは元気。ただ、ジャブジャブとやるわけではなさそうな装備に見えた。先に見える車の横で、男性と若い女性が準備をしていた。このパーティーは家族なのかと見えた。大きなザックも見られ、週末をこの山中で楽しむよう。夜は冷え込むだろうが、静かなこのエリアは最高の秋の夜長となるだろう。少し羨ましかった。
車に乗り込み準備をしている横を通過してゆくと、見えるナンバーは多摩だった。東京からここへ。話した女性はここに入るのは5年ぶりと言っていた。リピートするほどにいい場所となり、秋のこの色づく適期を狙ってまた訪れたのであろうと思えた。
振り返る。渡渉点はよく見定めるとあまり濡れずに渡れる場所がある。選ばないとしっかりとした深さの場所もある。そして丸山の北尾根は、取付きは西側を巻き込むようにし、岩壁まで行かない手前からバンドのように斜め上に上がっている。ここを選べれば、最初の急峻は優しく登って行ける。微細尾根があるので下山用にマーキングを付けた方がいいのだろうが、登りで何度も振り返れば、相応の特異な景色は記憶できる場所でもあった。お守りにザイルを持てば下りは何処を向かって行ってもいいかもしれない。
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