ツバクラ山       2017m       前御座山       2050m       御座山        2112m                                                                                                                     
     2019.2.16(土)


  晴れ    単独     下栗生から栗生峠に上がり西尾根を伝う   行動時間:6H5M


@下栗生と上栗生中間点余地5:03→(56M)→A栗生峠5:59〜6:00→(6M)→B1532高点6:06→(49M)→C1728高点6:55→(76M)→Dツバクラ山(2017高点)8:11〜13→(30M)→E前御座山(御岳神社)8:43→(22M)→F御座山9:05〜23→(16M)→G前御座山再び9:39→(33M)→H不動の滝10:12〜13→(26M)→I栗生登山口10:39→(29M)→J駐車余地11:08


   
@下栗生地区と上栗生地区との中間地点付近にある路肩余地に停める。 下栗生地区に上がって行く分岐。 A栗生峠(碑) A栗生峠からは尾根への九十九折がある。
       
B1532高点 1600mから見る東側。円錐峰は、1970m峰だと思う。 1690m付近で岩が現れだす。 C1728高点峰
     
1730m付近 1750m付近。岩場の急峻地形になって行くが、境界標柱が続く(途中で見えなくなった)。 1760mの岩壁。伝えずに北を巻く。 北を巻いている途中の小谷に入って行く。ここを入らずに、もう少し東に進んで上がった方が次が楽。
       
1820mのコルに上がり東の壁を見る。 1820mの西側の岩の上 熊の糞も見られる。 1830m付近。少し緩斜面で岩場の連続の中ではオアシス的場所となる。
       
1870m付近。南巻き。 1900mの壁。ここは巻かずに直登したが、上側で灌木が密生しており抜けづらい。巻いた方が楽。 1970mピーク 1990mピーク
     
Dツバクラ山2017m。西に最高所。 Dツバクラ山から東。 D少し高い位置に絶縁テープ ツバクラ山東のリッジ尾根。
     
リッジの北側は切れ落ちている。 登山道に合流。 合流点から見る西尾根。 E前御座山:2050m(御岳神社)。
   
金山沢のコル 避難小屋は冬季仕様で雨戸が閉め切ってある。 小屋内部。真っ暗。 F御座山
     
F御座山からツバクラ山(中央左) F北側の岩峰と四方原山。 F八ヶ岳 F北相木村俯瞰
       
F南 F南西 F西 F北
     
F東 Fここでメロンパンが撮影されたことはあろうけど、ホイップサンドメロンが撮影されたのは初めてだろう。 G前御座山再び 鎖場
        
石川県からの父子ハイカー H不動の滝が結氷し見事!! H不動尊 I登山口駐車場。ここまで除雪してあった。
       
おぐら荘前に下る。  J駐車余地に戻る。    




 2018年にエンマ山を踏んで、これで北海道以外の2000m峰は終わったことになり、あまり高みに目を向けていなかった。そんな中に、山と高原地図(西上州)に未踏の2000m峰が見つかった。場所が西上州ってことが珍しく、おそらく「西上州の2000m峰は何?」と尋ねられても、即答できる人は少ないか極稀だろう。それは上州でないけど、場所からしてたまたま西上州図内に入る御座山がその場所となる。御座山と聞けば、200名山なので、知っている人の方が多くなる。信州にあるので本当は西上州ではないのだろうけど、一応西上州図内に書かれているので、ここも西上州エリアとすることにする。そしてその御座山の西尾根上の2017高点に、ツバクラ山とふられていた。これは登らないと・・・と思えた。

 御座山には北から白岩コース。北西の山口コース。南の栗生コースとある。いずれかを使って御座山を目指し、そこから派生する西尾根に入れば9割方はコースを伝える計画となる。しかしそれでは面白くない。地図見れば判るが、なんとも伝い易そうな西尾根が存在する。検索しても伝っている人の記録が読めないのがいい。情報が無い方が面白みが増す。栗生峠を経由することとして、今回は南麓を使って一筆書きをすることとした。雪の様子が不明だが、先日の余地ダムからは機能を発揮したので、ここでもスノーシューを持つことにした。そして2000m級に上がる事を踏まえ最近は持つことが無かった12本爪もザックに入れる。あと、1800mにゲジゲジマークの場所がある。進めずの南麓へのエスケープも踏まえザイルも持つことにした。

