姥子山   1503m       雁ヶ腹摺山   1874m      大樺ノ頭    1776.7m             

  
   唐松立    1597m             


   2015.6.6(土)    


  濃霧のちくもり時々少雨    単独      林道奈良子線を使い時計回りに周回    行動時間:5H47M 



@ゲート5:02→(27M)→Aワサビ沢橋5:29→(26M)→B葛野川9番鉄塔5:55→(53M)→C姥子山東峰6:48〜52→(9M)→D姥子山西峰7:03→(3M)→E林道横断7:06→(57M)→F雁ヶ腹摺山8:03〜08→(27M)→G大樺ノ頭8:35〜36→(19M)→H唐松立8:55〜9:06→(13M)→I奈良子線に乗る9:19→(65M)→Jワサビ沢橋帰り10:24→(25M)→Kゲート帰り10:49


ge-to1.jpg hunakubosen.jpg  wasabizawabashi.jpg  iriguchi.jpg
@林道奈良子線ゲート。手前側に4台ほどの余地。 奈良子線から船窪線が分岐している。左に進んでもルートがある。今回は右へ。 Aわさび沢橋左岸より山中に入る。 A写真右手に取り付く巡視路と、左の沢の方に進む巡視路と二つ存在する。
kosawa.jpg  ribon.jpg  kibashi.jpg  jyunshiro.jpg 
小沢を橋で跨ぐ。 リボンが残る。が、付近ルートファインディングが必要。 木橋も残る。 斜面に切られた巡視路はこの状態。斜面に取り付く辺りが不明瞭。
kaiteki.jpg 9.jpg  textutounosaki.jpg  1230.jpg 
尾根に乗るとこの快適さ。 B葛野川線9番鉄塔。道形はここまでで、この先は藪尾根。 B鉄塔の上は針葉樹が密生し、その先がこの通り。 少し藪が薄くなる。1230m付近。
1300.jpg  ooiwa.jpg  tozandouni.jpg  higashimine.jpg 
1300m付近。 かなり大きい大岩が現れだす。 登山道に乗る。 C姥子山東峰
ubakoyama.jpg  higashiminenishimine.jpg  nishimine.jpg  rindouni.jpg 
C姥子山東峰標識。西峰の標高と同等なのか? C東峰より西峰。 D姥子山西峰。 E奈良子線を横断して行く。
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E入り口の道標。 ここを白樺平とするのか・・・。白樺が乏しいような。 もうすぐ山頂。やっと青空が見えてきた。 F雁ヶ腹摺山到着。
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F一番山頂 F残念ながら富士山の姿なし。 F大樺ノ頭への道標が在った。 急下降の場所にはタイガーロープが流されている。
1770.jpg ookanbanokashira.jpg  marutake.jpg  ookanbahyoushiki2.jpg 
1770m峰 G大樺ノ頭到着。樹林帯だが居心地がいい広さ。 GKUMOに見えてしまう。オリジナルデザインの意匠権はKUMO氏にあるはず。 G行政の標識。
santouten.jpg sasagare.jpg  koru1.jpg  koru2.jpg 
G三等点がひっそりと・・・。 尾根上の笹は枯れていた。 途中のコルにある標識。 コルの場所から東側の様子。ルトが無くなったようにも見えてしまう。
karamatudachi.jpg  5.jpg  misyoukan.jpg  kakouro.jpg 
H唐松立。鉄塔ピーク。 H葛野川線5番鉄塔。基部が腰掛けるのにちょうどいい。 H今日は美生柑 H林道側へ下る巡視路。急下降でステップがかなり細かい。
enishida.jpg  rindouueno.jpg  rindou.jpg  koujisyaryou.jpg 
H一帯はエニシダが乱れ咲き。群生をしていた。 林道上の鉄塔をくぐる。 I林道に乗る。ここまで舗装されているとは・・・。 ダート林道も混じる。工事車両が多く行き交う。
koujihontani.jpg  kosugizawabashi.jpg  torituki.jpg  ourono.jpg 
本谷橋の所から、新しい作業林道が奥に伸びていた。ここは現在進行形で工事をしているよう。 小杉橋のところの姥子山へのルート入り口。 また別の取り付きルートも見られた。作業用のようだが、一番明瞭だった。 Jわさび沢橋の入山口に戻る。
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Kゲートに戻る。工事車両が待機しておりゲートが開いていた。撮影側で最近熊が見られたと聞く。



