ナカゾロ山    1410m                     

 
   2015.4.25(土)    


  晴れ    単独       国道353より往復    行動時間:2H46M 

 装備:ワカン 12本爪


@除雪最終地(ゴミ集積場)5:18→(47M)→A三国スキー場跡6:05→(15M)→Bチョウチン入・ガランノ沢出合6:16→(38M)→Cナカゾロ山6:54〜7:04→(15M)→Dチョウチン入・ガランノ沢出合帰り7:19→(45M)→E除雪最終地8:04


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@例年通りの除雪最終地。左の建物内は、ゴミの集積小屋。 国道353号線を伝って行く。 左に見栄えのする岩が出てくる。その先左にナカゾロ山。 A三国スキー場跡地(駐車場)
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B湯之沢がチョウチン入(左)とガランノ沢(右)に分かれる場所。 ガランノ沢側に僅かに進み、スノーブリッジで対岸へ。 チョウチン入側もブリッジで渡り、そこからの斜面。 小谷を伝って行く。
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スキーに適した斜面。 面白い岩が現れた。基部に岩穴があり、上部に木が生えている。 アップ。アダムスキー型が降り立ったよう。和風なら入道岩となろう。 尾根に乗る。やっと日に当たる。
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Cナカゾロ山。最高所は藪化していた。 C久々に絶縁テープを残す。 Cナカゾロ山から稲包山。 C西稲包山から伝っても快適尾根。
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Cヤキソバパンと後ろは苗場山山塊。 C山頂から北側は快適尾根が続く。 C三国山もこの通り美しい。 往路辿った場所を下って行く。
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もう少し早い時期にスキーでアプローチしても良い。 居りながら三国スキー場跡。 チョウチン入をブリッジで渡り。 Dガランノ沢はかなり流れが太くなっていた。
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ガランノ沢スノーブリッジの上流側の様子。 三国スキー場跡 クライマーなら登りたくなるだろう岩。 向山の西側には橋があり、こちらからも向山にアプローチできるだろう。
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大岩。上流からか、山手側からか。 E土曜日なので作業員が働いていた。日曜日なら、ここの駐車場が利用できると思う。 E本日は路肩駐車。




 立山に出向いた前週。登行翌日にチェーンソー作業をしていたら、ピキッと腰を痛めてしまった。腰痛など久しぶりだったのだが、不安定な場所で無理な恰好で切断していたからとは判っていた。完全に自業自得であり、疲労を抱えて重労働をしたからでもあった。ここに、火曜から金曜までの試験を伴う講習会があり、疲労困憊となり週末に入って行く。

 流石に無理。天気予報は最高に良い状況だが、それを目の前に見せ付けられても気持ちが前に向かない。でも山に行かないと、後ろ向きにさせている要因の腰も治癒できない。金曜日は18時まで試験があり、それこそ腰痛と知恵熱を伴った状態でもあった。出向かないと、このストレスが解消できない・・・。ポジティブになるよう自分を徐々に持ち上げてゆく。でも痛いものは痛く、疲れている時は疲れている事実もある・・・。

 折角の残雪期であり、雪のある場所に行きたい。でもそう長くは歩けないし難しい場所は無理。この状況下に、今年の上越シリーズの落ち穂であるナカゾロ山に行くことにした。以前は上越国境からアプローチしようと考えていたが、苗場側からも狙えるように見えてきた。ただし沢の渡渉が一番の問題。となると雪の時期が適季となる。既に南ア側ではヒル出没も聞こえてきている。ここもじきに現れるだろう場所。チャンスは逃がさないようにしたい。

 1時に出ようと一度は構えたが、判っていながら寝込んでしまい2時半に起き出す。自分で自分の状況が良く判るのだが、こんな時に事故が起こるのであり、地形図から見える想定以上の、ザイルをも持ってゆく事にした。前夜ライブカメラで苗場スキー場を確認すると、雪はまだ十分あるよう。平行移動距離が長いのでワカンかスノーシューか迷うのだが、あらゆるリスク回避に、より有効なのはワカンと判断した。3時家を出る。

