鵯峰 1923m
2016.6.18(土)
晴れ 単独 反時計回りで縦走 行動時間:5H19M
@ゴンドラ麓駅7:10〜30→(24M)→A栂の森7:54→(17M)→B登山口8:11→(36M)→C鵯峰三角点8:47〜48→(2M)→D鵯峰8:50〜55→(24M)→E1930m峰9:14→(2M)→F展望台9:16→(31M)→G登山道(天狗原への)9:47→(10M)→Hビジターセンター9:57→(132M)→I林道ゲート12:09→(20M)→Jゴンドラ麓駅(駐車場)12:29
@この時期は7:30が始発。始発に並んだのは15名ほど。 | @単独者が多く独りゆったりと乗る。 | ゴンドラから見る後立山。雲が鳳凰のよう。 | A栂の森。ロープウエー下を通過する道は閉じられ使われなくなっているようだった。麓駅を巻き込むように進んで行く。 |
林道を離れる場所 | B鵯峰への登山口。道標は無い。続く道形はリフト頂上駅の管理用。 | 階段の道が続く | ベンチを設置した場所も多い。ほとんど朽ちている。 |
C登山道脇にある三角点。同化しており見つけにくい。 | C三等点か、苔生しており指先で読み取る感じ。 | D鵯峰到着 | D山頂の朽ちたベンチ |
D鵯峰から山の神側 | Dヤキソバパンが映える | D鵯峰の東側(登って来た側) | 一帯はゴゼンタチバナが群生している。 |
西側に向かって進んで行く。 | 途中の展望地から後立山 | E1930峰 | E1930峰から鵯峰 |
F展望台。かなり開けた場所。 | F同定盤も設置してある。 | F展望台からの景色 | イワカガミもゴセンタチバナと双璧。 |
登山道上にミズバショウ | 木道が短区間ある。 | その一箇所にど根性イワカガミ | 北側の開けた展望地のベンチ。 |
雨飾山が望める。 | 山腹の道の大半は笹が生えたり覆ったりしており、管理しなくなってだいぶ経過しているよう。 | 小さな流れを6つほど跨ぐ。 | G登山道に出る。 |
G鵯峰側は表示が消されている。 | G鵯峰へのルート入り口は塞がれている。 | Hビジターセンター前に出る。 | ロープウェー山頂駅を横目に |
林道の途中は山菜採りの車が多数。全て許可車。なかに監視の車も居た。 | 神の田圃への入山口 | 林道は17.3kmあるよう。上から2.3km降りてきた場所。 | 往路に伝ったロープウエー駅からのダート道。こちらから行く場合、駅舎を巻き込むように進まないとゲートされている。 |
途中ショートカットでゲレンデを降りて行く。 | ゲレンデから林道に戻る | ゴンドラ利用者に見下ろされながら・・・。 | 白樺駅 |
I林道の麓ゲート | J麓駅駐車場に戻る。 |
「ウラ鵯」の名前が有名になり過ぎて、冬に遊ぶ場所のようになってしまっているが、本来は一般登山対象の場所。そこに冬季の事故が影響か登山禁止になったりし廃道化を後押ししたように思っている。報告に上がらないだけでゼロではないのだろうが、昨今でここに登っている人は稀。
いつものように衛星画像で道の在り処を見ると、撮影時期が最適のようであり、そこにはっきりと見える。これだけ見えるのならもっと歩いてもよさそうに思うが、何かしらの理由があるのだろう。もっとも、自然園や天狗原や白馬乗鞍岳の方が人気と言うこともあろうが、優しそうな山の名前の場所に泥を塗っているのは、雪崩や遭難の負の印象なのではないかと思っている。
文明の利器を利用すれば、2時間ほどで縦走できる。これではつまらないので、下山は利器を利用せず歩く計画にした。ここで歩いて登る選択肢も無いわけではないが、そこまでの元気がないのが残念なところ。暑さとゴンドラ料金と体力と、いろいろを天秤にかけて、ゴンドラでの登りのみ利用することにした。
