東笠山 1687m 西笠山 1697.0m
2016.7.2(土)
くもり 単独 祐延ゲートより 行動時間:5H52M
@祐延ゲート6:46→(5M)→A祐延貯水池堰堤6:51→(5M)→B沢の入口(エキスパンドメタルの橋)6:56→(47M)→C沢の落ち口(藪に突入)7:43→(5M)→D山頂の草原に出る7:48→(2M)→E東笠山7:50〜51→(12M)→F西側への沢の落ち口8:03→(15M)→G熊野川出合8:18→(5M)→H西笠へ突き上げる沢に入る8:23→(21M)→I北側の沢の落ち口(ここより密な藪漕ぎ)8:44→(23M)→J西笠山9:07〜18→(68M)→K1615高点北10:26 →(42M)→L東笠山再び11:08〜24→(6M)→M沢の落ち口11:30→(44M)→N作業道に降り立つ12:14→(6M)→O祐延貯水池左岸12:20〜28→(10M)→P祐延ゲート12:38
亀谷連絡所(料金徴収ブース)6:00ちょうどにしか開門しない。水須が閉じているのでこちらから入山。 | 有峰ダム堰堤。この一方通行で、信号に掴まると長い。10分ほど待つ感じ。 | @祐延貯水池と祐延峠との中間地点付近にゲートあり。広い駐車場とトイレ舎がある。 | 祐延貯水池の様子 |
お堂に挨拶をして・・・。 | A祐延貯水池堰堤を渡る。 | A左岸側の設備 | 左岸には刈り払いしたての歩き易い作業道が続く。 |
B登路の沢の出合い。作業道にはエキスパンドメタルの橋が架かっている。 | 流れのある滑りやすい中を登って行く。 | 1420m付近。堰堤が表れた。道形は右岸にあるようだが、野草が覆っているので左岸側を登った。 | 1480m付近でタイガーロープが現れる。 |
1485m付近。2本目。 | 1490m付近。この沢一番の足場の悪い通過点。4本目のタイガーロープが流されている。途中の支点が外れているので注意。自前で20m持ったほうが安全。 | 1510m付近。右俣を選ぶ。 | 1540m付近。沢は涸れるが、流れは下を通っている。 |
1610m付近。完全に涸れ沢になる。水は1500m付近までに汲みたい。 | C1670m付近。濃い藪に突入するが、布のマーキングが導く。 | D草原に出る。 | D薄っすらと道形が山頂まで続く。 |
草原はニッコウキスゲが見頃だった。 | E東笠山到着。標識やリボンなどは皆無。 | Eこの標柱のみが埋め込まれていた。 | E東笠山から見る西笠山。 |
E東笠山から東側。薬師岳はガスの中。やや強い風が吹いていた。 | 山頂の南西1670m付近。この先のルート取りが難しい。 | F1650m付近。沢への落ち口付近に残るリボン。 | 伝いだしてすぐに2mほどの段差の場所があり注意が必要。写真の先。1640m付近。 |
1620m付近。1mほどの段差の場所を振り返る。1640mの場所はこれと同形状で2mほどの段差となっている。 | 1590m付近。緑の荷紐が流してある場所も見られた。 | G熊野川との出合。 | G出合いとしての注意点らしくリボンがされている。 |
H西笠山より東に降りる沢との出合い。ここで熊野川を離れる。 | 1630m付近。沢を覆うササの中を潜ってゆく。 | I1660m付近。沢の落ち口から密な植生の中を藪漕ぎ。 | I落ち口の目印となるタケカンバ。もう一つ南の沢を選んだほうが藪漕ぎ距離が短く出来る。 |
ハイマツとササの中を泳いでゆく。だだっ広い山頂部で、ガスがかかったら厄介な場所。 | 途中から東笠山 | J西笠山三角点を見つけ出す。けっこう探すのに難儀する。 | J三等点 |
J三角点脇にリボンが残るがほとんど目立たない。人工物はこれのみ。 | Jヤキソバパンを掲げる。周囲展望は木々に塞がれる。 | 南側の1680m付近から見る東笠山側。帰路は尾根伝いで進んでみる。 | 1660m付近。この谷を伝って登って来たほうが楽だった。谷を跨いで右側の尾根に進む。 |
右側の尾根に乗ったが、結局1660mに通過した沢の中に入ってしまう。 | 1600m付近。隠れた小沢があり滑落に注意が必要。 | K1615高点の北側に乗り上げ、1615高点を見ている。 | やっと薬師岳が姿を現す。 |
