トヤ山    1250m        樽ノ上山    1166.8m                                    
                                                                       
                                      

   2019.5.11(土)


 晴れ     単独    南牧村高原運動広場から   行動時間:3H19M


@高原運動広場4:20→(5M)→A配水地4:25→(3M)→B林道に出る4:28〜31→(4M)→C林道を離れる4:35→(53M)→D登山道に合流(尾根に乗る)5:28→(37M)→Eトヤ山6:05→(29M)→F樽ノ上山6:34〜42→(52M)→G林道を跨ぐ7:34→(5M)→H戻る7:39



   
@南牧村高原運動広場から見る樽ノ上山 @広場向かいの草地に山の神と滝への入口がある。 @おしん渕の滝への道標。 A広場からのコンクリート舗装路を伝うと車道は配水施設で行き止まり。
       
A手前でガードレールが切れており、山道が進んでいる。 B林道に出る。 B最初ここに入った。復路ここから出てきた。 C821高点の尾根が見えたので北西(右)側に入って行く。
     
ナメ沢で見栄えがする。 760m付近で南の枝沢に入って行く。 涸れた沢底を進んで行く。緑が綺麗。 800m付近。目立つ大岩が起立している。
       
850m付近の平坦地。 850m付近からの空の様子。明るい平坦地。 掲示板に見える残骸が見られた。あとで用途が判る。 D950m付近で尾根に乗る。
       
登山道の土留めの板だった。谷筋で見たのがこれ。 赤い手すりのある登路。 Eトヤ山 EG標
   
トヤ山から樽ノ上山間はたおやか。 ムラサキヤシオ 主尾根から東にわずか逸れた場所に樽ノ上山がある。 F樽ノ上山
     
F二つの標識が残る。 F状態のいい三等点 F河内晩柑と Fトヤ山側
   
F下山に使った東側。 F物語山側 1060m付近を振り返る。岩混じりの地形で、地面が流れやすく滑りやすい。勾配も強い。 1060m付近の西側のコップ状地形。
     
1050m付近の岩壁下の岩屋風の場所。 1020mまで降りると緩斜面に変わる。 岩壁にはヤマブキが見られ綺麗。 1020m付近から岩壁を見上げる。壁の北側を伝って降りてきた。
       
890m付近で植林帯の中に入って行く。 伐倒木が一帯に見られる。この写真はまだいい方。 700m付近で山道に出合う。 降りてきた場所を振り返る。往路、ここまで偵察に入った。
       
G林道に出る。 配水地横を通過。 配水地から降りてゆくと、正面に鹿岳が見えてくる。 H高原運動広場に戻る。
       
H山の神 H電子基準点  H水道とトイレ。施設は綺麗に保たれている。  




 残雪を踏みたい時節柄であるが、小用があり入間市へ行かねばならなく、近場である西上州の樽ノ上山を目標座とした。時間の制約がない場合は、北の物語山から南進か、黒滝山から北進になり、通常ならこのどちらかの計画になるだろう。短時間で面白く歩けないものかと地形図を細部までよく見る。なんと言っても東麓は鎧のようにゲジゲジマークが多い。そんな中、樽ノ上山の東尾根は密な等高線であるが、降りられるんじゃないかと思えた。偵察してだめであれば、北の993高点まで進んで降りてもいい。上高原よりの破線路踏査を含め、東麓でぐるっと回ってこようと計画してみた。

 

 前日の10日。全国ニュースにもなったが、登山客を乗せたマイクロバス崩落事故が大仁田ダムで発生した。報道関係者で翌日も賑わう南牧村だろうと思い、計画をキャンセルしようかとも考えた。同じ南牧内のかなり近い場所なので野次馬のような感じでもある。そう自分で思う方が野次馬根性丸出しなのだが、事故が気持ちをブレさせていた。でも早い時間に現地入りしてしまえば問題ないだろう。こんなことに意識しない人も居るだろうけど、準備万全としたいので、細かいことも気にするのだった。性格上。

 

