五丁坂頭山 1368.9m 大ハカ山 1377m 門桁山 1375m
三森 1304m 麻布山 1685.7m 戸中山 1610m
前黒法師山
1782.3m
2016.7.30(土)
少雨(ガス)のちくもり 時々晴れ 単独 野鳥の森ヤマガラの門より往復 行動時間:7H14M
@野鳥の森ヤマガラの門4:53→(16M)→A五丁坂頭山5:09〜10→(16M)→B大ハカ山(1377高点)5:26→(24M)→C門桁山5:50〜57→(11M)→Dウグイスの門(麻布山登山口)6:08〜15→(11M)→E三森(1304高点)6:26→(102M)→F麻布山8:08〜13→(11M)→G戸中山8:24〜25→(36M)→H前黒法師山9:01〜06→(26M)→I戸中山帰り9:32→(15M)→J麻布山帰り9:47〜50→(86M)→K三森帰り11:16 →(8M)→Lウグイスの門帰り11:24〜25→(42M)→Mヤマガラの門12:07
@野鳥の森、ヤマガラの門から入山する。 | よく管理された観察用散策路 | A五丁坂頭山 | A五丁坂頭山の標識 |
A北側から山頂を見る。 | 原始の森。ガスと来光で荘厳。 | B大ハカ山 | 見事な来光。ガスの演出。 |
門桁山南の観察舎 | C門桁山。大きな標柱が出迎える。 | C南から見る山頂部。 | C展望台。小雨によりツルツル。 |
この日より使い始めた蚊取り線香。効果絶大。 | Dウグイスの門前の休憩舎(トイレ付き) | D麻布山登山口 | E1304高点は三森とふられていた。 |
E山の神が祀られている | ひめしゃら休憩舎。名前は周辺の木々からとっているよう。 | みずなら休憩舎 | 途中のガレ地から見る前黒法師山側。 |
麻布山へのやや急な斜面。ここに至るまではなだらか過ぎるほど緩斜面尾根。 | その尾根を振り返る。 | 一番の急登箇所を振り返る。 | 麻布神社と彫られた標石 |
麻布神社跡地。建物の残骸が夥しい。 | こちらの建物もかなり崩壊が進んでいる。 | F麻布山 | F二等点 |
Fこれら大きな標識が3つ見られる。 | F健太郎さんの標識も見られた。 | F北側の山頂休憩舎。 | G戸中山 |
G戸中山標識 | 戸中山東のガレ | ガレから見る北側。ガスでいまいち。 | H前黒法師山 |
H新旧の標識。 | H三等点だが、大きさは立派。 | 前黒法師山西側の、鹿道の入り乱れた場所。 | I戸中山帰り |
バイケイソウ | J麻布山帰り | シカのスギへの食害 | こちらはヒメシャラの虫よう。亀の甲羅のよう。 |
K三森帰り | Lウグイスの門再び。 | 途中のホオジロの門 | 崩落地の様子。林道がそのまま抜け落ちてしまったよう。 |
オオルリの門。ここは利用者が少ないのか踏み跡は薄かった。 | ヒバリの門。この日はここからの入山者が一番多かった。駐車の様子から。 | Mヤマガラの門前に戻る。ここは観察舎があるだけで、水やトイレは無い。 |
この時期の深南部はヒルが出るらしい。そのためハイカーが減る時期でもあるよう。ただそこで、私の体験の中ではさほど嫌な思いがない。場所と気候の兼ね合いがあるかとは思うが・・・。今回も、その噂を気にせず深南部に突っ込んでゆく(笑)。
目指すは前黒法師山(水窪側の)。アプローチ道である天竜スーパー林道は、崩落による通行止め区間が発生しているよう。登山口まで車は入れられないようであり、よりハイカーが少ないであろう予測も出来た。私にはこの通行止めが有利に働き、おかげで五丁坂頭山と門桁山も抱き合わせにしたコース取りに仕上げられた。
ヒルが居るだろう場所に対し、何も装備せず出向くわけではない。ヒル下がりのジョニー、エタノール、虫よけスプレーを準備した。潤滑剤や他のスプレー類も試したかったが、ヒルの生態研究に行くわけではないので登山の装備の範疇までとした。余談であるが、ストローに入れ持ち帰った事もある。我が家のニワトリたちも突かなかったし、そこで殺生するのも憚れたので、放置しておいたらそのうちに居なくなっていた。それでも庭先からの繁殖は確認していない。アイツらには、生息できる環境ってのが一番重要なんだろう。