1600mの草地。この状態が続けば楽なのだが、まだまだ試練は続く。 | 1660m付近。漕いで漕いでまた濃いで・・・。漕ぐだけなら良いが、小沢があり何度も跨ぐ。 | 1670m付近より西笠山を振り返る。 | 1680m付近。もう山頂は近いのだが、草地は続かず隠れた小沢が続き、踏み抜いて段差の大きさにドキッとする。深い場所は2mほどある。 |
L東笠山に戻り大休止。 | L剱岳が見事!! | Lこれは毛勝三山か? | M沢の落ち口帰り |
1570m付近。向こう側に小口川線が見える。 | 1500m付近。滑りやすく、多くの石が動くので注意。さらに周囲の野草は弱く頼りにならない。 | 1490mの要所はロープを腕に巻きつけつつ制動をかけて下った。 | 堰堤の上から見下ろす。右岸側を伝ったが、途中で急下降になり戻る。堰堤脇に残るタイガーロープを利用して下った。 |
N作業道に降り立ち北側を見ている。いい状態で続く作業道。 | O祐延貯水池に戻る。 | Oすけのべ丸 | P祐延ゲートに戻る。 |
白山山系には、近接して西高山と東高山がある。一方立山山系には、西笠山と東笠山が近接してあり、いつか行かねばと思っていた場所となっていた。今回は立山の「東西」を狙う。北陸に住まいしている時なら間違いなく残雪期に狙う場所だが、西上州からの往復の経路を思うと、冬季は現地入りしての長い距離が高いハードルになる。そんなこんなで、有峰林道が祐延湖まで開通するのを待っていた。
前日の7月1日(金)に開通し、すぐさま出向く形となった。ネット上には残雪期の記録が多い中、好事家が藪漕ぎをしている。そこに読めるのは、以前は道が在ったと書かれており新たな発見もあった。道が在ったのなら、2座だけでなく熊尾山も抱き合わせられるだろうと地図を用意した。東側山腹に破線路が入っており衛星画像では鮮明に見える。日帰りでも十分射程距離に見えた。
11:45家を出る。上信越道を飛ばし、北陸道を流して立山インターで降りる。1年前はブルームーンの日であったが、この日は月が見えなかった。懐かしい景色を左右に見ながら有峰口まで進み、右折して有峰林道へと入ってゆく。亀谷連絡所前には既に1台停まっていた(3:30)。短時間でもじっくりと仮眠したかったので、民俗資料館の駐車場まで下って本気で寝る(笑)。30分ほど寝たら、再度連絡所前に行き2番目に並ぶ。ここは、管理舎内の管理人が出たり入ったりと騒がしく、併せて到着の車も次々と来るので寝るには不適格と思えた。まあ寝る場所ではないので、完全に自分目線なのだが・・・。4時に道路監視の車が入り、それが5時を回って戻ってきていた。少しフライングして開けてくれるのかと期待したが、6時ぴったりに開門した。
片側通行の信号が多く待ち時間も長い。有峰ダムの堰堤上の通過では、10分ほど待たされて先に進んでゆく。クネクネト進み、祐延峠を越えて下ってゆくと、左側にトイレ舎のある大きな駐車場があり、その先でゲートされていた。準備をしていると後続の車も到着し、「今からですか、水少ないですね」と声をかけられる。「ああ、山なんで・・・」と言うと安心したようであった。
6:20ゲートを越えて速足で下ってゆく。祐延ダム堰堤手前に2体の石像が安置されたお堂があり、しっかりと挨拶してから堰堤を渡ってゆく。コンクリートがだいぶ劣化した堰堤で、やや怖い印象を受けた。そう簡単には壊れないのだろうけど・・・。左岸側に行くと廃屋のようにも見える管理棟があり、上流側と下流側に作業道が切られていた。下流側に足を進めると、見事に刈り払いしてあり非常に歩きやすい道となっていた。小口川に降りて行く道にも刃物が入っているのが見える。進んでゆくと第一号横抗降り口と書かれた場所があり、ここからも道が降りていた。本日伝う沢は、このすぐ先の沢で、エキスパンドメタルで作られた橋が架かっている。水を流すようにエキスパンドを使ったのだろうが、大岩がその上に堆積し重そうに耐えていた。
流れのある沢に入ってゆく。この日が雨でなくてよかったと思える沢であった。まあ沢全般でそう言えるのだが・・・。入って4分ほどで、目の前にブロック積みの堰堤が現れる。直登は滑りそうであり左岸側を巻いてゆく。動く石が多く、常時濡れているのか滑る場所も多い。これには私の登山靴のソールの劣化もあるのだが、登りはいいとして下りは慎重に降りねばと思いつつ登っていた。