 3:00家を出る。前週はセブンでコーヒーをぶちまけてしまったので、この日は注意しながら蓋をする。でもトラウマか、また溢すのではないかと思うのだった。道の駅オアシスなんもくの手前を左岸側に右折し、大塩沢川に沿う道を伝ってゆく。運動広場に対する道標は無く、カーナビを見ながら分岐を進んで行った。上高原地区には、まだ住まいしているお宅もあった。ただ、住まいされていないだろうお宅も多く見えた。南牧村運動広場に到着する。さらに進んで行ける道があり、破線路は舗装されているのかと登って行ってみる。行きついた場所は配水施設で、Uターン場所が特になく、小回りの利く車で出向いたのでここでは助かった。戻り電子基準点横に停める。

 

 薄明るくなってきたら、広場の全容が見えてきた。野球場なのだった。そして西に顕著な高みが見え、触れられそうな位置に樽ノ上山が既に見えていた。トイレもあり水道もあり、登山口として全て揃っている。道向かいには山の神が安置され、スタート前に拝んでから入山できる場所であった。この山の神の南側に、唯一道標が立ち、「おしん渕の滝」へと導いていた。ただし散策路の場所が良く判らなかった。

 

 ザイルを携行し4:20スタートする。コンクリート舗装路を上がりきると、配水所の手前左側に、山腹を巻いて進む道があった。配水所の上側には白いガードレールが見え、林道が在るのが確認できた。これは地形図には載らないのだが、事前に衛星画像で見ていたので把握していた。配水所を巻いたら、その道にすぐに合流するのかと思ったら、しばらく右に見ながら進む感じで、3分ほど山道を進んでから林道に飛び出した。

 

 林道を跨いだ先に山道があり、これが破線路かと思って入って行く。すぐに枝沢があり、大きく北に進路を変えた。破線路の様子と違うので一度林道に戻って、ここからは林道を伝って進む。大きくS字を描いた先で、向かう先に凸峰が見えてきた。間違いなく821高点峰で、林道はその東側へと向かっていた。ここで林道を離れ西側の植林帯の中に入る。沢筋まで行くと、そこはナメ沢でタラタラとした流れがあった。ここまでに道標は一切なく、配水所の山腹道意外に破線路だろう道形も見えてこなかった。

 

 谷筋がくねくねしており、枝沢も多くかなり地形図を見て歩く場所となっていた。ルートファインデイングにはとても面白い場所で、マーキング類もなく、あるのは林業用につけられたリボンのみであった。760m地点で90度進路を変えるように南の枝沢に入る。ここからしばしは新緑の涸れ沢でかなり心地がいい。地形図からはこの谷底を破線路が通過しているが、ここでも全く存在は判らなかった。進んで行くと起立した大岩が見えてくる。涸れていた沢に流れも出ていた。

 

 850mまで進むと、突如広い平地が現れる。地形図からは読めないが、バレーボールのコートが2面取れるような広さがあり、上を覆う樹木もないので明るく居心地がいいのであった。ここから南側に見える沢筋に入る。すると看板のような板の残骸があった。防腐剤が塗ってあるので朽ちてはいないが、古いものには見えた。これを見て破線路上に居ると確信した。やっとそれらしいものが見つかり、少し気分よく沢を詰めてゆく。

 

 破線路は890m地点で鋭角に南東へ登りだすが、当然ここも不明であり、920mくらいまで進み、左に尾根が近くなったので地形図を確認して屈曲点を過ぎていることに気が付き、慌てて南東側に進路を向けた。登った尾根は、破線路が描かれている尾根の小谷を挟んで一つ北西の尾根であった。ここには獣だろう登っている踏み跡があった。

 

 950m付近で尾根に乗る。登山道は頂部より南側にあり、少し西に進むと合流した。そして少し進むと、先ほど谷の中で見た残骸と同じものがここにあった。登山道の土留めに施工されたものであった。ここから落ちて流れて行ったのか、元々あの場所が登山道で施工されていたのか判らなくなった。それでも同じ仕様のものであった。

 

 赤い手すりの場所となると、前回の記憶が鮮明によみがえってきた。そうそう、こんな場所であった。トヤ山の南を西に進み、戻るようにやや崩れた登路を伝ってゆく。少し周囲は春霞で、どんよりした周囲展望であった。でもこれが春らしい。南側では報道関係者が蠢いているのだろう。そんな想像もしていた。

