小川山        2418.4m          
   
   
        
                                  
                                 
                                                                                                      
  2021.9.11(土)


  くもり時々雨    単独     里宮平より     行動時間:5H42M


@瑞牆山荘北西余地3:39→(6M)→A里宮平3:45→(37M)→B富士見平4:22→(15M)→Cヤナギ坂分岐4:37→(39M)→D八丁平5:16→(89M)→E小川山6:43〜55→(63M)→F八丁平帰り7:58→(31M)→G小川山分岐帰り8:29→(13M)→H富士見平帰り8:42〜49→(26M)→I里宮平帰り9:15→(6M)→J戻る9:21  
                                             


 
@瑞牆山荘北西600m付近の余地。 A里宮平登山口 林道終点に出てしまう。小屋スタッフの車が見られる。 B富士見平
       
Cヤナギ坂分岐 C公式にはここから4時間。 最初の天鳥川の渡渉 2回目の渡渉
   
伐採小屋跡 ルートに沢の流れが入り込み泥濘地帯が続く。 D八丁平 露岩帯の中を登る。
       
この日の来光。 シラベの中の心地いいルート。 奇岩が乗る場所。 奇岩峰から瑞牆山。
       
緩斜面尾根が続く。 岩峰上から小川山側 2347への登り 路岩峰に対し、東側に踏み跡がある場所があるが、直登が正解。
     
E小川山。最高所はシャクナゲに囲まれる。山梨百名山。 E二等点 E南に私設標識も一つ。 E南の露岩が堆積した場所からは遠望が楽しめる。
       
E小川山から瑞牆山側。 E小川山から金峰山側。 Eヤキソバパンと 廻目平分岐
       
2347シオサブ 何箇所か段差の大きな場所がある。 F八丁平分岐帰り 八丁平からの西斜面は、広く緩やかで心地いい。
       
泥濘地形帰り。 渡渉点帰り 渡渉点左岸の道標は落ちている。 伐採小屋跡
       
Gヤナギ坂分岐に戻る。 H富士見平小屋に戻る。 Hシナノゴールドが早々手に入った。 Hテン場は空いていた。
       
I里宮平に戻る。 J余地に戻る。  




 小川山は、2001年の春に5000座登頂で知られる小川さんと登った場所である。この時はスタンダードコースの廻目平からアプローチした。西上州からだと、この川上村からのアプローチがし易いと計画したいが、経路の岩場や梯子場が犬には通過できない。となるともう、八丁平経由でしか犬連れは無理となる。八丁平も廻目平から狙え、犬連れで行くならこのルートと思っていたが、先月に廻目平より里宮平に行く方が7Km近いことを知り、富士見平経由で八丁平に上がることにした。

 
 1:15家を出る。佐久を経て、川上村の高原野菜畑の中を通過して信州峠を越えて行く。小雨もあって、路上に大量に落ちている畑の土とで泥だらけになって里宮平に到着した。この日も前回同様に瑞牆山荘の北西600m付近の余地に停める。曇り予報の日であるが、ちらほらと星の瞬きが見えていた。外気温は13℃。

 
 3:39余地を出発する。前回は忘れてしまったが、この日は
ヘッドランプのおかげで明るく歩くことが出来た。里宮平の駐車場にはこの日もLEDライトが見えていた。他にも早出の方が居る様だ。明るいはずであるが、西に寄り過ぎて進む先で林道に出てしまった。林道の終点地には2台の軽四が置かれ、小屋のスタッフのものと判る。東に進んで登山道に戻り富士見平に着く。


 富士見平のテン場は静かで、8月の前回と比べ遥かにテン泊者は少なかった。今日は瑞牆山側へと進んで行く。若干のアップダウンをしながら進むと、ヤナギ坂の分岐となり小川山へと別れる道が導いている。小川山まで4時間と書いてある。ここを歩くのは初めてで、ヘッドランプを頼りに探るように足を進めて行く。天鳥川の瀬音が近く、見えないながら沿うように登山道を進んで行く。緩やかに登って行く道が初めて下りだすと、渡渉点が現れ右岸に移る。ここが伐採小屋跡のようで、波板などが見られた。