前夜21時家を出る。中央道を飯田まで走って、上村経由で兵越峠を越えて水窪地区に入った。水窪橋交差点から山住峠に上がり、そこから天竜スーパー林道に乗る。予想していた林道幅より狭い林道なので、ヘッドライトを頼りに恐る恐る進んでゆく。白山スーパー林道とか奥志賀スーパー林道を連想していたのだが、そこまですっきりとした林道ではなかった。経路では土砂降りの場所もあったが、ここでは深いガスの中となっていた。湿気が多いとヒルも出やすいだろうと危惧するのだが、まだ見えぬ敵に妄想は膨らむばかり。ヤマガラの門前に到着しエンジンを切る。やはり遠い、3時半になっていた。350kmほど走って到着。1時間ほど仮眠とする。
夜が白み始めたが、ガスが濃く周囲がなかなか明るさを増さなかった。二日間遊べる時ならのんびり出発でも良かったが、日帰りの予定なのでゆっくりとはしていられなかった。足元にはこれでもかとヒル下がりのジョニーを噴霧した。あまり対策をして足元を密閉すると蒸れて苦痛となる。ヒルが居るのが見えたら、また次の対策をしようとスパッツは着けずに出発とした。ヤマガラの門を潜る。
よく管理された道で自然観察路と言う言葉がはまる。野鳥と木々の説明板があり、ゆっくりと歩けばかなり学べる場所であった。知っている内容は端折り、知らない知識の場所のみ少し足を止めて立ち読みをしてゆく。歩きやすいように斜面には階段が作られ、緩斜面であってもそんな施しようであった。本当に野鳥が多いようで、かなりの鳴き声が聞こえてきていた。
五丁坂頭山到着。この山は「ゴチョウサカトウヤマ」と訓読みと音読みが混雑するような読みの山である。山頂部は平らで通過点のような場所であった。ここでは浜松ハイキングクラブの標識のみ山名を示していた。ガスが濃く、それがために樹林帯の中は小雨さながらになっていた。ポトポトと落ちる雨垂れに打たれながら歩いてゆく。湿度がかなり高いようだ。最初からずっと足元を気にしているが、まだ気配はない。細尾根を北に進み、原始の森と言う場所を経て次が1377高点峰。
1377高点峰には、大ハカ山と書かれた大きな標識が在った。先ほどの五丁坂頭山よりは山頂らしい山頂にも思えた。相変わらず状態のいい道で、延々と解説版が続き、いったいいくつ設置したのだろうかと、静岡県、浜松市の裕福な様子を目の当たりにする。でもそのおかげで、多くの知識が得られる。ここは学童の散策にもいい場所と思いつつ足を進めてゆく。
門桁山は、西側の肩の場所に観察舎のような休憩舎があり、東の登ってゆくと、鬱蒼とした高みに場違いなほどに太い標柱が立ち、山名を刻んであった。その北側に展望台が設けてあるのだが、見事によく滑るスロープで、足に力を込めながら登る。小雨状態であるが、蚋が舞いだした。雨でなかったらもっと発生し、包囲されるのだろう。今日は新しいアイテムとして、林業作業用の蚊取り線香を持ってきていた。ここで初使用。これが絶大な効果を発揮した。早くに使えばよかった。ん、ヒルより蚋の方を気にした方がよかったのか・・・。
門桁山の北側は、少し散策路が薄くなっている場所があり、道の在り処を探してしまう場所もあった。九十九折に降りて行く道を見つけ伝うと舗装林道に出て、ここがウグイスの門であった。トイレ付き休憩舎と、北側には麻布山の登山口が見えた。休憩舎の中に入り、ズボンを下げ、シャツをまくり上げ、細部までヒルの確認をするも存在は見えてこなかった。ヒル下がりのジョニーのおかげなのか、そもそも居ないのかは判らなかった。
さて前哨戦と言うか、準備運動は終えたので麻布山側に入ってゆくのだが、こちらのルートもまた、優しく穏やかで準備運動的にピクニック気分で登ってゆくことができた。こちらもまたよく管理された登山道であった。蚋の羽音がするが、纏わりつくことはなく逃げて行く。蚊取り線香様様であった。相変わらず木々からの雨粒に打たれながらの登山が続く。外気温はスタート時から変わらず18℃と心地いい。この涼やかさと、ヒルが居るのではないかと緊張する涼やかさと、二つの涼やかさを感じて歩いていた。
