熊穴 861m (山と高原地図:1996年度版より) タカノス岩 1020m
2019.1.2(水)
晴れ(朝がた雪) 単独 三段の滝駐車場よりCCWに周回 行動時間:3H37M
@三段の滝駐車場6:35→(25M)→A西尾根取付き点(大上橋)7:00→(35M)→B熊穴(北峰・南峰)7:35〜44→(16M)→C御神楽沢渡渉8:00→(23M)→D860m付近で行き詰まり尾根南へ転進8:23→(32M)→Eタカノス岩8:55〜9:14→(17M)→F居合沢に降り立つ9:31→(6M)→G碧岩分岐9:37→(35M)→H駐車場(登山口)10:12
@三段の滝駐車場からスタート | 熊倉バス停の分岐から林道大上線へと入る。 | 熊倉不動滝 | 正面が熊穴西尾根 |
A林道看板の先が西尾根末端。大上橋がある。 | A尾根の西側に林道幅が20m程入っている。 | A枝沢の対岸には、常設のティピーテントが見られる。 | A西尾根末端からは、薄い踏み跡を辿る。西側眼下の枝沢には堰堤が並ぶ。 |
3つ目の堰堤付近から東の枝沢に入る。 | 680m付近。植林帯。 | 720m付近で岩壁が現れだす。このまま進むと岩壁の間のチムニーとなる。北に進む。 | 730m付近で西尾根に乗る。 |
730m付近のリッジ状の屏風岩。上に登れる。 | 800m付近 | 830m付近は大岩があり、北にも南にも巻ける。南を巻いた。 | B熊穴(北峰:標高点峰) |
B熊穴から碧岩 | B人工物皆無。視界を邪魔しないやや高い位置に絶縁テープを残す。 | B熊穴から北側。上信国境はまだ雪が降っている。 | B雪が乗ったので鹿道が幾重にも見えていた。 |
B熊穴南峰には石柱が埋まる。 | B南峰の西側に展望のいい場所がある。熊穴からタカノス岩。見えるキレットがタカノス岩西陵のキモ。 | B雪雲が取れ県境側の山々がスッキリと見える。 | 南峰からの最初は急峻(岩壁)。 |
こんな場所に植林(檜)。尾根を伝ってゆく。 | 途中の大岩の上から見るタカノス岩(右)と碧岩(左)。 | 大岩の下の崖地形に見出し標が設置されていた。かなりの急峻で望遠で撮影。 | こんな場所に石積みされ植林地管理された場所がある。御神楽沢沿いに作業道があると読める。 |
C御神楽沢渡渉。 | タカノス岩側斜面に入り710m付近。 | 760m付近。西陵に向かってゆく。 | 820m付近。尾根に取り付こうと、少し北側に振る。 |
D860m付近まで上がって行き詰まる。確保無しに行くには酷な岩場が現れ撤退。南へ転進。 | 尾根南側の850m付近。歩き易い場所が続く。 | 870m付近で、西陵に向けてチムニーがある。尾根に上がるにはここがいい。尾根には行かず。 | 970m付近。なだらかだがザレ斜面で緩い。 |
Eタカノス岩東の展望場。 | Eタカノス岩東から見る北側。西上州らしい景色。毛無岩の岩壁が目立って見える。 | Eタカノス岩西側の展望場。 | E一番太い松の木に標識が見られる。 |
E南 | E西 | E北西 | E北 |
E南牧村自然公園の宿泊棟が見える。 | Eタカノス岩から熊穴。見ずらいですが陰の上側がそれ。 | E西陵を降りてキレット(990m付近)の上まで来る。ここから見下ろし、西陵を伝わなくて良かったと思えた。 | E西陵のキレットから北側 |
Eヤキソバパンと碧岩 | Eタカノス岩北稜。 | Eタカノス岩の東側から、少し南に下ると、碧岩側の展望がいい。 | 970mの鞍部から居合沢へと下降。 |
970mからは、膝上ほどの落ち葉の中を降りてゆく。 | F居合沢に降り立つ。ちょうど炭焼き窯跡付近。 | G碧岩分岐が見えてくる。 | 三段の滝は結氷。 |
三段の滝の展望場からタカノス岩を見ると、鷹が飛んでいるのが見えた。東側岩壁に巣場があるよう。 | 木橋が多いが、結構に朽ちてきている。修繕した様子もかなりあるが、追いついていない様子。 | 最後の最後で踏み抜いた木橋。 | H駐車場に戻る。トイレは封鎖中。 |