 
 雨の金曜日、翌土曜日は回復のようだが、その金曜日の気温低下が気になった。涼しいのを通り越して寒い。寒いのは苦手ではないが、この時季に悴むような藪漕ぎは避けたい。さらに、土曜日は18時より小用が既にあり、先約であり予定に制約があった。そこそこの標高で、おおよその行動時間が読める場所・・・として、雁ヶ腹摺山周辺が目に留まった。

 
 その昔は、大峠からアプローチとも思っていた場所であるが、林道奈良子線を利用すると、感じのいい周回ができる事が判った。送電線も多く、巡視路があちこちに走っている様だ。大樺ノ頭から大峰まで進めれば最良に思うが、今回は時間が足らない。わずかだが藪ルートを織り交ぜ唐松立を最終ピークとして姥子山からの周回予定を立てた。

 
 1:00家を出る。この日も野辺山経由で行く。国道20号も深夜は滞る事は無いし、秩父経由より疲労負荷が少ないので大回りになるがそのようにしている。その野辺山越えでは、電光掲示板は外気温6℃を示していた。暖房を入れつつ現地に向かうのだが、計画した場所の標高を上げ過ぎずに良かったと素直に思う。甲府を経て笹子トンネルに潜って大月に入る。そして大月駅を左に見たら、高月橋入口から国道139号に折れてゆく。雨ではないが、ガスが垂れ込め重苦しい視界となる。奈良子入口からの林道に入ると、そこからの道の狭さがより憂鬱に感じさせてくれていた。それでもそんな中にも前を四駆が先行していた。この人も登山なのかと疑わなかった。

 
 途中シロイハタ東付近で先行車が停まった。付近には路上駐車が在った。釣りか・・・釣り師も入る場所なのだと気付かされる。そりゃそうか、これだけの水線が刻まれている場所ならば・・・。一人奥に進んで行く。そしてこの林道は本沢を跨ぐその先でゲートされていた。経路には鋭利な落石も多く神経を使う林道であった。地上高の低い車は不得手な場所となる。ゲート前には大型車が通過するので駐車場所に気を付けて欲しい旨の表示がいくつも見える。そう気遣うと、余地を鑑みても4台ほどしか停められないような場所であった。山手側の落石も多く、そもそもの駐車スペースには水が溜まって泥濘状態だった。全てに四駆とかオフローダー向きな場所であった。少し仮眠をしたかったが、そうする猶予は無く時間が過ぎて行っていた。

 
 ゲートを越えて歩き出す。ダート林道を予想してきたが、反して立派な舗装林道だった。ゲートの先の案内板などを見ると、以前はこの先も進入できたような雰囲気があった。
15分ほど進むと、奈良子線から船窪線が左に分岐している。その方に進んでも金山峠からの登路に乗れるのだが、それだと藪ルートがゼロになってしまう。舗装路をそのまま進みわさび沢橋まで登り詰める。

 
 橋を左岸側に渡ると、借地標識と巡視路を示す支柱が立っている。伝う人が少ないのだろう尾根側の巡視路は流れていて取り付きからして不明瞭。それより、谷に進むリボンが見えこれが気になった。破線ルートで上がる予定であったが急遽変更し、このリボンの調査とした。伝って行くと、すぐに木橋で小沢を跨ぐ。管理された道のよう。なんとも不明瞭な進路だが、予想をつけて進むと何とか繋いで進める踏み痕だった。時に明瞭な道形幅も現れ、この時点では作道された目的が予想できなかった。

 進む先に、二つ目の木橋が現れる。今度のは1回目の朽ちたものに対し状態がいい。道が判らなくなり谷の中を行くも、どうにもおかしい。途中で間違えたか、はたまたここまでなのかと思うが、そんな中に上空に通電音が聞こえてハッとした。破線ルートがある尾根に対し、谷を挟んで南側にも尾根上に鉄塔が立っているのを地形図で確認出来た。こちらも巡視路か・・・。となると沢の中でなく尾根に上がったほうがいい。流れ易い斜面を這い上がって行くと、巡視路に良く見るプラスチックのステップが現れた。やはり少し手前でルートミスをしたようで、そして巡視路を伝って来たことがここではっきりと判った。周囲は植樹帯のような場所で、ステップに足を乗せて進んで行くと尾根上に乗り上げた。ここは一級の尾根道で、これまでと雲泥の差であった。このまま姥子山まで行ければいいが、そんな楽をした記録は聞いた事がない。

