不納山 1291.1m
2014.1.25(土)
くもり 単独 稲裏神社より 行動時間:4H26M
@分岐6:44→(2M)→A登山口6:46→(1M)→B稲裏神社6:47→(101M)→C1221高点8:28→(59M)→D不納山9:27〜41→(54M)→E水晶山10:35〜40→(16M)→F水晶山登山口10:56→(6M)→G車道に出る11:02→(8M)→H分岐に戻る11:10
@国民宿舎の北側。国道からの道と旧道との分岐交差点に駐車してスタート。 | A稲裏神社への鳥居の場所が登山口。 | B稲裏神社にお参りしてから登り始める。 | 途中から見る四万川湖。こちらに迫ってくるような位置にある。 |
途中の尾根の様子。トレースはなく無垢。 | ツボ足が酷く、たまらずワカン投入。 | 1050m付近の様子。 | C1221高点。ここまでの急峻が潜って酷かった。 |
1240ピーク | 雪庇の上を乗って進む。 | D不納山到着 | D標識が二つ揚がる。 |
Dヤキソバパンが手に入り・・・。ただし具沢山で淫ら。 | 我がトレースに伝って降りて行く。 | 途中から見る赤沢山側。 | 水晶山への散策路に乗る。 |
分岐(下降)点にある標識 | E水晶山の岩峰 | E岩峰の上から見る四万温泉街。 | E祠 |
下降点から山口地区へと降りて行く。 | 前回登ってきた最高所まで降りる。ここで無積雪期はヒルの急襲を受け敗退。 | F水晶山登山口 | お墓の先で、右(北)に入る林道に伝って進む。この先に貯水施設があった。 |
G杉林の中を道形に沿って降りて行くと民家の脇に出て、新湯からの道があがってきた分岐点に出た。 | H出発地点に戻る。この時季、駐車スペースはここしかないような。 |
2010年7月4日、山をやっている中で一番「気持ち悪い」と思えた体感をした。山の神に怒られそうだが、ここは素直に気持ち悪かったと言える。それが自然の出迎えであり、山の遊びの中の一環としても、その事に順応できなかった自分が居た。ヤマビル。このヤマビルの猛威を体験できた事をありがたいと思わねばならないのかもしれない。全ては体験。同行者のせいにして敗退を決めたのだが、私自身も気持ちいいものではなかった。なにせ急襲してくる数が半端ではなかった。ホラー映画でも観ているかのように這い上がってきていたのがこの時。
そんな事があり、四万温泉の東に位置する不納山が未踏のままになっていた。「無積雪期は絶対に登らない」、そう心に決めた場所でもあった。少し過剰反応だが、再び同じ試練を受けたら学習しないと言う事になるから・・・。そしてまた、あまり厳冬期に歩かれないようであり、この時季にその魅力も感じていた。
日曜日は嬬恋村に行かねばならなく、少し軽めな場所としてここを選択した。4時、住処を出て大戸の関所を経て中之条に入り四万温泉へと続く道に進んで行く。そして譲葉地区北側の現地に着く。しかしちょうどいい駐車余地が無い。雪があり除雪していない場所へは停められないのだった。四駆のオフローダーなら何処へでも停められるが、この日はFF車で非力。ハイブリッド車のマイナス要素と言おうか・・・。あちこちと探した挙句、国道から来た道が国民宿舎の北側で旧道と合流する、その場所に余地を見出す。先の方には薪置き場があり、そこへの轍もありスタックの可能性も薄かった。置き場所が決まれば夜明けを待つのみ。エンジンを切りラジオ深夜便を子守唄に体を休める。街路灯の明るい場所で、夜中でも昼間のような明るさのある場所であった。
準備をし6:44スタートをする。稲裏神社の参道入口には、水晶山を示す道標も見られる。祠に旅の無事をお願いして、その右側から上がって行くルートに足を乗せて進む。落ち葉のせいなのか、明瞭な道ではないように感じてしまった。そのためにだろう、道標が点々と建っている。道の整備と言うよりは道標の整備がされる場所のよう。しばらくは道形に沿って進んで行く。九十九折が終わり、少し急峻地形になり、そこが終わると北側に四万川ダムがこちらに迫ってくるがの如くに見える。決壊したら、ここまで水かくるのではないかと思わせる位置間隔であった。
地形図の破線は967.4三角点を通過しているが、気にしていたが道形は巻いてしまったようで出会うことはなかった。途中から尾根筋を左に置き進むようになる。あまり伝うとそのまま水晶山の方へ導かれてしまうので、適当な所から尾根筋に戻る。今日は不思議なほどに無風、そして気温が高い。気温が高い方は予報で判っていたが、風も無いので汗が纏わりつく感じでもあった。少しペースを落として汗をかかないスピードに調整する。高度を上げると、自ずと雪の量が増してゆく。残雪期にはまだ早いので雪は柔らかいまま。ツボ足ラッセルで進んで行く。
