布岩山 1495.1m 高倉山 1330m
2016.4.3(土)
晴れ 単独 五宝木トンネル西口より 行動時間:4H58M
装備:スノーシュー
@五宝木トンネル西5:43→(79M)→A1460m肩峰7:02→(13M)→B布岩山7:15〜22→(9M)→C1480m峰7:31→(33M)→D鳥甲牧場南端に入る8:04→(22M)→E鳥甲牧場北端(車道を跨ぐ)8:26→(51M)→F高倉山9:17〜27→(18M)→G林道に戻る9:45〜47→(32M)→H屋敷五宝木線に出る10:19→(22M)→I五宝木トンネル西10:41
@五宝木トンネル西側から沢筋を伝う。 | トンネルの南側に上がると林道が上がってきていた。トンネル西からの林道が鳥甲牧場へと繋がっているよう。 | 1100m付近の谷の様子。これより下流は流れの出ている所が多く、左岸を伝って上がってきた。 | 1180m付近。最初のシュルンド。 |
1180m付近から谷の下側。向こうに高倉山。 | 1260m付近。小滝になっており、この上側はナメ。 | 1360m付近。なだらかになる。 | 沢(谷)筋の源頭部。1410m付近。 |
25日の降雪が、堅いバーンの上に乗っている。急斜面では表層がズレる。 | A1460mの肩峰 | 1460m峰から見る1480m峰。帰りは左に見える尾根筋を下る。雪が流れた場所。 | 本日通過。真新しい熊の足跡。 |
B布岩山到着 | B布岩山から南側の様子。 | B布岩山の南側の肩の場所が展望地。 | B布岩山から秋山地区側と構えるのは苗場山。 |
B鳥甲山側の様子。 | B南の肩から見る最高点側の様子。 | B最高所にはリボンが結ばれていた。 | 戻って行く北側。右に1480m峰、その左に1460m峰。向こうには越後駒などの山並だろう。 |
C1480mの最高点の僅か西側にリボンが3本結ばれている。北西尾根に導かれないよう着けられたのだろう。 | C1480m峰から見る鳥甲牧場側。 | 緩斜面ではスノーシューを滑らせ遊べたが、時折ゴッソリと流れる表層があった。春のドカ雪の注意点。 | 1430m付近の展望場。拓けていて心地いい場所。 |
1420m付近のリッジ。 | NHKの中継施設 | NHKの中継施設より南側の道形がハッキリと判る場所。 | 無線中継施設前通過 |
1150m付近。林道は九十九折しているが、それを串刺しにして進む。 | D鳥甲牧場の南端に降り立つ。ここからが広く長い。 | 厩舎(崩壊が進んでいる)近くを通過。 | コンクリート施設の高みを通過して・・・。 |
E鳥甲牧場北端で林道を横断 | 1150m付近で南東尾根に取付く。 | 1180m付近。分けつつ進む。 | 1290m付近。植生が薄くなり歩き易くなる。展望もいい。 |
F高倉山到着。 | FSK氏の赤い絶縁が出迎える。 | F高倉山側より南側。中央に布岩山。 | F北東側の様子。小松原よりのなだらかな裾野が見える。 |
F伝家の宝刀を翳す。 | 1280m付近の展望場帰り。 | 1160m付近にはこのような赤ペンキも見えた。 | どうやら境界の杣道が切られているよう。刃物痕も見られた。 |
G林道に戻り、ここでスノーシューを脱いでトンネル西まで舗装路歩行。 | 1097高点南東から見る布岩山(左)と鳥甲山(右)。その右は遠見山か。 | 鳥甲牧場施設に一番近づいた場所。北側の場所で西に折れて進む。 | H屋敷と五宝木を結ぶ車道に出る。五宝木地区の民家が見えるような場所。 |
途中から見上げる布岩山。 | I五宝木トンネル西口に戻る。 |
前週の予定の場所であったが、春のドカ雪に恐れ戦いて、一週空けての決行となる。布岩山は、2015年秋に実行された屋敷山と抱合せたSK氏のナイスファイトが報告されている。ゲジゲジマークの多い東壁を下りに使うとは恐れ入った。こうなると、私らしい山旅で返す刀で報告を上げたいと思ってしまう。屋敷山も未踏だが、同じではつまらないので、毛色を変えて高倉山を抱き合わせにしての周回コースを計画した。雪の少ない今季、豪雪地帯は如何に・・・。
