帝釈岩   750m         御堂山   878.5m              
                     
                                                  
                                      

   2018.3.31(土)


  晴れ     単独     西牧関所跡より八坂神社の尾根を登る   行動時間:4H13M


@御堂山六畝田入山口8:34→(6M)→A八坂神社8:40〜41→(6M)→B奥宮8:47〜49→(3M)→C3つ目の祠8:52→(21M)→D530m峰9:13→(75M)→E帝釈岩10:28〜30→(54M)→F登山道に合流(帝釈岩分岐)11:24→(18M)→G御堂山11:42〜49→(12M)→H帝釈岩分岐再び12:01→(46M)→I入山口12:47


   
@御堂山六畝田入山口の獣除けフェンス。 @開けて中に入って行っていいが、利用者が太い方(通電しない)の針金にフックするので困っているよう。 @入山口の解説板 @今回は林道を進ますに八坂神社から入山。
       
民家脇を抜けると目立つ鳥居の場所に出る。 階段を登ると六畝田公園の看板があった。 九十九折りの経路には地蔵様が並ぶ。 A八坂神社。立派な社が立っている。
     
A右を阿修羅と見ると、左が帝釈天となろう。雰囲気のいい石像が立っている。 A石像前から奥宮のある岩山を望む。 A灯篭の脇から登路がある。年に1〜2回は氏子が管理に登るらしい。 踏み跡程度の登路で、最初の尾根筋に上がった先は、急峻にロープもないグリップしない場所。信心の場所だが注意が必要。
       
B奥宮から見る藤井地区 B手前の黒い屋根が里宮。左に坂詰地区。右に藤井地区。 B尾根上は踏み跡が続く。 二つ目の祠。銅板が巻いてある。
       
C450m付近。三つ目の祠。昭和に入ってからの建立のようで綺麗。残念ながら松枯れのよう。 450m付近から見る。右に帝釈岩。左にジジ岩ババ岩。中央に御堂山。 ヤシオツツジが花盛りで、尾根上の終始で楽しませてくれていた。 500m付近。リッジ尾根的場所が続き西側は切れ落ちているので注意。
     
510m峰からの北東斜面。下降にはザイルを流したい。無い場合は東に下る。 510m峰の東。獣道かバンドのような地形がある。 510m峰を振り返る。 510m峰の先の様子。
     
D530m峰最高所。ここには上がらず東を巻いた方がいいかもしれない。 530m峰の北東は標高差30mほどの崖地形で2回の肩がらみ懸垂とした。1ピッチ目。 2ピッチ目。ほぼ垂直に落ちる感じで全体重がロープにかかる下降となる。東を巻いたらこれらが回避できるかも。 530m峰を振り返る。西(右)側は岩壁。
   
530m峰の先東側の檜の植林地。 530m峰北東の岩稜。ここは東を巻いた。 巻き終えてから鋭角に戻り最高所を踏む。 540m付近。今度は杉の植林帯。道形がある。
     
560m付近。枝打ちされ管理されている植林帯。 590m付近。特異な地形に入って行く。 緩い岩壁の地形を巻くように進んでゆく。 600m付近。リッジ状のゴジラの背のような場所を登る。
       
進む先に起立峰が見える。本来の帝釈岩はこれを指しているのだろうと思える。ここは地形図の岩場より南に離れている。 起立峰は南から登れそう。全体を通しV級くらいだろうか。 起立峰を含め東側を巻いて進む。かなり勾配が強く落ち葉が多いので時間がかかる。 帝釈岩の東側の様子。
       
帝釈岩の最後(北側から)は脆い地形で足場に注意。 E帝釈岩最高所。 E南側に通過できる地形があり南に出られる。 E真新しい刃物跡が3カ所で見られた。行動に邪魔になる場所を切ったようだが、松枯れが進む一帯で・・・ちょっと。
       
E南西側の景色 E基部を巻いてきた起立峰。やはりこれが本来の帝釈岩となろう。北側からも登れそう。 E右に御堂山。左にジジ岩ババ岩。 Eジジ岩ババ岩アップ。
       
E浅間山  E荒船山 E鹿岳 790mの展望岩峰。一般ハイカーが帝釈岩としている場所のよう。
       
790mからのジジ岩ババ岩。  ジジ・ババ  F770mで登山道に合流。 G御堂山
       
G標識が新設されていた。 G三等点 G御堂山から妙義山  H帝釈岩への分岐点には小さな道標が縛られている。
       
ジジ岩ババ岩は寄らずに下から見上げる。  小滝の場所は涼やかだった。  林道は14年の間に見違えるほどに綺麗になっていた。2003年時はイバラで酷かった。 I入山口に戻る。祠(石仏)側への駐車は、住宅の方に許可をもらって停めた。



