ガク沢ノ頭 (高水の頭・ガク沢頭) 1618.6m
2019.6.15(土)
雨 単独 中之沢林道みみずく線基点より 行動時間:3H15M
@みみずく線入口分岐4:37→(8M)→A取付き点4:45→(4M)→B枝林道に乗る4:49→(11M)→C枝林道を離れる5:00→(61M)→D県境稜線鞍部6:01→(11M)→E1560高点6:12→(16M)→Fガク沢ノ頭6:28〜32→(19M)→G1507高点6:51→(43M)→Hみみずく線に乗る7:34→(18M)→Iゲートに戻る7:52
「御巣鷹の尾根」に向かう中之沢林道に対し、途中からみみずく線が分岐している。 | @橋を渡った先のゲート前に駐車余地が2〜3台分ほど。 | @ゲート。長期にわたり解錠されていない感じ。 | A基点から0.5Kmポストの場所が尾根末端で切通し。 |
A切通し | A切通しを東側に巻き込むと、道形が尾根に向かっている。これを伝う。尾根に乗った場所で道形は消失。 | B岩峰を越え南に進むと道形に出会う。みみずく線をもう少し東に伝うと、この道の分岐点が在ったよう。 | 使われていないが状態がいい林道。 |
C南進していた枝林道が西に向かう場所から谷に入って行く。 | 大木に伐採痕が見られる。 | 1280m付近 | 谷の西側尾根に岩壁が現れだし、下側から見上げると大きな岩屋があるように見える。 |
1350m付近 | 1400m付近 | 谷西側の小尾根に乗る。 | D休猟区看板のある鞍部で県境稜線に乗る。 |
1560高点の北斜面はシャクナゲが多いが空間も多い。 | 1560高点北側に古い木製の境界標柱が見られる。 | E1560高点 | コンクリート製の境界標柱が続く。 |
ガク沢ノ頭直下 | Fガク沢ノ頭山頂。狭い場所。 | Fこの看板が落ちていた。 | Fすかいさん関の標識が唯一。 |
F三角点は藪の中に隠れている。 | F三等点 | F航空測量の残骸が残る。 | 往路に乗り上げた鞍部。 |
G1507高点岩峰 | 尾根下りをしようかと思ったが、結果谷下りをした。まま明るい谷。 | 谷の中に流れは無い。倒木も見えるが、さほど歩行を邪魔しない。 | 林道が見える辺りで流れが出だす。 |
H林道に乗る。この場所の西側は押し出しで林道全てが覆われている。 | 15mほど林道が抜け落ち、高巻きの道が切られ、タイガーロープも施されていた。 | 往路に出合った、地形図に載らない枝林道のみみずく線からの分岐点。 | 往路に尾根に取り付いた場所。大きな岩が東側にある。 |
水線の書かれている谷には大きな堰堤がある。当初計画はこの谷を入ろうと思ったが、堰堤が塞いでいたので諦める。 | Iゲートに戻る。崩落個所があり、この先も開かずのゲートだろう。 |
1996年版の山と高原地図には「高水の頭」と表記され、2018年版の高原地図では「ガク沢ノ頭」と記されている。後者は埼玉側にガク沢があることから、中津川村から崇めた名前だと判る。それでは前者の高水はどこなのかと探すのだが、古い地図でもないと見えてこないようでちと不明。そんな、群馬と埼玉の県境稜線にあるガク沢ノ頭を狙ってみることにした。
しっかりとした雨予報に、植生が濃かったら葉が雨具に貼り付くような藪漕ぎとなるのでどうしようかと迷ったが、衛星画像に見える地表からは下草は多くなく、何とかなるだろうと判断できた。北と南から県境を伝ってアプローチしている人が多い中、天邪鬼なので上野村側の北西麓から狙ってみることにした。付近に入るのは日景長戸岩に入った時以来となる。「御巣鷹の尾根」もいつか慰霊に訪れたいと思っているが、到達地点が「尾根」であるので、何年も経過するが足を運んでいない。
止む気配のない雨が落ちる中、南牧経由で上野村に入る。しおじの湯手前を、御巣鷹の尾根の道標に従い上野ダム側へと進んで行く。ここのループ状に掘られたトンネルには、日本の土木技術の高度さに感嘆してしまう。そんなトンネル群を抜け、神流沢が支流の長戸沢に名前を変えるあたりで、進路左に枝林道とそこに向かう小橋が見えてくる。この分岐点にも、まっすぐ方向を指して御巣鷹の尾根と看板が揚がっていた。今日はここから入山予定。