 
 小屋跡からの進路は、道形が先に見えず少し不明瞭。右岸側がぼやけたので左岸側を見ると道幅が見られた。再び渡渉し左岸へ。ここには錆びた道標が落ちていた。着いていたとて錆びて見づらかったろう。左岸を僅かに登ると、登山道は泥濘した場所が続く。この理由は枝沢からの流れの流入であった。回避させる方法も探ったのだろうけど、いろいろ探った結果が今の状態なのだろう。人工的に何か施した跡は見られなかった。破線路の理由はここのためかもしれない。他の場所で理由になるような場所は無く歩き易い一級路であった。

 
 夜明けのタイミングで八丁平の分岐に到着した。東の山並みの上からオレンジ色の来光がある。大きく光るのではなく細かく散らばった光で、幕場の明かりのように見え大学のワンゲルが野営でもしているのかと思ったほどだった。道標には残り3時間とある。私の中では里宮平から3時間で到達する予定で来ている。温度計は10℃を切っていた。

 
 八丁平からはしばし急な斜面が待っている。露岩もあり縫って進むような登路が切られていた。2213高点東の峰は奇岩峰で、寄り道するように登って行くと、岩の上に乗ることができ瑞牆山側の展望が楽しめる。そのまま尾根上は進みづらく、戻って東斜面をトラバースする道を進むのが正解。この先しばらくは緩斜面の尾根で、シラビソの甘い香りを楽しみながら歩いてゆく。シカの糞も少なく警戒音さえもしない。6時頃に雨が降り出してきた。でもシラビソが濡れるのをだいぶ遮ってくれていた。

 
 2290高点峰は岩峰風味で、上から小川山側を望むことが出来る。展望の乏しい尾根なので、風景が楽しめる場所は水泳時の息継ぎのように貴重に思えた。この先の鞍部からは最後の登りで、斜度は八丁平の北側と似ていた。進む先で岩の折り重なったような場所が現れる。直登か東巻きな雰囲気で、迷犬は東を選択して進んで行った。がしかし巻いてゆく先で降りられない場所となった。人間なら進めるが・・・。戻って岩の間を直登するとルートが進んでいた。直登が正解だった。この直登がし辛かったので迷犬は東に逃げたのだろう。

 
 登って行くと2347高点峰のシオサブと呼ばれる岩峰の場所となる。ルートは山頂を通過せず、その西側を通過してゆく。岩峰とエアリアには記されているが、現地山頂はそのようには見えなかった。進む先にこんもりとした目的座が見えている。途中、右側より廻目平からの道が合流する。やはりメインは川上村側のルートなのか、そこからは緑のロープが逸脱しないよう山頂まで導いていた。

 
 小川山登頂。20年ぶりであった。そして山頂の閉所感が懐かしい。展望のないピーク。しかし樹木を潜るようにして屈みながら周囲を見ると、南側に明るい場所があるのが判った。進んで行くと大岩の堆積している場所があり、上に乗ると金峰山側や瑞牆山側を望むことが出来た。小川山だって展望がある。二等点は無傷で埋まっていた。マイナーな場所であり、割られてもおかしくない場所であるが、完璧な姿で存在していることが嬉しい。山梨百名山の標柱に対し、近年設置の私設標識が南に下がっていた。今日はこの1座のみ。目的を達成して帰路となる。

 
 南進は、廻目平からの小川山での周回路でよく使われる。ほぼ下り一辺倒なので負荷が無く快適だった。そんな中、前方から話し声が上がってきた。ちょうど大岩の陰になるような場所で通過者を待っていたら、出合頭的になり二人のパーティーにかなり驚かれる。山で話に夢中になっていると、注意散漫になり見ているようで見ていない。そういう意味では、熊被害に遭う人は単独行は少ないはず。声の賑やかさが熊を避けるとも言うが、やはり気の緩みが全てで事故に繋がるだろうと思う。