 

 ピーカン予報の土日。またまた雪山ではなく岩山を目指す。藤井の関所北側の帝釈岩が目的地だった。対象の場所よりジジ岩とババ岩の方が有名であり、国道254号を通過時にそれと判る奇岩で見えるのはジジババの方。帝釈岩の方は見えているものの、存在がジジババの陰になってしまっているのだった。

 

検討段階では、2003年に六畝田地区から御堂山に登っているので、反対側の奴居出地区から登るのが面白いかと考えた。南の表ルートに対する裏ルートのわけであるが、破線路はだいぶ荒れてしまっているようであった。登路を辿らず、沢にかかる橋の場所から尾根を西に登ろうとも考えた。表側は2003年時には棘で至極歩き辛かった事がトラウマになっているので、同じルートは避けたいのが本心でもあった。

 

もう一つ、南の大平地区からの破線路が北の山腹に上がっている。衛星画像で確認しようと試みたが不明瞭で、この時にその西側の山腹に作業道らしき迷路が確認できた。針葉樹マークも見えることから林業関係の道もあることが判った。里山なので当然と言えば当然だが、地形図にルートがあるところよりない場所に興味が沸くのだった。

 

国道254号を伝い中小坂の交差点は曲がらずに西へ進み、最初は大平地区の破線路を確認しようと試みる。民家の間に細い舗装路が上がって行っている。木材置き場が在るものの駐車余地が無く、その木材置き場に突っ込み少し歩いてみる。確かに奥に続いている。近隣に人が見えたら情報を聞こうと思ったが、8時を過ぎていたものの静かな山村だった。駐車余地が公的でないので気になりすぐに戻る。次に山口・小河原地区北側の衛星画像の場所を確認しようと試みたが、どうも軽トラ御用達の道のようで、普通乗用車では酷の様子が判って諦める。

 

そのまま進んで結局は藤井の関所のある六畝田地区に達した。これから奴居出地区に行くのも面倒になり、こちらから登ってしまうことにして林道を入って行くと、以前は無かった電気柵が麓側に設置され林道が塞がれていた。ちょうどそこに下に見える民家の奥さんが出かけるところで、「これ外して林道に入っていいのですか?」と尋ねたところ、「いいけど、みんな小さい方の針金に引っかけないので困っちゃうんだよね〜」なんて言った。通電していない方に引っかけてしまうって事のようであり、確かにマジックで注意書きが書いてあった。入っても大した距離ではないので、奥さんに祠前の駐車の断りを入れ、ここから歩くことにした。

 

準備をしていると、奥方の旦那さんと思しき方が戻ってきて我が車の後ろにつけた。祠と石仏のあるこの袋になっている場所は、このお宅の非公式の駐車場のようであった。駐車で邪魔していることを詫び、ここで気になっていた事を尋ねる。「東のお宮さんからの尾根は伝えますか?」と聞くと、「子供の頃は尾根伝いに1回だけ登ったことがあるよ」と返ってきた。見た目年齢から想像するに、恐らく60年以上も前の話であろう、一応話半分として聞いたが、「お宮の先に奥宮が在って、祠が3つあるから毎年若い衆が二人上がってお神酒を上げてるよ」とも伝えてくれ、気持ち行動の背中を押してくれた。「この尾根登ってもいいですか?」と聞くと、戸惑った感じだったが、「いいよ」と言ってくれた。グレーな行動予定に、ちょっと輝きが出てきた。

 

民家脇の細いコンクリート舗装路を進むと、赤い鳥居の場所となり山腹へと階段が登っている。その階段を登りきると「六畝田公園」と書かれた標識が設置されていた。ここが公園だったとは・・・。ここからは九十九折の山道となり、途中にはお地蔵様が並んでいたり、季節柄の桜が綺麗だったりした。登りきると立派なお堂が立っていた。八坂神社と言う名前らしいので社と言うべきか、のぞき窓から覗くと中に祭壇が見えた。旅の安全をお参りする。この西側に存在感のある2体の石像が立っている。眺めながらこの二体の意味を読み解こうと頭を働かせる。この先には帝釈岩がある。そのことからはどちらかが帝釈天である。そう見えるのは左になる。右は多面を擁した阿修羅仕様であり、この対には意味が在るのであった。ここから東を見上げると顕著な岩峰がある。どのような道が在るのか、最初から岩登りとなるのかと構える。

