鬼面山   1616m                        
                     
                                                  
                                      

   2018.5.12(土)


  くもり     単独     県営大丸駐車場より明礬沢経由   行動時間:3H46M


@大丸駐車場4:39→(6M)→A宝篋印塔分岐先の十字路4:45→(8M)→Bルートミス1310m車道4:53→(8M)→C目的のルートに乗る5:01→(13M)→D1350m変則四差路5:14→(9M)→E作業道からの梯子下降点5:23→(8M)→F明礬沢渡渉5:31→(49M)→G1550m付近で南東尾根に乗る6:20→(24M)→H鬼面山6:44〜7:00→(16M)→I1550m付近で南東尾根を離れる7:16 →(33M)→J明礬沢に降り立つ7:39〜41→(17M)→K作業道に戻る7:58→(13M)→L1350m四差路から南路偵察8:11→(14M)→M大丸駐車場8:25


   
@大丸駐車場から大丸温泉側へと進み、すぐにある宝篋印塔分岐を左折する。 宝篋印塔はかなり立派な石塔。お地蔵さまも2体鎮座。 A最初にここでミスした。土盛りしてある先に道があるので選んでしまった。正解は右折。 導水管があり、引泉している道と理解し疑わなかった。
       
車道に出ておかしいと思うが、それでも伝う。 刈り払いされた広い道が続く。 B2回目に車道に出て、ルートミスと判断した。十字路付近まで駆け下る。途中の破線路は廃道のようだった。 C目的のルートに乗る。枡がいくつもあり、ここで導泉の滓を除去するよう。
     
最初の橋 二つ目の橋。つくりは簡素だが強度は十分。 三つ目の橋 D1350m地点。地形図では三叉路表記だが、実際は変則の四差路。
       
北への道は並走するように2本ある。右の方は引泉のパイプが埋められている。 1358m付近のカーブ。ここから北へ枝道を選ぶ。 図根点が埋められた作業道への下降点 作業道に乗り明礬川を見下ろす。写真中央あたりを渡った。
       
登った尾根筋。序盤はシャクナゲ。中盤は低い笹。山頂一帯はナナカマドとツツジの薮。 作業道の左右から噴気が大量に出ている。 E朽ちた単管パイプの梯子を利用して降りてゆく。降りて西側に進んでみる。 東に進んだ方が良かったようで、強い笹藪漕ぎとなった。潜りながら降りてゆく。
     
F明礬川渡渉。雪解け時季でこの水量。 尾根末端は地面が緩く取付きにくい。堰堤などもあり、取り付ける場所が限られる。 尾根の下側はシャクナゲが蔓延る。ちょうどミツバツツジと色がかぶっていた。 シャクナゲも見ごろ
     
1470m付近でやや笹が強くなるが、20mくらい。 1530m付近は尾根より、その西側斜面が伝い易い。低い笹。 G1550m付近で南東尾根に乗る。 大岩は東巻きを試みたが、諦め西巻きで進む。西巻の方がその後の進路が容易。
   
1600m付近。ほぼ鬼面山。ここからがナナカマドに進路を塞がれる。 H鬼面山山頂 H南にはシャクナゲとミネザグラが咲いていた。 H南西側。
     
H西側。風が強く体の固定が出来ず360度に対し、上下左右精度がぶれる。 H北側。 H東側。 H南東側。
       
Hヤキソバパンと朝日岳。 Hやっとこの岩を発見した。 H唯一の標識 南の展望場(テン場適地)から見る作業道側。
       
展望場から作業道アップ。右端に梯子が見える。 1580m付近。大岩西巻き。 I1550m付近。南東尾根を離れる。左にカールが出てくるので分かり易い。 1450m付近。ササが薄い場所も多い。
       
鹿道がこのように在る。 J明礬川に降り立つ。堰堤上を伝おうと思ったが、あまりよろしくなく・・・。 J堰堤上から往路に渡った場所を見下ろす。 J往路と同じ場所を渡る。
       
J昭和56年の工事。 噴気の出ている斜面を登る。 護岸工事は49年。 段々に切られた地形。これらが衛星画像で人工物と見えていたよう。
       
作業道への最後。右に往路の錆びた梯子。 ここの銘板はここまで腐ってしまっていた。 K作業道に乗る。噴気が見えるだろう。 斜面からもかなり出ていて一帯は強い硫黄臭がする。
       
