大平山        1136.8m    
                    
                                                  
                                      
   2019.4.21(土)


  晴れ    単独   三俣橋より     行動時間:2H35M


@北尾根末端(三俣橋)4:50→(6M)→A社4:56→(2M)→B鉄塔4:58→(88M)→C大平山6:26〜6:34→(18M)→D910m付近から尾根を離れる6:52→(14M)→E水無川左岸に降り立つ7:06→(19M)→F三俣橋北駐車余地7:25


   
@北尾根の末端。三俣橋の北側に17号の路肩余地がある。 三俣橋を渡り南側に行くと階段があり取付ける。 道形が続く。 A尾根の肩に社が立っていた。豪雪地帯らしく雪囲いがされている。造ってまだ新しい感じであった。
       
A社の南西に石仏も見られた。 B紅白の鉄塔までは道形があるが、この先は藪。 リボンがある場所には、その下に境界標柱が埋まっている。山ヤのリボンではないよう。 740m付近。3尺くらいの笹の高さで、優しい藪漕ぎ。
     
910m付近。雪が繋がりだす。 1070m付近 1110m付近。ガチガチで蹴り込んでやっと20mmほどの痕が付くくらいに締まっていた。 C大平山山頂。人工物は皆無。
       
C登ってきた北側の様子。 C山頂の東はこんな斜面で現在地が山頂らしくない。 C東谷山 Cストックを立てると、なんとか山頂らしい。雪の下には三角点が眠る。
       
Cヤドリギが見られる。 C清津川を挟んで西側の山塊(かぐら・三俣スキー場側) C河内晩柑の季節になった。 往路に目に入らなかったが、尾根上に虫ようの沢山出来たブナがあった。力こぶのよう。
       
見出し標にこう書かれていた。合併前も合併後も町境になっていないはずだが・・・。 D910m付近で尾根を離れ水無川側へと雪を伝って降りる。  820m付近。立派な太い杉が並ぶ。 E水無川の左岸に降り立つ。
       
水無川に架かる橋。地形図の実線路。 水無川は、雪に覆われている場所も多い。  水無川からタカマタギ  途中、往路の鉄塔が左に見える。
       
尾根の末端にはスノーモービルが置かれていた。  尾根末端側から見る17号側。  17号に出る 黄色く色が入れられている三俣橋。路側帯が無く、高速での通過車両が多いのでカーブでもあり注意が必要。 
       
F駐車余地に戻る。雪がある場合は、除雪車両の待機場所なので配慮が必要。       




 南魚沼の未踏座にしようかと天秤にかけた中で、湯沢町は三国街道沿いの大平山へ行くことにした。次週は大型連休でもあり、たっぷり歩くためにも今週はインターバルの小休止的位置づけとした。前日に納車された車に、前の車から取り外した電装品も装着せねばならなく、バイアスロンをするような二兎を追う忙しい予定であった。

 

 計画するにあたり、標高の高い位置からアプローチした方が雪が利用できると考えた。この場合の取り付き点は、西の757.8水準点からの尾根が最良と思われた。とても伝いやすそうな尾根ではあるが、それよりなにより北尾根が美しい。これを見させられて伝いたくならない山ヤは似非であろう。清津川に沿い、17号に沿い、水無川とに挟まれ、この細く美しい尾根が目に入った途端、北の末端から登ってみたいと思えた。

 

 1:00家を出る。今回で4週連続で湯沢側に行く形であるが、目的地が三国街道側なので、すべて地走りして現地へ向かう。月夜野のセブンではヤキソバパンに空ぶられ、店を出た時に配送車が入ってきたタイミングの悪さであった。手の届く場所にヤキソバパンがあるのに買えない(2度買いに行くのを憚った)もどかしさがあった。三国峠に上がり、湯沢側に下りながら一度は457.8水準点の場所に停め斜面を観察する。北尾根末端の様子が悪ければ、ここに戻ってこようと思っていたので、その下見でもあった。雪が豊富にあることを確認しさらに降りてゆく。

 

 三俣ロープウェーの駐車場が見えだし、その手前右側に大きく余地がある。冬季はここに除雪車両が停まっていることが多い。今はもうその姿は無い。三俣橋の南には階段があり、取り付き点が見られた。このことにより、上に行く道形があるだろう予測ができた。もしや尾根通しの道が存在するのかもしれないとまで思えた。余地でエンジンを停め、明るい水銀灯の下でラジオを聞きながら地形図を眺める。尾根は魅力があるが往復では面白みがない。どこかで西か東に下って周回路にしようと企んでいた。でも、三国街道の暗いトンネル群を歩いてくるのは危険度が高い。となると水無川となるが、いつもながら最後は現地で判断とした。

 

 4:50アルミワカンをザックに結わえて出発する。三俣橋は路側帯がゼロ状態なのでかなり神経を使う。北側は緩いカーブになっており橋の場所がブラインドになっているためもあり、足早に抜けてゆく。634高点の場所にはコンクリート構造の11段の階段があり、特にここには道標類は無い。上がりきるとその先にも階段状の5段ほどのステップが作られ、その先から山道が緩く続いていた。ただし7割がた雪に覆われていた。東に進み、次に西に戻るように巻き上げると、その先の尾根の肩に人工物が見られた。虚空蔵尊のような鎮守様のような社で、どこかにお参りする入り口があると思い周囲を回ったが、どの角度も板が貼られていた。よく見ると南側のそれは雪囲いであり、隙間から覗いてみたが中が良く見られなかった。一応旅の安全をお願いしてゆく。ここから南に足を踏み出そうとしたところ、南西側の足元には石仏が立っていた。これを見てなおさら尾根上に道があると思えてきた。