1304高点には社があり、おそらくは山の神であろうと見えた。三森と書かれた山名板もあり、これは大ハカ山と同仕様の標識であった。湿気の多さから蜘蛛の巣があちこちに白く見える。そこに時折入る日差しがあり、キラキラと輝いて見えるのだった。ガスが濃いのもまた楽しみを与えてくれる。
ヒメシャラと書かれた休憩舎が現れる。少しルートを外れた場所にあるのだが、より日蔭を選んだ設置場所と思えた。このルートは、ここまで至れり尽くせりだと思っていなかった。超一級路な印象を受ける。書いてあるだけあって、付近にヒメシャラの立派な立木が赤く見えていた。ここから45分ほど登ると、今度は周囲にミズナラの多い場所に、またまた休憩舎が立てられ、登山道はその中を通過して行くようになっていた。この緩斜面に、この施設に、こんな快適なルートはいつ以来だろかと思ってしまった。そしてこの場所は良く工夫され設置した場所で、ここを過ぎるとザレた急登斜面となる。その前にひと休憩って事なのだろう。
ガレ尾根には、細かく階段が付けられている。階段が無かったら、大無間山の鋸歯東のガレ場か大根沢山の南尾根の雰囲気に似ていた。ガレており樹木がないので展望地のわけだが、生憎のガスであまり周囲展望は楽しむことができなかった。振り返ると、伝ってきた緩やかな尾根が見える。上から見下ろすと水平に連なっているようにさえ見えていた。
急登が終わり樹林帯の中を進むと、まず最初に麻布神社跡がある。解説文が掲げられ、信仰が盛んであったころを学ぶことができる。先に進むと崩壊しつつある建物が左に見る。神社の社務所的施設か、林業関係の班場か、前者なのか近くの立ち木に「神社」の文字が読める。さらに北に進むと、「三角点」と書かれた分岐道標があり、本道から逸れるようにして向かってゆく。
麻布山到着。中央に大きな二等点が鎮座し、その周囲に大ぶりな標識が3つ掛かる。ほとんどが地元山岳会製のものであり、地元同士で張り合っているようにも見えてしまった。そんな中に、小さく健太郎さんの標識も下がっていた。だいぶ前に登ったのだろう判読不能になりつつあった。この付近も、あちこちの立ち木に解説プレートが付けられていた。本道に戻りさらに北に進むと、山頂休憩舎が建ち、その北側は空が開け明るい場所となっていた。
東には地形図に破線が続く。現地の登山道も麻布山までの管理でなく、さらに東側へもステップが切られ続いていた。これは予想外であった。壮大な登山コース製作中なのかとも思えた。伝いやすい尾根ルートで負荷がほとんどない感じ。もうこの頃になるとヒルの存在を忘れてしまうほどになり、たまに思い出すように衣服を見るも、見覚えのある軟体生物は見ることは無かった。その代りではないが、尺取虫は2匹発見する。似て非なり。
戸中山にも立派な標識が掛かっていた。この戸中山のすぐ東に崩落地形があり、通常ならそこからの展望がいいはずだが、この日はこの時間にしてもガスは晴れてくれずに展望を楽しむほどにはならなかった。少し東に進むと、尾根の南斜面に見事なまでのシカ道が幾重にも見える。何本あるのかと思えるほどに濃く深くできていた。それほどにシカが多いのだろう。時折警戒音も発していた。前黒法師山への尾根上には、偽ピーク的な場所が続き、3回ほど騙された後に、やっと最終目的地に到着した。
前黒法師山到着。賑やかな標識があった麻布山に相対し、前黒法師山には朽ちた古い標識と、金属製の標識との二つのみ見られるだけであった。三等点にしては立派な標石が埋まっているのだが、彫り込みを黒くなぞっているからそのように見えたのかもしれない。破線路同様に、現地もまだ先に踏み跡が伸びていた。東の主稜線まで繋げようとしていたのだろう。ここまでで4時間、もう少し足を延ばしてもいいが、未踏座は無いので今日はここまで。