 高崎市内で早々にセブンに寄ると、陳列棚には豊富にパンが並び、容易に最終装備を手に入れることが出来た。金曜日は珈琲断ちをしていたので、併せて買った珈琲が美味い。深夜便の曲に耳を傾けながら渋川を抜け、月夜野から17号を三国峠に向けて登って行く。タイヤを替えた車は吸い付くような走りで快調。一方の運転手ときたら・・・ボロボロ。

 苗場スキー場南、浅貝交差点を西に折れR353を南に進んで行く。どこかでこの状態が止るのは間違いなく、その場所で驚かないようゆっくりとアクセルを踏んでいた。途中、千下ノ沢出合下ではテントを張っている場所も見られた。スキーヤーか・・・などと思いつつ横目に通過して行く。除雪最終地は、例年通りの作業小屋のある場所であった。ここを訪れるのは3回目。終点地のそこにはゴミ収集車が置かれていた。前回はこの場所に車を停めさせてもらったが、土曜日を思うと動く可能性がある。少し戻って路肩に停めた。この判断は正解だった。

 5:18歩き出す。なにか背中が重い。腰痛のせいもあるがザイルの重みもあるよう。雪の上に足を乗せてゆく。沈み込み量は30mmほど。その僅かな落差に、腰がピキピキと悲鳴を上げる。途中で断念もあるか、奥に行って痛くなったらどうしようか、不安要素を抱えながら騙し騙し進んで行く。湯之沢の流れは太く、上流の様子が気になった。この流れの対策として使うか判らないが長靴を結わえてきている。気持ち上での安心材料にしかならないかもしれないが・・・。

 向山の西側には鉄橋があり右岸に行ける様になっていた。そこから見上げる向山。けっこう面白いように見える。知っていたら使ったかもしれない。その先、左側にローソク岩と言いたい直立した岩が見えてくる。なにか名前がついているのだろうけど残念ながら知らない。目の焦点をその先に向けると、岩の右手にナカゾロ山と思しき緩やかな高みが見えてくる。当初は、湯之沢とコベックラ沢とに挟まれた尾根末端からのアプローチも思ったことがあった。その場合は先ほどの橋が利用できるのだが、途中にある尾根上のゲジゲジマークを擁するピークを見ると、既にその時点で却下となった。

 目の前が広くなる。三国スキー場の下側駐車場で、その先僅かでさらに広くなり、その西側に広大なゲレンデが現れる。湯之谷を意識しながら沿うように進んで行く。このあたりは稲包山へのルートが在るようだが伝ったことがないので在り処は判らない。この時期にしても標識は見えてこず、豪雪を意識して道標は小さく作ってあるのかもしれない。

 進んで行くと本流が右に折れるような場所になる。ここが湯之沢からガワンノ沢とチョウチン入との支流に別れる場所で、その出合となる。ナカゾロ山のある東側に行きたいのだが、スノーブリッジはない。ずっと見つつ遡上して来たが渡れそうな所はなくここに行き着いた。しょうがないので雪に伝って地形のままガランノ沢側に入って行く。すると、出合から15mほどの場所でブリッジが現れた。かなり弱弱しいものだが、上流側を見ても近場にはなく次を探すにはもっと上に行かねばならないだろう。恐る恐る伝って右岸側へ移る。ガランノ沢側へ進むということは、ナカゾロ山に対して反対側であり、あまり遡上はしたくなかった。何とか早くに渡れたのでラッキーであり、このブリッジは数日で使い物にならなくなるだろう。右岸側を出合いに戻り、次はチョウチン入に入って行く。

