前掛山        2353.6(2354)m        蓼科山        2530.7m                                                                                                                                  
         
                                  
                                 
                                                                                                      
  2021.9.18(土)


 雨      単独       大河原峠より      行動時間:3H6M


@大河原峠5:23→(45M)→A佐久市最高地点6:08→(5M)→B赤谷への分岐6:13→(6M)→C前掛山6:19→(11M)→D将軍平6:30→(28M)→E蓼科山6:58〜7:06→(21M)→F将軍平7:27〜33→(56M )→G大河原峠8:29                        
        


 
@大河原峠は14号台風の影響でガラガラ。 笹の中に切られた道を進む。 ゴーロ帯が終わると緩斜面となり湿地風味。 佐久市最高点東に、北に進む枝道が存在した。
       
A佐久市最高点。2380m 縞枯れ 木道は雨だとツルツル。 B赤谷への分岐。
   
C前掛山。今回は2354高点の場所で山頂とした。 分岐再び D将軍平(蓼科山荘) 急峻の岩ルートを乗り越えてゆく。
       
山頂ヒュッテ E蓼科山。想定内の展望(笑)。 E一等点 E標柱。広い山頂で、ガスに巻かれると立っているこれらがありがたい。
       
E標識。手に持って撮影できる仕様。 Eコロッケパンと E蓼科神社奥宮 山頂ヒュッテ帰り
     
乾いていればグリップのいいここの岩は、濡れると一転良く滑る。下りはゆっくり。 F将軍平帰り F豊水を持ち上げたので、荷を軽くするためにここで消化。 三度分岐
       
木道を戻る。 佐久市最高点帰り 苔を楽しみながら・・・。 笹がせり出す区間は20mほど。
       
大河原峠に戻ると雨が上がり、少しガスが取れてきた。 G閑散とした大河原峠 GADAMOも閉じたまま。と言うか8:30じゃまだ始業前か。




 北八ヶ岳の蓼科山。短時間で登れる百名山として人気の場所で、さらには展望がいいので計画する人は多い。季節を問わず土日は混んでいることが多く、混んだ場合の渋滞は牛歩のようでもどかしい。この牛歩になる理由が、ゴーロと呼ばれる岩の堆積区間。そしてその場所が急峻地形。限られた足の置き場となる為、どうしても利用者が多いと渋滞になってしまう。

 
 蓼科山に犬を連れて行く場合の注意点は、人の多さと岩の多さの二つ。犬の個体差で爪の長さと硬さが違うので、一概に基準は決められないが、同じ北八ッの大岳を歩いた時には爪から血を流したので、どんな場所が続くと危険かどうかは把握していた。岩場でもステップが出来ている場所なら問題ないが、爪を立てて這い上がらねばならない場所となると、どうしても摩耗が進む。今回は計画するにあたり、事前に爪切りをしないで準備していた。室内飼いなので手入れはしている普段であるが、蓼科山登頂に向けて大事な判断でもあった。

 
 そしてもう一つの気になる部分は人の多さ。残雪期の方が岩が隠れてアプローチしやすいとも考えたが、とどのつまり天候如何で人出は変わる。出来るだけ少ない時となると悪天時。雨くらいなら入山してゆく人は多いが、台風となれば話は違ってくる。タイミングよく台風14号がやってきており、土曜日に関東にかかってくるが、通過進度が遅く早朝から行動すれば影響が出る前に登って来れるだろうと考えた。そして微妙な進度からは、この日の蓼科山を計画する人は少ないだろうとも考えた。

 
 コース取りは、抱き合わせで前掛山も迷犬に踏ましてあげたいので、赤谷もしくは大河原峠となるが、駐車場を思うと大河原峠の一択となった。西上州から向かうのにも近いことはありがたい。人気登山口の、七合目登山口を避けたと言う事もある。

 
 3:15家を出て、中込のセブンでコーヒーを仕入れてから蓼科スカイラインへと入って行く。降り止む様子の無い雨の中、大河原峠に到着すると見事に閑散としていた。以前も同じ場所に停まっていたので見ている車が3台あった。どこかの小屋のスタッフのものだろう。ヘッドランプでスタートも考えたが、暗く滑りやすいのでは2重苦になるので、夜明けを待った。登り上げてくる車は皆無だった。

 
 5:23白み始めた大河原峠を出発する。足許はゴーロ地形で周囲は笹の植生。勾配はやや強く、ゴーロが嫌なようで迷犬は笹の際を進んでいた。笹は一部せり出し量が多く分けて進む場所もある。いつしかササが終わると苔むした八ヶ岳らしい景色となる。雨が苔を美しくしているが、苔の上の水玉を楽しむほどには降っていなかった。スカイラインを走る車の音は無いが、上空を航空機が通過してゆく。それを聞いて、やってくる台風の影響はあまり酷くはないのかと思えた。運休になるほどになっていない。

