岩戸山 1356.3m
2015.10.3(土)
晴れ 単独 大岩若宮神社駐車場より 行動時間:3H23M
装備:20mザイル ナガサ
@大岩若宮神社駐車場6:09→(15M)→A大岩若宮神社6:24→(78M)→B主尾根に乗る7:42→(5M)→C岩戸山7:47〜58→(8M)→D南峰8:06→(72M)→E大岩若宮神社帰り9:18→(14M)→F駐車場9:32
@屋根のみが残り押しつぶされた家屋。 | 参道は綺麗に管理されていた。 | 林道と山道の合流点。 | スギヒラタケも見られるが、あの事件以降採る事は無くなった。 |
進む先、上の方に神社が見えてくる。 | 最後の登り。 | A大岩若宮神社。向かって右後、沢側に踏み跡が登っている。 | A踏み跡 |
途中の大岩下。 | 小尾根を跨ぎ北にずれてゆく。こんな地形をいくつも通ってきた。(振り返り撮影)。 | 途中から栂池側。 | 岩戸山西尾根と南峰西尾根との間の谷の様子。ガレ地だが快適。 |
1200m付近で下草の無い尾根に乗る。 | 1250m付近、谷地形の中にワイヤーを絡ませたドラム缶が残置されていた。 | 1300m付近。やや湿気の多いザレた地形。 | 前週に続きこのキノコ。 |
尾根直下。東側の朝日が絵になる。 | B尾根に乗った場所。尾根上には薄っすらと踏み跡がある。帰路南峰まで行ったが、踏み跡は岩戸山と南峰間のみだった。 | C岩戸山。気持ちいいブナの山頂。幕営適地も北西側にある。 | C三角点の様子。 |
C三等点。 | C「マモル」と彫られているのか。 | C祠だろう屋根が、ここまで埋まっている。 | C西から見る最高所。 |
Cリボン | C爪痕 | C今日はナガサが活躍。 | D南峰。ここからは適当に北西に下る。 |
1280m付近。最初は問題ないのだが、だんだんと地形図通りの勾配になってくる。 | 1150m付近。狭い谷を左にして狭稜を降りて行く。 | 中央右に穴があるが、一度潜って出たがトラバースできずに高巻してこちらに移動。南に谷、北側も、伝える場所が限られる。 | 1130m付近。大岩が現れ、その北側を巻くように降りて行く。南側は危険。 |
途中で20mザイルで懸垂3回。 | 懸垂を終えた後に見上げる。右にザレた険しい谷がある。降りてきたのは左の岩の場所。 | 懸垂して降りてきた場所。 | 930m付近下側。もう神社も近い。 |
930m上側。ここは往路で見える場所。 | 神社上からは屋根がこのように見える。 | E大岩若宮神社に戻る。壁は啄木鳥の跡が多い。 | E水受けもある。 |
帰路は右に折れ林道を降りて行く。 | この場所まで降りる。 | F駐車余地の様子。綺麗に刈り払われている。 |
昨年の6月、八方山を計画した時に下調べをした場所。山腹に岩穴がある情報もあり、その名前からも天岩戸の話を連想させてくれる場所であった。青鬼(あおに)地区から北に狙うのが冬季のルートのようだが、八方山の帰りとして東からのルートを考えていた。この時に自然保護レンジャーの方が西からアプローチしたことを知った。確かに林道が伸び神社がある。しかし見るからに等高線の密な場所。怖さ半分、もう半分は面白さと思った。西から攻めてみよう。
お守りに20mザイルを持つ。八方山の轍を踏まぬよう注意しなければならないが、今日の場所はそう間違う場所は無い。そして神社から山頂まではそう遠くない距離でありミスをしても修正時間は十分取れると判断した。小谷村梨平からの林道情報が得られず、現地へ行ってみないと様子が判らないが、白馬大池駅から歩いたとてたいした距離ではないと判断していた。好天予報、秋の藪日和。