 チョウチン入側は、流れも見えるがブリッジも多い。しかし下流側は恐る恐る渡るようなものが多く、その一つを渡って右岸に移った。さあやっと登りとなる。少し雪質が硬くなり、アイゼンが欲しい感じとなるが、装着するのに腰を屈めるのが苦痛。ここは騙し騙し行く。少し上がると、南に顕著な小谷が通れとばかりに現れた。回廊のようになった中を進んで行くと、その先は扇状地のような広がりで植生のない斜面が現れた。既に山頂部と思しき尾根は見えており、あとわずか登れば到着してしまう事も見えていた。

 蹴り込みながら上がって行くと、目の前に黒い物体が現れた。生きもので無い事は判っているが、なんとも奇形で滑稽で、これが見られただけでもここを訪れて良かったと思えた。それは岩なのだが、下膨れしたような形状に、上部には木が生えている。その基部には岩穴もあり興味をそそる形状であった。洋風に言うならアダムスキー型であり、和風なら入道岩となる。それを左に見ながら上がると、やっとお日様に出逢えた。

 尾根に乗り上げると、驚くほどの快適な場所だった。雪が乗っているからなのだが、周囲展望の良さからでもあった。南に最高所を目指して登って行くと、本当に南端の場所にこんもりとした高みがあり、ここがナカゾロ山山頂であった。人工物は皆無。この時期にして既に雪融けして藪化していた。そこにササとシャクナゲが蔓延っている。雰囲気としては、向山の南稜にも通じる植生に感じた。久しぶりに山頂部にこっそりと絶縁テープを巻く。そしてヤキソバパンで朝食にする。こちらから見る三国山の姿が良い。羽根を広げたようなシンメトリーな姿に惚れ惚れするのだった。一方、西には信越国境の山々が雪を纏って自己主張していた。のんびりしたい天気と展望であったが、早々に下山とする。

 北側にずっと伝って行きたい様な快適な尾根だった。特に東側斜面が美しく、コベックラ沢側へ滑り降りて行きたい様な、そんな気持ちに誘う斜面があった。送電線が走っている事から、巡視路が通っているだろうことも予想できたが、ギャンブルはせず西側に降りて行く。ただし、往路のルート取りが何処だったか判らないほどに広い。ガスが巻いた場合は不安になる場所かもしれない。踵を雪面に食い込ませながら高度を下げてゆく。間違いなくスキーで楽しいだろう斜面だった。ただし滑れる距離は短い。この日は尻で滑る方法もあるが、そうするにはやや危険な斜度でもあった。復路も回廊の中を入って行く。

 チョウチン入、ガランノ沢とブリッジで渡り、三国スキー場跡地に戻る。誰か入っているかと思ったが、このマイナーエリアは、流石の山スキーヤーも遊び場には選ばないよう。でも良いスキー場斜面があるのに勿体無いような気もする。気付いたときには、いつしか腰の調子も良くなる。山で遊んでいれば医者要らずである。湯之沢の流れを見下ろしながら戻って行く。流石に春であり、この短時間でも雪の腐りを感じる。背中にはワカンが出番を待っているのだが、使わずにツボ足で戻って行く。

 除雪最終地の場所には、ゴミ収集車が新たに追加され2台停まっていた。やはり、この余地に停めないでよかった。小屋の中には、その収集車から出されるごみが作業員により投げ込まれていた。内部を見たのは初めてであったが、こんな使われ方をしていたとは知らなかった。てっきり資材置き場かと思っていた・・・。建物には「苗場プリンス・・・」などと表示があるが、収集車横に書かれた会社名は異なり、場所貸ししているのか、業務委託をしているように思えた。饐えた臭いの横を通過し車に到着する。

 この西稲包山北尾根は、縦走できたらさぞ面白いと思う。ゲジゲジピークのみ現地が判断が出来ないが、このあたりの踏査はいつかしてみたい。まあ、その前にこのエリアをベースにする某有名大学WV部が歩き回ってくれるだろう(笑)。
 
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