黒岩峰   1446.3m         


   2016.4.16(土)    


  晴れ    単独      清水雪覆洞北より    行動時間:6H42M 

 装備:ザイル、12本爪、ワカン


@清水雪覆洞北(林道入口)5:25→(2M)→A林道終点5:27→(27M)→B西尾根670m付近5:54→(152M)→C1260m肩8:23→(50M)→D黒岩峰9:13〜49→(22M)→E1270m帰り10:11→(40M)→F1020m付近10:51→(53M)→G660植林帯11:44→(17M)→H二子沢雪覆洞北12:01→(6M)→I清水雪覆洞北12:07


iriguchi.jpg shimizukita.jpg  syuuten.jpg  syamen.jpg
@清水雪覆洞の北側に、見えるような林道幅で山手側に入っていっている。 @左の写真の場所から見る清水雪覆洞。 A入って2分で終点地となった。 急峻の斜面を上の方へ進むとヤブツバキの群落が現れる。
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B尾根に乗ると、地形図どおりに道形が確認出来た。 760m付近 800m付近。大岩を左に見ながら通過して行く。 830m付近。林班の表示。
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870m付近より上側を望む。 いたずら書きがされている。記述から、昨年に管理入山したよう。 950m付近の尾根右(南)側の岩壁 990m付近
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細引きが流してある場所がある。これの有無でかなり違う場所。 この尾根の主とも言える大きな古木。 1070m付近。バンドを伝って右上に斜上した。 1120m付近。この尾根の今回の核心部。バンドを伝って左(北)側の谷の源頭側へ進んで行き、そこでややセミになってしまう。
taninogentou.jpg  ribon.jpg  sasayabu.jpg  1200.jpg 
一枚岩的な場所に軽く土が乗り、弱い植生がある。騙し騙されながら登って行く。 道形が途絶えた後、始めて目にしたリボン。 緩斜面になると笹薮 1200m付近。シャクナゲの藪。
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1210m付近から雪に乗る。 C1260mの肩に乗ると、黒岩峰が現れる。 1270m付近から米子頭山側。 1280m付近。高度を上げていっても途切れ途切れで藪漕ぎが続く。
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1320m付近 斜度が強くなりアイゼンを装着 頂上直下 D黒岩峰から巻機山主峰群。
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D三角点が顔を出していた。この点は南側に傾いている。 D三等点 D南東側上越国境 D谷川岳側
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Dヤキソバパンと巻機山 D六日町市街地側 D山頂から下山開始 コルから見下ろす北側の谷。
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E1270m帰り。帰路は南に進む。 F1020m付近。尾根上は雪無し。 780m付近で、一度北に振ってから西に戻る場所。右に見えるブナに爪痕あり。 780m付近で尾根の藪がなくなる。
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G660m付近で植林帯に入る。 一帯はヤブツバキが見頃であった。 630m付近を最高所として、山腹にいくつもの水平道が切られている。 H二子沢雪覆洞北側に降り立つ。
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清水雪覆洞を潜って・・・。 I駐車場所に戻る。    




糸魚川での今季最後のスキー山行と予定していたが、前夜の某連絡協議会なる地域での会議が長引き、モチベーションが維持できなくなってしまった。21時半頃家に戻り、夕食を食べたら22時、そこから別の行き先を探す。天気は良さそうなので、やはり雪と戯れたい。さりとてストイックにチャレンジするような場所は避け、距離と難易度を適当な場所とし、巻機山西側の黒岩峰に行く事にした。


 この山の西側には、尾根と谷に不思議な破線が入っている。すぐさま衛星画像で確認すると、在るような無いような、別の筋なのか入っているようには見える。谷が雪で詰まっていれば谷を行き、ダメなら尾根を伝う二段構えとした。ゲジゲジマークの多い場所であり、いざという時の為にザイルも持つことにした。


 2:45家を出る。よく冷えた早朝で、これならもっと別の場所を狙えば長い距離を歩けたかとも思えたが、全てはめぐり合わせと結果でしかない。関越道を湯沢で降りて清水地区へ向かって行く。テーブルマークの工場脇を掠めて291号に乗る。ここから具に山手側斜面を眺めながら、黒岩峰が見えてからは各尾根と各谷を見える限り望む。上から見るのと下から見るのと違うものの、登りに際し下から見て判断するのが普通であり、そこに雪が無ければ無いとの判断になる。谷はほぼ全滅に見えた。上の方に幾分見えるが、伝えそうには見えなかった。


 双子沢北側のスノーシェッド群に到着する。北から清水雪覆洞、第二清水雪覆洞、二子沢雪覆洞と続く。地形図の破線路は、清水雪覆洞の北側のスノーシェッド途中から山手側に入っている。少し覗いてみたが、それらしい踏み跡は判らなかった。それより、ここから北側に100mほど進んだ場所に林道幅の道形があり、それの方に脈があると思えてしまった。道幅な広いが駐車余地がなく、登川側へと降りてゆく道の入り口に停めさせてもらう。道の先は送電線鉄塔で、それへの巡視路のような場所であった。


