矢場ノ山 1480m
2016.5.14(土)
晴れのちガス 単独 毛渡沢林道ゲートより 行動時間:4H4M
@ゲート4:36→(18M)→A群大ヒュッテ(バッキガ平)4:54→(46M)→Bダイコンオロシ沢渡渉点5:40→(71M)→C矢場ノ頭6:51〜55→(49M)→D渡渉点帰り7:44→(37M)→Eバッキガ平8:21→(20M)→Fゲート8:41
@林道ゲートからスタート | @ゲート前の駐車余地前の橋 | A群大ヒュッテ | Aバッキガ平の橋 |
林道を離れ山道に入る。 | 小さな渡渉点が続く | ルートが高巻きをしだす場所を見下ろす。やや不明瞭。 | 高巻きへと移行して行く道。 |
最初の大きな渡渉点。 | B二つ目、こちらがダイコンオロシ沢の本流か・・・。 | Bケルン | 大きなナメクジ |
発芽したブナが多い | シャクナゲが見頃 | 晴れていたがガスが急激に上がってきていた。 | C矢場ノ頭南の登山道が乗り上げた場所。最高所はこの北側。 |
C矢場ノ頭最高所。 | C仙ノ倉山 | Cダイコンオロシ沢(左)とイイ沢(右) | Cシッケイノ頭の下降に使ったダイコンオロシ沢。 |
少し下った場所から日白山 | シッケイの頭 | オオカメノキとミツバツツジ | 全てブナ |
コシアブラを少々いただく。かなりの良品。 | D渡渉点帰り | D西ゼンノ沢上側。この日、ここを登って行く単独の猛者もいた。 | D下流側 |
タイガーロープが流してあるほうの渡渉点 | 高巻きを終えて川岸に降りた場所。往路も復路も不明瞭な感じがした。 | 左の場所を下流側から見る。往路はここで左に。私は右に乗り越えて少し悩んでしまった。 | E林道に出る |
Eバッキガ平の橋から見る群大ヒュッテ | Eバッキガ平から平標山側 | 毛渡沢のこの時期は釣師も多い。 | Fゲートに戻る |
F駐車余地は満車で、下流側のトイレ?脇にも置かれていた。 |
上越国境は湯沢側に、落ち穂として矢場ノ頭を残していた。それも近接して2座存在し、どう面白く山旅しようかと思案していた。大きく縦走形式にしても良さそうだが、トレイルランナー諸氏や猛者ハイカーが既に記録しているようであり、ここはそれのみのピストンのほうが面白みがあるのではないかと思えた。
茂倉新道の方の矢場ノ頭は一級路であるが、平標新道側は少しグレードが落ちると把握している。距離的には平標側が長いようだが、平たん路も長く負荷が大きいのは茂倉新道側と地図から読み色々を天秤にかけた。2座同時に狙うものの、なにかあれば片方のみの場合もある。そのためによくよく精査しておく。と言いながら毛渡沢沿いの林道が、何処でゲートされているのかは知らなかった。下準備の悪さも多い。
関越道を湯沢で降りて土樽側へ向かって行く。毛渡橋は工事中だったが、土日は通すようで「休工中」と貼られていた。でも橋の下では実際に工事していた。通過は平日は制限がかかるようであった。迷いつつも、急登の多い茂倉林道を先に登る事にしていた。毛渡沢側の林道ゲートの場所だけ先に見ておくことにして、平標新道へと導く道標に従い分岐を曲がって行く。
残雪期しか入ったことのないこの林道。かなり手前で止められるのかと思ったら、意外や入れ、ここまで進めるならこちらを先に旅してしまおうと考えた。ゲート前には袖ヶ浦ナンバーの車がポツンとあった。普通に、この人も平標新道なのかと思いつつ夜明けまで仮眠に入る。大きな警報音で起こされる。袖ヶ浦ナンバーが、車の揺れを拾ったのだろう警報音が鳴ったのだった。うっすらと夜が明け始めた頃で、こちらも準備する。
装備を身に纏いゲートに向け袖ヶ浦ナンバーの横を通過すると、待ってましたとばかりのタイミングで運転手が出てきてこう言った。「今日は右に行きますか、左に行きますか」。瞬時に頭のなかに入れた地図を開くも、言っている意味が判らない。どうして分岐するのか・・・。適当な答えが思い浮かばず、「現地に行って考えます」などと、質問の意味が判らずもこんな答えをしてしまった。当たらずも遠からずではないが、スタートで時間をとられもたつくのは嫌なので、無難な方便を使う。
ゲートを越えてゆく。ゲート脇は自転車も小型バイクでも通れる幅があった。林道を歩きながら先ほどの謎かけを考えつついた。雪の無い時期にシッケイノ頭がある仙ノ倉北尾根の選択はないから、尾根の話ではない。そうか沢か・・・と思って今日のスタイルを見直した。足には長靴を履いている。袖ヶ浦の御仁は釣り師で、私の事を同業者と見たのだろう。そして仙ノ倉谷と毛渡沢に対し左右と言ったのだろう。目の前に群馬大学のヒュッテが見えてきた頃、この答えに行き着いた。
