高松峰    1440.0m         二ツ石山    1312m        湯沢峰    1259.9m 


  
ウツノ島峰   1268m     天狗角力取山   1376m     栗畑    1397m                        

 焼峰
    810m(現地の標識の場所)      
        
 
  



   2018.7.15(日)

 前日の記録


 晴れ     単独     狐穴小屋から大井沢天狗口まで   行動時間:6H36M


@狐穴小屋4:18→(6M)→A三方境下分岐4:24→(18M)→B高松峰4:42→(94M)→C二ツ石山6:16〜20→(23M)→D湯沢峰6:43→(42M)→Eウツノ島峰7:25〜29→(41M)→F天狗角力取山8:10→(19M)→G栗畑8:29→(100M)→H焼峰(現地山名板の場所)10:09〜13→(41M)→I天狗口10:54



   
@狐穴小屋から。朝の4時、食事風景もある。小屋番の安達さんが送り出している。 @小屋から見る木道側 A三方境下分岐 天狗を目指す。
       
尾根上で、目立つ大岩はこれ この日の来光を拝む ちょこんと乗っている大岩もある。 翌日は海の日。私はこの海の方がいい。中央に高松峰。
     
B高松峰通過 タイガーロープを掴みながら濡れた斜面を降りてゆく。 ブナの中は快適路。 水場の下降点道標。水は出ていない。
       
C二ツ石山 D湯沢峰 1520m屈曲峰 1520m峰から見るウツノ島峰と、後が天狗角力取山。
       
Eウツノ島峰 蛇がネズミを締め、飲み込んでいる風景があった。食物連鎖、弱肉強食。これが自然。 F天狗角力取山。手前にエヅラ峰と後は以東岳。 F天狗から障子ヶ岳。綺麗な三角錐。
     
G栗畑から大井沢側へ下降。 しばらくは石畳の道。 途中の雨量観測所 猟師の水場。流れは細いが通年で得られるよう、
     
H焼峰の場所は、現地で810m付近であった。地形図とだいぶ違っている。 I天狗口に戻る。駐車場はほぼ満車。




 狐穴小屋は20時まで宴会可で、翌3時から行動開始していいと伝えられた。それが為に3時からヘッドライトが交錯し、眩しいの眩しくないの寝ていられるような状況ではなかった。前日に、日暮沢に降り天狗口まで送ってくださると言ってくれた方に出発時間を聞くと、「これからメシ食って、なんだかんだで6時かなぁ」と言う。日が上がってからそんなに待つのは無理なので、「ありがたいですが往路を戻ります」と告げる。山旅は自己完結するのが本意。

 
 出発前に安達さんと話すと、連休明けから二ツ石山までの刈払い作業が始まるとのことであった。毎年刈っているとのことで、毎年刈ってもあのように戻ってしまうようだ。「水いっぱい持ってけよ」と送り出してくれた。二ツ石山南の水場の話もするのだが、出ていないのではなく、熊が多いので危険防止のために「出ていない」事にしているような印象であった。あとで知ったのだが、安達さんは御年68歳だそうだ。驚異の68歳と言われているらしい。4時18分スタートする。

 
 ガスの漂う中を三方境下まで進み、ちょうど来光を迎えたのでしばし眺望を楽しんでから下降してゆく。向う側はピーカンだが、背中の主稜線側はガスに覆われていた。このままこの標高で遊んでいれば涼しく過ごせるのだが、降りてまた次の山へと行かねばならない。登山道上には自分のトレースと、もう一つ長靴のパターンが見える。おそらくは安達さんのものなのだろう。小屋の中に、ギョウジャニンニクの匂いがしていた。どこかに植生があるはずである。

 
 高松峰までは上からアプローチするとすぐであった。そして北側斜面をタイガーロープを掴んで下るのだが、花崗岩が崩れた状態で岩盤の上に米粒大の石が撒かれたような足場で、ロープがあって下れる場所になっていた。この辺りから、蚋の急襲を受けるようになり、その数が尋常でなかった。3種類の虫よけを噴霧したが、あまり効果がなく蚊取り線香にも着火し防虫措置をした。こんなことをしながらも2か所刺されてしまう。