 

灯篭の脇から踏み跡が上がっており、不明瞭ながら東に上がって行く。伝い辛い岩肌を登ると北に登る場所となり、ここが至極滑り易くほとんどグリップしない。他に伝える場所は無くここを登るしかないようで、道にならないような場所なのでかなり薄い踏み跡になっていた。地域の若者がここを毎年上がっていると聞いたが、けっこう大変な場所である。急峻を登りきり尾根の突端に着くと、そこには伝えられたとおりに祠があり、一本のアカマツが相成って雰囲気のいい場所にしていた。先ほどまで居た里宮の場所が、足元下に小さくなっていた。さてここからの尾根がどうなっているかが気になる。見ると踏み跡が続いている。麓で旦那さんの言っていた話は古い話ではなく現在進行形の話であり、尾根通しで行けた話も信用できると確信した。

 

痩せ尾根を進んでゆく。西側は切れ落ちており注意が必要であった。危険な西側に対し東側はムラサキヤシオが咲き柔和な表情の場所が続く。リッジ状の尾根には倒木もあり潜ったり跨いだりして進んでゆく。450m付近に銅板で覆われた二つ目の祠があり、そこから17mくらい先に三つ目の祠が在った。裏を見ると「昭和」と読めたので再建して設置したもののようであった。さてここからは信心のエリアから離れる。向かう先に帝釈岩らしき岩峰が見えているが、地形図では間に突起峰がいくつかあり、そこがどうなっているかが読めない。

 

460m付近から御堂山周辺の全体展望を楽しんだ後に、意を決して尾根を進んでゆく。それにしてもムラサキヤシオが綺麗であった。510mピークに乗り北東に行くと崖地形のような感じであった。降りられないことはないが、けっこう神経を使うような場所で、旦那さんの往時に、子供が降りたのかと考えると厳しい場所に思えた。東に薄い踏み跡が在ったので降りてみると、その途中から山腹に踏み跡があり北側に進める場所となっていた。

 

510m峰の次は530m峰に乗り上げる。ここは西側は岩壁で絶対に伝えない。北東へ行かねばならないが、岩肌の崖地形でフリーハンドではかなり厳しい。ここも東側を巻いたほうが良かったかと思えたが、20mザイルを持ってきていたので、そのまま肩がらみで降りることにした。着地点までは25m〜30mくらいはある。灌木を利用して2ピッチでなんとか下る。ここを巻く場合は、やや深く麓側を巻いたほうがいいだろう。頂部の30mくらい下を巻くのでいいかもしれない。

 

530m岩峰の先は、少し東に屈曲する。この場所の南斜面は檜の植林地であった。その先にも岩峰があり、またまたこれまでと同じようになるのかと予想して東側を巻いてみる。獣もそうしている様で細い踏み跡が出来ていた。巻き込み東側に乗り上げるが、ここは頂部を伝っても良かったようで、確認のために鋭角に戻って最高所を踏んでから先に進む。

 

540m峰の先では、今度は杉の植林地が現れ、坂詰地区からの谷ルートなのか薄い道形が南側より上がってきていた。標高580m付近まで枝打ちされよく管理された植林が見られた。そして590m付近から岩肌が広く現れ出す。ここを東側に巻き込むように進むと一条のリッジがあり、その峡部を登る。さらに東は植林帯が見下ろせ歩くのに支障がないが、伝って面白いのはこちらである。向かう先に起立峰が見える。地形図に読める帝釈岩の▲記号位置からの距離は150mほどあるが、これが本来の帝釈岩であろう形をしていた。

 

起立峰の南の基部からの岩壁は、確保なしでも登れそうな表情をしていた。この南から東側に岩の基部を巻き込むように進んでゆく。東側には古い空き瓶が落ちていた。上を狙ったものか、通過した者のゴミか・・・。東側は急峻で、そこに落ち葉が堆積しているので伝い難い場所であった。起立峰の最高所と高さが同じほどになると、帝釈岩本峰の東側位置となる。大ぶりな逆相のスラブ的な場所を這い上がって行くと、途中西に上がれそうな岩溝の様な地形があり、伝い這い上がって尾根に乗る。そして南に戻るように最高所側へと進む。南進する最後の場所は、脆い土の中に岩が堆積している感じで、どれも動くので注意したい。