御巣鷹の尾根に向かう林道を中之沢林道とし、枝林道を指して「みみずく線」としている事が銘板に書いてあった。橋を渡った先に3台分ほどの駐車余地がある。Googleの衛星画像でも1台停まっているのが見える場所である。山が迫り暗い場所で、さらに雨でもあり夜明けが遅そうな場所であった。ラジオは入るが携帯の電波は入らず、地図を見ながら時間の経過を待っていた。少し白みだしたら準備開始。雨具を着こみ、ザックカバーはショルダーまでフルカバーのするミレーのモノを使う。
4:37行動開始でゲートの脇をすり抜けてゆく。通常この形態だと二輪車の轍があるのだが、ここには無いのでオヤッと思った。長戸沢とふられている水線と、もう一つ南に入っている無名の水線がある。当初はここから沢を伝って遡上しようと考えていた。しかし現地には大きな堰堤があり、左右どちらかを高巻きしないと進めないようになっていた。これを見てさらに林道を奥へと進む。
2番目の進路として、沢伝いがダメだったら、その東の尾根に取り付く予定でいた。尾根に乗って1357高点へと伝う予定としていたが、林道から尾根へが急峻で登り易そうな場所がなく、しばらく右の山側を注視しながら進み二つ目の尾根の場所となった。ここには0.5kmポストがあり、尾根を崩して林道をつけた切通しとなり、東へ巻き込むとすぐに鋭角に尾根に登る道形があった。広くこのまま続くのなら尾根歩きも楽になると考えたが、そう甘くはなく、尾根に乗った場所で途切れていた。何のための道形だったのか。そこからの藪尾根を伝い最初の岩峰へと登る。ここでエッと思ったのだが、その先に東からの林道が上がってきていた。もう少しみみずく線を伝えば、分岐点があり難なくここに辿り着いたようだ。今ほどの藪漕ぎがとても無駄に感じてしまった。
さて地形図に載らない林道に乗った。衛星画像でも見えてこないものであった。向かう先は西側で、このまま進めば当初の1番目と2番目の予定に寄せて行けると考え、この枝林道を奥へと伝ってゆく。轍など一切ない林道であるが、状態のいい林道で掘れたり押し出しがあったりなどは見られなかった。予想通り右下に深い谷が見えるようになり、沿うように南進してゆく。しばらく南進して、途中から西進しだす。ここは地形図に1350m標高の記された谷で、そこに道形幅が入って行っており、ここの谷登りをすることにした。気持ちよく林道を歩いていて、1357高点に向かう尾根をすべて過ぎてしまっていた。
沢と言うほどには流れが乏しく小谷と呼ぶのが適当な場所であった。昔の杣道なのか薄く踏み跡が登っていた。獣が昔道を伝い続け現在の体を成しているのかもしれない。道形がなくとも、どこを歩いてもいいような場所であった。がしかし履いていた長靴の脇が60mmほど切れ穴が開いてしまっていた。いつからか、どこでか判らぬまま穴を発見した。こうなると流れの中には入れなくなるので行動範囲は若干狭められてしまった。流れのある場所は石伝いで進み、泥濘地も避けた。でもこの状態で登って降りれば、靴下はドロドロになるだろうと予想できた。下山時ならまだしも往路だと精神的なリスクになった。ただ、既に濡れネズミなので、どうせ濡れるのだから少々範囲が広がっても・・・と楽観的にも思えるのだった。
忠実に谷を伝ってゆく。歩き辛ければ左右の尾根に逃げてしまおうと思っていたが、歩き易いままなだらか斜面が続き快適であった。1320m付近では西側の尾根に岩壁が現れる。その下に岩屋があり、棲み処となり獣でも居るんじゃないかと緊張しつつ進んで行く。こんな場合はいろんな想定をする。出てきた場合の逃げ場、戦う場合の方法、余計かもしれないが一応いろんな想定はしておく。その岩壁の基部まで上がるも、岩屋に見えた場所はただ岩が黒いだけであった。