往路を戻ってゆく。雨は上がり少し薄日が見られるが、どうも曇り空が晴れない。予報から快晴の下での暑い山旅を予想していたが、おかげさまで涼しく歩かせてもらっていた。途中単独の男性がすれ違う。ヒル情報がある中で果敢に攻めに来ている人が他にもいたようだ。大ぶりなザックを背負っていたので、黒法師岳側に抜けるのかもしれないと思えた。シカ道を見つつ戸中山に戻り、人工的に作られたプラスチックのステップを踏みながら麻布山まで戻る。
往路は気づかなかったが、麻布山の休憩舎の北側にも山名板が取り付けられていた。他に見逃している解説プレートは無いか、付近を見回しながら神社跡側へと戻ってゆく。どうやら見落としは無いよう。それにしてもたくさん掲げられていた。ガレ地のステップに足を乗せて行くのだが、歯槽膿漏状態になっており、緩くステップが外れてしまう場所もありドキッとする。往路同様の冴えない景色で復路も推移していた。
ガレの下あたりは、ルート上でここだけシカの食害が目立つ場所であった。この場所の杉が美味しいのだろう。そうでないとここだけって事にはならない。みずなら休憩舎の中を通過し、鹿の警戒音を聞きながら緩斜面の尾根を伝ってゆく。ウグイスの門から南では、かなりの野鳥の声がしていたが、以北のこのエリアでは、聞こえ方がだいぶ薄い感じがした。時間的な関係もあるかもしれない。
ひめしゃら休憩舎に立ち寄る。日陰に設置してあるので、中のベンチはややジトッとした表情をしており、座るには憚れた。1244高点を過ぎたら、1304高点までの登り上げ。往路は気にならなかったが、こんなに下がったのかと思える標高差を駆け上がる。1304高点の祠に、無事の帰還を挨拶してウグイスの門へと降りて行く。休憩舎に誰かいるかと思ったが、人の姿は無い。その代りと言っては違うが、閉じていたバリケードが開いていた。崩落工事の作業車両はこちらから進入していることがそこから見えた。
ウグイスの門からは、スーパー林道を辿ってゆく。8分ほどでホオジロの門を見るが、あまりここから歩かれていないのか、そこからの踏み跡は薄い印象を受けた。山手側からの押し出しが何か所もあり、それを排除した風景も谷側に残っている。途中の東屋の場所は、それらの集積場なのか、休憩所敷地の3分の2ほどが埋まり均されていた。この先で人の声がし出し、見ると工事車両が並んでいた。昼前だが既に昼休みのような休憩風景があり、その前を挨拶しながら通過して行く。時計は11時40分だった。
崩落個所を目の当たりにするのだが、登山道だけ歩くような人であったならば、引き返したいほどに抜け落ちていた。市販の2連梯子を目いっぱいにしても下まで足が着いていないほどに高低差があった。その垂直梯子を下りようかと思ったが、不安定そうなのと工事関係者でもない者が使っていいものかと葛藤があり、大きく下を巻くことにした。崖をずり降りると、何のことは無い、よく見たら作業道が作られていた。それはそう、作業員が重い荷物を持って垂直のはしごだけで作業場を往復しているはずはない・・・。無事向こう側の林道に乗り上げ、その先がオオルリの門だった。
オオルリの門までは車で入れそうに思えるが、その南側にゲートされており、ヒバリの門までが現在車で入れる最北となる。ここには4台の車が停まっており、尾根側で人の声がしていた。通行止めを知ってか知らぬか、ツーリングバイカーが上がってきては引き返す姿があった。スーパー林道なのでバイカーにおいても適当なツーリングコースなのだろうと思えた。この付近、どこからも水が得られない。汗を拭いたいような気分なのだが、流れはどこにも見られなかった。
ヤマガラの門に戻る。私以外にもう一台停まっているだけであった。ヒルの被害は一切なく、なんだと思いながら着替えをし出すと、腕をチクッとアブにやられた。すぐにリムーバーで吸い出す。しかし周囲にはアブだらけ。車内に逃げ込み処置をする。ここはヒルよりアブに注意しよう。
振り返る。超一級路であり、危険個所は特にないが、麻布山南のガレ地は、ステップが緩い場所があるので、そこだけ注意したい。帰路、山住峠西側の湧水地で水を得る。やたら冷たく、そしてやたら美味しい水であった。