バッキガ平に入り橋を渡って右岸側に行き、カーブしだす場所から林道を離れ山道に入って行く。ここからの道は小さな渡渉や泥濘地もあり、足許を長靴にしたのは大正解であった。本流とは別の小さな流れを見ながら進むのは心地いい。ここは梅雨時に降られながら歩きたいとも思ってしまった。
林道から離れて15分ほどすると、続いていた道形が見えなくなり、中洲側に進むのかと思ってしまった。冬季は中洲側を伝ったので、そんな印象を持ったのだが、それでもそれでは不明瞭すぎるので、付近に続く道形を探すと、どうも高巻きするようで、何となく踏み跡が見えてきた。6mほど斜面を駆け上がると、これまで続いてきた道形が南から上がってきていた。どこかで道形を追うのを間違えたようであった。迷いやすいのはここのみで、あとは一般的なルートであった。
タイガーロープを流した渡渉点が現れる。左岸に渡った先で、90度右に曲がる形の道で、それも下る恰好なので進路が不安になる。でもこれが正解でこれ以外に道はない。この先の渡渉がダイコンオロシ沢となり、2015年3月末に上から降りてきた場所となり、雰囲気が印象に残っている。二つに分かれているようで東西に2本流れがあり、2本目に立派なケルンが立っていた。ここまでは散策路的で、ここからやっと勾配が出てきて山歩きのスイッチが入る。
登って行くと、普通にブナの種を足許に見るのだが、いやに発芽しているものが多く、その数に驚く。これがまともに根付けば、ここだけではないだろうから、一帯がブナの密生帯になってしまう。昨年の秋以降からの気温がこのような状況にさせているのだろうが、これほどに獣が少なく食べられていないとも取れる。ちらほらとコシアブラも見え、これらも芽吹きの良品ばかり、帰りのお土産に品定めをしておく。
高度を上げるとシャクナゲが見頃を向えており、優しいピンク色が目に心地よかった。進路左にシッケイノ頭が見え、伝ったダイコンオロシ沢が良く見える。当日現地でイイ沢に行こうかと迷ったが、こちらから見ると優しい表情はダイコンオロシ沢で、当日の判断は正しかったよう。そうこうしていると、急激にガスが上がってきて、晴れていた付近が曇りだしてきた。今日は早い時間に視界がなくなるのかと思えた。
矢場ノ頭は登山道は西側を巻いて進んでいってしまう。巻き終えて尾根に乗った場所から、戻るように北に登って行き最高所に立つ。藪漕ぎ区間は15mほどか。人工物の何も無い山頂であった。西側は樹木に遮られ東側が開けている。すぐ下に登山道が見え、巻き始める場所から直登してしまったほうが楽な場所であった。矢場ノ頭に居ながら、次の矢場ノ頭(茂倉新道)があるのですぐに下山に入る。
目をつけておいた場所で、一握り分のコシアブラをいただく。採り過ぎない。これが山の神に叱られない為の山の掟。下りはブナの発芽したものを踏まないように歩くのが大変であった。何れ誰かに踏まれなくなってしまうのだろうが、一つ一つが生き物と思うと出来る限りは避けいたいと思ってしまう。急降下して渡渉点に降り立ち、雪解け水で喉を潤す。飲んでみると微妙に甘露。飴を舐めていたわけではないですが、どなたか賞味して感想を・・・。
二つ目の渡渉点を越えて山道を進み、高巻きの道を終えて川岸の場所へと降り立つ。往路に少し迷った場所なのだが、正確な道の場所が判ると尚更、不明瞭に思えた。小さな渡渉点や泥濘地を抜けて林道に出る。群大ヒュッテ前へと左岸に渡り降りて行くと、重装備の長靴ハイカーがすれ違う。「釣れましたか・・・」。やはり釣り師に見えるよう。「いや山なんで・・・」と返すと、「僕と同じですね、今日は西ゼンを行ってみようと思います」と言い、ヘルメットの装備がそこで理解できた。御仁も足元は長靴で、端から見たら同じパーティーに見えたであろう。その先で単独のハイカーがすれ違い、平標新道のスタート時間は、平均は8時頃のようであった。
見える毛渡沢には、釣り師が多い。先ほどのガスは何処かに流れて行き夏のような陽気になっていた。釣り糸を垂れる姿が見ていて涼しそう。山ではなく散策に訪れているカップルなども居り、気候の良さと合わせて、ここの自然地形の良さを感じる。テクテクと、それで居て少し足早に進みゲートに到着する。
駐車場は満車状態であった。半数以上は釣り師のようで、経路で行き合ったハイカーは二人のみであった。旅姿のまま車に乗り込み茂倉新道へと急ぐ。駐車余地下流側の小屋の場所にも、停めている車が見えるほどに賑わっていた。