1:00家を出る。夜歩きすればよかったと思えるほどの大きな月が出て周囲が明るかった。三才山トンネルに潜っていつものコースで大町に出て行く。栂池を訪れるのはいつ以来だろうか。2007年9月の白馬乗鞍岳以来なので早いもので9年ぶりとなる。ゴンドラ下の駐車場には5台ほどが停まっていた。ここに居ると到着音や開け閉めの音でゆっくりできないので、林道のゲートまで進み休むことにした。
林道のゲートはオートゲートとアナログゲートがあり、オートの方は、林道でされている工事関係者用に新設されたもののようであった。土曜日なのでその関係者がゲートを通過して行き、ここもけっして静かな場所ではなかった。アナログゲート側は、山菜取りだろう軽車両が次々に開閉して上がってゆく。日が当たりだすと車の周囲を蚋が囲みだす。ゲート前の注意書きに、自転車は進入していいと書いてある。ヒルクライムの場であるようだ。
7:00駐車場側に降りて行き、500円を払って入場する。日差しを避けて栂の湯側に8台が停まっていた。すぐに準備をして利器の出発時間に備える。チケットは7:10から売り出した。ここで、「ゴンドラ片道」と告げると売り子のお姉さんは「ここに戻ってくるのですよね」と質問を返してきた。何を勘ぐっているのかと、「林道を歩いて戻ってくるから大丈夫です」と言うと、「林道はクマが出るのと、歩くと5時間ほど掛かるのでお勧めできません」と言う。何か矛盾がある。先ほど自転車での進入可を見ている。クマが本意であれば自転車も進入できないはず。いや待てよ、これが商売上手な対応か、確かにリスクを感じさせれば安全を選ぶのが普通。ただし私は普通ではないのだが・・・。
なにか面倒くさそうに片道のチケットを出している。1180円の金額に対し、1000円だった時のチケットを渡してくれた。これを出すのが嫌だったのか、ある意味恥じらいでの言葉だったのかと理解した。わびさびを感じる言葉の奥深さ・・・。いや、林道のクマの指摘が真っ当なら、登山道を歩く行為を全否定しているようなものともとれてしまう・・・。
7:30ゴンドラへの乗車が始まる。もう少し多いかと思ったが、15名ほどが始発に並んでいるだけであった。栂爺の前を挨拶しつつ通過して行く。多くて二人連れ、単独行者も多く、相席はしないので人数が少ない割に回転が悪かった。と言う私も一人でゴンドラに乗り込む。結果として自由に周囲の撮影ができ気兼ねしなくて快適であった。
白樺駅では、後ろのゴンドラに乗車したおばあちゃんとお孫さんが降りてしまい、係の人に促されて再び乗り込む風景があった。孫を連れるおばあちゃんに微笑ましいと思っていたが、ここは初めてだと判り少し違う思いも出てきた。まだ白く雪が残る峰々を新緑の向こうに見ながらふわふわとゴンドラで運ばれてゆく。快適そのもの。快適さあまりに帰りにも使いたくなるが、そこはグッと堪える。
7:54ゴンドラ山頂駅を出てここからが本番。外気温はここであっても22℃を示していた。車道をロープウェー駅に向かってゆくと、地形図に書かれる駅舎西側のルートは塞がれており、駅の東側を巻き込むようにして北側に出る。ダートの道幅を伝って行き舗装された林道に飛び出す。一瞬、どちらへ進めばいいのか・・・と迷ったが、左に折れて行く。歩いてゆくと、車が次々に上がってゆく。最初は、上の施設の関係者かと思っていた。答えは帰りに判った。
大きなヘヤピンカーブを経て林道が西に向きを変える場所から、スキー場内へ向かうダート林道が分かれている。向かう方角からして、先に見えるリフト頂上駅への管理用道路と判る。枝道に入り1分も歩かないうちに、山手側に階段状の道形が見えた。これで間違いなく迷うことなく入ってゆく。入り口に道標はなく、その点だけが不安を抱くこととなっていた。
