行人岩       840m        お姫岩    (900)m                                                                                                                                                   
     2019.10.26(土)


  晴れ    単独    中村地区より行人岩に登り、次にお姫岩を目指す    行動時間:3H7M


@中村地区消防小屋横6:09→(9M)→A中村公園登山口6:18→(11M)→B行人岩6:29〜33→(8M)→C登山口帰り6:41→(6M)→D橋(滑津川)6:47→(8M)→E寺6:55→(19M)→F900m主尾根7:14→(12M)→G979.9三角点峰7:26→(19M)→H東側950m峰下の岩壁(引き返す)7:45→(12M)→I西側950m峰7:57→(10M)→J姫岩北直上8:07→(19M)→K950m峰再び8:26→(11M)→Lお姫岩8:37〜49→(20M)→M寺帰り9:09→(7M)→N中村地区消防小屋横9:16


   
@現在の中村橋の北側に旧の中村橋があり、その場所が余地になっている。横に消防小屋あり。 国道から中村公園への入口は、森林造成工事の為に令和3年まで工事中とある。その最中に19号台風の被害を受けたよう。 台風の爪痕。ここまで酷いのは久しぶりに見た。 途中に南側に見える社。この場所へ行く道形が見えてこなかった。
       
上部は流れが今も舗装路をはがし続けていた。 A中村公園登山口 A登山口の注意書き 途中のベンチ
     
自己責任 岩壁の祠 ここでいいのかと思える登路 壁にぶち当たる
       
ぶち当たった壁にステップが切ってあり2mほど這い上がる。 岩穴をすり抜ける。 チョックストーン側へ抜け、左に上がり、上でチョックストーンを踏んで北側に進む。 チョックストーンまで上がり下を見下ろす。
       
B行人岩到着。灯篭がある。 B朽ちた鳥居に「石尊山」と書かれている。 B鳥居の基部は石を彫って造ってあった。 B行人岩から見る石尊山。
     
B行人岩から西側。下に国道254号。 B行人岩から東側。ガスが無ければ荒船が見えるだろう。 B南東側に奇岩群が見える。 B行人岩から見る屏風岩。
     
B行人岩の最高所。雨の後で濡れており、飛び移れず諦める。 岩穴の帰り。太った人は無理。 振り返る もう少し早くに入山したら、食べごろのアケビが沢山あったよう。
   
C林道に戻る。ここからは少し西に進んで藪を漕いで下に降りる。 D滑津川に架かる橋を使う。 D19号の濁流は欄干の上まで達していたよう。 現在の国道254を潜る。
     
潜った北側に大木と石祠がある。昔もこの場所に本道が在ったよう。 中村集落からお姫岩に向かう入口。 入口道標があるが、現在は廃道化している。 最終民家
     
道形の先にお姫岩が見える(肉眼では)。 ズームした絵。 Eお寺。古刹な感じ。本来の道はここから東に在ったようだが、今は野草が2mほどの高さで生える。 Eお寺の東側に苔むした石像が見られる。
   
Eお寺から南西に道があるが、お墓に通じる。北西に上がる道形もお墓。 Eお寺の西の谷を登る。薄い道形あり。 コップ状地形で道形は終わる。 860m付近で尾根に乗る。
        
笹枯れだが強烈な密生帯。 F900mで主尾根に乗る。大岩あり。 F900mから中村地区側 F南を巻く道形がある。
       
F北側を巻く道形を伝う。こちらは境界標柱が並ぶ。 起立岩峰があったり、いくつもの露岩が並ぶ。 979.9m峰直下。 G979.9三角点峰
       
G四等点 979.9m峰からの東尾根。 950mの肩にある高み。 H東側の950m峰の南東側の岩壁。この先で引き返す。
       
950m峰再び I950m峰に上がりお姫岩を探す。 I南側に発見。ここからも観音様のよう。 Jすぐ上まで尾根を伝えたが、この先は近づけなかった。一度950m峰まで登り返す。東も西も切れ落ちていて降りられなかった。
       
J北側から見るお姫岩。 K950m峰の西側から谷部を降りる。下側に一枚岩があるので注意。 大壁の下を東に伝う。 Lお姫岩にやっと到着。上から伝って行き詰まった場所まで西側から上がれそうだが、岩壁に下がる藤蔓を掴んで登る。
       
