硫黄岳        2760m        赤岩ノ頭        2656m           峰の松目        2567.6m                                                                                                                      
         
                                  
                                 
                                                                                                      
  2021.7.10(土)


 雨のち晴れ      単独           行動時間:4H34M


@桜平4:22→(22M)→夏沢鉱泉4:44→(35M)→Bオーレン小屋5:19→(20M)→C夏沢峠5:39〜46→(41M)→D硫黄岳6:27〜33→(10M)→E赤岩ノ頭6:43〜45→(37M)→F峰の松目7:22〜31→(32M )→Gオーレン小屋帰り8:03→(29M )→H夏沢鉱泉帰り8:32 →(249M )→I桜平8:56                        
        


 
@桜平駐車場(上)に停め出発。 A夏沢鉱泉の明かりが暖かい。 水力発電小屋 Bオーレン小屋は、小屋前にいい香りが漂う。
       
フェンス仕様の通路。 C夏沢峠 C山びこ荘とヒュッテ夏沢は閉館中。 ケルンを追いながら。ロープが流されガスに巻かれても伝い易くなった。
   
D硫黄岳。 Dこの日はここまで、風雨が強く三角点側には進まず。 E赤岩ノ頭 E赤岩ノ頭標識
       
赤岩ノ頭北側の分岐点。 赤岩ノ頭西側のキバナシャクナゲ。 西尾根上の快適路。 峰の松目コル
       
急登箇所は、北巻きの踏み跡も出来ていた。 F峰の松目 F標識 Fこれは22年前もあった。長生き。
     
F状態の良い三等点 F塩クロワッサンと F西側への道形。 峰の松目コル帰り
       
合流点(分岐) Gオーレン小屋キャンプ場。ひと張り見られた。 Gオーレン小屋帰り。小屋からの出発者と、到着者が行き交う。 H夏沢鉱泉帰り。
       
桜平のゲート I駐車場(上)への途中余地に停めた。




 オーレン小屋のWebサイト内には、「ペットを連れての登山はご遠慮ください」とある。そこに連れて行こうと計画しているのであり、真っ向勝負とばかりに気を使う。北八ッにおいての迷犬の未踏座は南側に多く残り、連れ上げるには気持ちを強く持たねばならなくなっている(笑)。主峰赤岳に近づくほどにハイカーの数は増える。文句を言われる可能性も増えるわけで・・・。と言って苦情を言われたのは霧ヶ峰での一回だけなのですが・・・。

 
 しかしながら、続けて八ヶ岳に連れて入っているが、意外なほどにハイカーに歓迎されている。それによりいい気になってはいけないが、好意的な対応をしてくれる人も多いことを知る。嫌いな人も居れば、当然好きな人も居る。とどのつまり、今回も心して出向く。今回は、桜平からの時計回り周回。

 
 1時15分に家を出る。白樺湖を経由して茅野に下り、三井の森別荘地へと入って行く。前回桜平を訪れたのは22年前。ダート林道を四駆でぐいぐいと駆け上がって行った当時。その当時よりだいぶ道の状態が良くなっているのは、利用者の多さからだろう。新設された下駐車場には1台停まっていた。同じくトイレ付きで新設された中駐車場にはゼロ。旧来からの上駐車場には6台停まっていた。天気がいまいちなので車中泊が少ないのかとも思ったが、予報は好天に変る。これから混むのだろう。ゲート上の路肩余地に停める。夜明けを待っている間に、ちらりほらりとヘッドライトが上がって来ては消灯した。

 
 4:22出立。まだうす暗い中をゲートを潜って降りて行く。コンクリート舗装はされているが、歩き出しにしては急登。夏沢鉱泉のスタッフは、よくもこの路面を車で登り降りしていると思える。20分ほどでその夏沢鉱泉のランプが黄色く見えてくる。小屋の灯りはなんでこうもホッとさせてくれるのだろうか。暗ければ暗いほどにランプの暖色が心地よく感じる。林道歩きもここまでで、山道風味に変る。変わると言っても超一級路で、登山道と言うより散策路と言ってもいいくらいに伝いやすい。源泉地は何処なのか、周囲から漂う硫黄の匂いが香しい。

 
 途中にある水力発電小屋を、オーレン小屋に着いたのかと誤解してしまう。久しく来ていないとこんなもんである。この頃から雨が降り出してきた。すぐに止むだろうと高を括る。がしかし・・・。沢音を聞きながら進み、オーレン小屋のランプにもまた暖かく出迎えられた。そして煙突から出る煙の香りがいい。何を燃やしているのだろうか、木の種類で燃えた時の匂いは違い、この辺りだとシラビソを焚いているのかもと思えた。小屋前のやや狭い通路を足早に通過してゆく。なぜならば、ペットに関わるアナウンスのあった小屋であるから・・・。小屋の人は犬好きのようであるが、問題を発生させないようにするには、接触しない事と足早になる。

 
 オーレン小屋から先は、ここも19号台風の影響だろうか、フェンスでの土留めがあちこちで見られ、けっこう荒れてしまった場所を補修したのが見える。その努力とは裏腹に、私はこのフェンスに、それこそ痛い思い出がある。あまりこのようなステップに使ってほしくないのが本音。勾配のある場所ではないのでいいのかもしれないが、登山靴のソールのゴムで擦られ、いずれ素材が滑るようになるだろう。そこまででは無いかもしれないが、トラウマになっている(笑)。雨は止むどころか風を伴い強くなってきていた。すぐさま温度計を見ると10を示していた。

