笙ノ岩山 1254.8m 丸山 1221m
2016.7.9(土)
雨 単独 鳥屋戸尾根を登り1268高点北で桂谷に下る変則周回 行動時間:7H6M
@白妙橋5:05→(4M)→A川乗橋(ゲート)5:09→(3M)→B鳥屋戸尾根登山口5:12→(128M)→C笙ノ岩山7:20〜21→(27M)→D1268高点7:48→(19M)→E1250m下降点8:07→(21M)→F桂谷渡渉8:28→(12M)→G林道最終端(モノレール駅)8:40→(10M)→H林道T字分岐8:50→(59M)→I丸山北側の峠9:49→(9M)→J丸山9:58〜10:05→(7M)→K登山道に乗る10:22 →(28M)→L百尋ノ滝10:50〜57→(34M)→M林道に出る(滝への遊歩道入口)11:31→(36M)→N川乗橋(ゲート)帰り12:07→(4M)→O白妙橋帰り12:11
@白妙橋前の袋地に停める | @バス停なので、できるだけ邪魔にならぬよう位置どる。 | トロッコの軌道下を潜り | A川乗橋バス停前。ゲートは開門して入って可。 |
Aゲート前の道標 | B鳥屋戸尾根登山口 | B登山口道標 | 560m付近 |
890m付近。肩。 | 917高点付近 | 急登 | C笙ノ岩山 |
C三角点 | C標識 | C三等点 | 1268高点南の分岐点。東の尾根にも踏み跡が降りていっている。 |
D1268高点。登山道から僅かに逸れる。 | E1500m肩。北から撮影。見える左の尾根を下った。 | E1500mからの東尾根。下降点にリボンが下がる。 | 東尾根を3分ほど下ると、尾根の北側に明瞭な道が出てくる。 |
1230m付近で、道形は尾根を巻いて南側山腹へと進んで行った。 | 1150m付近にも尾根を跨ぐ山腹の道が在った。 | 1150m付近から見る尾根の下側。下草は無く伝いやすい。この先で急峻になる。 | 枝沢を跨ぐ。最初、桂谷かと間違えた場所。 |
Fこちらが桂谷の本流。流れは緩やか。 | F左岸側の20mほど上側にモノレールのレールが走っていた。 | 桂谷に在る大岩で構成された堰堤。左岸を巻いて降りてきたが、ちょっとややこしい。 | 堰堤下に在る木橋。かなり滑る。 |
G林道最終端にはモノレール小屋が在った。 | 1154高点北側の尾根を林道が巻き込む場所に登路階段が残る。蕎麦粒山への道。 | T字分岐。ここは地形図に書かれていない。地形図の分岐の北西位置。 | 川乗谷と間違えた場所。左に堰堤が見える。 |
堰堤の左岸側を這い上がって行く。かなり急峻。 | 林道に出て驚く。ルートミスをした事を知る(汗)。 | 「川乗線」とふられていた。 | 林道途中の各沢には、ワサビ田が見られる。 |
綺麗に遮光している場所も見られた。 | 日向沢ノ峰側に進む林道は「日向沢線」と言うよう。 | H丸山北側の峠。林道は乗越して東に進んでいる。 | 峠からすぐの尾根の様子。踏み跡が濃い。 |
1170m付近で東に山腹を巻いてゆく道が見える。 | 1170m付近から丸山山頂側への踏み跡。 | I丸山到着 | I彫刻された標識。 |
Iここでヤキソバパン | I南に下って行く。 | 1130m付近で濃い道形に出合う。 | 1130m付近に在った道標のようなもの。 |
登山道に乗る。伝って来た側はバリケードがされている。 | 百尋ノ滝への分岐点。見えるパーティーは滝への外国人観光客。階段の場所で4名が転倒していた。 | J百尋ノ滝。見事!! | 崩壊していた場所は綺麗に架け替えられていた。でも滑る。雨だからか・・・。 |
K林道に出る。滝への遊歩道入口。ここまでマイカーを上げてこられる。 | 川乗谷はキャニオニングを楽しむ人で賑わっていた。 | この日は50名ほど入渓していたよう。若い女性が多い。 | 往路の鳥屋戸尾根取付き点。 |
L川乗橋ゲートに戻る。 | M白妙橋前に戻る。 |
前週の山旅で、藪の中に潜む深い溝を数回踏み抜き、気を付けていながらも腰に衝撃を受けた。翌日は地元河川での土手の草刈り作業で疲労を上乗せし、週明けから酷い腰痛となった。そんな中でも予定していた飲み会などは遂行し、自業自得ながら治らないまま週末を迎えてしまった。
歩くのも大変な状況、そして土曜日は雨予報、それでも行き先を探す。ほとんど病気である。強い藪漕ぎは無理であり、登山道のある場所を主にして、少し藪と戯れる場所をと、2月6日に残してしまった丸山を狙うことにした。麓側には百尋ノ滝もあり、この時期に見合った涼やかな場所でもある。抱き合わせで笙ノ岩山をも踏むことにした。楽しみは後になるようにと、登りを鳥屋戸尾根とした。