 1:15家を出る。暖かい日で、いつもは冷える佐久でもマイナス4℃であった。途中、2軒のセブンに立ち寄ったが、今日はヤキソバパンは入手できなかった。国道141号沿いでは深夜は無いことが多い。いつものようにセブンカフェで温まりながら、小海から南相木へと向かってゆく。もっと雪があるものと思ったら、周囲に白さが無い。これにはちょっと予定外であった。拍子抜けと言うか、かなりラッセルして頑張らねばと言う意気込みで来ている中では、雪が無いのも・・・。下栗生に到着し栗生峠への道を確認し、下栗生地区付近の駐車余地を探す。しかし公的な場所はあるはずもなく、あるのはすれ違い用にだろう設けられた路肩余地くらいだった。そのうちの一か所は照明が灯っており、夜行を思っていたので準備もしやすいだろうと、そこに停める。当然すれ違いの配慮はして、停めても邪魔にならないだろう位置に停車した。時計は3時半。栗生峠で夜明けぐらいとして、ここでのスタートを5時とした。1時間ほどの仮眠とする。

 スノーシューをザックに括り付け、5:03スタートする。最初は西進し、廃屋の先にある分岐から下栗生の地区内へと入って行く。寒村ではあるが、住まいしているお宅も多い。しばらく行くと栗生峠への道標が書かれた分岐があり、峠へと向かってゆく。ここでの外気温はマイナス3℃。栗生川沿いでは風が無かったが、高度をあげるごとに風が強くなり、落ち葉が舗装路上を大量に滑っていた。途中の小尾根には、フェンスで囲まれた山道の入口があり、ここを入っても良さそうに見えたが、栗生峠が最初のウェイポイントと決めてあり、フェンスの場所を右に見ながら先に進む。風はどんどん強くなり、北風が相応に吹いていることが判る。南に居たので、西尾根に遮られ麓側では感じていなかったのであった。

 栗生峠には、石碑の裏には赤い注意表示があり、ここも止め山になっていることが判る。峠を北相木側に進むと、西尾根に取り付ける場所があり、尾根に向かって入ると、予想外にも九十九折があり、それに伝って尾根に乗ることが出来た。最初これは、峠のコンクリート吹付工事用の道だと判断していた。しかし、1532高点側に向かって踏み跡が濃い。この尾根には道があるのが見えてきた。ただし登山道のような道ではなく、踏み跡にしては濃い道。

 1532高点に登頂。6時を回ったがまだ暗くヘッドライトを点けていた。ここから東を見ても、尾根上に境界標柱と1m幅ほどの踏み跡が続く。”そうだよな、こんな場所なら栗生峠から御座山まで道が在ったはずだよな”とこの時は思っていた。これなら快適なままツバクラ山を踏んで御座山まで届きそうに思っていた。途中の1600m峰に上がると東に円錐形の顕著な高みが見えてくる。御座山はあんな形はしていないから、西尾根にある高みのはずと地形図を眺める。1970m峰が見えているようだ。

 優しい尾根歩きが栗生峠から続いていたが、1690mで露岩が現れだす。予定では峠への登りを含め、西尾根上もスノーシューを履いて進む頭で居たが、全く出番はなかった。これ以降、違う意味で出番が無くなるので詳細を書いてゆく。1728高点に乗り上げる。ここはピークと言うよりは肩の場所で、ここよりわずかに東の場所の方が高く、気にしていないと気づかない標高点ではあった。1728高点の15mほど東側には、この尾根で唯一見出し標が見られた場所であった。見出し標は無いが、峠から続く境界標柱は足許に続いていた。白地のアングルに頭を赤く塗ってあるのでよく目立つものであった。

