無黒山 (葎山)    1049.7m  
                                             
                                      

   2017.4.1(土)


  曇り    単独     清水地区雲天から   行動時間:3H5M


@巻機山冬季入山口5:28→(5M)→A登川を渡る5:33→(10M)→Bロクロ沢を渡る5:43→(26M)→C南東尾根取付き6:09→(52M)→D990m雪庇7:01→(9M)→E無黒山東峰7:10〜13→(6M)→F西峰7:19〜20→(6M)→G1000m鞍部7:26→(27M)→H二つ目の堰堤7:53→(21M)→Iロクロ沢帰り8:14→(11M)→J登川帰り8:25→(6M)→K駐車余地8:31


   
@林道入口は雪の壁 @切り崩して這い上がってゆく 雲天の看板に導かれ林道を進む A登川を渡る。ここまでカンジキトレースが在った。
       
A登川上流の様子 ロクロ沢右岸の平坦地 小屋の先に塚のような高みがある。 Bロクロ沢の橋と西谷後沢出合との中間くらいまで雪に埋もれていた。
     
広く平らな西谷後沢右岸 最初の堰堤。容易に右岸を巻く。 堰堤上から上流 針葉樹の場所が南東尾根。その右の斜面は広く開けているが雪崩れるだろう斜面。左に二番目の堰堤。
       
C二番目の堰堤前で尾根に取り付く。 790m付近。ここまでが最初の急登。 790m付近から振り返る。 800m付近から先。しばらくなだらか。
       
820m付近から東の斜面を見る。ゲジゲジマークの斜面であり、割れている場所も多い。 820m付近から振り返る。西谷後沢が遠くなった。 尾根幅が少し絞られる場所もある。 シカが先行している。
     
D990mの雪庇。体を投げ入れるようにして乗り上げる。 D990mから西側 D登ってきた南東尾根 直下。雪庇は北側へと巻く。
     
巻き終わった場所から棚地形を見る。 E無黒山(東峰)登頂 E登ってきた側 E北西(塩沢)側の様子。
     
Eシカの食害が多く見られる。 E快適なスノーシュー歩行だった。 E西から東 E河内晩柑の時期となり
     
F西峰も東峰同等に広くはない。 F西峰から見る無黒山三角点峰 雪庇は4mほどの堆積。 うねりくねる尾根を進む。
       
G1000m鞍部から東に下る。 雪庇の下はシカの休息地になっているよう。風除けか。 雪庇の造形美 谷を降りてゆく。雪崩れそうな嫌な傾斜が続く。
       
無黒山からの谷の出合では30mほどの雪崩痕が見られた。 喉のような地形に向かうも、足の下はデブリが感じられる。 100mほどのデブリが続く(新雪が覆う)。左岸側をすり抜けるように進む。 H第二堰堤の右岸は沢に向けての急斜面になっていてトラバースし難い。
       
降りてきた鞍部(中央が下降点)からの斜面を振り返る。 Iロクロ沢を渡る。橋の下流側まで雪が覆う。 小屋帰り 黒岩峰を望む。峻峰でどの尾根も勾配が強い。
       
J登川を渡る K駐車余地に戻る。皆巻機側に入山している。    




 

残雪期の貴重なタイミングであり、長駆の予定を入れたかったが金曜日がどこも雨で翌日も引きずるよう。場所によっては雪のようでもあり無理はしない計画にする。雨雲の様子からは越後方面が天候はいいようで、新調したスノーシューの様子を確かめるためにも豪雪地帯に足を向け、旧塩沢町の無黒山に行くことにした。


 WEB
上に見える記録は二つ。SK氏のものとパーティー行動しているもの。林道が除雪されているようで前半は伝ってゆけるようだ。しかしなのだが、この時期人気の巻機山に対し、近くでありながら人気のなさはなぜだろうと思うのだった。等高線からはそんなに悪い斜面ではない。スキーで遊べる場所に見えるのだった。


 1:30家を出る。上州は向かう意欲をそぎ落とす雨がしとしとと降っていた。関越に乗り土樽に抜け出ると、あら不思議、路面は乾いていた。川端康成ならこれをどう表現しただろう。塩沢石打で降りて清水地区へと向かってゆく。途中のテーブルマークの工場からはモクモクと水蒸気が上がり、深夜でありながら作業員の姿も見られた。