1:10家を出る。三才山トンネル手前のセブンに寄るも、お目当てのヤキソバパンは無かった。フレンチトーストを貪りながらコーヒーを飲みつつ松本に出てゆく。池田から大町へと、いつもの通過点をいつものように新聞配達員を見ながら通過してゆく。空は星がちらついているが、これが白馬に入るとガスの中となった。白馬大池駅前から南に進むと、東に進む踏切があり、通過して梨平へ登って行く。集会場の明かりが煌々と点いており、その前を通過してゆく。林道に入ってゆく手前がやや袋状になっており、夜明けまでここで仮眠することにした。周囲は真っ白でほとんど視界が無いような状態だった。
5:30白みだしたのでダート林道に入ってゆく。枝や石が落ちており、前週の林道太郎線を少し思い出させる感じがあった。泥濘地もあったりし、少しばかりドキドキしながら奥へと詰めてゆく。向かう先に赤い屋根の家屋が見え、その先へは進めなくなった。手前左側に駐車余地らしき広見があり、ここに突っ込む。ひんやりと冷たい空気、外気温は8℃であった。見える後立山側はマイナス気温と言うことになる。朝露に備えて雨具を履き、ナガサを腰に帯刀する。
6:09歩き出す。赤いトタン屋根の家屋は、屋根しか見えないのでいったいなんだったのかが判らないままだった。左に見つつ、その先の鳥居をくぐって参道を登って行く。良く管理された参道でしっかりと刈り払われて上に伸びている。その横に林道が上にあがっている。通常考えられるのは神社の管理用道路となる。最初から急登ではあるが、状態が良いのでたいして負担にならない。大岩の回廊のような場所も途中にあり、その先で先ほどの林道の上部だろう道が左から合流する。進む先を見上げると社殿らしき建物が見える。直下には梯子幅の参道があり、苔生した上に足を添わせて登って行く。
大岩若宮神社本殿に到着する。雑味が無いと言うか簡素と言うか、木肌そのままの外壁の色合いが周囲の自然に溶け込んでいた。その南側にはやや太い沢があるのだが、その際の場所に踏み跡が登っているのが見える。他にはそれらしい踏み跡は見られなかった。道形は少し伝えるが5分ほどで有耶無耶になる。なんとなくここだろうと追うも、そんな場所があちこちに見えてしまい判らなくなった。目指すピークは北側にあることから、意識的に上に登りつつも北に北に行くように進んで行く。
大岩の場所はやや急峻で、岩に捕まるようにして右から巻き上げる。ここは足場が流れやすい場所であった。特に難しいところはないが、湿って流れの音がしている小谷があった。難しくは無いが滑りやすい場所は続く。一つ跨ぎ上に進み、また北にズレて上に行く。時折踏み跡があるのだが、獣のもので間違いないだろう。アミダくじのように、横に行ったら上に行く事を繰り返し、計4つほどの谷形状を渡ったか。この時気にしていなかったが伝いながらマーキングをすればよかったと思う。この往路が下山時も伝えたならば難しくない経路なのだった。
途中で背中側が開けた場所となり、後立山が良く見える場所となった。下層に雲海が広がり、朝のガスを抜け出したのが判る。1200m付近で下草の少ない小尾根に乗る。続くのかと思ったらわずかで、その先は腰丈の野草の茂る場所となった。進路左(北)に見える谷の中が歩き易そうであり、そちらに進む。ガレと言うかザレと言うかそんな流れやすい斜面の中を登って行く。すると予想外のものが現れた。こんな場所にこんな人工物があるとは思わなかった。それはドラム缶であった。上から流れてきたのか、それともこの斜面で何か作業がされていたのか、いろんな憶測が出来るが目の前にドラム缶がある事実に驚いた。経路で人工物があったのはここだけ。岩戸山の西尾根の南に位置する場所をナガサを使い刈り払いしながら登って行く。この時は下山の為のマーキングがわりの思いもあった。