 1730mで嶮しい表情の露岩が現れだす。露岩と言うよりも、1750m付近からはもう岩場と表記した方が合ってきているかもしれない。この付近までは境界標柱が追えたが、嶮しさからかこれ以東では見ることが無かった。1800mのゲジゲジマークにはまだ手前だが、既にゲジゲジマークの中に居るような感じであった。1760mではそそり立つ壁が現れ、無積雪期なら直登出来そうだが、冬季なので安全を考慮し北を巻いてゆく。北斜面は雪の堆積が多くツボ足でトラバースしてゆき、途中に尾根に突き上げる小谷があったので急峻の谷を九十九を切りながら登って行く。後で判ったが、もう少し東までトラバースして登った方が先の行動が楽であった。

 小谷を時間をかけて登り上げると、1820mで小さなコルのようになった場所に着く。西には岩峰があり、東にはまた岩壁が待っていた。ここはやや南を巻くようにして登って行く。1830m付近で、少しなだらかな地形があり、北斜面もなだらかだった。トラバースをここまでして上にあがればスマートだったようだ。しばし岩が見られなくなったが、1870m付近からまたそそり立つように東側に立ちはだかる。コメツガに掴まりながら、右へ左へとルートを探しながら進む。ここは全くもってルートファインディング力が試される場所で、正解路が全く見えてこない場所でもあった。そしてこの時は雪が無いものの、スノーシューなどは無用の長物で、持つならワカンで、これだけ岩場が多いとどちらを持っても使えないようにも体感していた。

 1900mは直登してゆく。手がかり足がかりはあるが、灌木が密生しており、ザックやザックのスノーシューが引っ掛かり、なんとも登り辛くなった。雰囲気的には北を巻いた方が楽だったよう。強引に這い上がり、2度ほどザックからスノーシューを剥ぎ取られる。そして1970m峰に乗り上げる。西から見ていたあの切っ先に立ったわけだが、樹林に覆われ展望はなく、そこにいる実感が全くなかった。ここでこの日初めて雪山に居る様相になり、以東ではほぼ雪が切れることなく続いていた。西進した場合にはこの1970mから以西が核心部になるわけだが、下りの場合はザイル必携であろう。1990m峰は南を通過し巻く。

 ツバクラ山登頂。人工物の一切ないピークで、朽ちた老木が横たわっていた。展望もなく、それでも少し東に出ると、陽の入る場所はあった。最高所は西寄りの場所で、目線より高い位置に絶縁テープを残した。2017高点であるツバクラ山の東に、2010m峰がある。1970m峰以東で、もう危険個所は無いと判断していたが、この2010m峰の東にまだ潜んでいた。岩場のリッジがあり、北側は切れ落ちており、尾根上も乗ったら地形が落ちるんじゃないかと思わせる怖さがあった。ここは南に寄るのがいいが、怖いもの見たさ、怖いもの感じたさで、尾根上を北側を見下ろしながら降りてゆく。西尾根の危険個所はここが最後であった。鞍部まで降り、2050m峰への登りとなる。

 登ってゆく途中、やっとここでトレースに出合う。栗生コースに出合ったのであった。時計は8時40分。出発してから3時間40分くらいであった。2050m峰(前御座山)の祠にお参りしてから、鎖場を降りて金山沢のコルに降り立つ。あと伝っていないのは山口コースなので、いつかはここに登り上げてきたい。登山道上は、踏まれたせいだろう凍った場所も多く、アイゼンを着けようか迷う場所も多かった。本来は既に着けていなければならないところである。雪の下で凍っている場所もあり、見えないトラップもかなり潜んでいた。全て踏まえて慎重にビブラムソールのまま登って行く。