栄村のウエブサイトによる積雪量情報は3月31日で終了した。逐一見ていたが、25日のドカ雪以降は降雪が無く残雪表示も減る一方であった。観光課に電話を入れると、それでもマイナス気温になれば路面が凍結するので、チェーンは持った方がいいとのアドバイスをもらう。でも気温は高くなる予報の日。そしてそもそもチェーンは持たない。現地で凍っているなら他の低山に・・・と思って臨機応変ないつもの思考で出向くことにした。
1:00家を出る。関越道を湯沢まで乗って、R353で十二峠を越えて十日町へと降りてゆく。津南町役場前からR405に左折し、期待と不安を抱きながら路面状況に注意しながら進んで行く。しかし前倉地区よりの林道で鳥甲牧場の方へ上がって行こうと思っていたら、十二社の先で林道を残雪が覆っていた。集落から先は除雪がされていないのであった。こうなると、残すは屋敷からのルートしか選べず、もし向こうが同じように不通であれば今回の予定は完全に中止となる。既にここで別の場所にしようかと頭をめぐらすほどになった。それでも、ここまで来ていて現地で判断せず頭の中だけで判断するのは寂しい。福井の我が師匠からは、雨でもなんでも現地に行って判断することを教わっている。屋敷側に向かって行く。
屋敷地区からの道は、こちらは除雪したようで路面に雪は一切なかった。雪はないものの黒く融雪の水が覆う場所は多いが、外気温は最低で5℃で、凍るほどではなく幸いした。フクベノ頭をやるときに一度伝った道、勝手知ったるように進んで行き五宝木トンネルに潜って西側に出る。路肩余地はなく、トンネル出口からの地形図に載らない林道の入り口だけが僅かに除雪してあり、そこに突っ込み夜明けを待つ。ここは辛うじて携帯が繋がり、アンテナが立ったり消えたりする中、ユーチューブを楽しんだりした。
白みだし準備開始。周囲の雪を確認するとかなり緩い。ワカンとスノーシューを持ってきたが、迷うことなく浮力で優位なスノーシューとした。ザックに結わえていざ出発。林道の除雪はしないとは思うが、林道入り口に停めるってのは、かなり気を使い歩きながらも時折思い出すことになる。
5:43林道の道形を右に見て、左側の樹林の中を登りだす。やはりゆる過ぎて、すぐにスノーシューを装着する。ここは沢の左岸的場所で、流れの音を左に聞きながら登って行く。進む先にピンクのリボンが見え、ここを登った人が居るのかと思ったら、その場所に上がると林道が横切っておりトンネル側に進んでいた。予想できるのは鳥甲牧場へのアプローチ道となろう。トンネル西口からの道形がここに上がってきていると考えていいだろう。横切るように斜面を進むが、ここからの南への直登は尾根の勾配が強くて避けたい。しかし東の主尾根に行くには沢があって渡渉せねばならない。しょうがないので、少しづつ高度を上げトラバースするように左岸側を進むことにした。
標高1000m以下では流れが出ていたが、それ以上は雪に埋まり沢の中を進めるようになる。と言っても、時折足の下から流れの音が強くしており、シュルンドが出来ている場所もあった。どこかで左に見える主尾根に上がらねばと思いつつ、一方で沢筋を伝うのも面白いかと、現状でどこまで行けるか試すのも面白いとも考えた。
1260m付近まで上がると、小滝のようになって流れが出ている場所が出迎えた。たいして危険度はないが、それでもスノーシューでは進みづらい場所であった。こんな場合はワカンの方が機動力は高い。装備で迷う部分はこんな場面に出くわす想像をした時。左岸側を巻き上げて流れの上に行くと、そこはナメ岩が見えていた。ここで右岸側を見ると、ピンクのリボンが登っていた。流れを避けてとなると、無積雪期のマーキングと思えた。
