高登谷山        1846.0m         高登谷山南峰        1862m                                                                                                                     
         
                                  
                                 
                                                                                                      
  2021.12.11(土)


 晴れ      単独      野外ステージより       行動時間:2H15M


@野外ステージ前6:30→(9M)→A登山口6:39→(51M)→B高登谷山7:30〜37→(15M)→C高登谷山南峰7:52〜8:04→(42M )→D野外ステージ前8:46     
        


 
甲信国境を狙おうと計画したが、林道に入れなかった。撤退。 @野外ステージ前の「ふれあい橋」 A別荘地上部の登山口 林道を跨ぐ
       
振り返る。直線尾根に真っすぐ登路がある。 クレモナロープの場所が2カ所。 最後の急登 B高登谷山
   
B三等点 B南東 B南西 B西
       
Bグラタンコロッケバーガーと C南峰 C南峰から北峰 C古い標識
       
C北側 C南側 C南峰から中双里側 C瑞牆山と富士山
     
Cサンふじと 天狗岩は下を巻く 天狗岩へのフィックスロープ 南峰からも顕著な尾根
       
麓側でルートが判らなくなり適当に下る。 D野外ステージ前に戻る。 D野外ステージ




 日本海側は雪が降っているところも多いとは思うが、奥秩父は例年に比べまだ降雪が少ないように思え、甲信国境上の松ネッコと派生する尾根にある中双里を計画した。2005年に登った時は、三鷹市の施設の場所からアプローチしたので、今回は少し変化をつけようと、高登谷沢を遡上する経路としてみた。小川牧場側の林道は通れないのは知っていたので、他のアプローチとしてはこのくらいしか思い浮かばなかった。


 3時15分に家を出る。川上村の高原野菜畑は農閑期であり、いつも見るような投光器での作業は見られない。ただし農業ではなく土木作業として重機が動いている場所があった。暗いうちからの作業を、農業に限らずこの地域の人は厭わないのだろう。小川牧場の入り口には立派なトイレ舎が出来ていた。そこからの林道はしっかり閉ざされ南京錠がかかっていた。門扉前から西に進んで行く。路面の積雪量は200mmくらいあり、軽トラ幅の轍を伝って進んで行く。そして高登谷沢林道の入り口に到着する。入口余地は少し傾斜があるので、何度も前進と後退を繰り返しながら雪面を均し駐車する。まだこの時はゲートの様子を見ていなかった。


 外気温はマイナス4。切ると寒いのでエンジンをかけたまま夜明けを待っていた。ここは携帯の電波も入らない。そんな中、小水に外に出て、ついでにと林道入口の門扉を偵察に行く。門扉だけだったら難なく通過して行ける構造だったが、その門扉に鹿よけのフェンスが縫われていた。下側も上側も通さないようにしてあり、狸ぐらいなら抜けられるが、中型犬以上はまず無理だった。当然、門扉の左右にはフェンスが連なる。この状態に、ここからのアプローチは無理と悟った。まあ「関係者以外立ち入り禁止」と書いてあるので、通れたとしても侵入してはいけないのだが・・・。


 計画を練り直さねばならなくなった。また三鷹市の施設の場所からアプローチするって手もあるが、若干モチベーションが下がってしまったので、リセットして他の場所に転進しようと思った。一番近いのは、すぐ西にある高登谷山。前川沿いの林道も選べたが、積雪量が気になり、一度県道68号に戻ってから信州峠へと向かってゆく。


 三鷹市の「自然の村」に行くのは16年ぶり。別荘地内の道はしっかり除雪してあり、通過しやすいのはありがたいのだが、除雪のために両路肩は壁のように雪が堆積していた。駐車余地を探しながら進んで行くと、適当な場所が見いだせず一度「自然の村」に登ってしまった。戻るように探すと、野外ステージ前の路肩にホイールローダーの轍があり、それに伝うように突っ込んで停められた。北に見えるお宅は明かりが見え住まいしている別荘のようで、極力音を出さないよう注意しながら準備に入る。


 6:30野外ステージ前を出発する。南沢にかかる小橋は「ふれあい橋」と名前がふられていた。高登谷山への道標に従い別荘地内を登って行く。煙の香りが漂ってくるのは、先ほどのお宅からだろう。他に見える別荘は殆ど人気は無いようだった。冬季と言う事もあるだろう。敢えて寒い時に寒い場所には来ない。

 登山口に到着し、こんなところから登ったんだっけと20年ぶりに訪れた場所に前回の記憶を呼び起こせないでいた。薄く雪が乗り、道形も薄いのでどこを伝うのが正解なのか良く判らない。林道を跨いだ先からは、一直線に伸びる尾根で気持ちがいいほどに見通しがいい。こんな場所だったっけとまだ思い出せていない。雪面には単独の方が往復しているトレースがあり、上部ではこれを利用して楽をさせていただいた。