階段の上が図根点の場所。 L1350mからの実線路を北に進んだが、30mくらいで状況が変わりモシャモシャしだす。 作業道上の枡の場所では、大量の硫黄の滓が除去されていた。 往路に間違えた十字路。こちらに道があるとは思わなかった。
       
十字路から見る正解路。住宅の西側脇を登ってゆく。 トイレ前に降り立つ。階段路になっているが、旅館の露天風呂前を通過するので伝ってはいけないような雰囲気だった。 M大丸駐車場に戻る。




 2012年12月、ぐるっと一周して踏もうと思ったが、冬の天気はそう甘いものではなかった。ちょっと欲張りすぎた計画だったので、力量相応で結局2回に分けねばならなかった。落穂となった鬼面山、さてどう攻めようかと思案する。北側は見ているので、強い笹斜面と知っている。東側は飯盛山まで伝ったので同じコースを伝うのはつまらない。西はまたぐるっと回らねばならないし、輪をかけて前日は春の降雪となっていた。残すは南。

 衛星画像で見ると、南の明礬沢の中に井桁状の人工物が見られる。ハッキリ判らないものの、何かがあるのは間違いない。と言う事は、そこまでの道はなんとなくあるだろうと読める。そこからの沢伝いかもしくは尾根を伝うかを考えてみた。ここもつぶさに衛星画像で確認する。なにか事前に抜け駆けをしているような作業で後ろめたいのだが、単独のリスクを減らすためには、しっかりと事前調査はしておきたく、そのための衛星画像は使える利器であった。雰囲気としては、南は植生が薄いように判断できる。全ては見た目なのですが、少々は見る目を養い経験を積んだので、大きくは判断ミスはないだろうと思える。

 SK氏も残雪期に明礬川を渡渉しているのが見える 。実線路も現存しているようで、そこをトレースしてアプローチすることにする。前日の雪が現地でどのようになっているかが問題だが、好天予報であるが濡らされることも想定せねばならない。距離が短いので、もし強い藪に出くわしても、なんとか気持ちが持つだろう。そう難しくなければ、早くに下山できてしまい時間が余るほどになるだろう距離。さて如何に・・・。

 1:18家を出てすぐに高速に飛び乗り那須インターまで走る。途中のセブンでヤキソバパンを入手し、背中を押されるようにボルケーノハイウェイを駆け上がってゆく。いい時期になってきたので、好天でもありハイカーで賑わっているかと思った県営駐車場は、閑散としていた。下界の夜景を見ながら夜明けを待つ。風が強くガスもかかっていた。ちょっと気になる風で、暑いだろうと思い服装を夏寄りの選定できたことを後悔した。4時を回り白み始めたので準備をし出す。

 4:39大丸温泉側へと歩き出す。50mほど進むと、左側に宝篋印塔なる石塔が立つ。古のものだが現存状態のすこぶるいいものであった。横に並ぶお地蔵様に旅の安全をお願いする。ここを左折し西に向かう。曲がってから50mほどで、右(北)に住まいしていない住宅らしく建物が見え、一度道なりに上がって住宅前で行き止まりとなったので戻る。西に進むと土盛りがされ、そこから先の道に対し塞いでいるような造りになっていた。見るとその先に道が続き導水管が見えたので、湯を引いている管であり、これで間違いないだろうと伝ってゆく。導水管の渡された掘れた小谷を跨ぎ先に進む。

 車は到底無理だが、刈り払いされた幅だけを言うと、車が通れるほどの広い幅で刈り払いされていた。一度那須ロープウエイに向かう車道に出る。この時におかしいと思えばよかったが、導水管が先に続くので怪しまなかった。直線的な伝い易い場所もあり、周囲展望を楽しみながら登ってゆく。終始鬼面山が見えるような位置で、山頂に近づくように進んでいるので怪しまなかったこともある。すると再び車道に出た。”いったいどこを伝っているんだ”と思い地形図を見直しコンパスで進路を確認する。予定路に対し45度ほど西に違えてしまっている。車道に縫うように存在する実線路を伝ってしまったようであった。間違えに気付き無駄な時間をとりかえすように駆け下る。途中、破線路がありショートカットを試みたが、その場所は密薮で道形など見られなかった。