1350m付近からは動く石が多くゴーロ帯な感じで足場に注意が必要だった。枝分かれする場所は太い谷筋を選ぶように高度を上げてゆく。もう県境が近いのか先の方が明るく見えだし、この辺りに来ると細かい小尾根が走っている。西側の小尾根に乗り這い上がって行く。ここまでに分けて進まねばならない場所は皆無であった。下草が無いわけではないが、在っても邪魔にならない程度の植生であった。あと、大木の切り株が残っているのが見られた谷であった。
1500mの鞍部で県境に乗る。ちょうど禁猟区の看板がある場所であった。南に上がって行くとシャクナゲが出だすが、密生ではないので空間を選びながら分けて進む。西側山腹には獣道のような筋が出来ていた。獣もシャクナゲを嫌うのかもしれない。それでも上に行くほどに密生になり、山頂直下で西を巻いて、南に出てから戻るようにして1560m峰に立った。ここには人工物は何もなかったが、北側斜面には木製の境界標柱が見られた。
もうすぐ目標点であるが、寒くて仕方が無かった。この時季にして寒いとは贅沢なのだが、おかげで全く水を欲せず歩けるのだった。県境上はコンクリートの杭が続いていた。これらは大小あり数種あるように見えた。1560m同様に尾根上にシャクナゲの場所が待っているのかと思ったが、会うことなくガク沢ノ頭に到着した。
ガク沢ノ頭は植生が濃く、あまり空間が無い場所であった。そこにすかいさん関の標識があり、唯一であり在ってありがたいものになっていた。もう一つ林野庁の白い看板が落ちていた。この山頂には三角点があるはずであり、見えてこないそれの探索に入る。すかいさん関の標識の場所から藪を探るも見えてこず。やや西側寄りに在るようであり、北の明るい場所から西に進み、戻るようにして薮を分けながら登り上げる。三角点はかき分けないと見えない場所に埋まっていた。よく見ると航空測量の台も朽ちて落ちていた。
雨でもありもっともっと時間がかかると予想していたが、案外楽に到達してしまった。と言っても付近に他に行きたい場所はなく下山に入る。下山は1507高点から1357高点を伝おうと考えた。復路は1560ピークは北を巻き端折る。往路に登あげた場所を経て、緩やかな尾根を北に進んで行くと、1507高点には顕著な岩峰となっていた。せっかくなので一応登って、そこから北西に降りてゆく。
1507から下りだしての斜面が広く、これと言った尾根が見えてこない。気持ち西に振るようにして降りてゆくのだが、尾根に乗らない。もっとも西に尾根があるので真西ぐらいに降りてゆけば乗ったのだろうけど、それより重力に任せ谷側に降りて行った方が伝いやすそうで、広く明るくもあり、下りの尾根歩きは止めて谷下りとした。自分自身、これまでどれだけ谷下りをしてきたか。等高線を見て危なそうな谷は避けるが、伝って快適な谷も多いと体感している。山岳会ではご法度とされるが、一概に「谷下りはいけない」とはならないと思っている。
この伝っている谷も、往路の谷と似ていて古い切り株などが見られるが、一つ違っているのは流れが全くないこと。涸沢のまま推移し、向かう先に林道が見えると、その手前20m辺りから水が出ており、1357高点からの谷筋からの流れも合流していた。林道に乗るも、麓側は状態がいいが、上側は押し出しに覆われていた。これなので林道に轍が無いんだと理解した。
西進してゆくと、今度は道幅のすべてが距離15mほど崩落している場所となった。これは徒歩でも通過できないかと危惧したが、よく見ると崩落した上に歩道が付けられタイガーロープまで流してあった。ここがこのままであれば、ゲートが開くことは無いだろう。バイカーも入らないわけである。でもなぜに高巻きの歩道をつけたのだろう。歩いてでも通過したい場合があるってことになる。さらに進んだカーブの場所は、車が15台ほど停められそうな広みが作られていた。あとは往路に出会った枝林道の入り口の確認となるが、次の右カーブの場所から分岐していた。ここだったのか、取り付いた場所の100mほど先であった。
ゲートに戻り本日の予定は終了。御巣鷹の尾根に向かうハイカーはこの雨ではいないだろうと、すっぽんぽんになりずぶ濡れ状態から解放される。