烏帽子岩   (1100m)                               
                                                                            
                                      

   2019.3.16(土)


    くもり   単独     西麓より    行動時間:1H58M


@枝林道下降点6:47→(2M)→A深沢川渡渉6:49→(22M)→B烏帽子岩祠岩峰南7:11→(19M)→C烏帽子岩祠岩峰7:30〜37→(40M)→D烏帽子岩祠岩峰南再び8:17→(5M)→E1137高点峰8:22〜23→(11M)→F深沢川渡渉帰り8:44→(1M)→G戻る8:45


   
榛名湖から28号を降りて行き、途中で深沢川沿いへの枝道に入る。 分岐から見える烏帽子岩。 @林道途中から、東に降りる枝道がある。 A深沢川渡渉。以前は車で通過できたようだが、今は無理。
       
最初に出合った枝道。帰りはここから出てきた。右に見送る。 1010m付近の広い地形。薄く道形がある。 北西尾根へと向かう林道幅。 北西尾根に乗った場所から見る烏帽子岩。
     
烏帽子岩直下。 B南側の基部に到着。祠がある。 B吾妻郡側の設置だと読める。最初の祠。 烏帽子岩側への岩斜面にはブッシュがあり、それらを掴みながら上がる。
     
さてここからが核心部。クライミングシューズを履きたいぐらいの場所。手がかりまでがやや遠く靴の腹でグリップさせながら登らねばならない。 左の絵の足元には二つ目の祠がある。通常のハイカーは登れてここまでだろう。ここから先は難易度が上がる。 登った先に3つ目の祠が見える。危険なのでとりあえず別ルートを探る。 東側にクラックがあり伝えそうだが、身体を半分空中に出すような格好になる。やや度胸が要る。ここも保留。
       
岩の西側を伝う。岩の基部に岩穴が在る。 祠岩峰と烏帽子岩本峰との間の谷部を上がる。 なんとか手がかりがあるが、岩溝に堆積した土が緩く、動く灌木が多い。 祠岩峰と烏帽子岩とのコルには四角い窓が見られる。
     
コルから見る烏帽子岩 コルから見る祠岩峰。 祠岩峰北側に人一人が入れる岩穴が在る。 C祠岩峰登頂。三つ目の祠。
     
C最初に伝った南側を見下ろす。下に見えるテーブル状の上部の通過が通常登行では困難。登攀になる。 C烏帽子岩祠ピークから1137高点。 C祠ピークの祠と烏帽子岩。 C烏帽子岩から小野子三山。
   
Cこの場所でヤキソバパンが撮影されたのは、地球誕生から初めてであろう。 C烏帽子岩から居鞍岳 C烏帽子岩全景 コルに戻り、烏帽子岩の基部を見ると北側に空間があり、人工物が見えた。烏帽子岩はこの場所に乗っているだけと判った。
     
東側に降りてゆく。ここも半身を空中に出すように降りねばならない感じ。 烏帽子岩の北東側基部には木製の朽ちた社があった。この場所に上がるのは困難。なので社は壊れたままなのだろう。 北東側から。基部が岩屋になっている。 北側の祠。屏風状の岩の上に立つ。
       
北から烏帽子岩 烏帽子岩のさらに北側にも岩峰がある。 北側岩峰から見る烏帽子岩と、もう一つの祠。祠は全四つある。 四つ目の祠の場所から西に降りてみる。2カ所ほどトライしたが、崖上となり降りられなかった。
       
往路の岩溝を懸垂下降。 D南側基部に再び。 D1137高点側へと進んで行く。 1120m付近にあった祠
       
1137高点直下 E1137高点 E1137高点からは烏帽子岩は見えない。 居鞍岳を目印に西へと下降してゆく。
       
途中の炭焼き窯跡。 途中の小尾根には赤ペンキが続く。 道形に出会い伝って降りる。 堰堤の上が渡渉点。 
       
F深沢川渡渉点帰り。  G舗装林道に戻る。     




前日の金曜日予報では、どの方角を向いても全方向雪予報が出ていた。あちこちをプロットしたものの気持ちが乗ってこず、最後は西上州の未踏座と決めた。しかし夜間に予報に変化があり、雪雲が消えて晴れ予報になった。「なんだ」と言葉にしたいくらいに降雪予報が一転した。予定した通りとも思ったが、降らないなら登りたい岩があった。体調も不完全で、あまり長くは歩けないし意欲が湧かなかった。

