ヤナクボ 1200m
2020.5.16(土)
曇り 単独 上野ダム下流(本谷)より 行動時間:2H29M
@本谷管理棟(ゲート)5:36→(9M)→A6番下降点5:45→(1M)→B本谷渡渉5:46〜50→(35M)→C1042高点6:25→(27M)→Dヤナクボ6:57〜7:05→(26M)→E1042高点帰り7:31 →(24M)→F本谷の丸太橋7:55→(10M)→G管理棟8:05
@神流川本谷の釣り場管理棟。トイレはあるが閉まっていた。 | @駐車スペースがある。バリケードで車はここまで。 | 素掘りトンネルを潜る。 | Aトンネル出口が6番下降点 |
B入ろうと思った沢は、出合がゴルジュで諦める。渡渉開始。 | B下流の堰堤側 | B上流側。丸太が見えるが、往路では渡れないと判断した。中洲があり、渡渉2回。 | 740m付近。左側の尾根へと進む。 |
南から上がってくる道形に出会う。 | 岩の下を通過してゆく道形。 | 770(760)m付近で道形は北へ | 790(780)m付近でも道形は北へ |
990m付近にワイヤーが残置されている。 | C1042高点 | C1042高点の北側にマーキング在り。 | 1042高点の西側尾根 |
1040m鞍部。栄養ドリンクの空き瓶がひっかけられている。 | 1100mに大岩(岩峰)があり尾根は進めない。 | 大岩の北を巻きあげる。 | 1140m付近にもワイヤーが残る。 |
1180m付近 | Dヤナクボ登頂。人工物皆無。 | D西尾根側 | D赤飯のおにぎり |
D西の品塩山側 | D南。御巣鷹山側 | D東から見る山頂 | 1100mの岩峰へ這い上がる。 |
1100m岩峰の最高所(展望場) | 岩峰から北。 | 岩峰から上野ダム | ダム堰堤アップ |
1060m付近にもマーキングがあった。 | E1042高点帰り | 900m付近から北東。尾根が分かれるので注意。 | これはシカの仕業か。細く彫れた傷が見られる。 |
790m(780m)付近帰り | 770(760m)付近から続く北への道は丸太で補強されている。 | F道形を辿ると本谷に架かる丸太橋に行きついた。渡渉したのは見える下流。 | F右岸側は道幅無し。 |
6番下降路を登る。 | 正面はトヤノツムジ。 | G管理棟前の駐車スペースに戻る |
雨予報の土曜日となった。降り続くとなると、迷犬を連れて行くのは可哀そうなので単身で行くことにした。となると気になっていた上野村のヤナクボに照準が定まる。犬連れでもいいが神流川本沢の渡渉がある。水量が判らないので人間さえも上手く渡れるか判らない。犬連れだとそこにリスクがあるので独りで出向こうと思っていた場所であった。
1月11日、トヤノツムジからヤナクボの南尾根を眺めた。トヤノツムジはヤナクボを登るための下見登山であった。その前に3D衛星画像で何度も見たのだが、1042高点の東の岩場が良く見えず、そこを肉眼で見たかった。当初は、上野ダムの堰堤を渡って尾根に取り付いて1042に突き上げる計画を立てた。ただし、新型コロナもあってダム施設が閉門したままとなっていた。こうなると神流川本谷を渡渉してアプローチするしかなくなった。
2019年の19号台風以前であれば、御巣鷹山北山腹を走る林道からアプローチ出来た。送電線鉄塔に対する巡視路が走っており、それを伝えば容易に1295高点に行ける。ただしそこからの北進は等高線が密なので危険リスクはあるが、地続きなので渡渉のリスクよりまだ優しいと思えた。しかし林道が台風の影響を不通となってしまっている。林道を歩くにしても、前日の15日から日航事故の御巣鷹の尾根への林道工事が始まり、登山口手前6km付近から停めると表示されているので、ほとんど浜平鉱泉辺りで先に進めないと解釈できる。
