大石山 1219.6m 石小屋ノ頭 1353m 同角ノ頭 1491m
テシロノ頭 1491m 石棚山 1351.0m ヤブ沢ノ頭 1210m
板小屋沢ノ頭 1130m
2016.10.29(土)
小雨 単独 ビジターセンターより 行動時間:9H4M
@ビジターセンター4:29→(6M)→Aチェーンゲート4:35→(28M)→Bゲート5:03→(88M)→Cユーシンロッジ6:31〜35→(49M)→D大石7:24→(21M)→E大石山7:46→(39M)→F石小屋ノ頭8:25→(33M)→G同角ノ頭8:58〜9:01→(54M)→Hテシロノ頭9:55〜10:00→(27M)→I石棚山10:27→(4M)→J石棚山下分岐10:31→(4M)→Kヤブ沢ノ頭(現地)10:35 →(25M)→L仮小屋沢ノ頭11:00→(39M)→Mヤブ沢ノ頭再び11:39→(5M)→N石棚山下分岐再び11:44→(52M)→O西丹沢県民の森林道終点地12:36 →(30M)→P小川谷出合13:06→(27M)→Qビジターセンター13:33
@ビジターセンターの無料駐車場からスタート | Aチェーンゲート | Bゲート | トンネル群を潜って進む。 |
山神峠への道 | 雨山峠への道 | ユーシンロッジへの分岐点 | Cユーシンロッジの円形広場 |
ユーシン公園橋を渡って行く | 取り付くといきなりの急登 | 途中の東屋 | D大石 |
梯子場 | E大石山 | E大石山の標柱 | 急下降 |
F石小屋ノ頭。人工物なし。 | 撓む梯子 | キレットの上を通過する木橋 | G同角ノ頭 |
G同角ノ頭標識 | やっと視界が開けてくる | 濡れて滑る階段が延々と続く。 | 途中、檜洞丸。 |
急下降の場所 | 檜洞丸との分岐 | テシロノ頭へのなだらかな尾根 | 逃亡区がルートを塞ぐ。 |
Hテシロノ頭 | Hヤキソバパンが入手できず。 | アザミ帯 | フェンスが一帯を覆う。 |
I石棚山 | Iこれは三角点でなかったか・・・。 | J石棚山下分岐 | Kヤブ沢ノ頭(現地) |
L板小屋沢ノ頭。登山道から逸れる。 | L新しい標識がかかる。 | 板小屋沢東側の登山道合流点。 | こちらもアザミ帯がある。 |
Mヤブ沢ノ頭帰り | M行政の標識にも名前が入っている。山名事典とは座標が異なる。 | N石棚尾根分岐に戻る | 尾根ルートが針葉樹林帯の場所で屈曲した場所。コース注意点。 |
ハンターが猟をしていた。 | フェンスの張られた分岐 | この分岐を大正の森側へと下る。 | 先のフェンスの分岐からの道と合流。 |
苔生して滑る石畳の道 | O西丹沢県民の森入口。林道最終端。見えるのは猟師の車。 | 穴ノ平橋 | 穴ノ平橋から見下ろす玄倉川 |
P小川谷出合。ユーシンから戻るハイカーが見える。 | チェーンゲート帰り | Qビジターセンターに戻る。 |
西丹沢は犬越路避難小屋での研修会が計画され、それに併せて付近を物色する。丹沢にはごっそりと未踏座が残っており、どこに入っても楽しめそうではあったが、避難小屋に15時くらいには入りたかったので、それを考慮してコースを仕上げる。
「幽深」の耳心地いい地名に、なんとも興味がわく。行きたいと思っていたが、蛭の名産地でもあり、それがために足を向けていなかったのも事実。ゲートから8kmほどのアルバイトが必要のようであり、コースタイムの足し算をしながら、ぐるっと反時計回りでの周回することにした。
1:00出発。関越道から圏央道に入り、厚木から東名に乗り大井松田で降りる。降りてからの246号線は、コンビニがとても乏しい。サークルKが見えたが、やり過ごしたら、清水橋の分岐までに一軒も見えてこなかった。しょうがないので静岡側に入って小山町のセブンに寄ってから丹沢湖に上がってゆく。
ビジターセンター前を通過し、玄倉大橋を渡った先しばしで道はチェーンゲートされていた。てっきり、玄倉林道のゲートの場所まで車が入れるのかと思っていたのだが、下調べの悪さがまたまた露呈してしまった。チェーンゲート前には停められず、無料駐車場はビジターセンターの場所。となると2.5kmほどのアルバイトとなり、計画より5km余計に歩かねばならなくなった。時間の制約がある中で、1時間ほど余計に考慮しないとならなくなった。少し頑張るのはもちろんとして仮眠を削って1時間早くに出発する必要も出てきた。ビジターセンターの駐車場に入れて、小雨の降る中しばし仮眠に入る。
