紫ナデ 1349m 障子ヶ岳 1482.0m 栗畑 1397m
天狗角力取山 1376m ウツノ島峰 1268m 湯沢峰 1259.9m
二ツ石山 1312m 高松峰 1440.0m 中先峰 1523m
2018.7.14(土) 〜15日(日)
晴れ 単独 天狗口に停め障子口から入山し中先峰まで進み狐穴小屋泊 行動時間:10H37M
@天狗口3:57→(21M)→A障子口4:18→(153M)→B紫ナデ6:51→(66M)→C障子ヶ岳7:57〜58→(58M)→D栗畑8:56→(20M)→E天狗角力取山9:16〜17→(31M)→Fウツノ島峰9:48〜52→(41M)→G湯沢峰10:33→(26M)→H二ツ石山10:59→(117M)→I高松峰12:56〜59 →(24M)→J三方境北分岐13:23→(5M)→K狐穴小屋13:28〜33→(30M)→L中先峰14:03→(31M)→M狐穴小屋再び14:34
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@天狗口に停め障子口に向かう | @大井沢の分岐道標 | A障子口 | 出谷向沢で給水して急登開始。 |
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樹林帯の中は一級路だが、陽の当たる場所は刈り払い前。三連休後に作業とのこと。 | 1196に向けて登ってゆく。 | シャクナゲの白花が見事 | B紫ナデ |
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B標柱 | 途中から。本当は障子ヶ岳がピラミダルに見えるはずだったが・・・ガス。 | C障子ヶ岳 | C標柱。ガスのため遠望できず。 |
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C三等点 | 障子池 | D栗畑最高所 | D栗畑の標柱は最高所には無い。分岐点。 |
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ガスの中から天狗小屋が姿を現す。 | E天狗角力取山。明光山へのコースが西に降りている。 | E標識はこれのみ。 | Fウツノ島峰山頂を南から見ている。 |
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F標識。裏は道標になっている。 | F標識の上にクワガタが居た | 1250m峰には標柱が立つ。判読不能。 | G湯沢峰の三角点は大きく傾いている。 |
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G等級側に傾いてしまっている。 | G湯沢峰から二ツ石山 | H二ツ石山の標柱も45度くらいに傾いてしまっている。 | Hザレ斜面側に降りないと山名が見えない。 |
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天狗から三方境間では、熊の糞を10カ所以上で見た。新しいものも多い。 | ブナ林の中は快適 | 虫ようがいくつもできたブナの大木がある。 | 水場への下降路。水は出ていないと狐穴小屋番の安達さんが言っていた。この場は熊がかなり多いとのこと。 |
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1264高点から進む先。 | 1264高点から伝ってきた尾根を振り返る。 | ザレのロープ場。 | 1300から進む先 |
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1337から高松峰 | 高松峰手前から | 濡れた岩斜面でタイガーロープを手繰る。会津朝日岳の最後と似ている。 | I高松峰は、標識は無いが長方形の石が一つある。 |
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Iアップダウンの試練を経てのご褒美。 | 狐穴小屋が見えだす。 | J三方境下分岐 | J分岐側から狐穴小屋 |
