東山    1232.8m                                    
                                                                       
                                      

   2019.7.13(土)


  雨     単独    平床沢を登り団子沢を下る   行動時間:3H52M


@406号沿い余地4:48→(1M)→A平床沢への入口4:49→(38M)→B平床の滝5:27→(15M)→C滝の落ち口5:42→(37M)→D1040m尾根取付き6:19→(33M)→E東山6:52〜59→(3M)→F1220高峰7:02→(43M)→G団子沢に降り立つ970m付近7:45→(42M)→H団子沢橋(406号に乗る)8:27→(13M)→I戻る8:40


   
@天神川と平床沢の出合北側に3台分ほどの路肩余地がある。 A平床沢への入口 田圃の北西に罠が仕掛けてある。本体は藪で発見できず。 最初の堰堤。手前を横切り右岸へ。
       
最初の堰堤の右岸に九十九折の道形がある。 堰堤横の高巻きの道。 ナメ沢を登って行く。 二つ目の堰堤。ここは左岸に道形がある。
     
堰堤より少し下流にタイガーロープが垂れている。 左岸の高巻きの道。上流側は足場材の板が渡されていた。 平床と言うだけあってナメ沢が快適すぎるほど。 長い丸太を結んだタイガーロープが見られた。
       
B甌穴が沢山見られる平床の滝。ここは右岸側に道が在ったよう。 滝の左岸を登るが、岩壁が広く大きく、高く巻いて上に出る。 登ってきた斜面。 C平床の滝の落ち口
       
C落ち口の右岸側にタイガーロープが見られた。見下ろすとバンドになった地形があった。 滝の上流部にもマーキングが見られる。 ナメ滝脇のタイガーロープ この小滝は左岸から。
   
960m付近の十字峡的場所。 この小滝は右岸通過。 上流部もタラタラの流れ。 1010m付近。ここにも顕著な枝沢があり、小尾根があり、どちらを使っても良かったよう。
     
D1040mで小尾根に取り付く。リボンが垂れていた。 沢からの最初は結構な急勾配。 中盤付近から植生は腰丈になり歩き易くなる。 頂上直下。
   
E東山山頂。南から北を見ている。 ESK氏のいたずら書き。 E山頂から柳沢峠(北)側への道形。 E三角点は笹の中。
     
E三等点 E東山でヤキソバパン F東山の南、1220m峰の頂部の標柱。ここから東進。 1200m付近。境界の杭が見られる。
       
1140m付近。降りる方角を間違え南に修正中。 1110m付近のマーキング。北側は植林地。 1040m付近。ここからの進路は難しく間違えて選んでしまう。 G970m付近。団子沢に降り立つ。
       
団子沢には倒木が多い。 平床沢同様にナメの川床が多い。 下から見上げている。右岸を降りてきた。 左の写真の下には、このチョックウッド?跨いで通過。
       
上部の堰堤。左岸を通過。団子沢には計3つの堰堤がある。二番目は右岸を通過。 一番下の堰堤から見下ろす、護岸工事された流れの樋。ここは左岸を通過だが、一帯は密薮。 萱の植生があり全方向密薮。 H406号に出る。団子沢橋。
       
H団子沢橋から見る団子沢。  往路の平床沢への入口。  入口から見える注意看板。入山は左に行かず、看板の後ろ側へと進んだ方がいい。左側は田圃。  I駐車余地に戻る。 




 旧鬼無里村(長野市鬼無里)の山として、有名なのは中西山の南の東山。鬼無里にはもう一つ東山があり、柳沢峠の南に位置する。鬼無里と言っているが、西側は白馬村なので白馬村の山ともなる場所。そしてエイヤーと両村で境界を決めたのが見える。普通は尾根や谷筋を境界とするが、ここは複雑地形もあってだろうが全てを無視して一直線である。その北側の基点が東山でもあった。


 以前は冬季に団子沢を伝って狙っている記録が読めたが、今はSK氏の記録が唯一のよう。入渓した沢には見栄えのある大滝があるようであり、滝マニアとしては登頂と併せて滝を観てみたいと思った。ただしまるっきりのカンニングでは忍びないので、経路に変化はつけたい。SK氏は大滝で沢を離れたが、私は沢をそのまま詰めてみようと企てた。ドイツの小学校では、他人と同じ答えは歓迎されず常に違った視点(答え)が求められるよう。私の山もドイツの小学校式で行く。これを天の邪鬼とも言う。

 
 1:00家を出て、この日はすぐに上信越道に乗って長野インターで降りる。信大前から406号を進んで行くとフロントガラスが濡れだした。今日は降らないのでは・・・。降られない予定で3座用意して来ていた。しかしすぐ止むだろうと思っていた雨は降り続いていた。濡らされるのは間違いなく、予定していた描いたパズルが崩れるようであった。鬼無里の湯の駐車場が明るかったので、ここで夜明けまで仮眠とした(3:20)。

 
 鬼無里支所に問い合わせをしたら、無名沢には名前があり「平床沢」と判り、無名大滝は「平床の滝」だった(2019年7月16日:回答をいただく)。文中にはこの名称を使わせていただく。

