幕掛山 1409.8m : 三角点標高 1420m最高点
2016.3.12(土)
雪 単独 青木沢地区 武尊トンネル北側より入山 行動時間:4H12M
@武尊トンネル北5:45→(3M)→A導水管鉄橋5:48→(7M)→・田んぼの中行き止まり5:55→(7M)→B鉄橋再び6:02→(2M)→C斜面に取り付く6:04→(11M)→D植林地の北側に乗る6:15→(3M)→E芦ノ田越6:18→(21M)→F986高点6:39→(17M)→G1050m反射板ピーク6:56→(21M)→H主尾根に乗る7:17→(68M)→I幕掛山三角点峰8:25〜26→(4M)→J幕掛山1420m峰8:30〜31→(5M)→K三角点峰再び8:36〜44→(36M)→L1070mピーク9:20→(16M)→M植林地に降り立つ9:36→(2M)→N武尊川を渡る(歩道鉄橋)9:38→(5M)→O芦ノ田越古道入口9:43→(13M)→P武尊トンネル北に戻る9:56
@武尊トンネル北側に出るとすぐに林道が東に入っている。左岸。 | 歩き出してすぐに丸太の積んである場所がある。結果、この裏辺りから取り付いた。 | A武尊川を跨ぐ導水鉄橋。地形図の橋表記の場所。人間が渡れるようには考慮していない。 | Bまたここを戻る。雪が乗っておらず助かった。 |
C振り出しに戻り、針葉樹付近から南に向けて登りだす。 | D標高830m。植林地の北端に乗り上げる。おそらく昔は茅をここで採ったのだろう場所。 | E芦ノ田越。尾根が堀切のようになっており、小さい場所だが趣がある。 | E峠の場所に在った十二宮。 |
F986高点から見る幕掛山側 | 986高点南の吊尾根的場所。 | G1050m峰には反射板あり。 | Gドブづけメッキのアングル構造で、板はステンレス。 |
G反射板の場所から見る幕掛山。 | 1000m付近。最低鞍部付近には伐採痕も残る。 | 主尾根に向けてやや急斜面を行く。1050m付近 | H1100m付近で主尾根に乗る。 |
H登って来た斜面を見下ろす。 | 伐採痕が多い。 | ワイヤーもあちこちに残る。ワイヤーの掛け方から、西に木を降ろしたよう。 | 1160m付近。やや煩くなってくる。 |
1200mに大岩があり。ここにもワイヤーが残る。 | 1200から上側。少し進路を邪魔する。 | 1230mの肩。視界が拓け斜度も緩くなる。 | 最後の急登前。ここも展望地。 |
尾根上には標柱が埋まっていた。 | 1290m付近。凍っていたら厄介な斜面。 | 1390m付近。最初のニセピークのような場所。 | I幕掛山三角点峰 |
IG標が在るが変な形をしている。 | Iビスがとれ、鉄板の戻る力を利用して挟んであるだけであった。ナイスアイデア!! | I北側の様子。青木沢側が見える。 | I南側の様子。ほとんど展望無し(この天気のため)。 |
J幕掛山1420m峰 | J前橋営林局の標識が取り込まれていた。 | この山頂部。西へと導く矢印があった。 | K三角点峰のG標の着いている木は、このように奇形。 |
K山名事典もここで座標をとっているので、三角点峰でヤキソバパンを出す。 | 帰りの1270m付近。南側に遮るものが無く展望尾根。 | 幕掛山南面の岩壁。まさしく「幕」。 | 1270m付近より南側。晴れていれば谷川岳側の展望台的場所となろう。 |
途中で藤原湖を見下ろす。 | L1070mピーク。反射板ピークの谷を挟んで東の高み。 | L1070mピークから見る幕掛山。いい姿で。厳かさがなにか大日如来のよう。 | L二つ尾根が選べるが、北西尾根を降りて行く。 |
しばらく尾根伝いで降りたが、途中で谷の中を進む。少し流れの出た場所もあったが、ほぼ雪に繋がり降りられた。 | 途中の沢の出合い。流れを避けて対岸に見える雪面に乗り上げてから左岸側を降りて行く。 | M下に植林地が見えてくる。ここは植林地の東端の場所。北西に植林地を横断して行くと庚申塔の場所に行く。 | M庚申塔が立つ。一見、お墓のように見える。墓石の流用だろうと思われる。 |