 国道291号を清水地区へと向かってゆく。カーナビに見える無黒山を確認しながら、林道の入り口を右側に探しつつ進む。568.8三角点の場所が入り口のはずだが、入り口などはなく雪の壁が続く。そして在ったと思った場所は「雲天」の場所で、除雪された道が下りて行っているので進んでみると、住宅の下側で除雪は終わっていた。国道に戻りスマホを操作しながら林道入り口を再度確かめる。今年はまだ雪が多いのか、除雪の除の字もされていなかった。しょうがないのでスキーヤー用の駐車余地に突っ込み夜明けを待つ。


 5時、周囲が白み始め準備しだす。巻機に向かうスキーヤーが訪れると思っていたが、予報が冴えないからか一台も見られない。さて出発と道向かいに進み雪の壁を切り崩していると、やっとそこに1台現れた。2mほどの雪の壁の上に乗りスノーシューを装着する。ここからの進路がよく判らないが、雲天へと導く看板があり、その方向へと進んでゆく。


 林道にはかんじきのトレースが残っていた。こんなところを歩くのは、向かう先は無黒山しかなく、少し期待して伝ってゆく。雲天下の右カーブを終えると、その先で登川を渡るのだが、トレースの主は渡らずに右岸側のみで行動しているだけであった。残念だが、パターン的には明星山の時と似ており、地元の人の足跡であろう。特徴的な丸く大きなワカンの跡であった。


 橋の上には1.5mほど雪が乗っていた。左岸に移り道形と思しき地形を進む。そして樹林から抜け出すと、ロクロ沢右岸の広い地形が現れる。田んぼマークの場所であり、雪のない状態を想像したりした。右岸側を5分ほど進むと小屋が現れる。入り口の上に表札がかかっているが判読できないほどに掠れてしまっていた。小屋の南側には塚のようなこんもりした高みがあり、東から巻き込むように進む。


 ロクロ沢に架かる橋の20mほど下流までまだ雪に埋もれていた。橋の場所を確認するようにその上を渡ってゆく。ここで林道の存在は完全に判らなくなり針葉樹の中を西に進んでゆく。どれが無黒山なのか、そろそろ見えてくるはずと思いながら足を進めてゆく。すると最初の堰堤が現れる。ここは容易に右岸側を雪に伝って巻いて行ける。堰堤の上からの西進は、大きくうねるような雪面になり、高い場所を拾うようにしてトレースを引っ張ってゆく。


 二つ目の堰堤が見え、その右側に顕著な尾根が下りてきている。これがSK氏が伝った南東尾根で間違いない。尾根の東側には扇のような無毛地帯があり伝いたくもあるが、よく目を凝らすと、割れた場所が見え、うろこ状に凹凸のある雪面になっている。これは、雪崩事故を起こした白沢天狗山の南斜面とそっくりであった。一見滑れそうにも見えるが、滑るには気温と雪質が大きく影響するだろうことが予想できた。うねる地形を左岸側に進んでゆき、二つ目の堰堤前で尾根に取付く。


 南東尾根の最初はいきなりの急登斜面。だがしかし、新調したスノーシューはがっちりと雪面を捉えてくれアイゼンのように使え登って行ける。以前であったなら九十九を切りながら登るような場所も直登できるのだった。スノーシューでヒールサポートを使うのは初めてで、スキーのビィンディングほどには使えないだろうと予想していたが、十分使えるものと分かった。790mほどまでが最初の急登で、ここで少し傾斜が緩み呼吸を整える。出発時の外気温は3℃であったが、ここで0℃を示していた。


 雨の後のせいだろう周囲にガスが漂っている。尾根東の無毛地帯が近くに見えるようになるのだが、雪解けで口を開けた場所もあちこちにみられる。下からは登れそうにも見えたが、高度を上げてゆくと上部の雪庇も見えるようになった。雪庇が落ちれば大きな雪崩となって止まらずに西谷後沢に落ちてゆくだろうと思えた。地形図にはゲジゲジマークも見える。そんな場所であった。振り返ると、西谷後沢もだいぶ後ろになっていた。シカが先行しているようで、追うようにして進んでゆく。