よく管理されていた過去が判る道で、丸太の階段が続き、木橋なども見られる。がしかしほとんど過去のものとなっており、維持管理を諦めているのが朽ちた様子から判る。そして入山者の少なさと言うか、居ないのがニョキニョキとルート上に生えるネマガリタケの存在から判る。良品が多く、登山道整備のために少し、ほんの少し頂戴する。ルートが斜行する場所は、山手側からのチシマザザが覆う場所があり、谷側に落ちないよう掴みながら通過する場面が多かった。別段ひどく荒れておらず十分ハイキングに適する一級路に感じた。
クネクネと曲がっていた道は尾根に乗って一本調子の道に変わる。そろそろ三角点ポイントに気を使う場面。これまでの経験を加味させ、ありそうな場所を目で追いながら進んでゆく。そうしながらも一度通過してしまい鵯峰の山頂近くになってしまった。踵を返して三角点を探しに戻る。もう一度地形図を見ると、尾根の北寄りに設置してあるようだ。南を無視して北側の藪の中を注視しながら降りて行く。
登山道から僅か1mほどの場所、チシマザサの中に同化するように苔むして埋まっていた。周囲に場所を示すマーキング類はなく、勘所が悪いと見つからなそうな点であった。等級の彫り込みも苔に覆われて読めず、指先でなぞって三等であろうことが判った。見える距離に在るが見ている人は少ないであろう点。一つ目的を達成し、次の目的の山頂へと向かう。
鵯峰最高点には、朽ちた大木が立ち、その西側にこれも朽ちたベンチが残っていた。立ち止まると途端に蚋が寄ってきて歓迎してくれる。虫よけを忘れてしまい扇子で対応する。そのまま通過したいが、最低限のヤキソバパンの撮影がある。片手で扇ぎつつ、片手に持ったヤキソバパンを食らう。北側には山の神尾根が見えている。2010年1月に伝った記憶が今でも鮮明に思い起こされる。季節こそ違うが懐かしい傾斜が目の前に見えていた。早々に目的を達成したが、今日はこれからが長い。
西に足を進めて行く。山頂一帯はイワカガミのピンクとゴゼンタチバナの白花でいっぱいであった。ここでもこのルートの利用者が少ないせいで、足の踏み場を迷うようなことになっており、花畑の中を申し訳なく踏みながら進むようなことになってしまった。向かう先に2160mの高みが待ち構えており、続く尾根には意外なほどベンチが現れ、その設置場所の多くは展望のいい場所にあるように見えた。
1930m峰も何もない通過点。逆から来た場合として、振り返り鵯峰側も目に焼き付ける。この1930峰から西に2分ほど下ると、周囲の開けた展望場が現れる。白く人工物があると思ったら山座同定盤であり、作道当初の力の入れようが見えたりもした。蚋さえいなければ立ち止まってゆっくりと周囲を眺めたい場所であったが、“ほらどんどん歩け”とばかりに嗾けられるのでそれは叶わなかった。
展望場から西へ進むとルート上にミズバショウが現れ水気が多いことが判る。そのためだろう木道が作られている場所もあった。ちょうど花期を迎えているのはより西側のミズバショウで黒ずまない状態の花を見せてくれていた。自然園の方もいいだろうが、この尾根も悪くないと思ってしまった。さらに西に進む。
尾根を離れる場所には二つのベンチがあり、北側が開けている場所となっていた。開けていながら日陰になっており、暑い時期においての望ましい展望地であった。雨飾山と天狗原山への稜線がよく見えていた。さてここからだった。これまでが意外に快適なので気を抜いていたのだが、この先の登山道に出合う場所までがいい感じに藪化していた。登山道に出合うと書いたものの、この伝っている場所も登山道であるのだが、管理しなくなってだいぶ経過するように見える。分けつつ掴まりつつ進む。薄い場所や濃い場所は当然あるが、全体として足場が斜めなのがいやらしいところであった。
雪解け水だろう流れを跨ぐ。通過しつつ冷水で汗を落とす。二つ、三つ、計6つか7つの細い流れを跨ぎ進むと、ルート上にキジの痕が見え登山道が近いことが判る。予想通りすぐ先で合流した。廃道状態だけどトイレじゃありませんから・・・。そういう意味でも、たまに通る人が居ないとトイレ化してしまう。ビジターセンターから僅かな場所であり、催す距離なのかと疑問に思うのだった。下山時、もう少しが我慢できなかったのかも・・・。