進む先に強い明るさが見えてくる。やっと主尾根に到達したよう。その尾根の上には薄らと踏み跡が見られた。少し掘られた痕も見えたので、古い登山道なのだろう。拾うようにして北に進んで行く。ややクネクネとしながら進む道で、最後の直下は植生が密になり潜るように進む場所もあった。尾根に乗ってからは快適に進め、進路を邪魔するツタが一か所あったが、ナガサを振り回すほどでもなかった。
岩戸山到着。素晴らしく心地いいブナの植生の山頂だった。適度に明るく、適度に樹林。三角点もすぐに見つかり、三等点と判った。ビニールや赤いリボンを縛りつけた場所もあった。最高所のみに熊の爪痕が見られるのだが、ここ以外の周囲の木にはそれが無かった。北西側に進むと、一段下がった平坦地があり、幕営するにも休憩するにもよく、大勢が集えるほどの広さがあった。ただ期待した展望は見られず、後立山は木々の間から高みを探すしかなかった。ブナの心地よさに長居をしたくなるような場所、こうなると少し遊んで帰りたくなる。復路は往路と違えて南峰を経由して降りて行く事にした。
南に戻ってゆく。往路に登ってきた場所を右にしてさらに南へ進む。道形を伝って行くが、その南峰付近で見失ってしまう。南峰の上に立ち、ここから西へ降りてゆく。最初こそ優しい斜面だったが、南側に荒々しい谷が見えだしてからは進路に難苦する。降りられなくなり左右に逃げたいが、こちらの斜面も濡れていて、岩が黒く光っている場所が多い。這いずるようにして北に横ズレしようとしたが、結局無理で大きく高巻きする場所もあった。
1130m付近。この日の一番の難関が出てきた。こんなことになるのなら往路を辿ればよかったと思ったのだが、足先の下に地面の無い場所となった。幸いにも木が生えているので何とかなりそう。何回の懸垂で下まで行けるのか、降りずにルートを変更しようかとも思ったが、それも面倒に思いザイルに命を預ける。肩がらみでめいっぱい使って3ピッチで下に降り立った。その南側はガレた深い谷があり、その横で降りてきた岩尾根がどうだと言わんばかりの姿であった。これが無かったら味気なかったかもしれないが、やや冷や冷やした下降になったのは間違いなく。こんな場所があることから、使う使わないは別としてザイルとヘルメットは持ちたい場所と思えた。
降り立った場所からザレた大きな谷を南に渡り尾根筋を降りてゆく。下の方に行くと見覚えのある小滝が右に見えてきた。そして往路に聞いた水音もしてきていた。谷を挟んだ北側の場所は往路に伝った場所で、その下側は神社。もう間違いない場所まで降りてきたのが判った。流れの細い、しかし深い谷を渡って右岸側へ行く。麓側を見るとグレーのトタン屋根が見えていた。ここで上から見る踏み跡はどうだろうかと探したが、ここでは下から見上げた方が踏み跡は判り易かった。
神社に戻り、無事の下山を挨拶してゆく。参道の階段を下り少し北にズレると流れの音がするので寄ってゆくと、手水のような水受けがあり、そこに流れが導かれていた。ここからの下山は、林道を降りて行く事にした。あまり荒れた場所は無く状態のいいまま伝って行ける。下側に目立つ赤いトタン屋根が見えてきた。元は茅葺屋根の建物だったよう。なんともこの場所に似合うような気がした。
駐車場に戻る。次は国道を挟んで向かい側の浅間山に行く。梨平地区にはちらほらと住人の姿があった。
振り返る。西側斜面は、僅かな位置取りの違いで難易度が大きく変わる場所と感じた。一本ルートとして切られてしまえば危険個所は避けられるだろうが、現在だとハズレを選ぶ場合もあり危険度があるので注意したい場所。自然をより判る勘所のいい人は安全ルートを選べ、不慣れな人は危ない思いをしてしまうかも。