L西に大きなキノコが生えていた。 Lお姫岩の東側岩壁。東も西も20m程の壁がありザイルが無いと上からは降りられない。 Lヤキソバパンと姫 Lお姫岩の南東に岩屋風の大岩がある。
       
道形を追って降りるが、すぐに有耶無耶になる。  道を失い竹藪を分ける。場所によっては密薮。  道形がある最上部と思われる場所。  左の場所から見る上側。 
       
お寺の東側にある切り株にオオスズメバチの巣がある。 Mお寺の石垣の脇に出る。  中村地区に戻って行く。  N昔はこの道の延長線上に橋があった。 




 前週の19号台風から1週間、またもや大雨を経ての週末となった。地盤が緩んでいるところにまたまた雨が注がれた。山間部の各地は相応のリスクを持ったと考えられる。なるべく太い道を基点として動こう。国道から大きく離れない位置の山を目指そうと思えた。

 
 信州は佐久市内山、そのコスモス街道の両脇には内山峡と呼ばれる奇岩の名所がある。その一つが中村公園(行人岩)として登路が造られている。頻繁にその看板を見るので存在を判ってはいたが、地形図にも山と高原地図にも非掲載なので目指すことなく推移していた。行人岩と滑津川を挟んでの対岸側に、お姫岩なる景勝地がある。こちらも以前は登路が在った様だが、伝う人の少なさからか廃道化しているようだった。今回はこの二ヵ所を抱き合わせにして行動してみることにした。

 
 内山トンネルを経て上州から信州へと抜ける。相立地区から中村地区へと入り左手に公園入口が見えてくるが、登山口へのアプローチ林道は入り口でバリケードされていた。説明書きを見ると、林業造成工事で平成28年からやっているようであった。でもついこの間までバリケードは無かったように記憶している。入れないのなら仕方がなく、中村地区内で余地が無いかと探すと、中村橋の北側に、旧の橋が架かっていた余地があり、ここに停めることができた。すぐ横には消防小屋がある。

 
 6:09行動開始。中村橋を渡り国道を東に進み、先ほど見たバリケードの場所から林道へと入って行く。すると入ってすぐの場所から台風の被害らしき場所が見られた。舗装路が崩れ流れで梳られ深い溝が刻まれていた。距離にして40mほどあろうか、これが為の林道封鎖のようであった。かなり痛々しく、その脇を崩れやしないかと気にしつつ通過する。


 進んで行くと山手側に社が見えてくる。不思議なことにそこへの参道と言うか道形が無かった。もしかしたら北側に在って、これも大水で判らなくなってしまったのかもしれない。
社を右にしながら舗装林道が右カーブする場所となるが、ここは今でも大量の水がアスファルトの下を崩しつつ流れていた。これでは当分の間、この林道は不通だろうと思えた。

 
 中村公園への登山口に着く。山頂が公園になった公園山への登山口ってことがよくあるが、岩山に対しこう書かれているのは初めてで、下側に公園があって、その上側に岩峰が存在しているのだと思い込んでいた。登山口には「高いところが苦手な方はご遠慮ください」と書かれている。九十九折を登り始めると、3分ほどで最初の休憩地がありベンチが設置されていた。その上側にはアケビの朽ちた皮が地面に沢山落ちていた。もう半月早くに来れば美味しい思いができたようだった。

 
 白い自己責任看板が見える。その右側の岩壁に注連縄のようなものが見えたので進んで行くと、岩壁に祠が造ってあった。お参りしてから上を目指す。自己責任看板の上は急峻になり“公園の登路として、ここで本当に合っているの”と疑いたくなるような進路となった。這い上がると岩壁が立ちはだかる。右を巻くのかと思ったら、岩壁の左側にステップが刻まれ、2mほど這い上がり次の岩穴を通過してゆくルートとなっていた。抜けた先で、もう一度チョックストーンのある岩穴(岩溝)があり、その岩溝の途中から南に這い上がるようなステップが刻まれている。岩が雨で濡れているのでけっこうスリリングだった。這い上がり、次はチョックストーンの上を北に進むと石灯篭のある行人岩であった。