 
 岩稜帯を慎重に進み、ザレのトラバース個所は、木々を掴みながら進んで行く。そしてブナの樹林帯に入ると、これまでが嘘のように道の状態がよくなる。前日に見たクマの糞を再び見直すように戻ってゆく。水場分岐標柱には新しい齧った痕も見られる。前日に、この付近が一番クマが多いと聞いていたので、少し会ってみたい気もあり鈴は鳴らさず静かに通過してゆく。すると足元のササ斜面からバサバサっと動くものがあった。ヤマドリであった。

 
 二ツ石山で小休止。ここまでくれば残り半分。小屋からは2時間経過し、あと2時間もあれば天狗に戻れる。その天狗はまだ遠くに見え、ちょっと嬉しかったのは天狗の左横に三角錐の鋭鋒が見えていた。障子ヶ岳であり、今日はよく見えるのであった。角力取山に着いたら存分に眺めてやろうと思うのだった。5分ほど休憩して先に進む。

 
 湯沢峰は立ち止まらずに通過してゆく。もうこの辺りになると、蚋の姿はなくなり一帯を数えきれないほどのトンボが舞っていた。1250m峰で屈曲して90度進路を変える。またここで大きく下らねばならないのがもったいない。でもこれらがこの尾根を静かに歩かさせてくれる要素であり、アップダウンの多さに文句を言ってはいけないのだった。朝露にズボンが濡らされ、スパッツしていても靴の内部は浸水し、雨具を履いて通過してこないとならなかった。

 
 ウツノ島峰には、当然だがもうクワガタは居なかった。でも往路と同じ場所を探してしまうのは、心理学で言う擦り込みなんだろう。北に降りてゆく。クワガタは居なかったが、登山道上で蛇がネズミを捕食している場面に出くわした。私でも食事中に邪魔をされると不快なので、食事の邪魔をしないよう気を使いつつ跨いで進む。天狗への登りは長いが、緩やかな登りが続くので、予想していたほどの大きな負荷にはならなかった。

 
 天狗角力取山到着。見事な障子ヶ岳の姿が北にあった。振り返り三方境側を見るも、ガスのかかったままであった。再びここを訪れる時は、出屋川へ降りる時となろう。下降してゆく道をよく見ておいた。天狗から下りだすと、若者とすれ違う。向こうもハッと思ったのか、「昨日の朝、天狗口で会った者です」と言った。障子口に向け歩き出した時に車でやってきたので、駐車場の満車状態を告げてあげた方だった。天狗小屋泊まりだったようだ。

 
 栗林から天狗口へと下ってゆく。労力とお金のかかった石畳の道が続いていた。先の方に小屋が見えるので地図を見るも掲載されていない。ちょうどそこまで降りたところで、後ろから先ほどの若者が追い付いてきた。笹藪に分け入ろうとしたところで、「雨量観測所があるんです」と教えてくれた。以降若者と同行する。話を聞くと、この山塊にかなり精通した方のようで、各小屋番とも親しく、時にはボッカもされているようであった。気になっていた途中の竜ヶ岳へもチャレンジしたことがあると言っていた。

 猟師の水場でのどを潤す。ここは細いが通年で枯れないとのこと。さてこの先の焼峰であるが、標高からしてそろそろと思い若者に尋ねると、にこにこしながら「もっと先です」と言う。全く明後日の場所を言っており、その場所は尾根の肩のような場所で、標高は810m付近であった。「標識はあるんですか?」と言うと、「これです」と藪に隠れたものを見せてくれた。知っていないと標識の在処は判らないだろう。そしてこの場所を地元は焼峰としているようであった。小休止のあとバカ平側へと降りてゆく。

 バカ平はなだらかな場所で、入山時は準備運動にちょうどいいらしい。下山時にも整理運動にちょうどいい。それにしても暑い。風が無くムッとする感じだった。林道幅の場所になると遮るものが無くなり日差しを浴びる。夏だから暑いものだが、それにしても暑すぎる。天狗口に到着する。

 振り返る。天狗から狐穴までだが、往路ではもう一度でいいと感じたが、復路にも通過し味のある登山道と思え、また歩いてもいいと思えるようになった。通過し経験し緊張が解かれたからもあろう。人の多い雑踏の主稜線側に対し、クラシカルで静かに歩け自然に触れあえる。その各登山道を管理している西川山岳会は凄い。





 



 
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