星穴岳        1073m        
                    
                                                  
                                      

   2019.5.25(土)


  晴れ    同行者あり     星穴新道経由で中之嶽神社に抜ける    行動時間:5H9M


@旧国民宿舎6:19→(21M)→A星穴橋6:40→(72M)→Bコップ状岩壁上部支点7:52〜8:05→(70M)→C星穴岳9:15〜42→(46M)→D西岳10:28〜37→(13M)→E一般道分岐点10:50〜55→(26M)→F奥社11:21→(7M)→G戻る11:28


   
@中之嶽神社に1台を停め、もう一台でこちらに移動。 @ゲートはあるが、自由に開閉できる。星穴橋まで車で入ることも可能。 A星穴橋。星穴新道入口。慰霊碑に挨拶してから・・・。 女坂の分岐まで進んで尾根に取り付く。
       
星穴新道の、名残の丸棒が見えだす。 黄ペンキの場所 最初の鎖場 被写体が居ると状況が分かり易い。
     
斜上した先は腕力で直上する。 コップ状岩壁のこの時季は鬱蒼としている。肉眼では千切れ千切れの鎖が見えるが写真では・・・。 B上側のテラスの場所から下降。 コップの中へ下降中。この時季は足場がよく危険に感じなかった。
       
コップの中から這い上がってくる。 コップの先は、上に行くように見せかけての下降。 そして次はごぼう登りの鎖場。 壁横の展望場から
       
長い鎖場の下降。素手だと手が錆で真っ赤になる。 いやらしい横ばい箇所。 やや長い横ばい。落ちれば痛いでは済まされない。終始緊張が必要。 最後の鎖場。星穴新道の最後。
     
主尾根に乗り上げ、最後山頂へ。 ホールドが多い岩壁。ウォールクライミングな感じ。 下側が易しく 上側の方が斜度が強い。
     
C星穴岳三度。 C星穴岳から北西(裏妙義の山塊)。 C星穴岳から南西(荒船山側)。 Cヤキソバパン再び。
   
山頂から下降。 別パーティーがビレイしあいながら登って行く。 射貫き穴への下降点。 尾根上はしっかりロープが張られている。
     
岩屋。前回も今回も、岩壁に沿って降りてしまった(間違い)。 横ばい箇所が続く。 この屏風岩が見えたら、次にいやらしいごぼう登りが待っている。 ごぼう登りの場所。ロープは2本垂れ、岩壁側のバンドを伝う方がいい。ロープの為に地形が削られてしまってきた。
       
D西岳から星穴岳(中央)。 D西岳から東岳 西岳からの下降。上側からだとロープが掴みづらい。 E一般道に合流。
       
奥社  行楽シーズンで上側駐車場は一杯。朝は6:00開門。  E6時前に到着の場合は、下側駐車場。  



1回目 2004年11月7日の記録
2回目 2011年9月19日の記録

 三度星穴新道を歩く機会がやってきた。職場の者が山を齧り始め、しだいに本気モードになりハーネスやザイルを持つようにもなった。会話の中である程度技量も伴ったと判断できたので、「星穴新道行こうか」と誘ってみると、二つ返事で計画に乗ってきた。

 

 山と高原地図には、既に星穴の下までの散策路が描かれている。こうなると射貫き穴へ懸垂下降してしまった方が容易なコース取りとなろうと思う。ただし、持ち合わせが50mが一本しかなかった。やむなくというか、必然的と言うか、後半の行動は尾根通しで西岳を経由して中之嶽神社に進むコース取りとなった。梅雨時期になりつつあり、雨を心配したが、無問題で週末を迎えていた。

 

 中之嶽神社での集合時間は6時であったが、5時40分に到着し僅かに待つと同行者が現れ、1台を残し裏妙義に向かう。走り屋とすれ違いながら山を下り、松井田妙義インター側に進んで裏へと回って行く。妙義湖には既にたくさんの釣り師の姿が見られた。廃業した国民宿舎に着くと、2台の車があり出発した後のようであった。装備を最終確認して、もう居るだろうから昼下がりのジョニーを携帯した。

