白板山 1248.4m
2015.3.7(土)
晴れ 単独 三俣地区より送電線下を伝う 行動時間:3H17M
装備:スキー
@三俣郵便局5:38→(19M)→A670高点5:57→(7M)→B西尾根末端6:04→(122M)→C白板山8:06〜24→(21M)→D送電線下8:45→(9M)→E三俣集落8:54→(1M)→F三俣郵便局8:55
@三俣郵便局から出発。ここしか駐車余地が見つからず。なお、郵便局は休日。 | 林道の道形を追ってゆく(道形は判らないが・・・)。 | A地形図の670高点の場所。 | B白板山西尾根末端。 |
前ノ山側の様子。前回伝った場所が手に取るように見える。 | 尾根が急峻で暫く谷地形を登る。 | 谷の入り口から振り返る。 | 植林斜面を登って行く。 |
標高900m付近の様子。 | 標高990m付近から振り返る。この先からスキーで登れなくなる。 | 1030m付近。ガチガチに凍った斜面。12本爪にスイッチして前歯を蹴りつけ登って行く。 | 撮影直前カモシカが横切った。ガチガチのバーンが終わり、柔らかい雪で起伏多くなる。 |
東谷山側の景色。 | 1160m付近。雪庇の続く尾根となる。 | 柔らかくスキーを履く。 | 春らしく、割れた場所も見られる。深さ2mほど。 |
白板山と、そこから続く主稜線が見えてくる。 | 1190m手前峰。 | 山頂までなだらかな地形が続く。 | C白板山到着。人工物は皆無。 |
Cタカマタギ側。 | C苗場側。 | C本日の板。 | Cヤキソバパンが照る!! |
C前ノ山側。木々の間から見えるが、やはり険しい地形。ピッケルと12本爪の世界。 | 北側斜面を滑り降りる。山頂直下は雪崩れに注意。 | 途中から見る1187高点峰。見える手前斜面にはデブリがある。 | 硬いバーンをガリガリと削りながら・・・。今日も淫らなシュプール。 |
やや西にトラバースするように滑り降りる。 | 林道の道形に乗る。スキー場の林道コースそのもの。 | 尾根末端の拓かれた場所に出る。気持ちのいい場所。 | D送電線下を滑りながら撮影。 |
E三俣集落に戻る。 | E2月21日との雪融けの差が見えるだろう。 | Eロッヂまるやさん横に出る。 | F三俣郵便局に戻る。山手側はこの雪の量。 |
2月21日、楽に周回できるだろうと高を括って出向いたら、いとも簡単に跳ね返られた。雪稜のナイフリッジが待ち構えており、雪の状態もあって通過できなかった。そのリッジを見て、スキーでの周回は厳しいとも判った。こうなると気になってしょうがない。登頂意欲が強く湧いてくる。
今度は西尾根を使う。北側からアプローチする方法もあるが、スキー場を経由するので気遣いが発生するのを嫌った。それしかないのならそうするが、一度見ている西側のエリアの方が登頂するのに有利だろうと考えた。21日の下山時、西尾根を舐めるように見つつ下ってきた。このことも生かしたい。
2:15家を出る。満月の夜で夜歩きに最適な日でもあった。国道17号で三国トンネルに潜って湯沢側に降りてゆく。苗場スキー場付近の様子も、車道周辺には雪が無くなり春めいてきている。二居地区を経て三俣地区に到着すると、2週前の様子とはだいぶ違った印象があった。郵便局側に道を選び余地を探す。予想はしていたが、その郵便局にしかスペースは見つけられなかった。土曜日で休みであろうからと、勝手に置かせてもらうことにした。
月明かりがあり歩けそうだが、集落内からのスタートであり、怪しまれぬよう明るくなるのをラジオを聴きながら待った。集落内では、早朝の早い時間からウォーキングをしている人の姿もあった。それを見て我慢しきれずシールを張りだす。どうも周囲に影響されやすい人種のようだ。やや暗いうちからスタートを切る。
前回降り立った場所から入山してゆく。ロッヂまるやさんの脇から入り雪の上に乗る。2週のうちに新たなスノーシューのトレースもできていた。新たなって言うか、スキートレールを踏みつぶしたもので、ちょっと残念だったのだが・・・。それでも、残雪期に入りかなり締まった雪の状態となっていたので沈み込み量はほとんどなく快適。いい調子で脚を進め670高点の送電線下まで出た。ここから方向を定めて樹林帯の中へ入ってゆく。目指すは西尾根末端。
樹林帯を経路に使ったものの、出てみると、送電線下を伝って進んだ方がスマートだったことも判った。切り拓かれた場所なのか、スキー場のような広さのある場所に出る。尾根末端が目の前にあるのだが、そこからの勾配は急の為、ちょっと取付き辛い。北側に巻き込むように進み、標高750m付近からの小谷に入ってゆく。ここも最初こそいいが、次第に急峻になり、細かく九十九を切って登る。左に振るのがいいのか右に振るのがいいのか迷いつつ、明るい方へと右にトラバースするように西尾根の頂部を目指す。