山の天気だからしょうがないとは思うが、曇り予想じゃなかったのか、そんなことを思いながら小雨の中に雨具を着込む。そしてヘッドライトを頼りに出発してゆく。このヘッドライトが、電池交換を忘れ暗くてしかたなかった。LEDだから点いていたものの普通の電球であったならば切れていただろうと思える暗さであった。チェーンゲートまで6分、そこから県民の森との分岐を気にしながら歩いていたが、暗く判らないまま通過しゲートに到着した。経路33分、やはり往復で1時間ほどは考慮せねばならない。
幽深渓谷を歩くのに、暗い中とはもったいない気がするが、トンネル群が多い部分では内部の暗さが気にならず、ヘッドライトで歩くような時間の方が歩き易い感じもした。やや急ぎ足で歩いているので、雨具の中が蒸れだしてきていた。そこにトンネル内の冷気がとても気持ち良かった。夏はもっとそれを感じる場所であろう。6時を回ると周囲も明るくなってきて、玄倉川も見下ろせるようになる。それまでは耳からしか川の流れを感じられず、どんな渓谷なのだろうと明るくなるのを今か今かと待っていたのであった。
濡れた渓谷美を楽しみながら進んでゆくと、進路右手に山神峠への登り口が現れる。山神峠と書かれた表記に訂正線が入れられ、全てにルートが荒んでしまっているようだ。ここから4分ほどで雨山峠への登り口も見える。こちらは現在進行形の様子であった。多彩な丹沢を思わせるルートの多さでもあった。
玄倉林道のユーシンと熊木ダムとの分岐となる。鋭角に折れるように曲がり、幅の狭い橋で玄倉川を渡って行く。そして舗装路を登り上げ、訪れたかったユーシンロッジにやっと到着する。ビジターセンターからほぼ2時間、ここまでは兵站路の準備運動であり、本番はこれから。見えるロッジは、二部屋ほど開放してあり使えるよう。この大ぶりな建物の中での二部屋のみってのも、なんとも緊張感がある。いろんな噂があるのも分からないでもない。このロッジ前からの進路は、樹木の陰になるような場所に道標があるので、向かう先を知らないので少し探してしまった。
ユーシン公園橋でユーシン沢を渡って右岸に移る。そこから見るロッジは、やはり一人で中に泊まるには大きな施設であった。尾根に取りついて九十九折を登ってゆく。すぐに鎖の流してある場所も現れ、林道歩きのギヤから急登対応のギヤに入れ替わるまでしばし時間が必要であった。そしてその勾配が馴染んだ頃に目の前に東屋の場所が現れる。ここが山頂なら・・・と思ったのだが、まだ最初の大石山までは長い。
ユーシンロッジを出て50分ほどしてやっと大石通過で、巨岩を見上げながらその脇を登ってゆく。ここは登りに使って良かった。下りに使って岩を見た場合、伝わってくる感動が半分くらいじゃないかとも思えた。少し前から気付いていたが、このルートの作道幅は、通常よりやや狭い感じがするのは私だけだろうか。ハシゴ場を登り、白い砂礫のルートを伝って進む。
大石山到着。落ち葉の乗った二つのテーブルと標柱が設置された狭い山頂部であった。展望があればテーブルも利用価値があるのだろうが、休むことなく急降下してゆく。やや足場の悪い鎖を流した通過点があり、足場に注意しながら掴みながら降りて行く。この先から少し痩せ尾根形状となり、そこから見下ろせる両側の落ち込みが、高度感を与えてくれる場所であった。
石小屋ノ頭は、気にしているからそこと判ったが、道標はなく些細な人工物も見られない高みであった。経路に見えるのは、次に行く同角ノ頭への道標だった。石小屋ノ頭の北側には浮いた感じのハシゴ場がある。ハシゴが撓み、なんとも微妙な斜度であった。この先10分ほどには、木橋のいやらしい通過点がある。いやらしさは、その茂みで下が見えない事であった。