 

 6:19行動開始。ゲートは相変わらず手で開けられる状態で推移していた。沢音を聞きながら準備運動の林道歩き。そして20分ほどで星穴橋に到着する。馬頭観音から慰霊碑まで、拝めるものは全て拝んで行く。後になって、あそこで参らなかったと後悔しないために。林道幅のダート道を登り、女坂への分岐の場所から、右にある尾根に取り付く。

 

 尾根に乗ると、その尾根の南側にしばらく道形が続く。風がなく無風。少し谷筋に入ると風が流れている程度であった。夏の入り口であるが、真夏のような陽気であった。新道が在ったと判る丸棒が打たれている場所が見えてくる。少しづつ緊張度を高めてゆく。ラグビーや相撲にも通じるが、気を抜いた時に怪我をする。同行者の足も揃い、気づかい不要と判り快調に進んで行く。

 

 黄ペンキの場所で右に進むと斜上する鎖場で、その先の垂直に這い上がる場所は相変わらず伝い難い。同行者は消防団員であり腕力も握力もあるようで、するすると登ってきた。次はコップ状岩壁となる。しかし2度伝っていながら、ルートが判らなくなってしまった。新緑の濃い時期であり、前2回より周囲がよく見えていないのは確かで、迷っている人の踏み跡が正規のモノと誤解しやすく、以前あったと記憶している道標も目に入らなかった。

 

 上に来すぎたかと、小尾根を下るも左側のコップ地形が斜度がありすぎる。もっと上だと想定し上がって行くと、その途中に千切れた鎖の斜面が見えてきた。この迷い行動でコップ状岩壁の下側がどうなっているのかが見え、絶対に落ちてはいけない場所と判った。ランニングをとりながらの横移動とも思ったが、やはりコップは振り子と、上からアプローチすることにした。上のテラスまで上がって小休止。ここまで90分くらいで来ている。前回と同じペースで進んでいるようだ。二人を考えると上出来であった。

 

 河内晩柑でビタミン補給をした後、残置されたシュリンゲにザイルを通しアプザイレン。そうそう、ここでの休憩中にヒルを発見。ここまで生息域が広がっているのだった。2011年の時は、足場が濡れていて緩く、それこそ振り子をしたが、今回は着地点も安定しており危なげなくザイルを手放すことができた。対岸側へ這い上がり、同行者も危なげなく追ってきていた。コップを過ぎたら、次の鎖は下降。上に上がるように見えるが、上がっても道形は無い。この次の鎖はゴボウ登りの場所で、やせた小尾根に這い上がって行く。

 

 Pいくつとなろうか、岩峰の岩壁の脇に出て、浅間側の展望がすこぶるいい。次は下降で、手がかりが乏しいのでしっかり鎖を掴んで降りる。けっこう握力を使うのと長さがあるので、手のひらが錆で真っ赤になっていた。降りきったら2番目の核心部と言うべき横ばいの場所。以前は現在の裏妙義のルートのように足場が置かれていたのだろうけど、今はその支柱しかなく、やや大きなストライドを必要とする。少し鎖に弛みもあるので、テンションの掛け方も工夫せねばならなく振られやすい。

 

 落ちればケガだけでは終わらなそうな場所を、集中しながら横ずれしてゆく。途中には真新しいハンガーボルトも見られた。これからはこれらがここに増えてゆくのだろう。一か所で張り綱を支えるハーケンがぐらぐらに揺らいでいた。もう星穴岳直下であり、ここさえ抜ければ安全地帯が待っている。もうちょっと。最後の鎖場も慎重に横ばいして進む。初回はここから上の鞍部へ這い上がったが、2回目と今回は東へ進むバンド地形を伝う。こちらは負荷はほとんどゼロであった。

 