1300mを越えると、勾配が緩くなりかなり歩き易い谷形状となる。もうこの辺りになると流れの音は一切しなかった。見上げる上には北西からの尾根があり、そこに突き上げてゆく。上に行けばもっと楽に歩けるのは地形図を見ても判る。沢を伝うこと75分ほどで、源頭部に乗り上げ、ここが1410m付近であった。向かう先に高みがあり、地形図では肩のようになった場所に1460m峰が存在していた。山頂には太い自然木が生えている。この高みから南を見ると、1480m峰がデンと構えている。
1480m峰は西側を巻いて進んで行く。すると、巻き終えた南側に大きな足跡が尾根を横切っていた。そう時間が経っていないようで、急いで足先の方を見やり、東斜面に進んでいる大型動物を把握しようと尾根の東側に進んで行く。でも臆病な彼らが、こっちの思惑通りに姿を見せることはしない。今度こそ、向かう先に高みがあり、それが布岩山と判る。さらに向こうにはピラミダルな山容の鳥甲山が見える。緩斜面にスノーシューを添わせてゆく。これならスキーで登ってきても良かったようだ。もう少し時期が早ければ(通年だとこの時季でもいいだろうけど)登った谷でスキーになったよう。
布岩山到着。最高点より、少し南に進んだ肩の場所が植生が無く展望が良かった。雪山に居るのを実感できるように、周囲の山々が白く美しかった。屋敷山までわずかだが、鞍部までの150mほどの高低差が負担に思い南進はここまで。4キロ北の高倉山は予定した山であり、屋敷山を登ったからとて予定した山を残すと、それはそれでフラストレーションとなる。あくまでも初志貫徹で仕事きっちりなのだった。優柔不断で臨機応変と言いつつも(笑)。再び最高点に戻ると、ブナの幼木にピンクのリボンが縛られているのが見えた。雪面より下で、無積雪期の取付けと判る。展望を存分に楽しんだら往路を戻ってゆく。
1480m峰からは北東尾根へと降りてゆく。北東と言うより最初は東に降りる感じであり、東に寄りつつ進んだ方がいい場所であった。この高みにはリボンがいくつも見られ、屈曲する注意点として付けられている様子があった。スノーシューを少し滑らせながら進むが、スノーシューの下の雪がごっそりと動く場所もあり、表層雪崩と言う言葉が脳裏に浮かび、滑って遊びつつも、下方により樹木の多い場所を選び、万が一に備えつつ高度を下げてゆく。
途中1430m付近はこの尾根での展望地で遮るものが無く鳥甲牧場が箱庭のように見える場所であった。この先は僅かにリッジ形状の場所で、ここ以外はのっぺりとした尾根が続いていた。1270m付近からか、尾根上に道形があるような雰囲気となり、時折刃物痕も残っていた。それが、HNKの中継施設の場所まで到達すると顕著に見え、夏道が在るように広い道形がそこに見えていた。上で見たリボンはその為だったのか・・・とも思えた。
NHKの施設の場所は雪の高みが出来ていて、それを乗り越えてゆくと、もう一つ無線中継施設が右に現れる。この付近になると林道幅が見えだし、伝って進むと九十九折が始まる。雪があるのでそのまま直線的に進んで牧場の敷地に降り立つ。ここからが何とも長かった。牧場内も見えるし、高倉山の全容も見える。見えるところほど遠いと感じるのがいつもであり、ここでもご多分に漏れずそうであった。
牧場内は冬季の遊び場なのか、スノーモービルが縦横無尽に走り、その淫らなトレールが刻まれていた。南側はのっぺりとしているが、北側に進むに従いコース取りを上手にしないと起伏に掴まってしまう。楽をするには、除雪された林道を進めばいいのだが、折角の残雪期に鳥甲牧場の雪と戯れに来たのに、舗装路の上では芸がない。日差しの照り返しを真面に浴びながら起伏を楽しみながら北に進んで行く。
鳥甲牧場は既に過去の場所なのか、見える厩舎は無残にも朽ちていた。だんだんと高倉山が近づき、現物を見ながらコース取りを考える。南斜面は植林帯のような段々になっているような場所も見え、何か少し地形図と違っているようにも見えた。それでも、伝い易そうに見えるのは南東尾根で、南尾根は帰りにでも伝おうかと思っていた。