あとは品塩山経由でアプローチも出来るが、そこまで時間を費やすなら、神流川渡渉にチャレンジしてもいいと思えた。渡渉したら、品塩山とヤナクボに挟まれる沢に入り、遡上しつつ適当な尾根を登ろうと考えた。沢は等高線が緩く歩き易そうに見えていた。一帯の地形図を穴のあくほどに見て現地入りすることになった。机上でも十分面白い場所なのだった。
トラオさんのパン工房はこの日も竈が赤く焚かれていた。湯の沢トンネルに潜って上野村に出るが、南牧村で若干降っていたもののこちらでは濡らされることは無かった。299号から124号に入り、浜平トンネルの南側出口から神流川本谷への道が分岐している。本谷は管理釣り場であるが、ここも新型コロナの影響で5月31日まで閉鎖中で、釣り目的で訪れる人はいない。本谷沿いの林道を進んで行くと、管理棟(休憩舎)の建つ場所でバリケードがされていた。ここには駐車スペースもあり、トイレもあった(この時はカギが締まっていた)。到着してハッと思った。用意して出しておいたザイルを忘れたことに気が付いた。無くて大丈夫か・・・。
5:36行動開始。雨具を着ないでいいので蒸れる心配は無くなったが、降ることを前提に雨具のズボンだけは履いていた。渡渉できそうな場所を見定めながら林道を上野ダムに向かって歩いてゆく。管理釣り場らしく、何か所も本谷への下降路が造られている。渡れそうな場所が無い中、本谷に堰堤が現れると、その先の林道には素掘りのトンネルが現れる。抜け出ると6番下降点で、そこから見下ろせる本谷は2か所渡れそうな場所が見えた。階段を下り右岸に降り立つ。ここから上流を見ると丸太が対岸へ渡っているのが見える。6mほどを丸太一本で渡るのは無理と、当てにせず渡渉を決行。
一度目は上流側でトライしたが、中盤以降で水流が強く飛び石が無くなり、下流側で見出した場所で渡って行く。一回での渡りきりでなく、中洲地形があるので2回で渡る格好だった。登山靴で水没せずに渡るのは無理で、長靴なら飛び石を使いつつ可能な水量だった。右岸から既に判断できたが、ここからの枝沢に入って行くのは諦めた。出合付近で既にゴルジュのような険しさがあった。
左岸からは、6番下降路階段の真ん前の扇状地形を登り、南の尾根の方が登り易そうなので途中から南側へと斜上してゆく。すると750m付近で、南から登ってくる道形に乗った。この道形は緩く北に登って行き北側の尾根に進む。地形図を見ると針葉樹マークが見られるので、植林用の山道と理解した。そして渡渉点より南の上流側にこの道の入り口があることになる。ダム建設により消滅している可能性もあるが・・・。
尾根に乗った場所からの山道は、さらに西側の山腹に進んでいたので、無視して尾根を伝いだす。すると3分ほど登った上側でもまた、尾根から山腹へ道形が分かれていた。尾根上は広葉樹が多いが、そこから西一帯は植林帯であった。ここを最後に道形は見なくなった。それでも尾根を伝って進むと、990m付近に何本ものワイヤーが巻きつけられた木が残っていた。全く人気のない尾根ではなく、以前は伝っていた人が居るようだった。
1042高点峰に乗り上げる。ここの北側にはマーキングがされていた。進路が屈曲するので先人が下山用に付けたようだ。この尾根を登っている人の気配を初めて感じたマーキングであった。1042峰から先はとてもたおやかで、1040m鞍部の北東側には、栄養ドリンクが枝に引っ掛けてあった。
渡渉も上手くいったし道形も現れたりし、ここまでは難なく登れてきたが、1100m付近で現れた大岩(岩壁)を見て、「これは登れない」「登ってもいいがザイルが無いと危なすぎる」と瞬時に思える難度であった。ザイルを持ってこない罰がここで与えられたと思えた。東側は急峻過ぎて巻けず、西側を巻いてみる。すると、南牧の鷹巣岩の西側と似た雰囲気の場所で、岩壁の脇を登って行くことができた。巻き終え岩峰を見ると、南からなら容易に登れるように見えた。帰りに寄ることにして山頂を目指す。