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登山道脇に咲くヒメサユリとキスゲ | K狐穴小屋到着。1500円 | K休憩後以東岳側へと進む。 | 手前の1510m峰。 |
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中先峰への最後 | L中先峰 | L標柱は新しく建て替えられた。 | 東に20m程の場所に旧の標柱が転がっている。 |
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雪渓を通過し戻ってゆく。 | M狐穴小屋に戻る。白Tシャツが西川山岳会の安達さん。 | Mこの小屋には風呂がある。 | Mこれが風呂!? 夏場は有益で汗が落とせる。 |
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Mビールは800円。ヘリでなくボッカで荷揚げしている。そう思うと安い。 | M朝日山塊だけに置いてあるのはアサヒ。 | Mこの日は50名ほど泊ったよう。 | M棒ラーメンを試みる。 |
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Mストレート麺が癖になりそう。 |
西川山岳会の志田さんの本を読み、そこに登場する山々がある大井沢から朝日山塊に入りたいと思っていた。読み終えての前週に入ろうと思っていたが、西日本の天災直撃もあり、1週ずらし海の日の3連休で動く計画にした。3連休だが、使うのは2日の予定。
まず天狗角力取山へは行きたく、行くにあたって障子ヶ岳も外せない。そして天狗に上がったら三方境までの尾根筋も気になり、三方境のある主稜側では中先峰が落穂になっている。どう伝おうかといろいろ考えた結果、狐穴小屋泊を入れた計画にした。朝日山塊では大鳥小屋しかテン泊はできないこともあり、泊まる=小屋泊となるのだった。
21:10家を出る。月山インターまでノンストップで440kmを走り切り、大井沢沿いの天狗駐車場に到着したのが2時だった。ほぼ駐車場は満車となっていて、雑草を均すようにして余地を広げ突っ込む。横には宇都宮ナンバーのフォレスターがあり、猛者らは同じタイミングで到着したのにもかかわらず、すぐに準備しギアをぶら下げヘッドライトで出発して行った。しばし仮眠をし夜明けを待つ。
沢沿いなので蚊や蚋の多い場所であった。短時間で準備を済ませ3:57山旅を開始する。大井沢にかかる橋まで戻って障子口に向かう。天狗口がいっぱいだったので障子口も同じことだろうと思ったが、予想外に1台も置かれておらず拍子抜けだった。前週はやや水難だったので、今回はこの先の渡渉点でしっかり汲んでいかねばならない。流れはあるだろうと予想しているが、無かったらどうしようと少し思うのだった。沢音を聞くまで、その流れを見るまで少しドキドキしながら進んでいた。
出谷向沢を渡渉し、プラティパスに2L汲む。地形図に読めるのは出合吹沢だが、それは支流名なのだろうか。この水が16km先の狐穴小屋までの水となる。天狗では、水場は下に降りねばならないので汲まない判断としていた。渡渉後は急登が始まる。樹林帯の中の道は広さがある一級路で、樹林帯でない日差しが当たる場所では、足元を濡らす登山道だった。前日が雨でもあり、スパッツをしていてもじきに靴の中に浸水してきていた。
市町界尾根までの手前に、1196高点のある尾根に乗り上げる格好になる。ここではヨウザ峰からの連なりを見ているのだが、土地勘がない中では市町界尾根が見えているのかと誤解し、なんだもう紫ナデかと楽に歩ける場所と思ってしまっていた。しかし誤解なので、その後の紫ナデまではみっちりと長く感じた。あと、こちらは展望尾根コースではあるが、生憎のガスで、見たかった障子ヶ岳の円錐形を見ることができなかった。遠望がきかないときは近場を愛でればよく、シャクナゲの白花が雨を纏って奇麗な姿で出迎えてくれていた。
紫ナデを通過すると、登山道上にクマの糞を見るようになる。あまり鈴を鳴らさない方なのだが、真新しい糞に迷うことなく鳴らしながら進む。クマの気配も強く感じ、志田さんの書かれた内容がリアルに感じられるようになる。ガスのかからない東壁は、谷川岳の岩壁を見ているようで、ここにもこんな壁があるのかと初めて見る壁の風景に驚いた。ガスがかからねば、もっと広範囲に見えただろうに・・・。