1:15家を出る。小雨の中にハンドルを握るのだが、秩父に入るあたりで既に腰の辛さで家に戻って寝ていたくもなった。でも昨今の腰痛治療は安静から動かして治すことに変わったことも知っており、腰痛だからと寝てられなくなったのも事実。正丸トンネル手前からいつものように山越えして名栗に出て青梅に降りて行く。411号に乗ると、いつものようにダンプが多く、そしていつものように奥多摩工業へと曲がってゆく。その先の日原街道入り口交差点を右折して204号に入ってゆく。
大沢の分岐に駐車場があるが、私的駐車場で釣り客用に見え先に進む。しかし川乗橋を前後して、適当な余地はほとんど駐車禁止になっていた。さらに川乗橋南で護岸工事をしており、その車両が停めるスペースがコーンにより予約されていた。付近に停める場所がない・・・。唯一と言える停めてもお咎めがないだろう場所が、白妙橋前のバス停の場所で、ここはストリートビューで見ても停めている車があったので、ここに入れてエンジンを切る。当然できる限り端に寄せた(3:30)。
腰痛のせいにしたくはないが、やる気が前向きでないのが準備から見える。なんと雨具のズボンを忘れてしまった。まあ暑い時期だからいいが、既にしっとりと降り続いていた。やんでくれればいいが・・・。少しバリエーションコースも入れるので20mのザイルをザックに入れた。珍しく自宅で作った麦茶も持ち上げてみる。暑い時期は出来る限り涼やかになる努力は惜しまない。
5:05ピリピリとする腰の痛みを我慢しながらザックを背負って白妙橋前を出発する。トロッコの軌道下をくぐり進むと、5分ほどで川乗橋のゲートに着く。林道はゲートされているが、開けて入っていいらしく、チェーンが掛けてあるものの鍵はしていない。林道内に駐車余地があるだろうと少し思ったが、取りに戻るのも面倒なのでそのまま行動を続ける。ゲート前のお地蔵さんに旅の無事をお願いしてゲートを越えて行く。
ゲートから3分ほど登ると、鳥屋戸尾根の登山口があり、林道の左右にやや朽ちてきている道標が見える。腰痛の為に引きづるようにして登ってきた足を、ここから斜度に合せて上げていかねばならない。苦行だが、ここまで来て痛さに負けて帰る事の方が残念。牛歩状態で、ストックに凭れ掛かるようにして登ってゆく。もう少し勾配を気にして、復路を鳥屋戸尾根として、勾配の緩い林道を前半にすれば良かったかとも思えた。
運動による発熱にちょうどいい雨と思っていたが、800mくらいまで上がったころには、雨具を着ないとどうしようもないほどに雨垂れが落ちてくるようになった。外気温は25℃を指しており普通に着たら暑いので、ザックを背負ってその上から着るように被った。前述の通りズボンは無いので履けない。890mの肩の場所で雨具を着こみ先に進んでゆく。
新緑を叩く雨具を叩く雨垂れの音がどんどん強くなってゆく。こんな雨の時は、獣の臭覚はどうなのだろうか、聴覚もそうであるが、いつものように鈴は鳴らさずに自然の音を楽しみながら登ってゆく。牛歩状態はそのままで、いつもの一歩の半分ほどしか足が前に出ていなかった。笙ノ岩山南にはやや急峻があり、重力に反して、腰痛の痛みに抗うように登ってゆく。ここで注意、けっしてマゾヒストではないので・・・(笑)。
笙ノ岩山に到着。あたりはガスに包まれ、視界は20m程となっていた。三等点を拝み、もう一度この先のルート取りを地形図から確認してから北に進んでゆく。経路のピークの数を確かめ、現地を照らし合わせるように数えながら進んでゆくのだが、1268高点のある尾根側に分岐する場所は、北東に派生する尾根側にも道形があり、特に道標がない場所であり間違わないのだろうかと見ていた。深い谷を右に見ながら進むと、山頂を掠めるように進む登山道となり、その途中から僅かに西に登ると赤と黄色の絶縁テープが巻かれた1268高点のピークであった。
1268高点から北に下ってゆく。登り返し最初の高みを越えた先でくねる様な尾根になってゆく。そろそろ柱谷の水線の切れるあたりと並行する頃合いであり、東側斜面を気にしつついた。柱谷がどれほどの谷なのか、川乗谷の水量を見たが、さして怖がるような量でもなかった。その支流であり、問題なく跨げるだろうと予想している。1250mの下降点とした場所を一度行き過ぎてしまい。進行方向右手に伝えそうな顕著な尾根が見えないことに間違えに気付き戻ってゆく。