 国道でありながら行き合う車は乏しく、スキーヤーらしき車が2台清水地区側へ向かって行った。そう遠くない場所であり、まだこの時は楽な気持ちで構えていた。10時くらいには降りてこれるだろうとナメてかかっていた。しかし・・・。


 駐車場所から北に向かい、国道から離れて林道幅の道へと入ってゆく。何処に導かれるのかと期待しながら伝うのだが、何のことはない、入って2分の場所で行き止まりとなった。よく見てもその場所から派生するような道形は無かった。期待した道形はウルトラマンより軟弱で3分ももたなかった。しょうがないのでそのまま向かいの斜面を登って行く。北に流れの音がしており、地形図に太い幅での水線の入っている場所であろうと思えた。


 自然地形のまま登って行くと、尾根筋を右にして急斜面を這い上がってゆく形となる。破線を伝うはずが・・・向こう側を伝っていれば楽を出来たのかもと思ってしまう。それでもここには、ヤブツバキの群落があり目を和ませてくれていた。北から乗り上げるような格好になり尾根上に乗ると、残念だがしっかりとした道形が下から上がってきていた。ここは標高670m付近であった。


 尾根道の詳細は、林班の杣道で赤いプレートに番号がふられ上に続いていた。痩せ尾根なので、尾根道から外れることはなく、僅かに外してもすぐ上側で修正できるような場所が続く。このまま黒岩峰まで導いてくれるのかと思ってしまうほどにいい感じで続いていた。


 800m付近では大きな岩壁が現れ、そこを左に置いて登って行く。950m付近まで上がると、今度は進路右手に岩壁が現れる。ここはカモシカでも登れないだろう場所であった。990m付近には尾根上に大岩が現れ南を巻いてゆく。この僅か上では細引きが垂らしてある場所があるのだが、無かったら厄介な通過点であった。この辺りから腕力を使う行動が増えてゆく。


 尾根上にこの尾根の主と言えよう大木が現れる。幹直径で2mほどあろうかという大きなものであった。はたして何人の登山者を見てきているのか、そう多くないはずであり、この古木は全てを覚えているのかもしれない。1070m付近にも岩壁があり、わずかな手がかりを利用して右上に斜上してゆく。だいぶ高度を上げたので、対岸の無黒山と肩を並べるような高度となっていた。


 そして問題の1120m付近。ここで尾根上に岩が現れ、進路左(北)側にバンドのような地形があり谷側に導いていた。その先には西北西へと降りる顕著な尾根がすぐ近くに見えていた。僅かに進めばあちらに乗れると判断した。今居る西尾根の上側がやや密生しており進みづらく見えて、尾根を違えた方が登り易いと思えていた。結果としては、無理してでも尾根を伝ったほうが良かった。

 バンドに入ると、付近は一枚岩的場所に土が乗り、そこに木々が生えているような場所であった。クライミング要素めいっぱいでミスが許されない状況になってしまった。簡単に行けるだろうと思った西北西尾根は、近くに見えていながら遠く、横ズレすることが危なく腕力任せで直登してゆく。15分ほどの試練だったか、やっと安全地帯にとなり、元の西尾根側に戻ってゆく。と言っても、この標高になると顕著な尾根ではなくなり広くなる。そこに赤いリボンを見つける。好事家が伝った跡で間違いなし。


 スタートからの急登尾根が終わると、今度は緩斜面になるのだが、ここから笹の藪漕ぎが始まる。シャクナゲも混じり、赤い蕾が控えており、もう少し遅くに入山すれば綺麗な姿を見られただろう場所。麓側ではヤブツバキ、中腹ではシャクナゲの赤を楽しむことが出来る場所であった。そろそろ雪が出てくるかと予想したが、まだありつけずもがいて進む。ブナの大木を拾うように進んで行く。爪痕はほとんど見られず、この急登尾根は熊も通過しないように思えた。


 1210m付近でやっと残雪に乗る。まばらに繋がる雪を拾いながら、雪の有難さを体感する。そして1260mの肩に乗り上げると、ここで初めて黒岩峰のピラミダルな姿が現れる。何はなくても至る尾根の雪の状態を見てしまう。完全ではないが繋がっているよう。でも、地形図からは近い場所でありながら、現地ではまだ高低差があるので遠く感じてしまうのだった。


 1270mからいったん下り、ここも藪が出ていた。左には伝おうと思っていた谷が見えるが、ここからは白く繋がっているが、下流側でデブリなどで荒れている様子も見えた。帰りの選択肢としての下見だったが、却下となる。1300mを越えたらもう悩むことなく雪にありつけると思ったが、そう甘くなくササの中に時折突入する。もう僅かで山頂なので我慢しようと思ったが、斜度が強くなりアイゼンなしでは登れなくなった。久しぶりに刃物を装着し、鋭利な刃の感触を味わう。しかしこの先にも藪漕ぎが待っており、アイゼンを履いた藪漕ぎほど負担なものはなく、残雪と藪漕ぎはどちらかに住み分けしたいものと思ってしまう。直下はべったりと繋がっていた。