 避難小屋は全閉してあり、入口を開けようとしたが開かなかった。そのまま進んで御座山山頂に立つ。ここは最高所ではなく北の祠の場所に標識が立つ。やや風があるが、冷たさを感じるより陽射しの温かさを強く感じられていた。最高の展望で、周囲がよく見える。がしかし、八ヶ岳は雪雲の中で、方角によっては塞がれていた景色の場所もあった。南アルプスの北岳などはスクンと見えさすがの日本第二高峰の姿であった。最高所のコンクリートの場所がちょうど雪が融け腰かけるのにちょうど良かった。白湯を飲みながらしばし休憩。西側眼下には、今ほど伝ってきた西尾根があり、登ったツバクラ山はそれとしっかり判った。200名山であり誰かいるかと思ったが、誰もおらずに静かな山頂であった。ただし東側ではカラス(ホシガラスに非ず)が賑やかに鳴いており、数羽上空を舞い私に対し何かアピールをしているようであった。

 さて下山は栗生コース。避難小屋通過時に、入口の扉の左側を先に開けると、今度はすんなり開いた。こんな仕組みか・・・と思ったのだが、最初に2枚を同時に開けようとしたから、雪もあり負荷が大きかったようだ。面倒くさがらず一枚づつ開ければすんなり開くのだった。雨戸が締まり中は真っ暗であるが、冬季小屋の体を成していた。凍ったトレースに注意しながら下り、鎖場を登り上げ2050m峰に再び。もう一度祠に挨拶をしてから南へと降りてゆく。

 南面の鎖場で雪だったらと構えてきたが、急峻なのでグズグズで、日当たりがいいので付いていない場所の方が多かった。グローブを赤さび色にしながら降りてゆく。こちらの九十九折も凍った場所が多く、足の置き場に注意が必要であった。目の前を見つつ、誰か来るだろうと、遠く下の方も見ながら歩いていた。すると目立つ蛍光色のハイカーが上がってきていた。見ると小さい子供を連れている。すれ違い時に見ると、小学校低学年と思われる女児であった。父親だろう人も女児も全身モンベルで固めている。ジモティーか、はたまた200名山、もしくは300名山愛好者であろう。登山道情報を伝え別れる。

 不動の滝は、見栄えのする氷瀑になっていた。周囲は暖かい色の中で、ここだけ青い氷瀑で独特さを感じるものであった。鋭利な切っ先を下に向け、”触れるなよ”と言っているようであった。滝下の不動明王に挨拶してから降りてゆく。少し石が動く場所が多いが、そこを過ぎれば緩やかな九十九折の登山道となる。冬でなく春のようで、ここだけならハイキングをしているような快適さであった。

 登山口に降り立ち、置かれた車のナンバーを見ると、「石川」と読めた。「金沢」でないので金沢市民ではなかったようだが、父子ハイカーは石川からの登山者だったようだ。会話中に方言が全く出ていなかったので、その時は気づかなかったのだった。林道を降りてゆく。南相木村として御座山は観光の場となるからか、林道は除雪されているように道幅が融けていた。掘れた場所もなく舗装路を歩いているほどにダート林道の状態がいい。おぐら荘の所に出ると、ここで上栗生地区。この寒村も住まいしている人が多く、晴れているからか住民の姿もちらほら見えた。挨拶をしようとしたが、警戒心が多いのだろう見て見ぬフリをされている。まあいちいち挨拶していても大変だろうとは思う。

 雨具を履いたままスパッツをしたまま車道を降りて行くのだが、陽射しが温かく蒸れて仕方がなかった。登山口ぐらいで脱いでも良かったほど。暑いほどに天気が良かった裏返し。結局、ザックのスノーシューの出番は一度もなかった。アイゼンも・・・。今回は春のように歩けてしまったよう。車に到着し山旅を終える。

 振り返る。御座山の西尾根。伝われない、登山道が拓かれない理由は「岩」。拓いた場合、ロープや鎖場箇所が多くなり、拓いたら拓いたで安全管理が大変となるだろう。危険度が少ない季節は無積雪期。冬季は雪の付き方でだいぶ難易度が変わる場所となろう。地形図からは緩斜面も多く見えるが、伝ってみては半分くらいの場所で岩と対峙していたように感じた。そして今回は東進だったが、西進の場合に下が見えない場所では進路を迷う場所が多くなるだろう。マーキング類は1728高点以東では一切なく、この点ではとても楽しい場所で、今後も現状を保って欲しいと願う。
 






 
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