 

 残雪は硬くアイゼンをつけた方がいい状態であったが、これがずっと続くとは思えず、藪の準備としてもアイゼンは着けずに進んで行く。社から2分ほどで色彩鮮やかな紅白の送電線鉄塔が立っている。踏み跡のような道形が続いていたのはここまでで、その先の南側は藪尾根となった。2分前は道形があるだろうとにわかに喜んでいたのだが、その喜びは3分も持たなかったのだった。薮の中にピンクのリボンが見える。この尾根を伝う好事家の跡と最初は見ていた。しかし、続くリボンの場所の地面を見ると、そこには境界標柱が埋まっていた。埋設してある場所に打たれたリボンなのだった。

 

 そこそこ見通しのある藪があり、軽く緩く分けながら進んで行く。雪がある場所は、西や東にズレて伝ってゆく。890m付近から、東斜面に針葉樹の緑が濃く見えだしてくる。植林帯があるのなら、そのための杣道があるだろうと想像できた。緩い雪の場所もあるが、高度を上げるほどに固くなり、要アイゼンの雪面になってきた。特に尾根の西側をトラバースして伝っている時には注意が必要で、ここで滑れば17号まで止まらないだろう勾配が下へと続いていた。蹴りこんでもほとんど痕にならないほどで、危険過ぎて尾根上の藪に戻ることもあった。

 

 910m付近からはほぼ雪が切れることは無くなり尾根の上を行く。西のカッサダム側が赤く焼けだし、本日の好天が見えるようでもあった。ただしスキー場側は生憎ガスに覆われていた。向かう先の右の方に高みが見えている。距離と位置からして東谷山で間違いないだろう。左に目をやると、水無川の向こう側は黒い山塊がある。白板山は名前に反して白くないのだった。西尾根の南斜面が見えていたせいかもしれない。

 

 大平山到着。すぐ先東側には高度を上げてゆく尾根が見え、全く山頂らしくない場所で、1298高点峰で大平山とした方がまだ達成感があるように思えた。ここで地形図を見てふと思った。大平の名前に相応しいのは1136.8より1298の高み、座標の誤記かもしれないとも思った。ただ、三角点の有無では1136.8に埋設してある。この点が上側にあるのなら、抑えとして上も踏んでおくが、今いる場所に在るために、ここを折り返し地点とした。山名事典を準拠する。北を振り返ると、なんとか山頂らしき景色になる。少し雑木が薄くなるのは、より北に戻った場所で、南西側が開けている。人工物は見事に皆無であった。

 

 大平山から北に谷を下っても良さそうであるが、往路にその斜面がよく見えずに様子が判らなかった。自分のトレースもほとんど見えない雪面に、体重をかけながら踵を入れる。これで30mmほど痕がつくほどの固さであった。途中、藪の出ている場所に見出し標が落ちており、そこに「町界」と手書きされていた。村界なら判るような気がするが、この尾根で町界とは解せなかった。910m付近から針葉樹の見える東斜面へと降りてゆく。少し勾配が強いが、怖く感じるほどではなく、尾根上とは違い雪が切れることがないので快適であった。針葉樹は杉で、近くでそれを見ると、幹直径が500mmほどあるものがあり、スクンとまっすぐ育っているモノばかりで、売ればかなりのお金になる材と見えた。谷を進むのではなく、起伏する地形を北に進む感じでトラバース気味に降りてゆく。尾根上は17号の排気音が聞こえていたが、こちらは静かで至極快適であった。

 

 水無川の左岸に降り立つ。700mmの等高線あたりだと思う。水無川の雪解け水はうす濁りで、流量はそう多くはなく渡渉できるほどであった。進んで行くと、地形図に見られるとおりに実線路の橋が架かっていた。ここからは道形があるようであるが、積雪量はまだ1mほどはあるようで、幅はおろか場所も見えてこなかった。ただし時折見える看板に、路肩の場所が想像できた。水無川は下流に行くほどに流れが出ていると思ったが、逆に流れが完全に雪に隠されている場所も多く見られた。

 

 左岸進み北尾根の末端となると、そこにスノーモービルが置かれていた。少し前から、左岸にキャタピラーの痕が見られたので、ある程度は想像していたが、本体がここに置きっぱなしになっていることに驚いた。尾根末端を巻き込むようにして西に進み、往路に取り付いた階段の場所から17号に降りる。さてここからが本日2度目に危険地帯。耳を凝らし車が来ないことを予想し、来ないことを祈って三俣橋を渡って行く。渡った後には黄色と白の道路公団のフォレスターがボクサーエンジンを轟かせて通過して行った。80km/hは出ていただろう。私が橋の上に居たら、私がけがをするか、運転手が驚いて事故をするかだっただろう。信号がないためにみな高速で通過してゆくのだった。

 

 駐車余地に戻る。時計はまだ7:25だった。これから登る人が居るような時間でもあり、帰るにはもったいないような天気であるが、下界でもやらねばならないことが待っている。北尾根が伝えたことで大満足。

 

 振り返る。魅力のある尾根であるが、標高が標高なので残雪期として雪に伝える期間はそう長くないよう。そこは東の水無川斜面を伝えば、ベッタリと残っている。この場合、尾根を歩きたい目的から逸れてしまう。雪をとるか尾根をとるか・・・。無積雪期でも、そう煩い藪ではないよう。後になり、大平山の座標が1298高点に動くような気がしてならない。まあその場合はまた登ればいいだけなのですが・・・。






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