 下草がほとんどない。シカも居ないようで迷犬もつまらなそうにしている。糞もなく周囲に匂いの発生源が乏しいのだろう。初めての場所でありながら、マーキングもほとんどしない。地形図に破線は記されるが、あまり利用者が居ないのか登山道が薄い。地質・地形的な要因かもしれないか、周囲に有名峰が多いここでは、やはりマイナーな場所なのだろう。いつ降った雪だろうか、雪面にほとんどと言っていいほどに獣の足跡がない。


 進路の尾根から東を見ると、谷向こうに下山予定の尾根が見える。広葉樹林の一帯は、冬季はそこそこ見通しがいい。冷たくなるので汗をかかない程度と進度を調整しているが、先行する迷犬にそんな思考は無い。雪が楽しくてしょうがないのだろう3歳にしてパピー走りで上がって行く。パピー走りとは、前足と後足の各2本づつを揃えて走る事である。1800mを超えると、けっこうにツボ足となり、迷犬は雪面に腹を着けるほどになっていた。この様子に、2000m峰に行かずによかったのかもと思うのだった。


 高登谷山到着。厳密には、南峰があるので北峰と言うべきか、もしくは場所によっては南峰の場所は東峰であり、西峰でもいいのかもしれない。まあ本峰と表記するのが間違いないところか。単独行者のトレースは南峰側には進んでいなかった。本峰のみの登頂でピストンしたようだった。南側の展望を見て、やっと20年前を思い出した。甲信国境が意外と低く見え違和感を抱く。フシノソリ以西で低くなだらかになっている場所が、国境線が通る主稜のように見えないのだった。まあ逆を返せば、信州峠側からは急にせりあがるような山稜とも言える。温度計はマイナス6付近を示していた。動いていないと冷えるのも早く、各方面をカメラに収めたら南峰側へと進んで行く。


 単独行者が南峰側へ進んでいない理由が、伝ってみて少し判ったような気がした。けっこう深いツボ足になり、ハードルのようになった雪の堆積が何か所もあり、崩しながら進む場所もあった。さすがの迷犬もどう進めばいいのか躊躇し、ラッセルしてやると後を付いてきた。この尾根上には以前は有刺鉄線での柵があったようで、それが時折雪から顔を出していた。東の村営牧場と関わりのある柵だったのだろうか。そんなに積もっていないだろうと、ちょっと雪と遊ぶつもりが、けっこう一生懸命遊ばねばならなかった。


 南峰到着。真新しい標識と古い標識が見られた。ここからも中双里は狙えるが、もう”今日は狙わなくてよかった”と思えていた。カンジキを持たない今日では、狙ったとて届かなかった可能性も思えた。本峰に対し少し狭角ではあるがこちらのピークも展望がいい。本峰では見え辛かった瑞牆山の鋸歯がしっかり見え、その右隣りにどっかりと白い富士が見えていた。南ばかり目を向けてしまうが、北側も悪くない。天狗山の山稜の向こうには浅間山の姿もあり、南に北にと景色を楽しめるのだった。この展望なら、もっと人気があっていい。


 天狗岩を示す道標があり従い降りるが、不明瞭で半信半疑で探るように足を出してゆく。天狗岩の場所まで道標は無く、その天狗岩もフィックスロープで登るようになっており、回避して下側を巻いてゆく。以降は西側の尾根同様に直線的な尾根で見通しがいい。中盤以降で頻繁に道標が出だす。少し進路がくねくねとして尾根の障害物を回避しているようだった。進む先に「野外ステージ」と矢印が右側に向いて二つ書かれている道標が見えた。強く右を示しているので西側の谷に入ったのだが、その先が全く判らなくなった。大岩がごろごろする谷の中を雪を拾いながら降りて行く。何処を降りても別荘地に降り立つと言う安堵感がある場所なので、地形図を見返すような作業はしなかった。実際はどこかで東側に振らねばならなかったようだ。


 谷を降りて行くと別荘の敷地のフェンスが現れ、それに沿うように伝って行く。鹿よけなのか、犬でも飼っているのか、自然の中の広い敷地をこのように囲わねばならないのも大変である。もっとも、別荘を持つような人に、そんなお金の心配は不要か。別荘地内の道に降り立ち戻って行く。そこは往路に伝った道であった。


 野外ステージに戻る。ステージには、香西かおりさんと純烈さんのイベントの看板が残されていた。広い敷地の施設であるが、トイレが無いことに気づいた。造ってしまうと冬季に凍って維持管理が大変なのかもしれない。イベントの都度、ポータブルを設置なのだろう。この施設を見て、そんなことを考えるのは私くらいか。






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