 
 行人岩登頂。北側眼下の眺望が良く、国道254を往来する車がハッキリと見える。南側に戻り、チョックストーンの南の丸い石には、二つのステップが刻まれ進むことができたが、その先にある最高所の岩には飛び移らねばならないので、足場の悪いこの日は諦めた。南を望むと三角点のある石尊山が聳えている。西には内山峡を形成する奇岩群が見え、その川向こうに屏風岩が連なっている。文句の言いようのない素晴らしい展望地であった。朽ちた鳥居が倒れており、そこには「石尊山」と書かれていた。ここを石尊山と呼んでいる人がいるが、これが為かと判った。

 
 濡れた岩に足を乗せながら慎重に降りてゆく。岩穴は85kgの人なら大丈夫だが、90kgを超えたら通過は無理だろう。たいした根拠は無い(笑)。でも本当に、太った人は通過できないだろう。スリップに注意しながらゆっくりと足を降ろして行く。九十九折の場所に、まだ紫色をしたアケビがあったので、坊主めくりのように中身を見るも、残念ながらハズレで黒く腐食していた。

 
 林道に降り立ち、来た道を戻るのもつまらないと地形図に見える北の寺院からの実線路延長線上の橋を渡ってみようと思った。そもそもその橋は存在するのかと、木々の間から見下ろすと確かに存在した。林道から適当に藪斜面を降りてゆく。少し棚地形になっているので、以前は耕作物が在ったようにも思えた。橋の左岸に立ち見ると、欄干のフェンスには枯れ枝が引っかかり、最上部まで水が上がったことを示していた。

 
 滑津川を渡ると、国道254号を潜るトンネルがある。軽トラなら通過可能の大きさであった。抜けて北に出ると二つの祠が立っていた。そのまま北に向かい中村地区内の交差点となる。ここにはお姫岩を示す道標があり、これが最終道標であった。三分の二ほどは住まいしていないと思われる住宅があり、最終民家はまだ住まいしているお宅であった。お墓を左に見て進むと、林道の延長線上にお姫岩の姿が確認できるようになる。何度見ても観音様のように見える。

 
 林道は途中で分岐し、右に進むと苔むした石碑のある場所に通じている。左の方が本道のようで進んで行くと古いお寺が立っていた。これが地形図に記されるお寺であった。そこから南西と北西に道があり、どちらも伝ってゆくとお墓の場所に行きついた。お寺の西には小谷があり、そこにまっすぐ上に進む道形があったので伝ってみる。ここは結構急峻地形である。進んで行くと扇状地となり道形はそこで有耶無耶となる。枝道か、東の尾根に取り付くような道形があったので進んで行く。これは獣道のようでもあった。

 
 860m付近で小尾根に乗り、先ほどの扇状地を左に見降ろしながら進んで行くと、いやなことにササの密生帯が待っていた。ササ枯れになっているものの黒い汚れが酷く、漕いでゆくと白いズボンが泥だらけになって行った。そして東西に連なる主尾根に乗ったのが900m付近で、ここには大きな岩峰が立っていた。ここからはその岩峰の南も北も巻けるが、南を行くとゲジゲジマークの場所が待っていると思え、北側の道形を進む。こちらには境界標柱が等間隔で埋まっていた。

 
 979.9m峰到着。四等点が奇麗な状態で埋まり、人工物はこれだけであった。麓地区では当然名前があるのだろうけど、登るような元気な人も少ないのだろうし、他のエリアから私のようにここを登ろうと来る人も少ないのだろう、山名板は無かった。このピークから東へ進めば、お姫様に逢えるものだと思い込んでいた。麓からはこの東西に連なる尾根上にあるように見えた。

 
 979.9m峰の肩続きでない東側の950m峰に乗る。ここまでにそれらしい岩が無かった。起立した岩はあり、それが麓からあのように見えるのかと考えるようになった。でもお姫岩は独立した岩で、山を形成している岩ではないのは間違いない。さらに東に行ったが、中村地区の谷からは絶対東側は見えてこないと思い踵を返す。

 
 肩続きの方の950m峰に戻り、周囲を見回すと、ここからの南尾根上に姫を発見した。あの下から見た姿がそのままそこに発見できた。このまま降りてゆけば辿り着くと思い下って行くのだが、そう簡単な地形でなく露岩が続き、尾根の両側は岩壁でストンと切れ落ちており、どれほどに深いかも見えないほどであった。それでも気を付けながら足場を選んで進んで行く。そしてあと10mほどとなり万事休す。南側も切れ落ち、その先に進むにはザイル必須で、この日はここを軽く考えており持ってきていなかった。これにより行動できなくなり950m峰まで登り返す。戻りながらも、どこかに逃げ道(下り路)がないか探したが、見いだせなかった。