同角ノ頭は、展望ピークでなく樹林の山頂。わずかに息を整え西に進むと、やっとこのあたりでガスが取れだし明るくなってきた。そして木道と階段の場所が連続しだす。これが滑って至極疲れた。滑るのにはソールのへたり具合も関係しているのだが、木が水を吸って、コケが着いていたりし前後なら動いても対応できるのだが、多くは横ズレしたので対応が困った。それこそドキドキしながら通過して行くのだった。それも“なんでこんなところに造ってあるのだろう”と思うものが多かった。地面の上を歩かせればいいのに・・・。一帯が植生保護の観点でフェンスがしてあったので、その一環とは理解した。
1440mの分岐の場所は通り過ぎテシロノ頭までは堪えて進んでゆく。緩やかな勾配の斜面を行くと、途中倒木がルートを塞ぎ、その先の高みがテシロノ頭だった。ただしここには山頂標識らしきものは無く、ただの通過点のような高みとなっていた。一応この先は下り一辺倒となる予定であり、倒木に腰かけコロッケパンで少し早い昼食とする。時計は10時、制約のある予定の中では、板小屋沢ノ頭に行くか迷う時間帯になってきていた。コースタイムの足し算をしながら悩みつつエアリアマップを眺めていた。
今回のルートでは、途中にアザミの繁茂する場所が2カ所あり、鋭いトゲで歓迎してくれていた。春先には食べられるアザミだが、秋になるとここまでのトゲに成長する。フェンスの林立する中を過ぎ1401高点を巻き込むように進んだ先に石棚山があるのだが、ここも顕著なピークではなく、通過点のような尾根上の場所で、斜面の途中に標識がやや倒れた状態で立っており、少し進んだ下側にも新しい標識が立っていた。
南西に下り、箒沢への下降点で10時半。12時にここに戻ってくれば13時半くらいにはビジターセンターに戻れると読み、迷わず西に降りて行く。ヤブ沢ノ頭まではわずかな距離であったが、その先の高度の下げようが、帰りの事を気にしてしまうほどに急峻であった。90mほど急降下し、次の1210高点(山名事典のヤブ沢ノ頭)に上がったら、さらにどんどん下ってゆく。事前に地図を見て判ってはいたが、常に楽を考える性質なので、再びこれを登り返さねばならないと思うと萎えるのだった。でも思った場所に到達できないほど後悔することは無く、頭でいろんなことを考えながらも体はどんどん西に向かって行っていた。
板小屋沢ノ頭は、登山道は南を巻いているので、ロープの張ってある場所から尾根を登ってゆく。山頂にはひっそりとお手製の標識が縛られていた。やはり行政の標識より、こんな私的な標識の方が味があるように感じてしまう。最後の最後でホッとする山頂に立てた感じであった。でもまたあの斜面を登り返さないとならない。留まる時間を惜しんですぐに踵を返して行く。このルートにもアザミの繁茂する場所があり、トゲに威嚇されながらその場所をすり抜けて行く。
急峻を脛を攣りそうなほどに酷使して急いで登ってゆく。尻の筋肉もキリキリと痛くなってきていた。でもそうしてでも登らないと間に合わない。ヤブ沢ノ頭に戻り一安心、最後の斜面を登ってゆき、予定していた12時より15分ほど早くに分岐に戻ることが出来た。少し余裕ができたとも思ったが、驕らず急いで降りて行く。
分岐点から下側では、これまで続いていた道標は一切見えなくなる。メインルートは箒沢側へ進むルートと言う事なのだろう。迷う場所は、1270mの所で尾根が二分しており、南西側に進む道形がかなり薄くなっていたり倒木に塞がれたりしている。はっきりしないままコンパスを見て進むのだが、しばらくは薄い道形で“間違ったのではないか”と心配になるほどであった。そして、尾根上の薄い道形が1010mの所で突如南に曲がるのだが、気にしていないとそのまま南西側に尾根に沿って行ってしまいそうな場所でもあった。
道が針葉樹の中をクネクネトしだすと、かなり明瞭な濃さとなり一安心する。がしかし、少し前からなにか間違いない音が聞こえてきていた。30分ほど前に何か破裂音が聞こえたので、猟期ではないのにおかしいと思っていた中、ここにきて猟犬が吠えているのが聞こえ、勢子が追い上げている声も聞こえていた。間違いなくここで猟がされている。急がねばならない中に面倒くさい場所に入ってしまったと思えた。一度、猟場の中に入ってしまい、酷く嫌がられたことがある。猟が出来なくなるのだからそれは当然の反応だった。猟師によるのだけど、ここの猟師はどんな感じだろうと気にしつつ猟場の中へと向かってゆく。