N武尊川を渡る橋を見つけた。これを往路に探していたが、植林地の東端に存在するのだった。 | N二つの丸太の上に足場用パイプが組まれている。右岸側が斜めになっている。 | O集落内に出る。本道より少し下がった場所。 | O登って来た古道(中央) |
Oこの表示があった。本道側にも同じものがないと、この場所を訪れる人は無いだろう。田んぼの中の道の途中。 | 左の絵の場所から西に田んぼのあぜ道を進むと、行き止まりとなる。以前は道が続いていたのだろうが途切れ、30mほどイバラとササの中を漕ぐと、往路で行き止まりになった場所に出た。繋がっていたら橋に行けたよう。 | 田んぼの中の道を戻って行く。写真左の山の麓側へ。 | 三度通過する。慣れたが気を抜けない。 |
P武尊トンネル北側に戻る。除雪余地は2台分ほど。 |
足の速い今年の残雪期、雪の利を得てどんどんと歩かねばならない。みなかみの幕掛山もそんな場所。玉原高原側よりの尾根伝いのアプローチが一番安全行動となろうが、それにはスキー場を利用せねばならない面倒さが伴う。要するにリフトの始動時間に合わせねばならない。それは面倒なので、最良であろうルートに目を瞑り、他方法で計画を立てる。
地形図を見ると、山自体が戦艦のようで面白い場所。その周囲はそれを護衛するかのようにスッキリとしない尾根が多い。目を皿のようにして等高線を読んで行く。これが常々計画段階で楽しい時間。発想とかアイデアとかが試させる時間と言ってもいいかもしれない。先人の多くは平出地区から入山している。同じでは情けないし、この山の面白さは他にもあるかもしれない。夜後沢を詰めようかとも思ったが、既にトライしている人も居る。残すは北側からのアプローチ。そう思って地形図を見つつ、衛星画像を見てみると、なんと986高点の北側に、造成したような広い土地が映り、道が切られているのが見える。となると北側のどこかから標高820m付近の地形に上がってゆく道があり、武尊川が流れている事から、渡る橋がどこかにあるだろうと見えた。昨今は衛星画像により山旅の下準備がだいぶ変わってきた。得られる情報はすべて得て判断する。衛星画像は間違いなく登山の為の利器になっている。
1:48家を出る。嫌な事にみぞれ混じりの雨であった。渋川から17号を月夜野まで北上し、上津大原で右折して水上側へと進んで行く。するといつもはこの時季悪天であろう場所が、路面は乾いており状況が逆転していた。こんなこともあるのかと藤原湖へと進んで行き、青木沢地区に到着する。武尊トンネルを潜って武尊橋を渡り分岐を右折する。分岐から120m進むと右に枝道が降りているので、想像ではこの先に進んだ場所に橋があるのだろうと予想していた。しかし、車で進めるのは枝道に入って30mほどで、硬い雪が残り暗い事もあり偵察が出来なかった。適当な余地も無かった事から、武尊トンネル北側の余地まで戻り、ここで夜明けを待つことにした。ここからは実線路が書かれており、先ほど入った道と合流するので同じことになる。
外気温はマイナス2℃。いい感じに冷えているので雪の締まり具合に不安はなかった。5:30白み始めたので準備をしだし、今日はワカンをザックに結わえる。そのあいだ中、スキーヤーなのだろう武尊トンネルから出てくる車が結構ある。雪が少ない年なので、奥へ奥へと行くのかもしれないと思った。トンネル出口でモタモタと準備をしているので、出口を出た運転手の、ハッとする顔を何度も拝む事ができた。
5:45スタートする。苔生した丸太が積まれている場所を右に見る。残雪は全く沈まないほどに快適であった。しかし、進んだ先の橋は人や車が通過する橋ではなく導水用の橋で、そこに歩道らしきものは作られていなかった。鉄橋には雪は乗っていないものの、雪面からの段差があり、下には流れが見える事からドキドキしてしまう。ここでこの橋を渡らずに、左岸側が進めればよかったのだが、凍っているだろう雪の壁があり、リスクが大きくチャレンジはせず、ここを渡って右岸に行く事にした。H鋼の上を平均台のようにして進んで行く。右岸に行くと一人分のトレースがあった。用水管理のジモティーのモノと読んだが本当は判らない。集落から見下ろされる場所を、川沿いに東へ進んで行く。車が通れる幅のあるあぜ道で、クネクネと屈曲しながら進むような場所であった。時折武尊川を見ながら橋を探す。