 
 「葛野川線9」とふられた送電線鉄塔に到達する。覚悟はしていたが、この先は藪であった。少しは通過した痕があるのではないかとも思ったが、枝を気持ちよく延ばした針葉樹が出迎えてくれ、腰を屈めるように分けて進む場所がいきなり現れた。少し進むと分けずに歩けるようになり、さらに南側に逃げるともっと楽になった。1350mを越えると、尾根上に大岩が現れ険しい雰囲気となる。連続する形で現れ、右へ左へと巻きつつ進む。これが見え出すと登山道が近く、最後の大岩を左から巻いてゆくと、実線ルートの上に飛び出した。東峰と西峰の鞍部で、迷う事無く東に進む。

 
 姥子山東峰到着。展望のいい場所であろうことがガスのかかった視界の中でも伺える。標識に1503と入っているが、これは西峰の標高点のはずだが、どうなのだろうか。その西峰は、ガスの中に辛うじて姿が見えている。湿気が強く服が真っ白になるほどに水滴が付着していた。雨具を着たいが、着て蒸れる方を嫌った。西峰に向かう。

 
 登り上げた薮尾根を左に見て西峰に向かう。そしてすぐに1503高点に到着した。がしかし人工物は何も無い。双似峰のように管理しているのかと思ったら、それは東峰だけだった。長居は無用で通過点のように通り過ぎてゆく。広い地形を経て、その先で奈良子線を跨ぐ。ここも舗装林道で、ちょっと趣がない。雁ヶ腹摺山の道標に従い西に進む。道標の多い一級の道に、やや足早に伝って進む。そろそろ晴れてきてもいい時間だが、展望のいい場所に来ているのに、まったく楽しめないのもちと残念だった。でもでも、濡れた新緑が美しく、これだけでも満足だったりする。

 
 林道を跨いで小一時間で、雁ヶ腹摺山に到着。ちょうど登頂を歓迎してくれたかのように青い空も見え出してきた。このまま富士が見えるまでになるかとも淡い期待をしたのだが、そこまでには回復しなかった。500円のその場所は、流石の展望地で居心地がいい。山梨百名山の標柱は設置初期頃のためだろう、既にかなり朽ちてきていた。少し呼吸を整えてこの先の破線路に控えるのだが、意外にもこのピークに大樺ノ頭を示す行政の道標が立っていた。ここから予想されることは、そう荒れた道ではない・・・。案内しているのだからそこそこ歩き易い道と解釈できる。さて向かって行く。

 
 心地いい尾根歩き。その先は雁ヶ腹摺山に登った高度を、勿体無いくらいに落として行く。その急下降の場所にはタイガーロープも流してあった。最初の1770mの屈曲峰にも道標があり、先ほどの想定は間違いなく、破線でありながら行政道標が続きほどほどに管理されているルートだった。藪尾根を期待していた者にとってはちと拍子抜けかもしれない。歩き易く、こちらも快足で進んで行く。湿気が多く喉も渇かない。水分を欲しない日でもあった。

 
 大樺ノ頭到着。今日始めての三角点が見え、刻みを見ると三等点であった。樹林帯の中ではあるが居心地のいい場所で、それは閉鎖感がない広さがそう感じさせているようだった。KUMOに似た標識がかかる。これを見るのはたしか3回目だと思うが、80年代や90年代の藪ハイカーにとっては「KUMOがある」と錯覚してしまうであろう。2000年以降で出てきたものだが、形状を含めたデザインの酷似するこれ、オリジナルを敬愛しすぎてここまでになったのかとも思えた。そして山名を違えて標識している。地元名に精通している方となろう。3座踏んで残り1座。東進して行く。