進む先に赤いジャケットを着た方が見えた。ライフルを持っており、タツマの役目の方が居た。早い段階で声をかけても、びっくりしたと反応していた。まかり間違えると、こんな場合に銃を向けられたりする。そんな経験が2回ある。よって早めに声をかけたのだった。鈴を鳴らすハイカーでない私は、それがために気付いてもらえないリスクを持っている。タツマの方は無線で周囲に知らせ、一時一帯がシーンと静まる。「何処を下ったら邪魔にならないですか」と尋ねたら、「この先は東屋ルートの方へ行ってもらった方が道が明るく歩き易い」とアドバイスをもらった。
降りて行くと古い地図の掲示してある分岐があり、確かに東屋が書かれている場所がある。ここを曲がればいいのかと思ったが、尾根上がフェンスで通路のようになっており、これが面白そうで曲がらずに尾根側を行く。登ってきた猟師もここを通過していないようで、蜘蛛の巣がかなり張られていた。長いフェンスの場所が終わると、もう一カ所分岐が現れ、これは折れて西側に進んでゆく。ほぼ地形図に合致するルートのようであった。進んだ先が大正の森と言う事らしい。
県民の森内に入り一安心と言いたかったが、ここの散策路の石畳が苔むしていて、これまたツルツルで滑るは滑るは林道に降り立つまでの5分ほどは気を抜けない時間が続いた。林道の終点地には10台の車が置かれ、入山している猟師の車だと一目で判るものであった。少し下側にも3台数えられ、総勢13名で猟をしていると判る。舗装林道を下ってゆく。この林道もまた滑る林道で、砂利が乗っている場所や落ち葉が堆積する上を歩いた方がまだ安全であった。
穴ノ平橋を渡り登りあげると小川谷出合の分岐。ユーシン側からの降りてきたハイカーがちらほらと見えだす。若い女性ばかりのパーティーも見え、登山ブームの継続とユーシンの人気度が伺えた。大きなカメラバッグを持った方に声をかけると、自称プロカメラマンとの事で、速足で歩きながらもカメラのノウハウを語ってもらい楽しく歩くことが出来た。
ビジターセンターに戻り、着替えもせずに急いで奥箒沢の西丹沢自然教室を目指す。既に到着しているメンバーに「15:30には到着する予定」と連絡を入れる。一度用木沢出合まで車を入れたが、メンバーの車が自然教室の駐車場に見えたので、帰りの足を揃えるためにも、一度下まで降りて自然教室前の駐車場に停める。既にしっかりと雨になっていた。90分ほどの我慢と思っていたのだが、それが・・・。
オートキャンプ場では、賑やかなキャンプ風景が見られ、どの場所も賑わっていた。先ほど車窓から見た風景を歩きながら見るのだが、ほとんど土砂降りなのでバーベキューをしている風景は恨めしく思えたほどだった。用木沢まで23分。重荷ながらいい感じで来ている。この先も緩やかに切られているので、問題ないと思っていた。
大堰堤前を歩道橋で越えて行く。降りてくる人がちらほらとすれ違う。渡渉点の木橋は思い切り濡れているわけであり、当然の注意をしてゆっくりと渡って行く。残り距離表示がゆっくりと減ってゆくのだが、峠までの残り0.8km付近からは、ほとんど牛歩状態になってしまっていた。こんなはずではなくスイスイ登るはずであったが、9時間の行動の疲れと、荷物の重みは、希望通りに登らせてくれず、久しぶりに何度も立ち止まってしまう状態となっていた。予定の15時半が過ぎ、まだ500mほど残っていた。いつもならわずかな距離なのだが、この時は遠く遠く感じてしまった。完全にこのルートを舐めていた結果。
残り200mの標識を過ぎ、100mほどになったところか、上から赤い雨具の方が降りてきた。その顔は笑っていて“おう居た居た”と口に出さないまでも笑顔が語っていた。心配して迎えに来てくれたのであった。時計はすでに16:10を示していた。約束を破るのは自分の中でも許せないのだが、迎えに来てくれた配慮に感謝しつつ、自分が情けなくなるのであった。「なにか持とうか」と声をかけてくれるが、ここは懺悔の気持ちを含め自分で最後まで持たねば小屋に着いてから自分がもっと惨めになってしまう。重い足を気合で持ち上げて行く。
犬越路峠の犬越路避難小屋到着。宴たけなわの小屋内へ濡れネズミやっと到着す。この後のビールが美味しかったこと。
翌日は、大杉丸に登って下山。