トンネル出口から東側へ500mほど行った場所か、予想だにしない行き止まりとなった。道が途絶え目の前はイバラ混じりの笹薮で塞がれた。小さな流れがある場所でどの方向を見てもそこからの道形はなかった。こうなると作戦変更せねばならなくなった。橋を探し続けるよりは、間違いない方法としてトンネル側の場所に戻り上に登ってしまう方が時間的な無駄が無い。来た道を戻り、再び導水管の鉄橋を渡る。少しバランスを崩しヒヤッとしたが、強固な橋なので揺れは無く助かった。
丸太の詰まれた場所の西側斜面が登り易そうで、やや硬い雪面にキックステップで登って行く。ここはつま先が3センチほど入るくらいの雪の硬さで続いていた。普通にアイゼンを着けた方がいい斜面でもあった。登りながらも、この場所からだと986高点経由になることが想定させるので、地形図でルートを再確認する。ポコポコと高みを越えてゆくようなルート取りでちょっと不本意だが、橋が探し出せなかったのだからしょうがない。
標高830m付近、広い地形の北端に乗る。ソーラー発電の造成地かと思った場所は植林地で、伐採された跡のために衛星画像では造成地に見えたのだった。野球場が出来そうな広い場所で、そこに車道幅のようなものは見えない。それより986高点峰が聳え、そこに続く尾根筋がハッキリと見え、このコース取りも悪くないと思えてしまった。北側斜面にしてはその尾根筋に雪が少なく、造林作業がされた縁でもあり歩き易そうに見えていた。
地形に従い西に膨らむようにして進んで行く。すると尾根が始まる基部あたりに堀切のような筋が横切っていた。最初何か判らずその中に入ってゆく。すると西側を見ると道形が上がってきていた。こんな場所に山道が上がってきて乗越している事が判った。そこには石の祠があり、十二宮と刻まれ浄銭が供えられていた。この時はただの山道と思って気にせずに通過してしまった。
杣道のような薄い道形を追って行く。獣道のようでもあるが、林業関係者による踏み跡で間違いないだろう。尾根頂部が歩き易い場所と、少し東側斜面の方が歩き易い場所とあり、適当に選んで高度を上げてゆく。途中大岩を乗り越える場所があるが、ここは岩を巻かずにも乗り越えられる場所であった。この頃から曇り空からハラハラと雪が舞いだしてきた。前日までの予報は晴れだったが、山の天気は変わりやすい。同じ水上でも下界は降っていないのかもしれないとも思ったが・・・。
986高点の上に立つ。ここから植林帯の地形を見下ろすと見事。その先に青木沢の集落があり、視界を邪魔するものが無く大展望と言っていい場所であった。振り返り幕掛山側を見ると、“あれが本当に幕掛山でいいのか”と思いたくなるようなピラミダルな山容のピークが見える。でも周辺域で高い山はそこになり間違いないようであった。そこは近いようでもあり遠くにも見えていた。
986高点から南に下り雑木林的な中を次の高みへと向かって行く。下草は無いようで、雪が無い場所は一面の落ち葉の堆積した場所であった。向かう先に人工物が見えてくる。となると、そこに向かう作業道がどこかに切られているのかと考えられた。集落が在る西側の尾根か・・・。そんなことを思いながら西の尾根を見やりながら登っていた。
1050m峰到着。人工物は反射板であった。何か銘版でもないかと探したが、一切なく無記名の構造物であった。このピークからも幕掛山のピラミダルな山容が望むことが出来る。その方向のみちょうど遮るものが無いのだった。急斜面を南にずり落ちてゆく。深い谷が東側に入っているので、東に寄りすぎないように注意しながら繋がる地形を見定めて降りてゆく。東に顕著な尾根が見えるが、そこに繋げる尾根は下の方に行かないと見えてこない。