障子ヶ岳。360度の展望のありそうな雰囲気の山頂だが、生憎のガスで展望は封印されていた。足元の三等点は奇麗な状態で埋まっていた。障子ヶ岳の南側にも糞が続き、相応に身構えている中、前方でごそっと音がした。ガスの中から現れたのは天狗小屋泊の単独のハイカーで、向こうもこちらが人間でホッとしていたようであった。糞が多いので準備していると、ポケットに入れたクマ撃退のスプレーを見せてくれた。
障子池を右に見て進む。通過し水面を振り返ると、うまくすると障子ヶ岳を鏡に写せるようであった。小さなアップダウンを経て緩やかに登ってゆくと栗畑に到着する。最高所は分岐から天狗口側に6mほど進んだ場所のようであった。南の湿地側へと下ってゆくと、ガスの中から天狗小屋が見え隠れしていた。鞍部から20mほど登った場所にテン場適地があり、3名の猛者がパッキングしているところだった。てっきり幕営したのかと思って聞いたら、沢に入る準備をしているとのことであった。2時に出発していった猛者の話をしたら、宇都宮渓流会の人だろうと教えてくれた。毎年この時期に沢で会うらしい。
天狗角力取山到着。土俵のような円形の山頂があり、名前にふさわしい場所であった。ただし展望はなく、全ては翌日に期待することにする。さてここから三方境まで抜けてゆくのだが、地形図を見るのが嫌なほどにアップダウンが多い。馬場島の「試練と憧れ」は、この場所に掲げられてもいいのではないかと思っていた。さて初志貫徹で計画通り突っ込んで行く。最初は大きく下りこむことになる。
天狗からは道はいいものの、これでもかと高度を下げてゆく。200mほど下って最初の鞍部となり、80mを登り返してウツノ島峰となるのだが、樹林帯の中の道は良かったものの、陽の当たる場所はややモシャモシャしており笹が胸丈くらいに生えている場所もあった。これは紫ナデ付近と同じで、あまり管理されていないのかとこの時は思っていた。実際は三連休後に全コースで刈り払われるとのことであった。天狗小屋から二ツ石山、そして狐穴小屋から二ツ石山までと決まっており、小屋番同士で競争をするようである。
ウツノ島峰には標識があり、その裏は赤字で道標のように書かれていた。そのプレートの上にオオクワガタが居て、宝石のような黒光りを見せてくれていた。天狗から時間にして30分ほどだが、もっと長く歩かされたような印象の場所であった。それにしてもまだ序盤で、抜けきるのには先は長い。幸いしたのはトンボは多いが蚋がいないこと、おそらくトンボが捕食してくれているのだろう。またまた大きく下り、登り返す。
1250m峰には、朽ちた標柱が立っていた。なにか名前が付けられたピークのようでもあったが、進路が屈曲する場所なので、道標だったのかもしれない。湯沢峰はすぐ先に見え、少し進行方向が変わるので、西側からの風を受けながら歩けるようになった。伝ってきた場所が振り返り見えるのだが、天狗側が高く聳えていた。
湯沢峰到着。山名標識はなく三等点のみが人工物で、それも曲がった状態で埋まっていた。等級を彫られている側に傾いているので、結構撮影しにくい点であった。ここからは次の二ツ石山がよく見える。併せてアップダウンも多いのも見えるのだった。それにしても、それにしてもだがクマの糞が多い場所である。これほどに多い場所を体験したことがなく、さすがマタギの里だと思わされた。居るほどに食べ物があり、また人があまり入らないのだろうとも思えた。
二ツ石山は、こちらは標柱があったが、直立状態から50度くらい倒れてしまっていた。湯沢峰もそうだが、地盤の緩い地形ってことなのだろう。山名表示は斜面側に降りないと読み取れないので、湯沢峰同様に覗き上げるようにしての撮影となった。さてここまでで天狗から半分。残り半分だが、これからはゲジゲジマークの淵を伝うので、疲れてきたからとて気を抜けない通過点となる。
二ツ石山の南側は、驚くほど快適なブナ林の中の道であった。当然のようにクマの糞が見えるが、クマにとっても居心地のいい場所であろうと思えた。途中には主のようなブナの大木も見られ、虫よう(こぶ)の数もその大きさも凄かった。途中、地図に示されない水場分岐が存在した。分岐道標は見事にクマに齧られ無残な状態であった。一直線に東側に降りてゆく道があり、伝い15mほど下がってみたが、全く水音がしないので引き返す。かなり下らないと得られないようだった(公式には水は得られないとなっているよう)。