900m付近、西尾根に乗ってしまうとしばらくは快適な状態が続く。それでもジルブレッタのヒールサポートは一番上にするほどの勾配。振り返ると、既に樹林帯や水無川のある谷が下の方に見えていた。しかし余裕があったのはこの付近までで、1000mの声が聞こえる辺りで様子が一変した。よく照らされる斜面なのだろう。そしてよく冷やされる。クラストしたバーンになり、シールが噛まなくなった。スキー用のクランポンでは厳しい勾配になり、久しぶりに12本爪を装着する。スキーをザックに括り緊張の登行となった。爪を装着したはいいが、気を抜いて滑りだせば制動できない斜面であった。結果、立木にぶつかりオロクに・・・。等高線の密な場所は、雪が乗り、より密になった感じであった。
前歯を蹴り込みながら直登したり、ジグザグを切りながら登ったり、帰りにここを滑る場合はどうしようかと考えつつ登っていた。進路左手に逃げると踏み抜きが多くなったりし、なんとも登り辛い、予想しづらい雪質でもあった。快調だったここまでに対し、この急斜面はかなりのブレーキとなった。
1150m付近まで上がると緩斜面となる。目の前を大きなカモシカが横切ってゆく。間に合わずカメラが構えられない。その代りにと、進路右手にある澄ました顔の東谷山を撮る。あそこに登ったのは早いもので13年前。でも当時の記憶が蘇るのは登山のいいところ。1160mまで上がると、雪庇のオンパレードとなる。かなり成長した物もあり、既に落ち始めているものもある。ここに来ると、その雪庇の上でも雪が緩く、爪を板にスイッチしようかと、そのタイミングを見計らっていた。でもまたこの先、凍った場所が出てくるのではないか・・・。
クラックの出来た雪庇の脇を通過してゆく。見下ろすと2mほどはあった。先の方が見えるようになり、なだらか地形が見えたことで再び板を履く。とたん進度があがる。利器は利器、適材適所と言った感じだった。なだらかに進むと1190mの手前峰に乗り上げる。進む先に間違いない白板山の姿がある。羽を広げたように左右に続く主稜。いい見栄えであった。この先は、危ないところは一切なく進んで行ける。
白板山登頂。探し回っても一切の人工物はない。振り返り苗場側の景色。東にタカマタギ側の山稜。北には槍のように突き上げる1187高点峰などが見える。通過できなかった場所に、いつか通過してみたい気持ちになる。ほどよく日差しが入り心地いい山頂だった。あとは復路のスキー滑走を気にするのだが、西尾根は降りたくない。となると、北西斜面が残される唯一となる。南斜面もあるものの、ゲジゲジマークが見えるような場所に降りたくはない。とは言っても北西斜面も密な等高線の場所で、安心して滑れるようには思えなかった。滑れずとも事故に遭わぬよう高度を下げられればいい。これが基本コンセプト。
1187高点を目指すように北側に滑り降りてから、西側斜面を見下ろして良さそうな場所でドロップイン。雪崩そうな斜面で怖い。時期が早く、少し柔らかい雪であったらもっと怖かったろう。慎重にターンをしながら高度を下げてゆく。北側には主稜側から落ちてきているデブリの場所が散見できる。なるべく西側に寄らないと危ないと判断し、西を意識してターンを繰り返す。ガリガリと硬い音が付近に響く。途中にはカツラだろうか、見栄えのする大木が麓に向け並んで生えていた。
植林帯まで高度を下げると、そこに林道幅の切り拓きが見つかった。足に力を入れたターンが続き疲れていたところ、ありがたくそこを伝って行く。スキー場の林道コースそのものでワックスを塗ったスキーもよく滑ってくれた。そして開けた西尾根末端の場所に飛び出した時の晴れやかな景色たるや、標高はないもののかなり居心地がいい場所であった。北にズレて行き送電線の下を滑る。まだ早い時間、腐りだすには相当時間がかかるようで、雪の抵抗をほとんど感じず滑り降りて行けた。緩斜面であるために滑りながらカメラを構える余裕すらあった。
670高点の場所から北に進路を変える。ここからの緩斜面もスキーが滑ってくれ歩行する事は無かった。最後の橋を渡る手前のみ僅かに歩いたくらいで民家の場所に到達した。まるやさん側で降りようと思ったが降りられず、やはり民家前の場所からアスファルトの上に降り立つ。まるやさんは営業中で暖簾は出ていた。失礼な言い方だが、立ち寄る人は居るのだろうか。フラッと入るには入り辛い店構えなのだった。その前を通り郵便局に戻る。
振り返る。下りに使った林道があの場所まで上がっていたと言うことは、無積雪期の方が登りやすいのかもしれない。西尾根は上の方で雪のつかない場所もあり、薄く踏み跡も確認できた(獣のようでもあったが)。ただ、雪があって面白い場所には思う。滑った斜面は、タイミング如何でいろんな表情になる場所に思えた。雪崩易い斜面であることには間違いなく、それが故のタイミングとなる。