2019年の最初は、タカノス岩を狙ってみる。北稜を伝っている猛者の記録が読めるが、レベルとラベルが違いすぎ、世界が違う事からまず私には無理。それならばと西陵は伝えないものかと検討してみる。西もゲジゲジマークだらけで、その南北の岩場の場所に挟まれるように等高線の描かれた尾根が見える。伝えるんじゃないかと思ったのだった。ただしそのまま挑んでは危険なので、北西の熊穴に登ってから、熊穴から西陵を眺めてからチャレンジしてみようと考えた。
5:00家を出て、セブンのコーヒーを飲み飲み現地へ向かう。いやなことに南牧村は雪であった。2cmほど積もっていただろうか、ワイパーを動かさねばならないほどに降っていた。岩場を目指すわけであり、状況によっては中止にしようと思っていた。三段の滝の駐車場に着き、下見にと熊穴の西尾根へと行ってみる。この駐車場からの距離を測る意味でもあり、ちょうど2Kmの場所に西尾根末端があった。駐車場に戻り夜明けと雪が止むのを待つ。完全に寒村で、熊倉地区も住まいしている人は少ないようであった。
6:35駐車場をスタートする。熊倉バス停のある交差点から、林道大上線へと入って行く。ここには熊倉不動の滝があり、氷瀑となり規模が小さくなって見えていた。寒岩の場所を過ぎると、向かう先に西尾根が見えてくる。コブがいくつも見え、アップダウンが多い様子が見える。そして林道の緑の案内看板が見えると、そこが西尾根の末端で大上橋の架かる場所であった。
西尾根末端の西側には林道幅が25mほど入っており駐車できるスペースとなっていた。枝沢の対岸にはティーピーテントが常設してあるのが見える。これは登山店を経営していたK氏主宰の場所である。K氏にはソールの張替えをお願いしたこともある。尾根の末端からは薄い踏み跡があり植林された山中に入って行ける。やや勾配の強い道であり、細いので伝い難い道形でもあった。枝沢の中には3つの堰堤が見え、その3つ目が見えたら南進から東進に変え、そこからの谷に入って行く。ここも植林地で、上から落ちたのか頭大の石がゴロゴロしている。
720m付近から谷の斜度が強くなり、這い上がる感じで登って行く。目の前に岩壁が現れだし、ここで北に振るように西尾根に向かう。730m付近で西尾根に乗ると、屏風岩のようなリッジ状の岩があり、これには登ることもできその上には自然石の祠のようなものが見えた。尾根上は北側の展望がある場所で、上信国境が見える。南側は先ほど伝ってきた谷の延長線上で、大岩があり、その中央に幅1.5mほどの岩溝が形成され、あのまま伝ったらその場所を通過せねばならなかった。
830mに大岩があり、北と南の様子を見て南を巻いたが、その先の連なりからは岩の北を伝った方が歩き易いようであった。南を巻いた先の斜面が緩く、アキレス腱を伸ばすようにしながら西尾根の頂部に戻って行く。ここでは雪は止んでいたが、振り返るとすぐ近くの上信国境ではまだ降っているのが見られた。最初の目的地到着。
熊穴の標高点をとっている場所には人工物は皆無であった。珍しく絶縁テープを巻いて残す。続く登頂者のために視界の邪魔にならないよう少し高い位置に巻いておいた。僅か南に大ぶりなカラマツが生えている。熊穴は、この場所と南に高みがあり双耳峰になっていた。北峰と南峰が存在していた。南峰へと行くと、境界の石柱が三角点のように埋まっていた。この石柱の場所から西に少し下がると、タカノス岩側が見える場所があった。やっと西陵が見えるのだが、尾根の全容は見えず、結局は現地に行ってみないと判らないのだった。
熊穴南峰から南に進むのだが、進んで行く尾根が見えてこない。それほどに最初の直下がやや急峻になっていた。そして土が乗っておらず岩壁となっていた。ここを下ると、その先は顕著な尾根で伝い易い。驚いたことに一帯は檜の植林斜面であった。こんな場所にどう入るのかと考えるのだが、御神楽沢に道があると思うのが順当だろう。綺麗に枝打ちがされ真っすぐに起立している檜が並ぶ。人が入っていない様子も見えるが、それにしては綺麗な植林帯であった。
760m付近は、大岩の間を抜けるように進むとその先は崖地形だった。見下ろすと、そんな場所に見出し標と杭が打たれていた。行って行けないことは無いが、よくもあんな場所に設置したと思えた。尾根上が進めなくなったので西側の小谷に入る。この周辺地形は石垣が幾重にも作られ、とても綺麗に見えていた。
