車坂山 2050m
槍ヶ鞘 2280m トーミの頭 2320m
前掛山 2524m
2021.8.21(土)
くもり時々雨 単独 車坂峠より 行動時間:5H54M
@車坂峠3:50→(14M)→A車坂山4:04→(46M)→B槍ヶ鞘4:50→(9M)→Cトーミの頭4:59〜5:00→(29M)→D湯の平分岐5:29→(17M)→E賽の河原分岐5:46→(71M)→F前掛山6:57〜7:03→(37M)→G賽の河原分岐帰り7:40→(11M)→H湯の平分岐帰り7:51〜53→(49M)→Iトーミの頭帰り8:42〜44→(9M)→J槍ヶ鞘帰り8:53→(39M)→K車坂山帰り9:32→(11M)→L車坂峠9:43→(1M)→Mビジターセンター西余地9:44
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@車坂峠から入山 | 小諸の夜景 | A車坂山通過 | シェルター |
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B槍ヶ鞘から浅間 | Cトーミの頭 | 下降点分岐 | 幅の狭い下降路 |
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露岩の場所が、犬にとっての唯一の負荷。後は概ね安全。 | 外輪山のモルゲンロート | マルバタケブキ | キオン |
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途中から浅間 | 草すべりを振り返る。 | D湯の平分岐。ここもマルバタケブキの群落。 | E賽の河原分岐 |
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三里十五丁。距離からは小諸が起点と言う事か・・・。 | 森林限界は2190m | Jバンドは、確かに「J」となっている。 | 風上から何か匂うのか、しきりにクンクンしている。 |
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屈曲点。昔はここから浅間山本峰に直登出来た。 | シェルター新旧。雨が強くなり中で雨具を着込む。 | 風雨が強くなってきた。 | もうすぐ |
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F前掛山 | F火山規制の中では、ここが浅間山。前掛山だけど・・・。 | F標識 | Fヤキソバパンと |
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F前掛山から東前掛山を望む。 | F南の上信国境はガスの影響を受けていないようだった。 | F下山開始。興味があるのか覗き込んでいる。 | シェルターに戻る。 |
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G賽の河原分岐帰り | H湯の平分岐帰り | 下降点分岐に乗り上げる。 | Iトーミの頭に戻る。 |
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J槍ヶ鞘帰り | 槍ヶ鞘最高所 | 開けた場所でランチしている男性が、絵になっていた。 | K車坂山帰り |
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L車坂峠 | M天気が今一なのでだいぶ空いていた。 |
浅間の前掛山。よく知られている通りの火山規制があり、災害対策基本法による立ち入り禁止区域において登行を許された最高所。浅間山には登れないけど、前掛山なら登っていい(レベル1の時)。よって百名山の浅間山として、現在は前掛山を浅間山として登らせている。本人に成り代わっての影武者。「われこそは浅間山なるぞ」と、幸村に対しての穴山小介のような存在かもしれない。
許されたコースは、車坂峠と浅間山荘からの2ルート。勾配を思うと、スマートなのが浅間山荘からのコースだろう。アップダウンは無く、往路に登り一辺倒で復路はその下り。ただし駐車料金が500円発生し、経路のダート林道にもれなく車が砂埃にまみれる。洗車工数(費用)を加味すると、1000円ほど払う登山口となる。一方の車坂峠は無料駐車場があり、こちらの負荷は外輪山からのアップダウンが発生する事。色々を天秤にかけたが、より涼しさを得ようと、標高の高い車坂峠から入山することにした。