1250mの高みの東側には、どなたかの新しいリボンが下がっていた。藪尾根を分けつつ下りだす。このままでもそう煩わしくないが、分けつつ進まねばならないのが嫌で、南に北に振りながら降りていた。そして下りだして3分ほど経過すると、尾根の北側に明瞭な道形があることに気付く。早くに気付けばよかったと思ったのは言うまでもなく、これで下まで楽ができると安易に思った。しかしこの道は山腹を巻いている道で、1230m付近で尾根を巻き込むようにして南に進んで行った。尾根道とは別に、山腹に立派な道が在るのだった。おそらく作業道であろう。再び道形の無い尾根を進む。植生は薄いのでたいして負荷は無い。すると、1150m付近で、先ほどと全く同じように道形が尾根を巻くように走っていた。こんなに道が在るとは・・・。昔の林業が盛んな頃が見えてくる。さてここからだった。
伝ってきた尾根の東側延長線上では、1150m付近から勾配が強くなり下側がよく見えないような地形となった。ザイルの出番かとも思ったが、その前に腰への負担を考えて、進路を北側にして、より勾配の緩い地形を選んで降りて行った。降り立った沢が桂谷と思ったのだが、コンパスを充てると支流の沢と判り、下流側に進んで行き、桂谷の本流に出合う。ガスの中に目を凝らすと、谷を挟んだ左岸の高い位置にモノレールのレールが見える。人の気配がする場所まで降りてきたようだ。下流側を見下ろすと、先の方に真新しい木橋が見え、何か施設があるのかと思えた。木橋の上流には、大岩を積層して作った特異な堰堤があり、かなり見栄えがするのだが、ここを巻くのが少し面倒で、この時は左岸を巻いて谷に降り立った。安全通過はザイルを流したい。大岩から流れる人口滝を楽しんでから下流に進む。木橋の最終端は右岸にあり、右岸を進んで木橋に辿り着く。雨だからか、いつもなのか、怖いほどによく滑る橋であり、慎重に足を進めて左岸に行く。左岸の道形をそのまま行くとモノレール小屋が現れ、ここが地形図に見られる実線の最終端であった。
モノレール小屋からダート林道に乗ってゆく。地形図通りに道は進み間違いないことを把握する。南に尾根を巻き込む場所には尾根に取りつく階段があり、これは蕎麦粒山へのルートで間違いないだろう。T字分岐で迷うことなく右折し川乗谷の本流を目指す。林道が川乗谷を跨いだ場所の、東側の谷か尾根を詰めて丸山に行こうと予定していた。ヘヤピンカーブが終わり、その次に出てくる谷が川乗谷だと完全に勘違いしてしまっていた。コンパスでも当てれば一目瞭然であったが、林道を伝って楽な気持になっていたのが一番であろう、何も疑うことなくその谷の左岸を登ってゆく。もうこの頃になると、腰痛も癒えてきており、やはり痛くても歩くと治ることが実証される。しかし登って行き目の前の風景に唖然とする。
林道に出たことが理解できなかった。地形図に描かれない道が在るのかと思ったが、よくよく地図を見返し、現地と照らし合わせると、先ほどのT字分岐(これは地形図に描かれていない)の南側の分岐点と判った。さあどうする。こんな日にこんな形態のリングワンデリングするのは恥ずかしいので、北に進む林道を進んでみることにした。この林道は地形図では途中で止まっているが、衛星画像で見ると丸山のすぐ北側まで続いている。伝うのが長そうなので嫌って、林道と川乗谷との出合から取りつこうと思っていたのだった。でもこうなったらしょうがない。間違えもプラスに変えて行くのが私。林道を歩きながら、出合う各沢にはワサビ田が見える。この風景が見られただけでもプラス要素。大雨で荒廃している場所もあれば、しっかり管理されている場所も見られた。衛星画像では見ているが、どこに連れていかれるのかと半信半疑で進んでいたのは事実。林道が南に進みだしてから少し安心できた。
丸山の北側の峠を林道は乗越して東側に進んで行っていた。ここから南に取りつくのだが、その尾根にははっきりと踏まれた跡が残り、道の存在を裏付けていた。1170m付近で、その道形が二手に分かれる。山腹東に進む道と南に山頂に向けて進む道。迷うことなく南に登ってゆく。少し上に行くと道形はあやふやになるが、短距離なので難しい場所ではない。
丸山山頂には、「川苔丸山」と刻まれた標識が縛られていた。南側にはトタンやワイヤーなどが残置され、北側にも間伐材が転がっていた。それほどにここも林業が盛んな場所だったよう。雨は依然降り止まず、降っている中でも蚋が攻撃にしに来ていたので、降って居なかったらさぞ酷かったことだろう。山頂でうろうろしていたら、どちらが進むべき尾根なのか判らなくなってしまった。展望のない山頂部、どの角度も風景が似ているのだった。