標高1050m付近、さすがにここでワカン装着。これにより「浮く」と思ったが、予想した浮力は得られずそれまでと同じほどに踏み抜いていた。これが厳冬期のこの標高なのだろう。楽をしたいのなら、もう少し後の季節となろう。それでも、斜面に対してはワカンの爪のおかげでグリップして上がって行けた。進む先、ポコポコと連なるような緩い円弧を描いた先に不納山らしき高みが見える。そろそろ射程圏内。2時間ほどで上がれるかと、生温い思いで来たのだが、それ相応にかかっているよう。
1221高点を過ぎる。このあたりでやっと締まった雪の上を伝う事ができた。この感じだと、もう少し高い場所で遊べば堅い雪を求められた事になる。雪庇が北風に寄って南に育ち、その頂部を伝って行く。雪庇の大きさに対し、南斜面では笹が出ている所があり。袋状になったここが太陽からの温度を溜める場所と判る。1240mピークを過ぎてもう少しなのだが、尾根上はまたまた緩い雪に変わる。
不納山到着。立木に赤ペンキで「頂上」と書かれており、山頂標識も二つ見える。積雪期の最高所は、その場所より南側に13mほどズレた場所だった。木々の間から、谷を挟んで赤沢山側の連なりが見える。これは冬季だからであって無積雪期では葉が茂り展望のない山となろう。少し面白いコース取りを帰路に思ったが、やはりトレースの有無はこの時季重要。楽を思って往路を戻る事にした。
難儀して上がってきた分の、踏み込んだ深みが目の前に続く。ワカンを履いて膝上まで潜るのだから、その深いトレースは復路も容易ではなかった。1050m付近まで降りてきたら、水晶山に向かうべく、進路を南に変える。適当に降りて行くと山腹を進む遊歩道に乗った。途中には往路に見た「水晶山→」の表示も見える。間違いないよう。そしてこちらも歩かれていないようで、獣の足跡さえなかった。
進む先に鞍部が見え、下降点道標があった。その先に鉄骨構造のハシゴ状のスロープがあり、その上の岩峰が水晶山と言うことであった。山と言うよりは・・・。水晶山がハイキングの場所として紹介される一方、登山対象の場所として少しグレーに表現されている意味が判った。ちなみに、所有する地図ソフトでは967.4三角点峰で水晶山と書いてあった。これもどうかと思うが、岩峰が水晶のように見えたのだろうから、ここが間違いなく水晶山となろう。階段を登って行くと、祠があり、金の熊よけの鐘が設置してあった。四万の温泉街が眼下に見え、そこそこ居心地がいい、適季は秋頃に思うが、あのヒルが・・・。
下降点から山口集落へと降りて行く。谷に切られた九十九折を降りて行くと、見たことのあるフェンスの場所に降り立つ。前回、ここまで登って撤退した場所。僅か10分ほど登れば水晶山だったわけであり、勿体無いと思えたが、あのときの彼らの来襲には進退は退で順当だった。見慣れた景色を降りて行き、樹林帯の中の林道のような道形を進むと、水晶山の登山口に到着する。相変わらず塩水が置かれヒルに対する注意が書かれていた。
林道を降りて行く。出る場所は判っているので、少し変化をつけようと、お墓の下の分岐から北側に入る林道を伝う。伝った先にはクリーム色の貯水施設があり、ここで道形は途絶える。その南側の植林斜面に入って行くと杣道があり、伝うと南西に進路をとり一軒の民家の脇に出る。四万グランドホテルが真正面に、新湯側からの道が合流する分岐の場所に飛び出した。民家と思った家は、以前はお店をしていたのか、道路に面する側はそんな雰囲気があった。
舗装路を北に進む。途中で行き合ったジモティーから、「これからかい!?」と聞かれる。「いや、不納から降りてきました」と返すと、「まだ雪が多かったろう」と言う。「まだ」と言う事は、ここではもう雪のピークを越したと判断するのだろうか。これからだと思っているのだが、地元と外野の差だろうか。足湯の場所では湯気に誘われ立ち寄る。車では見過ごしていたが、こんな場所に在ったとは知らなかった。しかしこの時季のこの施設、足場がかなり凍っていて危険な場所となっていたので要注意。
進む前方に分岐点が見えてくる。今日も無事山旅を終える。怖いほど無風で、さらには温かかった。さながら春のような雰囲気の中での行脚だった。