 

榛名山では、岩の場所として黒岩や硯岩が有名であるが、地形図に描かれている場所として烏帽子岩があり気になっていた。形状から頂部までは登れないようで、それが為に狙う人が少ないのだろう、岩ヤの人の記録も見られない。地形図の表記は壁を指しての岩でなく、壁の上の突頂を指して烏帽子岩としているように読める。最高所まで行けずとも登ってみたいと思えた。

 

5:15家を出る。榛名神社を経由し33号で榛名湖へと上がって行く。経路では少し凍った場所があるやもと思ったが、榛名湖では既にルアーフィッシングが始まっているほどで、現地でも冬季は終わっていた。封鎖中の吾妻莊を左に見送り、同じく左に硯岩を巻き込むように吾妻側へと降りてゆく。ふれあいの郷を過ぎたら、その先で深沢川側へと分岐する枝道があり、ここで既に烏帽子岩が名前の通りの姿で観ることができる。枝林道側に入り下ってゆくと、東に林道幅の道形がいくつか分岐しており、上部から数えて二つ目の枝林道に降りて行ってみる。四駆なので降りられるが、普通車は登り返せないだろう勾配がある。降りた先は深沢川で、そこで道が荒れていて進むことができなかった。バックで戻り枝林道の入り口でエンジンを切る。

 

ザイルをザックに詰め、先ほど伝った道を降りてゆく。伝われなくなってどれだけ経過したのだろうか、深沢川の渡渉点は絶対に車では通過できなくなっていた。対岸に行くとそのまま道形が続き、途中途中に枝道があり鋭角に南東へと登って行っていた。そのまま北に進むように伝うと、途中から下り勾配になる。右手には小尾根があり、高さもあるので廃林道を少し伝って巻くつもりで進んでいた。少し緩斜面になった場所からその小尾根を乗越し、東側に出るとそこにも薄い林道幅の道形が見られた。ここでも南東側に登っていた。

 

1010mほどまで道形を伝うと、今度は北北東に向けた枝林道が見られ、烏帽子岩側に伝って寄せてゆく。登って行くと北西尾根に乗り、今度は尾根上を伝ってゆく。この辺りでは、マーキングがされている場所も見られた。大きな倒木がある場所を越えるとすぐに、目の前に烏帽子岩が現れる。尾根の延長線上を伝うように登って行くと、1137高点からの尾根上に乗り上げる。

 

烏帽子岩の尾根に乗った場所は岩峰の南側で、岩の始まる基部には「吾妻郡之神社」と彫られた祠が見られた。ここからの壁は少し東側にクラックがあり、そこに灌木があり掴みながら登って行ける。3mほど登った先にテラス状の傾いた平たい大岩があり、そこには二つ目に見る祠が安置されていた。さてこの上に行くのが厄介だった。登りたいが足をかける場所がない。腹ばいになり腕力と内股筋で岩に吸着しながら登る方法しかなかった。このような場所はクライミングシューズを履きたいと思うが、普通に用意などされていない。足から2.5mほど上に、少し手がかりがある場所があり、そこまで上がればなんとか体を保持できそうだが、そこまでが勇気が出せなかった。3度ほど意を決してトライ姿勢をとったが、都度諦めた。また、大きな声では言えないが、岩に挑むのに長靴なのだった。この岩峰が登れれば上に祠があるのも見えた。登っている人が間違いなくいるってことになる。

 

1番目の祠の場所まで降り別ルートを探ると、岩壁の東端に幅100mmほどのクラックがあり、ここなら腕を内開きにしながら登れそうに見えた。ただし体の半分は東岩壁の空中に出る格好だった。う回路が見つかったが、ここも微妙で、他にないのならここを登ろうと考えた。東は巻けないので西を巻く。巻きだす最初の岩壁下には岩穴が見られた。大きく下を巻き、途中にチムニーが見え登って行く。一応手がかり足掛かりはあるが、下山をフリーハンドで下るには微妙でザイルを流したい場所であった。

 

登りきると祠がある岩峰と烏帽子岩本峰の間のコルで、浮石が乗った下がちょうど四角い窓のように見える場所であった。烏帽子岩を見てもボルト類はなく岩ヤの形跡も見られなかった。本来の目的はこの北側の岩峰であるが、今の今は南の祠のある岩峰に一番の興味がある。南に登って行く途中には、人ひとりが入れるほどの岩穴があった。低木を膝下でかき分けるよう進みながら登りきる。