1480m付近でタイガーロープが流してある場所が出てきた。登山道の名残が見えてきたようだ。やや連続するように7mほどの長さが設置してあり、4本目のタイガーロープの場所がこのルートの核心部で、勾配の強い滑りやすい地形で、ロープが無かったら嫌な通過点であった。グリップのいい沢靴が欲しいような場所で、足場を確かめながら登ってゆく。
枝沢はちらほらあるが、太い流れのある側へ進めば大体合っているよう。1510m付近の枝沢でちと迷うが、ここは右俣を選ぶ。結果として全て右を選んだようだ。1540m付近で流れが枯れるが、歩いている下に音がしており、少し進むとまたちょろちょろと流れていた。汲む予定で居た場合は、概ね1500m付近までで水を汲みたい。1610m付近まで上がると完全に枯れ1660m付近で沢の落ち口があり、その先は藪となる。ここまでにもリボンが続いていたが、この先の藪の中にもこまめにリボンが続いていた。道形は見えるが、一部でリボンがないと不明瞭な場所も見られた。漕ぐこと5分で明るい草原の一端に出る。ここには赤い長いテーブ縛られ入り口が目立つようにしてあった。草地の中に薄く踏み跡が続いている。少し伝うが、周囲のニッコウキスゲが綺麗で釣られて逸脱しつつ進む。
東笠山到着。人工物はポツンと埋め込まれた境界標柱のみであった。西笠山が望めるが、その間には深い谷が入っている。薬師岳はまだガスの中で拝むことができなかった。熊尾山側も眺めておくのだが、1640高点が邪魔をしてその先が見えない。まあ行けるかどうかは往復してから決めればいい。まずは次の西笠山をきっちりと踏むこと。
東笠山から南西側にも薄い踏み跡が続いていたが、途中で有耶無耶になった。適当に谷に入ろうと進路を西に振ると、マーキングが見えてきて沢への落ち口には赤いリボンが下がっていてドンピシャで見いだせた。完全にたまたまであり、こんなこともあるもんだと思えた。落ち口から僅か進んだ場所で、高低差2mほど抉れている場所があり。気づかずに進んだら大けがをするような場所もある。新緑の時期でない方が歩きやすいとも思えた。右岸側を巻いて沢の中へと入ってゆく。このわずか先にも1mほどの段差の場所がある。クネクネと進む沢はブラインドカーブとなっており、獣でも居たら鉢合わせになるだろうと思えた。そこに時折マーキングが見られる。
やや水量のある沢に出合う。ここが熊野川の本流で、ここにも目立つリボンが下がっていた。右折すると下流側なので左折し上流側へと進んでゆく。少し水量があるので水没しないよう足場を選ばねばならない。熊野川を伝うこと5分。枝沢が西笠山側へ分岐しており、ここで熊野川を離れる。出合いからの最初はやや藪化した中を分けて行くと、これまでの沢のようにクネクネとしながら進んで行ける。
1630m付近で本流(左俣)は西側に進み、入ってゆくとどんどん西に行くので、戻って右俣側の沢に入ってゆく。30m程この沢で高度を上げ1660m付近で沢は消滅し、ここには目立つダケカンバが立っていた。振り返り見るようにして目に焼き付けておく。ここからが密の藪で、纏わりつくササやハイマツに対応して泳いで進む。山頂の大地に乗っているのは判るものの、三角点がどの位置に埋めてあるのかが全く見えてこない。そんなのっぺりとした山頂部であった。漕いでも漕いでも目的地が出てこない感じで、さりとてGPSを出すのも悔しいので、培った野生の勘を働かせて、点探しに入る。右へ左へ、何となくありそうな場所を見ながら見慣れた四角形を求めて・・・。
西笠山。なんとも難しい場所に三等点は埋められていた。点の南側に朽ちたリボンが下がるが、ほとんど現地に同化しており目立つものではなくなっていた。点はどうに見つけたかと言うと、小学生が落ちている硬貨を探すが如くに、ひたすらに下を見て・・・って言っても限度があり、少し植生が薄い場所を気にして探していた中で出てきた。山頂でありながら周囲展望がいいわけではなく、その広さが邪魔をしている。東笠山から1時間とちょっとで到達した。同じところを戻っても面白くないので、帰路は尾根通しで進んでみようと思った。これは安易な思考だった。
南東側に降りて行く。なるべく草地を選ぶように、藪の少ない場所を選びながら行く。ちょっとした選択で雲泥の差があるのがこの付近で、酷いハイマツの藪のすぐ脇には歩きやすい草地が存在したりし、そんな場所を経ると精神的にも辛い進路となった。ここも有視界だからいいが、ガスに巻かれればコンパスのみではかなり厳しい地形を体感する。尾根通しで行こうかと思って、1660m付近は谷を跨いで南側に乗ったが、その先で結局跨いだ谷に入って行ってしまった。これを進むと、熊野川の源頭部に出るのだが、その場所が複雑地形で危なく滑落するような場面もあった。足元の見えないその場所がササが覆うリッジだったりし、強烈な衝撃を受けつつ踏み抜き、腕力と握力で木々を掴み堪えた。