 
 八丁平からの下りはさらに快適。シラビソの樹林帯であるが明るく広く緩斜面。そこに一本の登山道。周囲の香りもいい。次第に天鳥川の瀬音も聞こえてくる。泥濘地を経て渡渉点に向けて降りて行くと、単独の男性が立ち止まりこちらを見ている。どうも通常の視線と違いなにか見定めているかのような視線だった。すれ違いざまに「等高線の人ですか」と聞かれる。初めてこんな表現で聞かれた。「旅人さんですか」とか「DJFさんですか」は過去にあったが・・・。相手の雰囲気が悪かったら、「違います」と言いたかったが、そうではなく装備からは漂う雰囲気は玄人山ヤだった。足許には、ピカピカに磨き上げられた革靴を履いていた。「今日は何処ですか?」と頻繁に閲覧しに来てくださっていることが言葉から判った。「今日は小川です」と返す。小声で「速いなー」と聞こえた。同じ場所に行くのだろうと思えた。また雨が強くなりだし御仁とは別れる。

 
 小屋跡の場所は、たまに野営する人が居るのか焚火跡が見られた。もしくはそこに小屋があり旧来からの囲炉裏の場所だったのかもしれない。沢から登り返し西進してゆくと、瑞牆山へと向かう人の声が上がってくるようになる。迷犬を黒いままにしておくと熊かと驚かれるので、分岐のわずか手前で服を着させる。見た目は大事、服一枚でだいぶ和らいだ印象になる。と勝手に思っている。

 
 百名山の場所であり、続々とハイカーがすれ違う。姉妹を連れた四人家族がやってきて、その姉妹は迷犬を見て嬉しそうに目を輝かせていた。躊躇することなく撫でようとしていた。動物に頻繁に触れ合っている子なのだろう。ひとしきり撫でた後、嬉しそうに登って行った。いろんな犬がいるので安易に手を出すのは危険だが、こんな場所に連れてくる犬で噛む犬の方が少ないだろうとは思う。連れる方も相当のリスクがある。

 
 富士見平に戻りベンチで休憩する。この時でテン場に見える総数は14張だった。9月の方が過ごしやすいだろうに、ハイシーズンを過ぎるとこんな感じなのかもしれない。まあ子供の夏休みが終わったのが一番だろう。持上げたリンゴを迷犬と分け合い水分補給。目の前で「富士見平で富士山が見えない」と言っている若者が居る。わずかな差だが、小屋の前まで上がらないと見えない。と言っても今日は見える場所でも曇天で見えない。
残念。

 
 富士見平から降りて行く。マダムが「触っていいですか」と迷犬に対して言ってくる。「どうぞどうぞ、何処でも触ってください」と言うと嬉しそうに撫でていた。ドッグセラピーになっているかもしれない。また途中ですれ違った男性からは「どこまで登って来たんだい」と問われ、「小川山です」と返すと、「小川小川、何処にあるんだい」と。「瑞牆の横の方です」と教えると、「瑞牆の横」とさらに判らなそうだった。こんな時に迷う。判らない人に判るように教えるのが親切なのか、判らない時に教えないで自分で調べ理解するように促すのが親切なのか・・・。地図を広げここと言えばいいのだが、コロナを思うと近づくのは憚れるのだった。

 
 里宮平に降りる。今日は路上駐車はゼロ。それでも駐車余地に戻ると、他に2台停まっていた。ゆったり停めたい派の人なのかもしれない。

 
 小川山に犬。小型・中型犬の場合、2箇所ほど抱き上げないと乗り越えられない段差がある。大型犬でも跳躍力がないとここの通過が厳しい。あとはほぼ安全通過できる。






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