御神楽沢に降り立つ。渡渉点であるが、場所を選ぶと流れは地表の下を通っていた。下流側には小ぶりな堰堤が見える。さてタカノス岩側に取り付く。少し緊張をしながら東側へと上がって行く。地形図では広葉樹マークであるが、沢の右岸側にも檜が植林がされていた。緩く弧を描くようにして露岩の見えだした尾根を登る。
820m付近からは、ここから南寄りに行ってしまうと尾根に乗らずにその南側を伝ってしまうと思い、少し北側寄りに進む。やや急峻で、帰りはロープを流したいような勾配の中を、グリップを確かめるようにして慎重に上がって行く。しかし・・・860m付近まで上がったが、それ以上は動けなかった。西陵の北壁が見え、そこからの西陵は確保無しに登るには酷な場所となっていた。潔く諦め820m付近まで戻り南を巻く。
西陵の南側は歩き易く、前年度の秋葉山の岩尾根の下のような雰囲気であった。途中870m付近にチムニーがあり西陵に上がって行けるが、なにか嫌な予感がしてそこは伝わなかった。先ほど諦めさせたのには意味があると思えたのだった。そのまま西陵を左に置き、壁を時折仰ぎ見ながらザレ斜面を這い上がって行く。上に行くほどに流れやすい場所となり、落ち葉の堆積も多かった。最後は南から巻き上げるようにして登頂。
タカノス岩登頂。東と西に展望場があり、西の場所に赤字の古い標識が下がっていた。気になるので西陵を下ってみる。狭陵を恐々降りてゆくと、大きなキレットの上に出て、そこを見下ろした時には西陵を伝わずによかったと思えた。このキレットもソロでは危険すぎる。上から見たのと、現地で下から見たのとでは違うのかもしれないが、危険度の高い場所で間違いない。そこまで判ったら、伝えなくても満足で、伝わなくてよかったとも思えた。展望場に戻り周囲展望を楽しむ。北に熊倉集落を見下ろせ、その向こうに毛無岩の岩壁が目立っていた。西には南牧村自然園のコテージ群が見えている。ここからは西上州らしい景色が見られる。先ほど居た熊穴は目立たない感じで眼下に見えていた。
ヤキソバパンを掲げた後に山頂を後にする。南に僅か下った場所に碧岩側の展望がいい場所がある。970mの鞍部まで降り、そこから東に向かって降りてゆく。鞍部下は落ち葉が深く堆積し、膝上ほどになる中を下って行く。その下は植林帯で、ここでやや北に振り小尾根を伝って降りてゆく。そして居合沢に降り立った場所には、炭焼き窯跡が見られた。左岸側に二子岩への道があり、伝って降りるとすぐに碧岩への分岐点が見られた。
登山道は良く管理されていると思えるが、木橋は朽ちてきている場所があり、それが斜めになっていたり、雪が乗っているので結構に怖い。出合う毎に滑るのを確認しながら抜き足差し足で探るように渡って行く。まだ凍って居なくてよかったが、この通過時でも軽アイゼンを着けた方が無難に思えた。
三段の滝は8割がた氷瀑になっており、一部で流れが見られた。落ち口からの九十九折を下り、岩斜面をタイガーロープを握りながら降りてゆく。観瀑場まで降り滝を見上げていると、視界の右上の方で黒いものが動いた。先ほどまで居たタカノス岩の上部岩壁で、目を凝らすと鷹であった。タカノス岩の北東壁には本当に鷹の巣があるようであった。タカノス岩に登って、そこに鷹が観られるとは思っておらず、予想外のサプライズであった。気をよくして、ただし浮かれず慎重に登山道を降りてゆく。
いくつ木橋を渡ったろうか、十数個渡ったかと思うが、麓側の最後の木橋で踏み抜いた。可能性があると思っていたので準備が出来ていたが、抜けた時は普通にドキッとした。雪と落ち葉があったおかげで怪我はせず通過する。配水施設を経てグランドを通り、駐車場に戻って周回完了。
振り返る。熊穴西尾根では危険個所は無かったが、タカノス岩西陵は岩ヤの伝う場所となっており、860m付近からと990m付近のキレットの2カ所で、岩装備が必要と感じた。間違いない狭陵で、上からキレットまで伝うにも左右を見ながら足が竦むような場所が多かった。確保という安全準備が無いと通過は危険と思えた。技量が伴わないと伝えない場所で間違いないよう。