進路を1615高点に乗り上げようと真東を目指すも、現地植生がそうさせてくれず、薄い場所を選ぶと1615高点の北側に飛び出した。この間にももう一つ沢を跨いだ。塹壕のように蔓延る沢が、この一帯にはいくつあるのか、この沢筋に何度も冷や冷やさせられながら進むことになった。2mほど掘れている場所もあり、その淵から見えない溝へと体重移動したときの怖さたるや。このあたりではもう学習していて左右の手でササを掴みながら進むことをしていた。
緩やかに東笠山まで続く地形だが、積雪季なら本当に心地いいなだらかな斜面であろう。無積雪期の現在は、草地も存在するが、簡単に進める場所の方が少なく一向に楽をさせてもらえなかった。それには、沢と言うか塹壕と言うか溝と言うか、何度も何度も出くわし、障害レースのようになっていた。ただの藪なら乗り越えたり潜ったりの動作だけで済むが、加えてある溝が非常に億劫であった。まあその沢筋のおかげで、西笠に登れ、また東笠にも早くに到達できたのではあるが・・・。
東笠山に戻ったのが、西笠山を出てから2時間近く経過した頃であった。これは往路の倍であり、安易な選択が余計なアルバイトになってしまった。でもそうしたことで現地がよく判った。熊尾山まで行く予定であったが、ちょっと気持ちが続かないほどに疲れてしまった。こんな場所は二人で漕げばだいぶ疲労度が違うのだが、と愚痴をこぼしたいが、そうは言っても今後も単独なわけで・・・。喉の渇きを河内晩柑で潤し、ガスが取れ望めるようになった周囲の山々を目に焼き付ける。特に剱岳の姿は秀麗であった。
薄い道形に伝って藪の入り口まで行き、マーキングに導かれて沢の落ち口まで進む。そして一歩一歩に注意しながら降りて行く。藪漕ぎの影響か、やや踏ん張りの利かない下半身となっており、何度もバランスを崩してしまう。それには動く石の見定めも悪いのだが、それにしても動く石が多い。体の固さを後悔する場所で、股関節を柔軟に使って降りて行けねばならない場所であった。
1490mのナメ岩の急峻。肩がらみするほどタイガーロープは長さがなく、それより途中の支点にした木が折れて重くぶら下がっていた。ロープを腕に巻き付け制動をかけながらジワリジワリと降りて行く。季節を違えれば乾いている時もあるのだろうか・・・。ここだけの為に20mを持ち込んで、デポして行動してきてもいいだろうと思えた。タイガーロープも少し解れが見えだしてきていることからも。
堰堤の場所は、そのまま右岸側を降りて行くが、急下降する場所が野草に覆われ進路が見えない。これは不安なので堰堤まで登り返してブロックの際をタイガーロープに伝って降りる。このタイガーロープは下るためでなく、今ほど進んだ側へ導くものだったと思えた。この下側には危ないような場所はなく、汗を拭ったりしつつ降りて行く。よくよく、こんな時に転倒するのだが、だからこその注意はするようになった(笑)。
作業道に降り立ち祐延ダム側へ戻ってゆく。刈られた道草はまだ青い。つい最近の作業のようであった。堰堤所まで戻ると、出掛けに行き会った釣り師二人が管理舎の方から戻ってきて、「奥の方で結構釣れました」と言われていた。作業道からの小口川へ降りる道を教えてあげると、足を向けていった。前週は唐松岳に登っていたと言う。山屋でもあり釣り師でもある人らであった。すけべ丸、いやすけのべ丸を撮影してから堰堤を渡ってゆく。右岸に行ったらお堂へのあいさつは忘れない。祐延ダムを見下ろしながら緩やかに登ってゆく。
祐延ゲートの駐車場には9台の車が停まっていた。道が開いてすぐなので、この賑わいなのだろう。車の外観での判断になるが、釣り師が多いようにも思えた。蚋が多いと思い、その対策をしてきたが、強風のため一切の遭遇無しだった。
振り返る。この山塊は沢筋を使わない手はないと体感した。尾根筋でもそう大差ないだろうと思ったが、倍も違う結果となった。進路に障害のあるなしで、ここまでも違ってくる。となると、尾根通しで熊尾山まで行かずに良かったと今更思った。全て無積雪期の場合となるが、迷路のような沢筋の中は、ちょっと癖になるかもしれない。