 
 佐久市最高点の東側で、北側に枝道が切られた場所があり、その入り口は緑のロープで塞がれていた。林班の境なのか奥に続くマーキングが見える。そして佐久市の最高点には、大きな標識と標柱が立つが、無名ピークなのは寂しい。名前が無いのは麓から見て目立たない、もしくは見えないピークなのだろうと思う。

 
 縞枯れの中を通り、木道を経て緩やかに下ると、赤谷への分岐となる。後にしようかと思ったが、先に前掛山を踏んでおくべく北に折れて行く。エアリアに描かれている三角点は無い。22年前にも探した場所であった。シラビソの倒木が進路を塞ぐ場所は、利用者が少ないためだろう、う回路は薄い踏み跡でしかなかった。山頂がブレてしまっているので、しょうがないので標高点を取っている場所まで降りて行き2354高点で前掛山とした。全くもって山らしくない場所。こんなことなら佐久市最高点を前掛け山として欲しい。分岐まで戻り将軍平を目指す。この辺りに来ると紅葉が進み黄色の葉が目立つようになっていた。

 
 将軍平に到着すると、スタッフが小水に出てゆくところだった。今日見た人はこの一人だけだった。さあここからが本題のゴーロの登りが始まる。連れて登ると言うより、先を歩かせて好きなところを登らせてゆく。やはりあまり好まないようで地面がある場所はその方へと進み高度を稼いでいた。樹林帯から抜け出したら左寄りの登路となるが、ここは昔の右寄りを登って行く。大昔に見たパイプの錆びたものが転がっていた。迷犬は何とか登ったが、乗り越えられず腹ばいに岩にしがみつき、一度だけ尻を押し上げた場所もあった。

 
 目の前に山頂ヒュッテが現れる。ここまで来れば難しい場所は無い。ヒュッテは人気が無く静か。風は10m〜15mほど吹いていただろうか、足場が悪い場所では、若干風にあおられヨロッとしてしまう。風上に向かって進むような感じであるが、ヨットが風上に進むように左右に振りながら向かって行った。

 
 蓼科山登頂。無事辿り着くが、喜んでいるのは飼い主ばかりで、当の本人は何も判っていない。風雨に目をしばつかせて、いつものご褒美を待っている。同定盤の方まで行こうとも思っていたが、諦めがつく雨の強さであった。南風から隠れるように北側の岩陰に入りコロッケパンを分ちあう。同定盤は端折ったが、奥社への参拝は忘れない。しなかったばかりに滑って怪我をしたら悔いるし、参拝してもまだ怪我をしたら、この程度で済んだとも思える。奥社へ参拝したら山頂を後にする。ガスは濃く視界は70mくらいか、何処を見ても同じ景色でコンパスを見ないとすぐに方位が判らなくなってしまいそうだった。そんな中、ポツンポツンと見える標柱はルートに戻るのに助かった。

 
 帰路も山頂ヒュッテに人気を感じなかった。さて岩場の下りだが、やはり雨でよく滑る。何度もヒヤッとしながら都度踏ん張り、なんとか事なきを得る。迷犬も一生懸命ピョンピョンと降りてきている。鎖場の所は、ツーッと150mmほど足が流れた。こんな場所に鎖は要らないとこれまで思っていたが、必要だから設置してあるのだった。一枚岩なので滑るのだった。登ってくる人は居ないか見下ろしながら降りて行く。幸い誰も上がってくることは無かった。常々渋滞する場所なので往来を気にしたのだった。

 
 将軍平に降り立つ。もう危険個所は無い。まだ若干のゴーロ帯は待っているが、爪が削られるような場所は無い。雨に濡れた机の上には、これは椅子ではない旨の文言が書いてある。確かに腰かけたくなる高さであった。迷犬も私も全く水を欲しない日であったが、持ち上げた梨の重さを軽減しようと雨に濡れながら水分補給をする。どこかに目があるのか、その様子を見ているようで、小屋の中から「かわいい〜」と声が聞こえていた。暖かいだろう小屋内。ちょっと寒い雨に濡れた小屋の外。食べ終えたら前掛山側へと戻って行く。間違っても天祥寺原側には行かない。コースとしては周回の方が楽しいが、もうここで迷犬への負荷は終わりにしたいのだった。

 
 分岐を経て木道を経て、再び最高所を通って戻って行く。採られてしまった後なのか、この時期にしても登山道沿いにキノコが乏しい。雨は次第に弱まり、笹原から出て降り立ったあたりでは、前方に大河原ヒュッテの三角が見えるほどに視界が開け明るくなってきていた。大河原峠に戻ると、北西の望月側は青空も見えていた。

 
 大河原峠からの帰路は、降られることなく晴れ間も多かった。JAXAの施設では、白いパラボラはお猪口のように真上を向いていた。出発時間をもう1時間遅らせていたら、展望を楽しめるいい山行が出来たかもしれないと思えた。連れ上げるのは厳しいかと思っていた蓼科山に対し、結果を出せたことが嬉しい。






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