鵯峰側への入り口はロープで塞がれ、道標からも表示が消し去られていた。完全に封印された場所のよう。懐かしい一級路を大きい石を拾うようにして飛ぶようにして降りて行く。よく整備された木の階段を降りて行きミズバショウを左に見る。大きな流れを跨いでわずかに登るとビジターセンターに到着。
ビジターセンター周辺にはカラフルに着飾ったハイカーが屯していた。栂池山荘でサルナシのソフトを見つけ食べつつ下ってゆく。ロープウェーの頂上駅にはヒルクライムをしてきたサイクリストが休憩していた。帰りは重力に任せて転がり降りて行く自転車を少し恨めしく思ったり、こんな時に携帯できる乗って降りられるものを工夫できないものかと思ったり・・・。ここからは淡々とした舗装林道歩きが続く。
それにしても自転車が多い。ある意味聖地なのだろう。白馬中学のスキー部も無積雪期の練習として取り入れているようで、Tシャツの文字から生徒と読み取れた。すれ違いの自転車が多いおかげで立小便も出来ないほど。まったくもって紳士的に降りて行くことができた。路肩には追い越していった記憶に残る車が見える。フロントには「入山許可証」が全ての車に掲示してある。間違いなくネマガリタケを採っているのだろう。追い越していった車の正体であった。うち1台の紺色のハイエースは、不法採取の監視的役目で入山している車であった。
往路に入った枝道を左に見てヘヤピンカーブを経るとロープウエー麓駅を右に見る。林道にはサイクリスト用に距離表示がされており、そこから見るに林道全体で17.3kmあるようで、うち2km消化しただけであった。日差しは暑く距離も長い、淡々と歩くしかなかった。幸いにもこの林道歩きの時に蚋の襲来はなく、ほどよく風が吹いていた。真っ赤な顔をして喘ぎながら登ってゆくサイクリスト、登ったご褒美は帰りの下りであろう。北俣では地すべりの工事がされているようで、谷あいに工事作業の音が響いていた。途中に見える破線路を伝おうと思っていたが、入り口こそ分かったが、林道の方が楽に思えショートカットは諦める。それでも距離を短くしたいのは非力ハイカーの常であり、次の北俣に林道が接する場所に枝林道が見え、伝えそうなので進んでみる。これがゲレンデ内への道で、緩斜面で快適に距離を縮めることができた。
麓に白樺駅が見え、その横にある池が鏡のように見えていた。ゴンドラが頭上を通過して行き、そこからの目が見下ろしているのを感じる。少し動物園のクマになったような心境になれる。“クマじゃないけどあんなところに人が歩いてるよ・・・”と。T字分岐に出て北東側に折れて進む。ゲートに到着すると白馬中学の生徒が休憩していた。オートゲートの開閉をリモコンで操作している方もおられ、この人が山菜取りを監視している紺のハイエースの所有者であった。一帯を管理しているよう。
ゲレンデを降りてしまってもいいとも思ったが、ゴルフの打ちっぱなしの施設などがあり憚った。ペンションが並ぶマス目の区画を降りて行く。ここでも時代の流れか、廃業し廃屋になっている宿が目立つ。栂池にしても・・・。 スキーがされる冬がハイシーズンの栂池、今はオフシーズンとなるのか、のんびりした高原の宿街の風景となっていた。駐車場に到着する。見た感じでは満車に見えるほどに埋まっていた。そして早朝に見た数名がゴンドラから降りてきていた。
振り返る。昨今は冬山で有名な場所だが、無積雪期もまた楽し。そして美味しい(笑)。ルートがある場所なので難しいことはないが、やや非公式の場所になってしまっているようで、コースが片方塞がれている意味を小谷村に聞いてから把握してから本来は挑んだ方がいいのかもしれない。塞がれていない側があり、楽に登頂するなら栂の森側からのピストンがいいだろう。栂池山荘側からのアプローチだと、分岐点から山腹の道はほぼ藪化していると思って入った方がいい。実際は沢を跨いだ先からですが・・・。