 住まいしていない建物付近まで下ると、もう一つの道が北に入っていた。これが正解だが最初には気づかなかった。こちらは30m〜40mおきに枡が設けられた導水パイプが道の下に埋まっている。そこからの流れの音がする場所も多い。これで間違いない。沢沿いを北に進むと、その対岸は赤く焼けた地形が見える。吾妻山のヤケノママな雰囲気の場所であった。小橋で左岸側に移り、その後も2つの橋を渡って進む。ちょっと心許ない橋に見えるが、乗った感じでは強度十分であった。橋の下には引泉する導水管が走っている。

 1350mの分岐点は、現地に行ってみると変則の四差路になっていた。北に行く道が2本あり迷うのだが、左側の道を選んでみる。右側には導水管が見え、そこを踏まないように造った作業道が左を走っていると解釈した。しばらく進むと1368m付近から西に曲がる場所となり、その場所から北東に枝道が分かれており、これに入って行くと図根点が現れ、そこから階段が下に切られていた。見下ろすと5mくらい下に作業道が走っていた。降りて行きその道に乗る。

 作業道に乗ったら迷わず西に向かう。ここにも枡が設置され、一連の導水管はこの明礬川右岸からの引泉と見えた。それには作業道の両側からかなりの噴気が出ているのが見え、鼻腔にもかなりの硫黄臭が感じられる場所であり源泉地と判断できた。臭気がやや強すぎるので危険を感じ息を停めて通過するほどであった。進んでゆくと山の斜面にやや太い塩ビのパイプを走らせている場所があり、その場所から下に行く道があるのか、単管パイプの梯子が設置されていた。これはかなり腐食が進んでいるので注意が必要だったが、そろりそろりと在るものは使わせてもらい下降に入る。

 梯子を下り、さてどちらに進もうかと悩む。植生が無いのは東側。ただし噴気が多い。リスクを考えると噴気は避けた方が良く西側へと降りてゆく。しかしこちらは強い笹藪で、結構に辛い場所であった。あまり逃げ場所が無く、谷地形を拾うようにして潜るように降りてゆく。流れがどれほどかと気にしていたが、そこからの音は激しさは無く、降り立った時の小川のようなせせらぎに、少なすぎてかえって驚いた。

 明礬川はどこを渡ってもいいような状態だが、堰堤間隔が狭い場所で上流下流の移動は堰堤を乗越す必要があり、その点では動きづらい。左岸に渡り、最初は谷ルートで行こうと進んでゆくが、先に話した堰堤を越えるのが面倒で、目の前の尾根に取り付いてしまうことにした。足場の流れる緩い地形で、やや難儀しながら尾根に取り付く。乗った先からはしばしシャクナゲの藪があり、幸いしたのは綺麗な花期だったことだった。ミツバツツジもシャクナゲと見間違えるかのような同色をしていた。このシャクナゲの薮を過ぎると、低い笹の尾根になる。糞から判断できるが、鹿が通るようで薄い鹿道も出来ていた。

 1460m付近から一度植生が濃くなり肩くらいの笹原になり分けて上がってゆく。これが続くと嫌だなーと思っていたが、3分ほど堪えると再び植生が弱まった。1520m付近からは尾根上より、その尾根の西側の斜面の方が伝い易い。そこを上がって行き、1550m付近で南東尾根に合流する。尾根の北側にはカール形状の谷があるので下山時にも判別しやすい場所であった。北東尾根を1580m付近まで上がると大岩が起立している。最初は東を撒こうと試みたが、薮化した中を抜けるのが面倒で西に替える。ややモシャモシャしているが東よりは伝い易く、岩の先の尾根が痩せているのでこちらの方が正解のようであった。

 1600mの鬼面山の肩まであがる。もう登頂したも同然と思っていたが、ここからがすんなり歩かせてもらえなかった。東側はナナカマドの藪があり、西に行くとツツジの低木薮で足に纏わりつく。それよりなにより風が強くザックカバーを何度も剥ぎ取られてしまっていた。山頂には標識が在るはずであり、それを探して右往左往する。それらしい石が山頂には多く、これか、これも違うか・・・といくつも騙され、いくつもの岩の上に乗った。まあ鬼面山に着いたのでいいか・・・とちょっと発見できないことをもどかしがっていた。