 
 大樺ノ頭の東側は、ほとんどの笹が枯れていた。そこに、それでも生息しているようでシカの足跡が見える。食べ物が乏しくとも居心地がいい場所なのだろう。そして峠のようなコルの場所に到達する。そこには道標が立つが、その先の道が消えたように見える場所であった。実際は野草や樹木のせいでそう見えるだけなのだが、この峠の場所に左右の谷側からのルートも在るように感じた。少し進み耳を澄ますと、またあの音がガスの中から聞こえてきた。

 
 唐松立到着。聳える鉄塔には葛野川線5番とふられている。そのコンクリートの基部が休むのにちょうど良く腰掛ける。またまた強くガスが覆い出した。最終座であり、少し長く休憩をしようと思ったが、早く帰れとばかりの薄暗さになった。この山頂は不思議な事にエニシダがあちこちに見える。黄色い花季を迎えたものがガスの中に浮き立つ。ここほどに大量に見たのは初めてかもしれない。トリカブトのように見える花弁だが、その紫色に対しこちらは鮮やかな黄色だった。ここからは林道に向け下山予定。想定してきた道はやはり南斜面に刻まれていた。下降開始。

 
 かなり細かいステップで切られている。それほどに急峻ということも言える。途中西に振って進む場所の先で、急に進路が見えなくなる場所がある。先の道を探すのに足踏みさせられたのだが、鋭角に東に進むように切られていた。何せ尾根上を意識して進めば外さないだろう。一気に下って行くと、またまた強い唸り音が聞こえてきた。林道に出るまでに鉄塔下を潜ってゆく。碍子の形状に寄っても大電流のこの音は違ってくるだろう。いつも思うのだが、頭を押さえつけられるような重低音に聞こえている。林道に降り立つ。

 
 林道は、ここまでも舗装されていた。東に進むとすぐに、林業関係者の車両が2台追い越していった。荷台には大量の木材が積まれていた。舗装と思いきやダート林道も織り交ぜられ、地形の弱い場所のみ舗装しているようだった。坦々と進んで行く。なにか山菜でもないかと見るのだが、ここは目ぼしいものは林道沿いには見えてこなかった。降りて行くと、追い越していった車両がまた登ってきた。舗装路以外のダートは、やや荒れた感じであり、飛び跳ねるように車体を揺らしながら登って行った。

 
 本谷橋のところは、ここは二つの支流の出会いで、右俣の方には沢沿いの道も伸びていた。右岸側に行くとコンクリートミキサー車が待機しており、その場所から西に新しい作業林道が切られていた。待機している車両の横を運転手に挨拶をしながら通過して行く。この先、小杉橋の所に姥子山への破線路入り口があるはずで気にしつついた。そしてその場所が見えてくる。ややモシャモシャしたルートで自然に帰りつつあるようであった。この場所から15分ほど歩いた場所にも、尾根に進む登路が切られていた。1164高点の尾根に登って行くのだろうが、現存する道の中ではこの道が一番伝いやすそうに見えた。見えただけなので実際は判らない。

 
 往路に山に入ったわさび沢橋に戻る。「こっちの方がよかったか」と1327高点への尾根を見上げる。実際に、その方が早く楽だったかもしれない。姥子神社を見なかったので、それも見れただろうし・・・。この先は既に歩いて判っている地形、時間も読めるのでトコトコと戻って行く。その間も追い越してゆくトラックが2台。なにか行き交う車両が多く意外であった。往路に気がつかなかったが、ゲートのすぐ上で、本谷を渡り左岸に行く橋が架かっていた。1205高点のあるナラ立に向かう道なのか・・・興味をそそる。

 
 ゲートに到着すると、追い越して行った方がゲートを開けて待機していた。話をすると、後続車を待っているらしい。そして最近このゲートの場所で熊が出たという。だからなんだと思ってしまうのだが、作業員にしては気になることなのだろう。林道でも見ることがあるらしい。山なのだから居て当たり前で、怖がることはないと思うのだが、そんな事を言ったら角が立つのは判っている。角の立たない会話をすると、「落石が多いから踏まないよう気をつけて」なんて言葉をいただく。ジモティーの温かさに触れる。

 
 振り返る。時間の制約がなければ、間違いなく大峰を含めた周回にすればよかったと思えた。春日神社あたりに下りるように計画すれば、いい感じの周回コースになるだろう。残してしまったので、次回は一座のみの落穂拾いになってしまった。


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