 990mでラグビーのトライするようにして体を雪庇の上に投げ入れる。この時もスノーシューががっちりとグリップしてくれ雪庇下での行動も不安がなかった。東西に見える尾根筋には邪悪に見える雪庇がうねっている。西に進んでゆく。山頂はもうわずか。直下は雪庇下で、北にバンドのような地形があり巻き上げる。


 無黒山登頂。視界が得られればかなりいい場所に思うが、生憎の眺望であった。西側に続く雪庇の先に、こちらの東峰に対する西峰が見られ、隣の家の芝は青い感じで向こうの山頂のほうが居心地がいいように見えた。迷わず足を延ばしてみる。うねる雪庇の途中には雪穴のような場所があり、ザイルが欲しいような切れ落ちた地形もあった。そして西峰に乗る。東峰からは平たんな山頂に見えたが、こちらも鉾先のような雪の堆積の場所であった。さて下山を考える。往路の南東尾根は全体の半分ほどが急峻地形でスノーシューで下るにはやや神経を使う。どこか快適に降りられないかと地形図を見返す。


 西谷後沢を降りよう。南に進んで鞍部から降りようと考えた。強烈な雪庇の尾根を降りてゆく。西側へは容易に降りられるが、東側へは雪庇下までの段差が大きい。降りられそうな場所がなければ引き返そうと、確認する感じで進んでゆくと、尾根を跨いで進んでいるシカのトレースを見つける。上手に地形を縫って進んでおり、その場所を使って東側の斜面に降りる。シカほどにバランスよくないので、ズリ降りると言ったほうが正解だった。


 尾根鞍部から東側斜面は、雪庇が崩れ雪崩れている場所も見られる。そうでなくても自然と雪崩れそうな勾配があり、足早に、周囲を注意しながら降りてゆく。こんな場合はスキーなら早いのだが、ないものを言ってもしょうがなく、シカのトレースの場所を追うように高度を下げてゆく。


 無黒山からの谷との出合まで下ると、長さ30mほどの雪崩跡が見られた。850m付近からの喉のようになった地形の場所にも古いデブリ痕が100mほど残っていた。左右に見える斜面に目を向けながら左斜面沿いを急いで通過してゆく。そして雪面が大きく段差が出来ており、そこが2番目の堰堤の場所であった。1番堰堤は容易であったが、この2番目の堰堤は川面に向かって強い傾斜になっており慎重にトラバースして進まねばならなかった。


 往路のトレースに足を重ねる。時計はまだ8時にもなっていなかった。雪の量も豊富で締っていたので負荷が少なく歩けていた。少しづつ天気が良くなってきており明るくなってきている。翌日を思えば山中幕営でも楽しめた週末になったのかもしれない。越後では・・・。そうは言ってもまだ巻機山はガスの中であった。


 ロクロ沢を渡り北進に変わると、向かう先に黒岩峰の斜面が見える。登りに伝った尾根と下りに伝った尾根が見えるが、どちらもよくもあんな場所を通過したと思えるほどの急峻の尾根で、そこに雪庇なども見えることから、なおさら険しさが感じられた。小屋を横目に通過してゆく。この小屋の目的は最後まで判らずじまい。


 登川を渡ったら、雲天の下を通過した先で東に直登する。国道に出て驚くのだが、ずらっとスキーヤーの車が縦列駐車されていた。天気が良くなったのでスロースタートで出向いてきたのか・・・。これからスタートしてゆくパーティーの姿も見られた。雪の壁の上からズリ落ちるようにして国道に着地し車に戻る。

 振り返る。十分スキーを楽しめる場所に思える。ただし雪崩れやすい地形と言う特典付き。スキーでも入山者が居ないと言うのはそう言う事だろう。滑ることを目的にせずとも雪山登山として楽しい場所と思う。経路の広い景色が心地いい。雪が締まってからの今の時期から雪解けまでの山となろう。早い時期は雪崩が怖いように見えた。南進から西進に変わる雰囲気が、上市のコット谷に入ってゆくような感じでもあった。上に行かずともスノーシュー散策にいい場所であろう。くれぐれも雪崩に注意で、全ての雪庇は西谷後沢側に向いている。




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