 

烏帽子岩祠岩峰登頂。下から数えて3つ目の祠が待っていてくれた。先ほど、南側から見たそれが眼下にあった。北を見ると烏帽子岩の本峰がありこの場所より高いのが判る。ただし登りたいが登れないし、ボルト類も一切見られないことから、本格派も登っていない。岩峰の上は遮るものはなく360度見渡すことができる。ただしカメラを構えたまま動くと、足場を踏み違えてあの世に行きそうなので、いつもの一周撮影はせず。ヤキソバパンを掲げ記念撮影をする。ここから南に降りる場合は、支点の立ち木がある南東側に降りる形になり30mザイルでちょうどいいだろう。

 

北に降りコルに再び立つ。よく見ると烏帽子岩は下側と切り離れており、ちょこんと乗っているだけなことが判った。基部の岩が転び止めになっている感じで、その隙間から覗くと、北東側の空間が見え、そこに予期せぬ社が見えた。この岩の北東に岩屋があり木製の社がある・・・。西は巻けないのは見ていたので東側を巻くようにして降りてゆく。崖上の場所で、通過できる場所が限られ狭く、半身を空中に出すようなところを垂直に降りてゆく。3mほど降りたら北に進むのだが、その途中の上側が岩屋になった場所であるが、梯子がない限り登れそうな場所はなく、社の設置には何かしらの登り具を使ったと思われた。烏帽子岩の北側に出ると、祠は南側で完結していると思った中で、この北側にも祠が安置され、それもカミソリのような細さの屏風岩の上に乗せられていて、見るに値する特異な場所での祠であった。多分コンクリートで設置されていると思うが、接着剤なしでは自重で耐えていることになる。こちらに来るときに、社にある東側を巻いたが、そこは大きくハングした岩壁。今いる北側も自然なままの岩壁。西側に回り込んでも同じ。全方位自然のままでボルト類は無かった。その前に、乗っかっているだけの様子が見えたこの岩に挑む勇気は出てこない。ずっとここにあり落ちることなく居るので揺らぐことはないのだろうが、登るにはかなり危険な岩に見えた。

 

烏帽子岩の北側には、また別の岩峰も見られ少し降りてゆく。もうこの辺りはゲジゲジマークの下側になったと思い西側に降りてみる。場所を違えて2か所ほど懸垂下降をしてみたが、崖上となって降りられず、やむなく往路を戻って再び社のある東側を巻いてコルに戻る。この東側から、コルに戻る登りが体を持上げるのに少し辛かった。そしてコルからは迷うことなく懸垂下降してゆく。

 

岩峰の下に降り、このまま戻ろうかとも思ったが、近くに1137高点峰があるので一応踏んで行こうと向かってゆく。途中1120m付近の露岩の基部に、先ほど烏帽子岩の岩屋で見られたような社があった。烏帽子岩のみの信仰と思っていたが、この尾根全体としてなにか続いているのかと思わされた。1137高点にも祠があるんじゃないかと思ったが、着いてみたら人工物は全くなく、すぐ近くであるが烏帽子岩の姿も見えなかった。この時期で見えないのだから葉が茂る時期には絶対に見られないだろう。

 

北に戻り、途中から適当に西斜面を降りてゆく。緩斜面になるとそこに炭焼き窯跡も見られた。東に小尾根があり、そこを乗越すような獣道が見え伝うと、その小尾根の上の針葉樹には赤ペンキが続いていた。小尾根を少し北に伝い降り、途中で西に藪斜面を下る。一つの道形を跨ぎ、その先二つ目の道形に乗って降りてゆく。往路の道形に出会った場所は堰堤の真ん前だった。僅か上流の渡渉点を跨ぎ、登り返してスタート地点に戻る。

 

振り返る。烏帽子岩はただの岩峰かと思っていたが、現地での発見がいくつかあり、行って楽しい場所であった。動く、転ぶ、滑る、抜ける、落ちる等の危険性があり現地での行動は要注意であり、その点ではザイル必携。技量のある人は不要の場所に見えたが、それでも持っていた方が安心であろう。烏帽子岩には登れないけど、その横の烏帽子岩祠岩峰には登れる場所。祠は全部で4つ見たが、まだほかにも在るのかも。



 



 
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