 
 平床沢へは、細く舗装された道が分岐していた。その道向かいが駐車余地らしいが、この時季はさすがに繁茂し狭くなっている。100mほど北に3台分ほどの路肩余地があった。ここは東側への実線路の入り口のようであった。雨具を着こみ20mザイルを持った。この時は細かい霧雨であった。視界は300mくらいで一帯にガスが垂れ込めていた。

 
 4:48行動開始。平床沢へ入って行くと、まず青い注意看板が目に入る。入山する気持ちが揺らぐと嫌なので不届きであるが読まずに進む。最初は左側に進んでみるも、田んぼ跡地のようで泥濘地形であった。畔の先が掘れた地形で、跨いで向こう側の地形に乗ると、そこには罠の標識がぶら下がっていた。樹林帯の中で暗く況してや野草が茂り罠本体が全く見えない。抜き足忍び足で後退して田んぼに戻り、北側の植林帯の中に入る。ここには何となく踏み跡が見られた。

 
 最初は棚地形を進んでいたが、すぐに平床沢の中に入る。勾配が緩やかで流れも少ない沢で、ジャバジャバと進んで行けた。最初の堰堤が見え左岸右岸と舐めるように見ると、右岸側に九十九折の道形を発見し、その入り口の地面の上にはピンクのリボンが落ちていた。最初は九十九を切ってあり、堰堤を越える場所には単管パイプで手すりが付けられ、上流側の足場は流れで壊れていた。ここを越えた先のナメが心地いい。少し勾配があるのでグリップを確かめるようにしつつ登っていく。

 
 二つ目の堰堤は、その場所から25mほど下流側に左岸を登って行く踏み跡とタイガーロープがある。タイガーロープが見えなかったら、道があるとは見えなかった場所ではあった。もっとも、二つ目の堰堤の左岸に先ほど同様の単管パイプが見えたので、今度は左岸側と判ったのだが・・・。ここを越える時に、堰堤越えの施工がどうなっていたかが良く判った。足場材の板が這わせてあり、越えた先で降りやすいスロープとなっていた。最初の堰堤もこんな感じだったのだろう。二つ目を越えた上流もナメで心地いい。

 
 沢の中をジャブジャブと進んで行くと、二つ目の堰堤から15分ほど進んだ場所に左岸側に梯子状のタイガーロープが見られた。何がしてあるのかと周囲全体を見ると、その先は3mほどの丸太に結わえてあり、同じような丸太が周囲に見られた。橋が在ったようには見えたが、流れが弱いことから対岸へと言うような場所ではないので、路肩の弱い場所に補強された歩道があったのだろうと推測した。くねくねとした沢を、流れの中と併せ右岸左岸使いながら遡上してゆく。この頃になると、霧雨どころかしっかりとした降りになっていた。予報が変わったのか・・・これが山の天気か・・・白馬も鬼無里も、3団体ほどの予報サイトを見たがくもりと出ていたのがこの日だった。

 
 進む先に白い岩壁と滝が見えてきた。よく見ると無数に甌穴がありかなり見栄えがする。これが「平床の滝」であった。SK氏は右岸を行ったようであり、ここは反対側を調査してみる。取り付くも勾配が強く岩壁範囲が広いので、大きく北に振ってから岩壁がなくなるまでと高く巻いてゆく。巻き終えてから沢に戻るのに、20m以上下った印象であった。滝より上流に降り立ったが、折角なので落ち口を見てゆくことにした。

 
 平床の滝の落ち口右岸にはタイガーロープが施されてあった。こんな場所に上がってくるのかと思えた。私は見られなかったが、SK氏が見ている滝下側のワイヤーは、この場所と繋がっている登路跡の残置品となるのだろう。ただし、この落ち口からの右岸へ行くには結構勇気が要る。以前はもっと土が乗っており伝いやすかったのではないだろうか。次があったとしたら右岸を登ってみたい。

 
 滝の上流にはマーキングのリボンが結ばれていた。ナメ滝の左岸にはタイガーロープが流され、これらは先ほどの平床の滝のロープと同じ設置年度なのだろう。小滝の場所は左岸を巻き上げ、この場所から10分ほどで960mの十字地形の場所で、左右に谷が別れていた。この先の小滝は左岸を巻き、さらに上の小滝は流れのすぐ脇の右岸を伝った。そして再び緩い勾配のナメとなる。雨はまだ降り続いていた。

 
 1010m付近で、顕著な谷が南に上がって行っていた。その西側にハッキリとした尾根があり、ここを登ってもよかったが、意固地にもまだ遡上してゆく。当然ではあるが、両側の山手斜面が迫るようになり谷がだんだん狭くなってゆく。1040m付近にも1010m付近同様に南側に谷があり、その西側に尾根が見えた。この枝沢の場所には、目立つ場所にリボンが垂れていた。これ以上本流を進むと、北の1244高点側に進んでしまうので、平床沢を伝うのはここまでとし南西への尾根に取り付いた。