舗装林道を跨ぐ。うねるような地形の中を進み、1150m付近で尾根に取付き、1180m付近で主尾根に乗った格好になり、ここからは一本調子で登って行く。少し進路を邪魔するが、細い木が多いのでたいして負荷には思わなかった。そして1280m付近になると急に植生が少なくなり、そこからの展望が開けるのだった。もう僅か先が山頂で、その右側の吊り尾根の先に高みがあるが、これは三角点峰であった。目指すはあくまでも最高点。
高倉山到着。幹径250mm程のブナの木にSK氏の絶縁テープが縛られていた。木々の間から鳥甲牧場と、その向こうに先ほどまでいた布岩山が見える。ここまで見えれば御の字で満足に値する。開けているのは東側で、景色もそうだがR405号を走る救急車の音が良く聞こえてきていた。ザックに腰を下ろし小休止とする。地図を見ながら南尾根を検討するのだが、既にこの山頂から見た南側の残雪が細く伝いづらそうに見えてしまった。下に行っても林道にありつけるのは南東尾根の方が都合いい。往路を戻ることにした。
往路のトレースを拾いながら降りてゆく。忠実に尾根を拾って下の方へ行くと、1160m付近に赤ペンキがされ、大きく「界」と記されていた。そのわずか下側に刃物痕が見え、さらに下側にはリボンが連なっていた。道形が見えるが、やや自然に戻りつつある道形であった。伝って進むと見出標が下がっていた。登山と言うよりは林業関係の杣道のようであった。少し尾根が広くなると、何処に道形があるのか有耶無耶になり追うのを止めてしまった。
林道まで戻ってスノーシューを脱ぐ。トンネル西口までの最短路は、牧場内を通過し真南に進めばいいのだが、だいぶ日差しが強く腐れ雪になりスノーシューの上に乗ったりし纏わりつくようになってきた。ここは距離は長いが舗装林道を伝った方が省力でき、かつ安全で安定していると判断した。
南進し鳥甲山側を愛でながら戻ってゆく。この道は鳥甲牧場の施設内を通過せずに、その手前北側の場所から西に折れてゆく。この時、牧場関係者なのか、津南町の役場職員なのか、実直そうな人が運転する軽ワゴンが伝ってきた林道を北に進んで行った。すぐに積雪で行き止まりになり戻って来ると思ったが、いっこうに気配がない。となると上日出山側には除雪され抜けられるって事になる。閉じているのは最初に入った前倉のみとなるようだ。自分の実体験と他人の様子から、だいぶ付近の様子が見えてきた。その情報を次に自分が使うかどうかは別として、何事も知っている事が大事。
西に向かって緩やかに降りてゆく。九十九折りの道を忠実に伝ったのだが、ショートカットできそうな雪面が見えてはいたが、深いツボ足になることは見え見えであり、それよりは大回りでも舗装路の方が楽であった。少し喉が渇き沢水を飲もうかとも思ったが、上は牧場であり、そこからの下流域なのでさすがの私も躊躇した。飲ますに我慢。
屋敷五宝木線に出る。伝ってきた林道側に対し通行止めの看板が出ていた。緩く登り返すようにトンネルに向かって行く。向かう先に、そそり立つように布岩山が構えている。登頂した後なので、挑まねばならない不安はなく安心して見ていられる山容であった。春を迎えるにあたって、工事関係者が入っていると思ったが、それらしい気配はなかった。この一帯は、ガードレールとなるワイヤーがすべて外してある。外すほどに雪深いと言う証拠となろう。
五宝木トンネル西口に戻る。トンネル入り口にオブジェとして掲げられている雪山の景色が、今日の日のようであり微笑ましかった。残雪があり雪解けの頃の今が、一番美しいのかもしれない。
振り返る。五宝木トンネル側から布岩山はスキーでも楽しめる山と思えた。さすがに高倉山は滑れないように見えるが、それでも、もう少し早い時期ならスキーも使えるだろう。山中も心地よかったが、広い牧場歩きも遮るものが無く心地よかった。全ては雪があってこそ。そして風が強くなかったから。自然との遊びは自然を味方にしないと・・・。