前週は山体の東側の、東前掛山を踏んだ。東があるのなら、西にある前掛山なので、本名は西前掛山って事になる。噴火警戒レベルが1となり、8月6日以降でレベルダウンを待っていたハイカーが押し寄せているよう。ただし金曜日の時点では、土曜日は雨予報(当日はくもりに変った)で、入山者数は少ないと見込めた。ただ百名山の場所、百名山信者の勢いを天気が止めるとは思えなかった。押し寄せる前に行動しよう。
1:17家を出る。上州は緊急事態宣言だからか、五十日の翌日だからか、碓氷バイパスは往来する車はまばら。バイパスに限らず18号全体がそう見えた。浅間サンラインをいつものように小諸側へと行き過ぎてから、セブンでコーヒーを仕入れてからチェリーパークラインへと入って行く。そして車坂峠の駐車場に着くと、このハイシーズンにして2台しか停まっていなかった。車内に明かりが灯り動きがあったので、林道側の余地に停める。しばし仮眠。
3:50久しぶりにヘッドランプを灯して行動開始。外気温は14℃とちょうどいい。駐車場でもヘッドランプが動いており、他にも早出のハイカーが居るようだった。車坂峠から表コースを進んで行く。中コースも伝えるが、規制時の行動可能登山道を拡大してよく見てみよう。北に膨らんだ場所は黄色で塗られていないのが判る。ってことは、塗ったのは表コースで、中コースは塗っていない。伝っていいのは表コースのみで、中コースは立入禁止違反となると地図からは読める。同じことが、不動滝側は塗られているが、長坂は塗られていない。車坂山の山頂部に達すると、小諸市街の夜景がきれいに目に飛び込んできた。下側にガスが垂れ込めていないので夜景が楽しめる日であった。
車坂山からは一度下る。笹が繁茂しモシャモシャした中を濡れながら分けて行く。ヘッドライトの届かない距離で迷犬は斥候として行動しているが、日中と全く遜色ないほどにピョンピョンと駆けるように進んで行く。犬の暗視能力の高さを知らされる。目ではなく他の器官で地形の変化を捉えているのか、この夜目の頼もしさを体感すると、この時間帯は連れているのではなく連れられているような心境であった。人間はヘッドランプを頼りに進んで行く。明かりが無くても歩ける犬。明かりが無いと歩けない人間。
シェルターを経て登った高みが、本来の槍ヶ鞘ピークだろう。標識類は無く無名峰な雰囲気で、東側の肩に降りて初めて標柱が立っている。夜明けとなり浅間山が見えるが、頂上部は垂れ込めたガスで覆われ、その下の空間で来光が輝いていた。よく見ていると極ゆっくりガスは上がっているようで、この後の天気に期待する。緩く下りトーミの頭へと向かってゆく。石がごろごろした登路だが、湿気をよく含んでいて埃っぽくなくグリップもよかった。
トーミの頭登頂。誰もおらず本日の一番乗りのようだった。浅間側のガスは動かず、北の外輪山側のガスは増えてきていた。予報通りの曇りで、この標高ではそのガスの中は雨だろうと予想できた。北に進み下降点から草滑りを降りて行く。幅の狭い九十九折が続き、ここでもしっかりと濡らされる。それでも花畑と言っていい出迎えがあり、色とりどりの発色を愛でながら降りて行く。途中の大きな露岩の場所は、迷犬は立ち止まり少し躊躇したが、考えた後に自力で飛び降りて行った。
来光が蛇骨岳の壁を明るくする。まず最初は小尾根のひだに光が射し、この瞬間がとてもきれいで、ヒダ上にヒカリゴケが生えているかのようだった。暦ではもう秋であるが、草すべりはまだ夏の花の黄色が目立つ。中でもマルバタケブキがたくさん見られた。振り返ると、トーミの頭はガスに中となっていた。湯の平分岐で進路を北に振る。
湯の平分岐からの登路は、八ヶ岳に見る植生のようだった。緩斜面で歩き易く、首を上げやすいので周囲をより楽しめる場所であった。そして賽の河原分岐を通過する。ここを過ぎると樹林帯から抜け出す格好で、以降で隠れる場所は無くなる。「三里十五丁」の標柱が立つが、この標石は元々どんな間隔で設置されたのだろうかと思う。火山館下でも等間隔には見られないから。在ったものが持ち去られるようなことはないだろうから、等間隔ではなくランダムに置かれていたと想像する。