 主尾根に乗り上げ星穴新道の終了点。少し呼吸を整えたら最高点を目指す。ホールドを確かめるように這い上がって行く。支点の立ち木には、以前と違って真新しいシュリンゲがかかっていた。星穴岳の山頂は以前のままであるが、KUMOは無くなり、標識も支柱だけになっていた。春霞もなくすこぶる展望がいい。北アルプスまで見えていた。と、近くから声が上がってきていた。別パーティーが西岳側から迫っているようで、詰まらないようササっと下降準備に入る。ここはどうしてもザイルが北側に降りてしまう。降りながら南に修正してもらい二番手でピョンピョンと跳ねながら下る。

 

 ザイルを纏めていると、ご夫妻らしき男女が現れ、息の合った様子で最後の岩壁に対峙していた。既に射貫き穴の下降点にはザイルをセットしてあるようで、使わせてもらいたかったが、家主の居ぬ間にそんな非礼はできない。休憩がてらに登る様子を勉強させてもらっていた。暑くて”壁がフライパンのよう”と言いつつ登っていた。この日を表すのに的確な表現であった。

 

 射貫き穴の支点の場所には、ザイルやヌンチャクがデポされていた。やせ尾根を抱くようにして通過し、その先のロープ場を慎重に横ばいしてゆく。秋の時より高度感は無いが、一度見て判っているので、見えなくても少し足が震える感じがする。これをパブロフの犬現象と言うのだろう。新道を伝った疲れが若干現れてきているのを感じ、より慎重に進んで行く。それにしても暑い。下から聞こえる大型バイクのエキゾーストノイズも、暑さに加担していた。春ゼミだろうか、賑やかに鳴きだしていた。

 

 岩屋の場所で、今回も岩壁伝いに下に降りてしまった。道形が無くなり岩屋まで戻って東の道形を見つけ苦笑い。新道通過もここでも、2度通過しているのに学習していないのだった。ロープ場を横ばいし、しばらく進むと屏風岩的岩峰の基部に出る。ここからが西岳と星穴岳間の核心部となる。下からの距離は35mくらいはあるのだろう。見上げると一本のロープが垂れており、ここを伝えとばかりにアピールしている。これは下降用なのか、登り用ではないことと思いたいが、登り用に西の岩壁に下にもう一本流されている。こちらにはバンドがある。以前2回はここを伝った。現在は中央突破のロープの場所も岩壁側のバンドも上で合流し、最後7mくらいは腕力で這い上がる格好になる。周囲を見ると東の藪を伝っている人も居るようだが、ロープを垂らして公的な通路としている場所を伝うべきと登って行く。長いロープなので、それが振られるためだろう、以前よりだいぶ地形が削られていた。二番手で登ってゆくと、ヘルメットにぼこぼこ土の塊が当たってきていた。かなり腕力が必要の場所であるが、星穴岳へのアプローチに使う場合は、下降なので登るよりはだいぶ楽であろう。

 

 西岳に乗り小休止、見ると東岳の頂上にも中ノ岳の頂上にもハイカーの姿が見えた。その向こうは関東平野が広がり、絵になる風景であった。西岳の東側のロープ場は、上から掴むには足元まで屈んで掴まないとならなく、ここも西進を基本につけられているロープと思えた。左下にズレつつ降りてゆく。降りきり少し緊張を解く。もうこの先に危険個所は無い。

 

 一般道との合流点で小休止してから、よく整備された一級路を降りてゆく。探勝路の分岐まで下ると、荷を持たない観光客の姿が見られ、奥社まで戻ると歩きを得意としない人がハァハァ言っているのが見えるようになる。階段を降り手水で手の汗を拭い駐車場へ進む。予定より2時間早く降りてこれた。ほとんどの場所で現地の残置品を使ったからで、本当は疑ってザイルを出すのが正しい判断だろう。

 

 下の駐車場に戻り、車の回収に出発地点の国民宿舎側へと向かう。荷台の幌に触れると、火傷しそうなほどに熱くなっていた。その中のクーラーボックスに入れておいた凍らせた炭酸水は、僅かに冷たさがある程度だった。この異常な暑さ、山登りは体に悪いように感じる日であった。



 
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