1000mの鞍部まで下ると、そこには伐採痕も残っていた。鞍部からの最初は緩やかだが、1050m付近からはアイゼンが欲しいような斜面に変わる。ストックで保持しながらキックステップで騙し騙しトラバース気味に登って行く。右の谷に降りて行けば、大滝の場所に行けるようだが、大滝からここに登る人も居ないであろう。
1100m付近で主尾根に乗る。この場所より上側で、刃物痕やワイヤーの残置品が多く見られる。ワイヤーを東側に張っている場所も見られ、平出地区側に木を降ろしたと読めた。大降りにはならないがハラハラと降り続く雪で、結晶が美しい雪でもあった。濡れたグローブが冷たく厚手のものにスイッチする。グローブは大事であり、冬季は常に3式持ち歩いている。
1160m付近。やや痩せた場所になり植生が少し密になってくる。その先に大岩のある場所もあるが、そこにもワイヤーが西側に残っていた。この上のジャンクションピーク的場所までは少しうるさい植生が続くが、それがために抜け出るとスッキリとした印象の場所に変わる。向かう先に黒い塊があり、その右(南)側斜面に岩壁があるのが見える。地形図を見ているだけに怖い場所にも思うのだが、出迎える尾根筋はどんな感じなのかと気になりつつ進んで行く。ここは展望のいい場所で南側に一切の植生が無く、天気が良ければ谷川岳側がすっきりと見えるだろう場所であった。
急斜面を登って行く。木の根や岩などがあり、凍っていたら厄介な場所に思えた。右側は岩壁の上になるので、寄らないようにしつつ登り易い場所を選びながら進んで行く。今日は不躾ながらアイゼンを使っていない。痛い目に何度も遭っているのにいつまで経っても判らないタイプとも言える。
1390mの最初の高みにフジオカTK氏のと思われるリボンが結ばれていた。普通にマーキングとして縛ったのだろうが、もしかしたら1183高点経由で登ったとも予想できた。ここまで登れば後は緩斜面が続く。少し踏み抜きも多くなるが、もう着いたも同然の場所でありワカンはザックに着けたまま進んで行く。
暮掛山三角点峰到着。丸くなったG標なのでおかしいと思い近づくと、留めネジが外れてしまったために、どなたかが工夫して取り付けたものであった。その上にフジオカTK氏のリボンも結ばれていた。ここは山名事典でも山頂として座標をとっているが、地形図を見ると東側の高みの方が等高線が一本多い。こうなると踏んでおきたい。東に僅かに下り、緩やかに登り上げる。このあたりも踏み抜きが多かった。
1420m峰到着。標識か何かがあるのが見える。ここを山頂とした標識があるのかと進んで行くと、前橋営林局のプレートであった。三角点峰付近から、周囲のブナに赤ペンキが続いているのが見えていた。何が書いてあるのか判読できずにいたのだが、ここでそれが判る。東側を向いた矢印が記されていた。スキーコースでも在ったのかと、復路は赤ペンキの西端を探すように戻ってゆく。
三角点峰で小休止。地形図を見ながら下山路を探るが、下りは986高点の谷を挟んだ東側の尾根を下る事に決めており、それと併せて赤ペンキの繋がりも確認したいと思っていた。持ち上げた白湯を飲みながら、潰れたヤキソバパンを齧る。ハラハラと舞う雪を纏いながら、当分来ることはないであろう山頂を堪能する。
赤ペンキを探すように進み戻ってゆくが、1390m付近でその先西側には見えなくなった。と言うことは1183高点側に降りていっていると言う事か、三角点より西にも在ったことから、パタッと無くなるのも解せない感じがした。慎重に木々に掴まりながら急斜面を下ってゆく。登りより下りの方が尾根斜面の全容が見えるので、ルート選びがし易い場所で、より安全な場所を選ぶことが出来た。
急斜面が終わると1270m付近の展望尾根。この下に夜後沢があるのだが、尾根から下は強い笹薮であり、南斜面の植生の強さを目の当たりにした。ジャンクションピークまで戻って北に屈曲して降りてゆく。踵を入れながらグングンと高度を下げて行き、1100mの往路に乗り上げた場所から下はトレースの無い場所へと足を降ろしてゆく。雪の付きの悪い場所も、残る雪を繋げながら進む。途中で気づき、尾根より谷の方が歩き易いと判断し谷の中へと入ってゆく。