南に下ってゆく。明瞭な尾根ではあるが、道形は在るようで無いようで、かなり薄い。それが1130m付近まで下ると、道標まである様なはっきりした道形に乗る。乗った場所は分岐のようになっており、降りて来た側には小さく赤い絶縁テープが結ばれていた。分岐道標は朽ちており、指している方角は判るものの、目的地は判らなかった。そのまま道形に乗って東側に進んでゆくと、バリケードされた先に間違いない登山道があり、ここで川乗山からのルートに乗った。
登山道は水平道のような場所が多く、時折ある木橋は、柱谷に在ったものと同じ仕様で、ここでもよく滑るものであった。途中から百尋ノ滝の文字が書かれた道標が見えだし導かれて進む。足場の悪い場所もあり、痛い思いをしないよう慎重に下る場所もあった。2月にここを伝おうと思っていたのだが、雪が乗って楽な面と、雪が乗っているがために危険度が上がる面があったろうと思えた。
付近に人の声がし出し、尾根を回り込むように進んでゆくと、下の方に黒い顔をした団体が見えた。日本人でないのは間違いなく、こんな滝まで外国人が押し寄せてきているのかと思ってしまった。でも会話すると粗野な感じはなく皆丁寧にあいさつを交わしてくれた。途中の階段でもたついていたので追い越して百尋ノ滝に到着する。見事な滝で、迫力と麗美さを兼ね備えている八方美人な滝であった。後から外国人パーティーが到着し、その全員がスマホを構え、撮る枚数の多いこと。枚数に比例するように感動する心を持っているように思えた。集合写真を撮ってあげ、先に滝を離れる。
川乗谷沿いの滝への散策路、川乗山への登山道でもあるのだが、散策路にしたら結構に危ない場所が多い。一番に木橋なのだが、傾いていたりして雨の日は良く滑る。登山靴でも滑るのであるから、一般のスニーカーではさらに滑るであろうと思えた。まあ距離があるので観瀑しに行く人はそれなりの人なのだろうが、先ほど出合った外国人は、滝への分岐の場所からのわずかな距離でも4名が転倒していた。この散策路を伝ってきて再び帰るのだが、滑って谷に落ちないかと気にしてしまった。崩落していた橋は綺麗に修繕され対岸へと架かっていた。
山道が終わり林道に出る。水力発電小屋があるのだが、発電はトイレの浄化槽の為か・・・。林道を僅か下に下るとベンチが3つ並ぶ広みがあるのだが、駐車余地もありここまで車を上げてもいいようだ。舗装された林道を重力に任せて降りて行くのだが、すぐに上州ナンバーのワゴン車が見え、そこから見下ろす川乗谷にウエットスーツに身を包んだパーテイが見え、キャーキャーと黄色い声が聞こえる。若い女の子がインストラクターに指導されつつキャニオニングを楽しんでいるよう。10名ほどのパーティーが見えたが、さらに下に10名ほど、さらにさらに下流にも見下ろせ、この川乗谷はキャニオニングの聖地のように見えた。下側に回収車両が3台停まっており、けっこう長い距離を楽しませてもらえるように感じた。この企画以外にも林道に入ってきている車はちらほらあった。往路に取りついた鳥屋戸尾根の入り口を右に見る。
川乗橋のゲートに到着。お地蔵さんに無事のあいさつを忘れない。工事個所では12時を回った時間でありながら、まだ作業が続けられていた。土木作業者には珍しい時間の使い方で作業がされていた。そして路肩駐車されている工事作業の車を見ると、我が車の処遇が気になり足早になる。交通整理員はトロッコの軌道下くらいに居り、白妙橋にも関係者が居り注意が入るかと思ったが、その場所まで戻るも気にしていたのが拍子抜けするほど静かであった。この場所に駐車して正解だったよう。本当は知らないけど・・・(笑)。
振り返る。鳥屋戸尾根のスタンダードコースは、蕎麦粒山まで上がって日向沢ノ峰経由で川乗山へと周回する道取りのよう。丸山を落穂にしてしまったために北側を端折ったようなコース取りとなった。同じようなコース取りを必要とする人はいないであろう。でもそこに、公にはならない、なり得ない隠れたワサビ田をこれほどたくさん見たのも久しぶり。そのワサビ田の為にモノレールまで敷設してあるインフラのしようから、自然災害で管理が大変にも見えるが、付加価値の大きさもけっこうで収益が見込めるものとも思えた。雨に打たれながら瑞々しいワサビを見ることができて、ツンとするような涼を得られた。