 

帝釈岩登頂。岩部に葉の良く茂ったアカマツがありコントラストがいい。ただし最近だろう刃物痕があり、枝が3カ所で切られていた。行動に邪魔な木を切ったようだが、経路で松枯れの場所を多く見てきたばかりなので、より痛々しく感じられた。東側に棚のような場所が在り、岩峰の南に出ることができる。邪魔するものが一切ない展望地が待っていた。各方面が見えるものの、ジジ岩ババ岩を見ると、特異な形状が周囲の岩峰に同化してしまっており、輪郭が見えずらくパッとしない。上空を特異な鳴き声をした鳥が飛来し、この場所を偵察しているのが判る。下の岩壁に巣でもあるのだろう。羽を広げた大きさは400mmほどの鳥であった。

 

目的は達成したので北側に進んでゆく。当初は帝釈岩から北に降りて、すぐに西の谷に降りてしまおうと思っていた。しかし八坂神社からの尾根が伝えた事により、今回の尾根も昔からの御堂山への登路であったろうから、御堂山まで進んだ方が真っ当なんじゃないかと思えてきた。東に進み760m峰は山腹を進むようにして北進に変える。740高点を過ぎ790m岩峰の手前で西に枝尾根があり踏み跡が在ったので伝ってみる。進んだ先に大ぶりな岩が在ったが休憩に適する場所ではなかった。戻り790m岩峰の場所に着くと、ここはすこぶる展望がいい。ジジ岩ババ岩の最良の展望地であった。ここから少し進むと、地蔵岩と言ってもいいような、上に丸石の乗った大岩がある。

 

770mで登山道に合流する。分岐点には細い道標が縛ってあるが、かなり薄くなってきていた。幾多のアップダウンを経てきたので、疲れ降りたいような心境であるが上に向かってゆく。ルートに乗ってからは谷を伝ってきただろう北からの風を受けられ涼やかで心地よかった。八坂神社からここまでは、風が無く暑くて仕方が無かった。誰か上に居るだろうかと思いながら急峻をロープに伝いながら登って行く。山頂付近の景色がどうも2003年の記憶と合致しない。‟こんな場所だったっけ“と思うほどに、2回目ではあるが様子が異なりちょっと新鮮な印象でもあった。

 

御堂山登頂。大ぶりな下仁田町の山名標識が掲げられていた。その木には前回も見た、山名の刻みも残っていた。北に妙義山が見える。麓に中ノ岳神社があり、稜線は鋸歯のようであった。カメラをズームにすると、星穴岳下の射貫き穴だろう側のみ小さく向こう側が空けて見えていた。北側以外の展望は無い場所となっていた。暑いが水分をこれしか用意してきていない。白湯を飲んで喉を潤し下山となる。

 

ロープ場を降りていると、二人の元山ガールとすれ違った。この日の出会いは彼女らのみであった。帝釈岩への分岐に戻り、その下のジジババへのコルからは、疲れたので谷側へと迷うことなく下ってしまう。結局のところジジ岩ババ岩には行ったことがないのであった(笑)。小滝の場所は、細い流れながら心地いい涼やかな場所であった。ここからの廃林道痕を進むのだが、以前に苦労した棘が一切ない。群馬百名山となり管理されたからだろうとは思うが、同じ場所には思えないほどに歩き易かった。以前はどこまで車で入ったのか・・・結局良く判らなかった。

 

電気柵に戻りこの日の山旅終了。林道からの往復ではやや味気ないものとなったろうが、八坂神社から登れたことで結構面白い周回が出来た事になった。相応に疲れたので歩き応えがあった感じ。そして林道からの往復では花を愛でられないが、尾根ルートではそれこそ花見山行と言えるほどに咲いていた。思わぬ春を楽しませてもらった感じでもあった。

 

振り返る。恐らく「子供が伝った」ことでもあるから、ザイルを持たずしても何とかなる地形があるとは思う。ただ、お守り代わりに持って入った方が安心であろう。危険個所での回避は、たぶん恐らく全て東への回避なんだろうと思う。適期はいつかと言えば、ムラサキヤシオが咲く今でしょ。

 




 

   
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