 黒岩峰到着。雪の下と思っていた三角点は、僅かに顔を出していてくれて三等と読むことが出来た。360度のパノラマ展望台であった。少し風があるが、それが心地よく感じる日であった。割引山へと突き上げる尾根が続くが、この先も雪が切れているところが目立つ。ここから進むにしてもかなり時間がかかるように思えた。ザックに腰を下ろし、ヤキソバパンを齧りながら展望を楽しむ。食後のデザートはこの時季定番の河内晩柑。


 さて下山路だが、いい加減に遊ばせてもらった西尾根はもうお腹いっぱいで下りに使いたくなかった。割引沢を含め、見える地形は見、想定できる場所は地形図から読み取る。南を見ると、何とも心地よさそうな雪面が広がっている。南斜面なのでより雪が無いと想像して予定に入れなかったアプローチなのだが、緩斜面の場所ほど雪が残っているようであった。真南に進んでしまうと、二子沢の堰堤群の場所に出てしまうので、1064高点で屈曲して二子沢橋へと降りてゆくルートと決める。


 めずらしく30分以上の長居のあと、往路の足跡を拾いながら降りてゆく。滑りだせばツーと行ってしまいそうな斜度であり、慎重に足を降ろしてゆく。藪に入ると、またまた快適だったアイゼンの恩恵が反対側を向き邪魔をし出す。ひっかけひっかかりながら分けて進む。そうしながらも、1270m付近からの南への進路を見定めつつ進む。鞍部から薮を漕いでその1270m雪面に登り返す。そして往路のトレースを右に見送り南に進んで行く。積雪量は1mほどで、べったりと繋がっているように上から見えたが、樹木の周囲は口を空けた場所が多かった。最良の進路を選ぶようにクネクネと樹木を分けながら進んで行く。


 1140m付近から南進から西側を気にして降りてゆくようにする。そこに顕著な尾根が出てきて、最初は尾根に乗っていたものの、尾根上には雪が無く、途中から東側の谷へと降りて行きに繋がりながら高度を下げて行った。それでも1064高点付近を起点に西に進路を変えないといけない。常に右に尾根を置きつつ雪を拾って行き、1064高点わずか下を掠めるようにして西へと進んで行く。この下側1030m付近で南への尾根に入ってしまい、藪漕ぎして西に修正する。尾根に乗ると雪は一切ない状態であった。


 ほとんど伝う人は居ないのだろう、人の気配のない尾根であった。藪の中には獣の踏み跡さえ薄い。それが濃くなるのがタムシバの群生する辺りからで、標高的比較では、地形図の北に見える破線路の途絶え方と似ているので、ここも人の踏み跡かとも思いたくもなった。780m付近にはブナがあり、そこに熊の爪痕が残っていた。ここから直角に北に進み、5mほど降りたらトラバースするように西に方向修正する道形となっていた。この場所はそのまま西に尾根が進めない地形で、そのように獣も通過しているのだった。


 道形が現れたが藪尾根で間違いなく分けつつ進んでいた状態が、730m付近で下草が無くなり、660m付近まで降りると杉の植林地となった。このあたりもヤブツバキが多く、赤い花を愛でながら降りることが出来た。植林帯の中を降りてゆくと、630m付近に水平道が現れ車道幅が南から来て北の谷を前にして止まっていた。どんな作道なのかと少し伝ってみたが、高度を落とすことなく南に横ズレしてゆくので、これは戻る方向に対し反対側に進んでしまうと偵察を諦める。これを最初に見てから、同じような水平道が次々に現れた。これまで尾根上に見えていた道形は有耶無耶になってしまい、水平道を縫うようにして藪斜面を降りてゆく。国道に降りる最後はやや崖地形で、山手側を向いて木々に掴まりながら降りて行った。


 降り立った場所は、二子沢雪覆洞の北口だった。軽く思っていた場所だが、けっこうに手応え、いや足応えを感じた場所であった。国道を二つのスノーシェッドを潜って北に潜ってゆく。地形図に見える508高点付近には、3つの池があり、もしかしたら水芭蕉でも鑑賞できる場所だったのかもしれないと見下ろしていた。ヤマト運輸の配達車がすれ違って行く。駐車場所に到着。


 振り返る。二つの尾根を歩いてみたが、全体構成を加味すると、どちらも似たかよったかに思えた。無積雪期であれば、往路の西尾根の往復が適当になろう。残雪期でも、もう少し多く残雪がある時期の方が楽であり、その場合でも南側よりアプローチした方が、より楽であろうと思えた。神字川を残雪に乗って遡上しても、また、破線路の描かれている598高点経由の谷を伝っても面白そうだが、双方は鋭利な尾根を両側に従えており、タイミングに併せて運も必要となろう。展望のいい場所であり、道が切られれば人気の場所となろうが、そうなれない自然地形なのだろう。


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