 
 夏沢峠に着く。雨具を着たいので小屋を借りようと思ったら、峠の二軒とも閉じられていた。前回訪れた時は学童がたくさん休んでいて賑やかな場所だったが、人の気配はゼロで、賑やかしいのは風雨だけであった。薪置き場の屋根を借りて雨具を着込む。犬用はもしものために持ってきたのだが、今日着させるほどの雨になるとは思わなかった。強い西風が伴い10mくらいは吹いている。時折15mほど吹き、西側となる右手でフードを抑えていないと剥がされるほどだった。迷犬を見ると、髭やまつ毛が水滴で真っ白になっている。そして風の強さに目をしばつかさせていた。

 
 遮るものがない中をケルンを追いながら九十九折を進んで行く。緑のロープが敷設され、視界が乏しい中でも以前よりはルートを逸れないで進めるのはありがたい。もうこの頃には三角点を拝むことは諦めていた。そんな余裕なし。それでももう少し、もう少し歩けば迷犬のこれまでの登頂最高所に到達できる。

 
 硫黄岳到着。到着するといつも、山頂の動画を下界に配信しているが、この時はいくら操作しても保存できなくなり、再起動してもダメだった。どうもディスプレイ上の水滴が邪魔をして誤動作しているようで、拭いても拭いてもすぐに濡れてしまうので諦めた。スマホを操作する作業をじっと座って待っている迷犬。視線を感じ目が合った。健気で可哀そうで、すぐに南進してゆく。と言うかジッとしていると寒くて長居できなかった。

 
 硫黄岳から南に降りて行くと、ソロの男性が登ってきた。顔を見ると苦笑いしている。風雨の強さに笑っていたのか、こんな場所にこんな日に犬連れしているので笑っていたのかは判らない。そしてオーレン小屋への下降点分岐を経てまっすぐと高みを目指す。分岐点にも「赤岩の頭」と書かれているが、最高所は南側の高み。

 
 赤岩ノ頭からは、登山道は植生を分けて進むようになる。それらに迷犬の全てが埋没してしまい、こんな時にすれ違いがあったらと気を使う。飼い主が見えないのだから、向こうだって見えないわけで・・・。それでもここの通過時は、キバナシャクナゲが出迎えてくれたので、目を楽しませてもらえた。ちょうど最盛期でいいタイミングで見られた。森林限界からシラビソ帯に入ると、見通しのいい快適路となる。左右を苔が覆い、ここも八ヶ岳らしい景色の場所であった。

 
 峰の松目コルを経て勾配が強くなるあたりで、ソロのハイカーが降りてきた。気が付かずに先に迷犬と接触させ申し訳ないことをしてしまった。詫びると嫌いな人でなく「大丈夫です」と返ってきた。南側が岩壁の急登は、だいぶ伝い難くなっており、北側斜面にいくつもの踏み跡が出来ていた。雨は霧雨に変り、風は殆ど治まっていた。

 
 峰の松目到着。22年ぶりだが、以前のままで当時に見ている私製の標識もまだ残っていた。三等点も無傷で奇麗だった。狭い山頂であり、ここに大パーティーが押し寄せることなどあるのだろうか。受け入れ態勢がそうなっていないので、コースから外すのだろう。主稜から近いのに、山小屋から近いのにマイナーピークの様相が心地いい。パンを分ちあったら下山となる。無事3座終了。

 
 コルに戻りオーレン小屋へと降りて行く。雨具を着ていないソロの男性がすれ違う。下は降らず上だけが降っていたのか・・・。オーレン小屋のテン場には一張りのテントが見られた。小屋前では、小屋発の下山パーティーが出発して行き、登りの休憩者の姿も見られた。ここからはすれ違い者がどんどん増えて行く。道が広いので、安心してすれ違いが出来、いつものように迷犬を座らせる必要もなかった。

 夏沢鉱泉までに50名ほどとすれ違った。そしてここには愛犬家がおり、迷犬はこねくり回されていた。抜け毛シーズンであり、今はただでさえ抜ける時期。そこに雨で濡れている。撫でれば手は毛だらけになるが、そこは好きな人、「平気平気」と撫でては写真を撮られていた。有難い限り。ここで雨具を脱ぐ。まだ乾いていないので着ていたかったが、登ってくる人の服装の中では、場違いのような雨具は私らだけであったから。

 夏沢鉱泉を発つと、さらに入山者とすれ違う。さすが人気コースで、こんなに多いのかと思い知らされた。その中に犬連れも多い。総勢4組おり、たまたまだろうが連れられていた全が柴犬であった。4組しかではなく、この時は4組も居たと思え、犬連れ登山が増えたと感じた。少ないと異端となるが、多くなれば周囲も慣れ馴染むことに繋がる。ただしまた、別の問題も出てくるのだろう。この部分ではトレイルランニングが流行り出したことと似ているかもしれない。トレイルランニングは、駆けて登山道を削ってしまっている問題が出てきた。犬の問題とは、犬も性格がさまざまで大人しい個体もいれば、そうでない個体もいるから。あとは山でのペットは生態系を害すると言われる。一番害しているのは、まず人間だろう。今現在、間違いなく誰かが新型コロナを山に持ち込んでいるはず。そしてペットは山にタバコは捨てない。

 総勢100名ほどとすれ違ったろうか。駐車場は凄いことになっていると思えた。空は青空に変わり夏の日差しが出てきていた。少し遅めに行動すれば天気予報通りに遊べたのかもしれない。桜平に戻ると、まだまだ到着する車が絶えず、満車状態を見て下の駐車場へと降りて行った。着替え林道を降りてゆくと、中駐車場の賑やかな事。新穂高の駐車場を見ているかのようだった。




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