 鬼面山到着。360度の展望地であるが、なにせ足許をツツジが纏わりつくのでどこに進むにも歩き辛い。南側にはミネザクラとシャクナゲが競うように咲いていた。朝日岳から降りてこようと思っていた時もあり、その朝日岳を望む。雪が付いていたら快適だったろうと思えた。15mから場合によっては20mくらい吹いていただろう。立っていると風に耐えねばならないのでしゃがんで丸くなるようにして休憩とした。それでもじっとしているとどんどん体温を奪われてしまう。そもそもの服装が良くないのだった。下山に入る。

 東に向かってゆくと、人工物が縛られた岩が見つかった。あった…こんな場所に・・・。同じような岩が山頂にはいくつもあり、その中からこの岩を探さねばならなかったのだった。三角点探しより難しいかもしれない。東に戻りながら南寄りに進むと、そこだけ刈り払われたような3畳ほどのテン場適地があり、展望台のような場所となっていた。往路の噴気の上がる作業道が見下ろせ、那須岳全体の地形がよくよく見える場所であった。一段下がった1600mの場所は北寄りに植生の中に薄い踏み跡が見られた。先人かもしくは獣の跡だろう。南西尾根に入る場所が判り辛く、ちょっと行き過ぎてしまい西に戻るようにして修正した。

 1580mの大岩上部で尾根を伝ってみたが、狭く濃く、やはり西側を伝った方が楽であった。そして左側にカールが見えたところで南に尾根を逸れてゆく。小尾根が東西に見え、最初は西側に乗ってみたが、様子が違うので東に移ると記憶に新しい場所が見えた。ササを掴みながら降りてゆく。西の谷も予定にあったので入ってみようと思ったが、笹の緑濃く植生が強いようで回避する。

 尾根の末端のシャクナゲ薮を避けて、少し西に振って往路より一段上の堰堤上に出る。そこから南側は尾根形状であり伝い易いかと思って向かってみたが、植生が濃く諦める。一段下の堰堤まで降りて往路と同じ場所で明礬川を渡渉し、登り返しは少し東側に振ってみる。立山の地獄谷の後であり、火山性ガスに敏感になっており、噴気に対し気にするが、蒸気を出している中でも弱い場所を選びながら這い上がってゆく。伝う東側地形には木組みがされた段々地形が造られていた。

 作業道への最後は、壊れた護岸をクライミングして登る。噴気の強い作業道を速足で過ぎ、サウナ状態になりつつある雨具を脱ぐ。上は風が強かったが、谷の中はほぼ無風であった。図根点のところの階段を上がり、1350mの変則四差路は1334三角点側に南進してみる。地形図では途中で実線が途切れているが、どこかに繋がるだろうと踏んだ。しかし、分岐から30mくらいで道の様子が変わりモシャモシャになりだした。雨具も脱いでしまっているので、再び藪のスイッチが入らない。引き返し往路の道を伝って戻る。

 伝っている道は、キャタピラーの跡や踏み跡が嫌に現在進行形であった。後から聞いた話では毎週誰かしら管理の人がこの道に入っているそうだ。建物の西側に出て、十字路は南に突っ切って進む。しかし道形としての幅はあるが、東の旅館の露天風呂を横目に通過する形であった。風呂を利用している人の真ん前を通る格好であり、このことから廃道になっているように判断できた。丸見えも丸見え、道から2mの距離に湯壺があるのだった。降りてゆく先にトイレ舎が見える。出かけに寄った時に、ここに階段状の道があると見上げた場所を降りてきたのだった。

 県営駐車場に戻り、那須大丸ガーデンさんの温泉を利用する。ここの目の前が、あの2017年3月の雪崩事故の現場だったと言う。この連休にも親御さんがお参りに来ていたそうだ。そう言われてまじまじ見ると、たしかにその場所であった。目と鼻の距離とはこのこと。当日前夜は、新雪が1m積もったと女将が手で表現してくれた。

 

 
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