谷の中は尾根歩きより格段に快適で、一部流れが出ていたが820mの沢の出合までは雪に繋がって踵を入れながら降りてゆくことが出来た。そして沢の出合の場所から流れが見えたので、左岸側の地形の雪に繋がって沢を右に見ながら降りてゆくと、下の方に植林地の地形が広がっているのが見え、下に降りたことが判った。ただし何処に進めば武尊川を渡れるかが判らなかった。最悪は濡れての渡渉と割り切って、適当に植林帯の大地を北西に進んでみた。
進む先の杉の木が密生する場所に、なにか人工物が立っている。間違いなくお墓の形状で、青木沢に住まいする方のお墓がここに・・・と思って覗き込むと、意外にも庚申塔と彫られていた。これは意外だった。でもお墓でも庚申塔でも、これらがここに在ると言うことは対岸へ渡る道が間違いなく在るはず。そのまま武尊川へと進むと、見下ろす武尊川にみごと橋が架かっていた。「あった」と声を上げそうになったが押しとどめ、探していたものがみつけられたことが嬉しかった。こんな場所にあったとは判らなかった。知っている人の方が少ないであろう橋。ここでは衛星写真でも見いだせない。
川の中に大岩があり、それに対し両岸から直径350mm程の丸太が2本づつ架けられ、その上に足場材で橋が付けられていた。大雨の為か右岸側が斜めになっており、ちょっと通過に気を使う。武尊川を見ると、橋の下流はナメになっていて緩やかな流れであった。右岸側の道に乗って登って行く。土地が柔らかいのだろう、泥濘な地形で道は続いていた。そして乗り上げた場所は、集落を通る舗装された本道より30mほど南でたんぼの中の作業道であった。何か標識があるので覗き込むと、そこに「芦ノ田越 古道入口」と書かれていた。こうなると、平出地区側の入り口も見ている事から、986高点に向かう時に通過した峠が芦ノ田越だったと言うことがここで判った。全てが繋がった感じ。あとは集落内の本道を通らず戻るルートが見出せれば全てが完璧になる。
西に向かって進んで行く。こちらもすんなりとした道でなく屈曲しながら進む道で、川に沿うように進んで行くと行き止まりとなった。そこに小さな用水がトラバースするように流れており、その横のあぜ道のような場所には踏み跡もあった。用水を右に置いて西に進んで行くと、田んぼの周りが笹とイバラで覆われている場所になった。なにか見たことがある。覆っている笹の下側を背伸びをしてみると、なんと往路に到達した行き止まりの場所だった。やはり以前は繋がっていたが、田んぼの管理をしなくなったのと同時に、刈り払いがされないので道も埋もれてしまったようだった。イバラに引っかかれながら深い笹の中を降りて行き、往路の行き止まりの場所に戻った。あとは往路のトレースを辿ってゆくだけ。でもしかし、当然だが早朝のような硬い雪面ではなく踏み抜きつつ進むような表情になっていた。
導水管の鉄橋をこの日3回目の通過。渡るのが上手になったかと言うと、全く変わらない。踏み抜きは益々増え、ここだけでもワカンを着けようかと思ったが、その面倒さよりツボ足で進むことを選んだ。民家前を通過したときからずっと、見えるのだろう番犬に吠えられ続けている。役目をしっかり全うしいい犬だと思える。トンネル前に到着する。
振り返る。往路に橋が見出せていたら、復路のコースを登りに使っていただろう。見いだせなかったおかげで、芦ノ田越に出合えた結果となり、それはそれで有益であった。雪を頼りに山旅をしたが、無積雪期でも登り3時間ほどを考慮して計画すれば狙える場所とも感じた。あと気になるのが1097高点峰と1183高点峰を結ぶ尾根。ここも急斜面は無く伝い易いように思える。踏査の結果、矢印が消えだした場所がこの尾根の上部。尾根の東にはスキー場のような緩斜面が広がる。スキーを履いてのアプローチも出来そうだが、山頂の直下がやや密な等高線か・・・。寂峰だが、そこそこ登るのに楽しい場所に思えた。そして上部では展望も伴う。