1140m付近にもワイヤーが巻かれた木があった。ここから先はやや斜度が強くなり倒木も多くなる。もうここまでくれば射程圏内で、空も開けてきている。そしてまだ雨は降りだしてこなかった。電波が終始入る場所で、スマホで雨雲の動きを見ると、上武国境より南側を濃い雨雲が通過して行っているのが確認できた。迷犬を連れてきてもよかったようだった。こうして遊んでいる時間、彼はじっとクレートに入って家主の帰りを待っているのだった。
ヤナクボ登頂。そこからの西尾根も伝いやすそうに見えた。山頂には人工物は一切ない。東尾根もあり、少し伝って下ってみる。ここも伝いやすい。南麓には地形図には針葉樹マークが広がっている。東尾根もダムができる前は林業作業で登られていたのだろう。西の品塩山は木々の間から見えていた。南に御巣鷹山があるが、新緑の向こうに何とか黒く山容が判るくらいだった。持上げたおにぎりで朝食としたあと下山となる。
帰路は1100mの岩峰に上がる。今日唯一の展望場で、北側から西側が良く見え、少し戻り東側にある岩場へ行くと東側を見渡すことができた。眼下には上野ダムが見られる。地形図に岩場マーク表記でもいいように思うが、表記するには規模が小さいのかもしれない。南に戻り、往路同様に西側を巻いて降りて行く。
1060mの屈曲点には、ここにも1024高点同様にリボンがあり、これは地面に落ちていた。マーキングをベタ打ちするのではなく、注意点のみふっていることから藪慣れした猛者の所作であろう。本来なら回収が原則ではあるが・・・。それでもこのマーキングのおかげで、北尾根を進まずに的確に北東に進むことができた。
1042高点に戻り、90度進路方向を変えて北に下りだす。990mからも尾根が判れるので気にしつつ北東側の尾根へと進んで行く。900m付近も尾根が二分しているので、北東に下る尾根を右に見ながら北に降りる尾根を選ぶ。880m付近には、往路では気が付かなかった木の傷があった。麓側でなく山側を向いて付いていたからなのだが、深さ30mmほど幅15mmほどに抉れていた。同じ様な木が2本近接して見られ、熊ではこうならないのでシカなのかと見ていたが、これだけ登ってきて初めて見る傷の形態であった。
760m付近の道形を西に追うと、丸太で補強している場所がすぐに見られた。間違いなく山仕事の道であろう。ここから下側は入山口まで忠実に追ってみることにした。道形は南側に長く続き、最後にターンして北に戻りだす。向かう先の神流川本谷には橋が架かっていた。往路の渡渉時に上流に見えた丸太は、橋だったのだった。遠目には橋には見えなかった。そもそもこんな場所に橋があるとも思わなかった。ただし橋はあるものの渡った先の右岸は地面は無く流れがある場所だった。
やや古い丸太橋なので、半信半疑で傾きはしないかと探るように渡って行く。当然のたわみはあるがしっかりした橋であった。右岸は護岸工事されたコンクリート部を横這いして進み下流側の岸地形に乗る。往路にこれが見いだせていたら、もう少し気分が楽だったかもしれない。6番下降路を上がり林道に戻る。まだ雨は降りだしていなかった。戻って行く途中に真正面にトヤノツムジが見えてくる。管理棟前に戻る。
振り返る。今回を経て、ヤナクボへは渡渉なしで狙えることが判った。それが判ってしまうと、少し緊張感がなくなる感じがするが、それでも一本尾根ではなく屈曲点も複数回あり、枝尾根も待っている。間違うと、上野ダムへ水没か、西の沢に降りてしまい最後に危険個所が待っている。下りは特に地図とコンパスを出して見定めないと間違いやすい場所である。渡渉用に持ったストックを山頂に忘れてきてしまった。どこかで拾ったモンベルの女性用ストックなので、登頂した人に差し上げます。ゴミを残してしまったことを少し後悔。