1264高点に上がると、その先に続く岩壁が見事に見える。ここも谷川岳の景色に似ている。途中の岩棚にクマでも居ないかと目を凝らすも、そう簡単に憶病な獣は姿を現さない。ポコポコと続くアップダウンする尾根に、覚悟を決めて足を出してゆく。ふと、先ほどまで居たトンボが居ないと思ったら、この辺りでは蚋が舞いだしていた。棲み分けがあるようであった。
岩の上を伝う場所や花崗岩の崩れた斜面を伝う場所、タイガーロープを伝う場所が現れる。地形図相応のルートのような感じで、この時は風がなかったが、強風だったらもっと神経を使って通過して行った場所と思えた。何せ進路左側が切れ落ちている。時折呼ばれるようにスーッと引き込まれそうになる景色なのだった。この辺りまで来ると、主稜側の残雪がきれいに見えてきて、そこからの融雪の流れが、音を伴って見えていた。そして見えてからの高松峰は遠かった。直下のザレ岩の斜面は、下りに使うのは嫌な場所に思えた。
高松峰の上には標柱も山名表示もない。最初はここが高松峰でいいのって思ったのだが、間違いはない。長さ300mmくらいの立方体の花崗岩があり、自然石か加工したものか迷う石が一つあった。昼をだいぶ過ぎたが、ここまでくればもう安心と焼きそばパンを出す。ここは周囲に対する展望台的場所で、とても展望がいい。だいぶガスも取れてきており主稜も見えるようになってきていた。
三方境に突き上げてゆくと、途中から赤い屋根の狐穴小屋が右に見え、その手前でハイカーが休んでいるのが見えた。それを見てやっと抜けきったと思えた。分岐道標から小屋への道へと進んで行く。途中にはヒメサユリとキスゲも見られた。木道を伝い休憩者に挨拶をしながら狐穴小屋に到着する。嬉しいのは小屋前にふんだんに水があること。汲みに降りなくていいのはありがたい。冷たい水で生き返る。
小屋番が二階に居たので、ザックを置いてすぐに中先峰に向かう。雪渓を経て二つの高みを越した先が本峰で、進むその間に、多くの以東岳側からのハイカーとすれ違う。ここでは北からの縦走が人気なことが判る。中先峰へと登っていると、掘れた登山道脇に山頂標識が横になっていた。
中先峰到着。真新しい標柱が立ち、天板は銅、本体は木、道標はプラスチックのハイブリッド仕様であった。以東岳側を望むも、全く見えなかった。日の差す時間もあるが、ガスが覆う時間も多かった。さらには雨でも降るんじゃないかと思わせるほどに暗くなる時間帯もあった。小屋前に日干ししてあるザックが気になり、予定完了で急いで戻ってゆく。夕方まで行動せねばならないかとも思っていたが、そこそこいい感じに小屋での時間を楽しめそうだった。
すれ違った人を追いかけるようにして三方境側へと戻ってゆく。健脚ばかりで、追いつこうにも遠ざかるばかりであった。そして小屋に着くと、そのような人の多くは竜門小屋まで進む人であった。見ていると、持ち上げたビールを、ここで冷たいビールと交換している人も居る。そんなことが可能なのかと、ここでのシステムを知ることとなる。
小屋番の安達さんに1500円を支払い、場所を指定してもらう。そのあと狐穴名物の風呂に浸かるのだが、温かくなくても汗が落とせるのは気持ちいい。そして風呂上がりのビール。ここのビールはすべてボッカが上げている。天狗も竜門も狐穴も一律800円なのだが、狐穴はもっと高くしてもいい距離だろう。木道で他の泊り客と話しつつゆっくりと過ごす。夕飯はいつもどおりそっけないラーメンとし、小屋に戻ると賑やかにも宴会に混ぜてもらった。明日に向け体力温存と静かに過ごしたい気もあったが、騒ぐ人が居る場合は便乗してしまった方が精神的に楽なのだった。小屋番がお酒を提供する宴会とは珍しかった。
ここで、翌日日暮沢に降りる方が、「一緒に降りれば天狗口まで送ってあげる」と言ってくれ、行動を迷う。挙句に、「月曜休みだろ、明日は俺んち泊っていきなよ」とまで・・・。確かにこの日の往路を戻るのは、あまり気乗りしない心境だった。他にルートを選ぶにしても日暮沢に降りて林道を歩くしかないのだが、そう思っている中では、願ったり叶ったり。しかし他人との行動は相応に行動負荷が増えることもあり天秤にかけていた。まあ一晩寝て、明日答えを出そう。
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