 
 950m峰の西側鞍部から降りてゆく。ここも斜度が強く注意が必要で、しばらく下ると岩壁となり、かなり場所を選ばないと降りることができない。ザイルが無いので細心の注意をしながら立木のある場所を選びつつ三点確保で降りてゆく。壁の下に降りると、そこから東側は大岩壁の様相で、工事現場のコンクリート擁壁のようにのっぺりとしていた。東に進んで行くと、そこに初めてハッキリとした道形を確認した。これが昔のお姫岩への道か・・・。

 
 お姫岩到着。どの角度から見ても高崎の百衣観音のように見える。これが自然石で出来ているとは驚きであった。西側も東側も見てみたが、上の露岩から着地点までは15m以上ある。無理して降りないで正解であった。よく見るとお姫岩の北西から基部まで上がれそうなので這い上がってみるも、最後の2mほどは藤蔓を掴んで上がるような場所で、それのみが命綱なために諦める。お姫岩の南東下には大岩があり岩屋のようになっていて獣が休んでいた跡があった。ヤキソバパンを掲げ自己満足。

 
 さて予定終了で下山となる。簡単ではなかったお姫岩で、先ほど見た道形を追って降りれば正規ルートが判ると思い伝って降りてゆく。しかし、ハッキリと道形が見えたのは往路に伝った範囲で、それ以下の斜面では道形が有耶無耶になってしまっていた。谷部を判らずに降りてゆくと、孟宗竹の竹藪となり密生帯で通過に梃子づった。そこを抜けるとハッキリとした道形が現れた。その延長線上を見上げると、どうも谷の東側寄りに道形が在ったようであった。

 
 道形に乗ったものの、前週もくっ付いたチカラシバが続き、かなりの種を運ぶ役目となった。カヤトの場所もあり、踏んだり分け進むようにして降りてゆく。道形はあるものの、それら野草に覆われ遠目には全く判らないほどに埋まってしまっていた。進む先に往路に見たお寺が近づいてきた。そうかお寺の右側から進めばよかったのかと、この時判ったのだが、ここからが怖かった。

 
 水路がありそこにコンクリートの橋が架かっていた。ここを通過して道形が在るのだが、それよりお寺側に進んでしまった方が楽と、カヤトの中を分けて進む。水路からの距離僅か2mほどか、山手側に大きなタイガーカラーの昆虫が羽音を響かせ3匹飛んでいた。そこには木の根がありハチの巣があることが判った。瞬時に後ろに飛ぶようにバックした。スズメバチで間違いなく、帰宅して確認したら地中に巣を作るのはオオスズメバチであった。今年はハチには縁がありエピペンを持っているものの、情けないことにこの日はザックをいつもと違えていて持っていなかった。こんな為体・・・。お寺への最短路は止めて道形を降りてゆく。

 
 お寺の石垣があるすぐ横に出た。本当はここに道標があるとお姫岩へは判り易かったが、ここまで荒れていると、道標は無い方がいいだろう。往路に谷の左岸へ行くべきか迷った場所なのだが、あまりにも薮化していたので憚ったのだった。お寺から中村地区へと降りてゆく。途中に住まいしているおばちゃんが出てきて柔和な表情で挨拶をしてくれる。後を追ってきた様子では、滑津川の様子を見に行くようであった。

 
 消防小屋の横に戻りこの日は終了。迷ったおかげで楽しめたことになった。

 
 振り返る。中村公園はピリッとスリリングな場所であった。短時間で登れすぎてやや拍子抜けだが、登って損はない場所だろう。今回のように雨の後は要注意。お姫岩は、お寺の東側を進むのが正解。一番いいのは全てを覆った残雪期だろう。無積雪期であれば朝は雨具を着ないと下半身はずぶ濡れになるのは間違いなく。少し陽が上がってから漕いだ方が無難。途中、目標点が見える場所もあるが、見えない場所の方が多いので、里山でもありルートファインディングがし辛くなっている。

 




 
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