 
 尾根の最初は急峻であるが、植林した木々には食害よけのビニールひもが丁寧に巻かれていた。その作業道なのか、ハッキリしない感じで道形が見られた。頂部が伝えない時は少し北側斜面を伝った。植生は中盤以降で腰丈のササとなり、山頂が近くなるとやや深い笹原となり、この頃には全身濡れネズミであった。もうこの1座で今日は終わろうと思えた。全身びしょびしょで車に乗って横ズレなど出来ないほどになっていた。直下からは急峻で最後の我慢であった。

 
 東山到着。見出標の下にSK氏の絶縁が縛られていた。朽ちた木片も見えるが、山名が記されていたのだろう。それらがある北側から先を見ると、僅かに道形が見られ、その先は藪に消えていた。柳沢峠からの道があったのだろう。三角点は笹に隠れるようにして埋まっていた。一帯はガスに覆われ展望は無し。長居無用でヤキソバパンを掲げてから下山となる。平床沢が一応自分なりに満足できるほどに辿れたので、下山はSK氏の辿った尾根を拾ってみようと思っていた。

 
 南に進み1220m峰には二つの杭が打たれていた。ここから東進となる。踏み跡は続き、林班なのだろう杭も見られた。ただし、1150mからの下りで南東を選べず東に降りすぎ修正。ここは難しい地形でありコンパスを当てていても間違えた。修正ができ降りてゆくと、尾根の北側には植林帯が現れ尾根上にはマーキングされている場所も見られた。降りやすそうな谷斜面が北に在り誘われそうになったがそのまま尾根を行く。道形は薄い場所もあり尾根の南側を伝っている場所も見られた。現存する道形は獣道なのかもしれない。

 
 1100mの高みに上がってから進路を取り違えた。北の尾根に入ってはいけないと注意しつつ、その右(東)側の尾根を伝ったつもりでいたが、さらに右になる南の尾根に入っていた。鞍部が見えてくるはずで探していたら、鞍部でなく沢音がし出し流れが見えてきた。途中でミスに気付いたが、平床沢も見られ団子沢も楽しめるなら本望と沢下りを決行。

 
 団子沢は平床沢と近接しているので似たような雰囲気の場所も多いが、一つ違っているのはこちらは倒木が多かった。女性らしい平床沢に対し、団子沢は男っぽい印象であった。まあ下りに使っているのでそう感じたのかもしれない。滝が無いかと注意しつつ先を見やり耳をそばだて流れの音に注意する。ナメの場所は流れの中をジャブジャブ降りてゆく。苔は無く良くグリップしてくれた。この流れの下側で少し勾配があり、右岸側を木々を掴みながら降りてゆく。降りきった先にチョックストーンのようなチョックウッドの大木が谷に挟まっていた。沢が狭くなり流れが強くなっていたが、跨ぎ越えると再び緩やかな流れの場所となった。

 
 最初に見えてきた堰堤は適当に左岸で越えた。ここは笹の植生がありとても滑りやすい場所であった。二つ目の堰堤は右岸を通過。ここは道形のような棚地形があったが途中で消滅していた。そして3つ目の堰堤は左岸を巻いた。堰堤本体への高低差が少しあり、越えるのに萱を掴んで這い上がり、その先は密の萱の原でどの方向へ進むにも泳ぐように分けねばならなかった。最後は団子沢のコンクリートの樋の中を進み、国道に出る最後で右岸を伝った。

 
 団子橋の場所で406号に乗る。団子沢を見るが、良く分けてきたと思える密生帯で、最初にこれを見させられたら、入山しなかったかもしれない。北に進み天神川に架かる白菅橋を渡る。その先5分ほどで右に薪小屋が見えてくる。すると、前方から傘をさした方が現れたので質問してみる。「団子沢と柳沢の間にある沢の名前はなんて言うのですか」と聞くと「確かヒラトコサワだったと思う。俺はこの先の集落のさらに先の者だからハッキリとは判らない」「じゃ沢の途中にある滝の名前は判りますか」と聞くと「滝は知らないなー」と返ってきた。柳沢峠と柄沢峠の話をして別れる。沢の名前が判っただけ収穫であった。

 
 平床沢出合いの東側の橋は、欄干に名前が書かれていたようであるが、全て判読できないまでになっていた。往路の入り口を左に見て、最後まで雨に打たれながら車に戻る。次の場所に行くにも雨具を着ねばならない。一度脱いだらもう一度着るのは酷で、着たまま運転するのもドロドロすぎて酷。今日はここまでとする。しかし着替えていたら雨が上がってきた。でももうここまで。

 
 振り返る。鬼無里支所からの連絡では、平床沢には山道があったが、荒れてからは入らなくなったと言う事であった。植林帯も管理しなくなったと理解していいだろう。ただし食害のテープは巻いてあったので、荒れたのはそう遠い昔ではないような気がする。今回伝った二つの沢は、穏やかな表情の場所であったが、ザイルは持って入った方が、判断に汎用性が持たせられ安心も増えるだろう。最初の予定は柳沢峠経由でアプローチしようと考えた。柳沢峠の道も荒れてしまっているようだが、伝ったとしても帰路は平床沢を選んだだろう。その場合にあの平床の滝はどう処理しただろうかと思う。






 
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