高度計を見ながら行動すると、2190mが森林限界であった。小石から砂利となり、高度を上げるごとに地面の粒子が細かくなってゆく。浅間山の東斜面より西斜面の方が細かい感じだった。進む先左に鋸岳があり、その岩壁にバンドの筋が見られる。見間違えようのないJバンドであった。そこを歩くことを、JーWALKと言うのだろう。この頃になるとガスに覆われだす。ガスが覆う場所に到達したと言うのが正解かもしれない。迷犬はしきりに風上の匂いを嗅いでいる。硫黄の匂いが上がってきているのだろうか、たまに立ち止まるので、微振動など山の変化を察知したのではないかと緊張したりした。
屈曲点の緑のロープの場所に乗り上げる。昔はここから浅間山側へと進むことが出来た。この先に木製の鳥居を見ているような記憶があるが、何処かと間違えているだろうか。東進から南進に変ると、向かう先に二つのシェルターが見えてくる。雨が強くなったので、その中で雨具を着込む。シェルター内の地面は乾いており、雨の中でも居心地のいい内部であった。あともう少し、外に出て風上へと向かってゆく。ヤキソバパンを出すのが面倒に思うほどの降りようだった。
前掛山登頂。周囲は全くのガスで視界は25mくらい。22年ぶりだが、懐かしさを抱かないのは多分景色が無いからだろうと思う。少しすると単独の男性が登り上げてきた。いつから後ろに居たのだろう、全く気配に気づかなかった。氏は雨の中でもスマホで周囲を撮影している。画面に水滴が付着して操作しにくいはずだが、慣れたように周囲を撮影していた。幸い少し明るさが出てガスが薄くなる場所があり、ちょうど東方面に薄くなったところで、何とか東前掛山の輪郭が見られた。前週の場所をこちらから見たいと思っていたので、完全ではないが何とか見られただけでも嬉しい。南を見ると、八ヶ岳や奥秩父側は晴れているように見えた。場所を違えればいい景色を見られる山行を出来たってことになる。
男性に山頂を譲り下山。依然雨は降り続いていたのでシェルターで迷犬に水を飲ませようと思っていた。山小屋だったら入れないが、こんな時のシェルターはありがたい。飲ませていると先ほどの男性が降りてきて追い越して行った。後を追ってみたが、差が縮まることはなかった。時速5〜6km/hで歩いているようで、下りでこのスピードの人ならば、登りのスピードも推し量れた。下山後にヤマップを見たら当人を発見。浅間山荘から2.5時間で登頂し、4.5時間で登山を終了していた。恐るべし。すれ違う人がどんどん増えて行く。さすが浅間の前掛山であった。
賽の河原分岐までに15名ほどとすれ違い。分岐の場所には外国人の姿もあった。場所柄かヘルメットを被った人が多いのが目に付く。湯の平分岐に戻り草滑りを這い上がって行く。強い勾配の場所にゆっくりゆっくり足を出して行く。ここでのすれ違いは3名。道幅が狭いので楽にすれ違い出来る場所は無かった。登り優先を全く無視している御仁も居た。多様性を受け入れる時代なので、これらも我慢せねばならない。外輪山を歩く鈴の音が降りてくる。見上げてもそこはガスの中だった。でもそのガスのおかげで、奇岩峰がガスに浮き立ち墨絵を見ているかのようだった。
下降点まで登り上げたら、この日一番の負荷区間は終了する。トーミの頭には4名の若者が居た。残念ながら展望は無い。迷犬に水を与えてから下降し、そして槍ヶ鞘に登り返す。中ルートを通ったら、この雨にヌチャヌチャしていただろうと思う。少しづつ天候は回復してきており、ガスは取れつつあった。快調に西へと戻って行くと、開けた場所でコンビニ弁当でランチをしている単独男性が居た。特にピークを目指さず、景色のいい場所で食事。私もいつか、この様なのんびりした山行をする時が来るだろうか・・・。
ちらりほらりとすれ違い者が居たが、今日はあからさまに少なく、ハイシーズンにしては極端に少なかった。車坂山東の鞍部で男女にすれ違う。男性が迷犬を見て、「でっか」と言った。見慣れてしまっているので大きいと思わないが、言葉にするほど大きいと感じる人もいる。全ては経験だろう。浅間山荘側では馬が放してある。たぶん馬を見た後なら小さく見えただろう。車坂山を経て車坂峠に戻る。迷犬は、今日は誰にも撫でられなかった日であった。
チェリーパークラインを降りて行くと、清水地区の西側あたりを通過時に、反対車線を塞ぐように車が2台停まっていた。事故かと思ったら、車と車の間にクマが横たわっていた。駆除されたのか事故なのか。まあ臆病な熊が交通事故にはならないだろうから前者だろう。