 

 トヤ山登頂。13年前同様にG標が待っていてくれた。休むことなくすぐに東側へと降りてゆく。西上州のバリエーションルートらしい痩せた頂部を想像していたが、これがかなり快適な尾根で、たおやかな状態で続いていた。登山道を伝っているより登山道らしいと言うか・・・。危ない場所なくムラサキヤシオを愛でながら歩いてゆく。こんな尾根だったのか・・・当然だが伝ってみて知る場所が多い。そんなこんなで難なく樽ノ上山に到着するのだった。ここがこんなだと、ますます上高原から入山してよかった。黒滝山側からでは負荷が無さ過ぎただろうと思う。

 

 樽ノ上山登頂。フジオカTK氏の型枠合板標識が見られた。三角点は状態がよく、何もない中では腰かけるのに都合のいい高さで埋まっていた。先ほどのトヤ山が見え、反対側には物語山が望めた。河内晩柑を食べながら地形図を眺める。東側はこのくらいの密度なら、何とか行けるだろう。ダメなら北の1160m峰まで進めばここより安全に東に降りられる。

 

 それでも少し恐る恐る注意しながら東に進んで行く。最初すぐに南東に降りる尾根に誘われそうになるので注意したい。一歩下ると高低差が600mmほど下がるような場所を木々を掴みながら降りてゆく。危険でないとは言えないが、なんとかザイルは出さないで降りられる。しかし1060m付近で、少しグレードが変わる。足元が岩場風味になり痩せた場所となる。この尾根の西側はコップ状の地形で、南側は岩壁。ピンポイントで降りるしかなく足場も悪い。距離5mくらいを最大限の緊張をもって降りてゆく。降り切って南にズレると、岩壁の下には岩屋風の溝があった。砂のような流れる地面の下は岩壁があり、かなり注意しながら灌木を掴みながら降りてゆく。

 

 1020mまで降りると、そこからは緩斜面で緊張が解かれる。振り返ると一面の岩壁で、その中に咲く黄色いヤマブキがとても奇麗であった。東南東の、810m峰がある尾根ではなく、その一つ南の尾根を伝う。地形図では広葉樹マークの場所であるが、890mまで下ると植林された針葉樹の植生となった。この上の方は良かったが、中盤からが酷かった。かなり太い杉が伐木され、それが地表に転がって、乗り越えて進むにも夥しい。大鹿村は前茶臼から奥茶臼へのシラビソ倒木も酷いと思ったが、あそこより量が数倍多く、広範囲に伐木され逃げ場所がほとんどなかった。見られるいたずら書きには「緊急伐採」などと書かれていた。立派な太い木が多く花粉の抑制なのかもと思った。

 

 倒木の丸太に乗ったら、重量物が普通に動き出すものもありドキッとさせられた。跨いだり乗越したりしながら降りてゆく。登りでなくまだ下りでよかった。700m付近まで降りると、幅3尺くらいの道形に出合い、その道の両側には赤い杭が打たれ続いていた。伝ってゆくと見慣れた景色の場所に出た。往路に林道に出た場所で間違って進んだ山道なのだった。林道に出て、配水場への道を進むと、右下に細い滝が見えた。もしかしたらこれがおしん渕の滝だったのかもしれない。

 

 

 配水所まで戻り、コンクリート舗装路を降りてゆくのだが、真正面に顕著な高みが二つみえてくる。鹿岳(かなたけ)であった。ひとつ気にしていたことがあり、運動広場で催し物があったらどうしようと思っていた。駐車したのが広場への入り口の門の脇だった。利用者に邪魔していないかと気になっていた。ここはどうに停めておくのが正解なのか判らない場所でフェンスに倣うように停めたのだった。

 

 運動広場に戻る。閑散としたままでホッとした。トイレの東側にある水道は使え、冷たい水が出ていた。すぐ上の配水所からの水であろう。トイレも移動式トイレにしては奇麗なものが置かれていた。無事周回完了。

 



 
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