鎗岳 1720m
2023.7.1(土)
雨 単独 シャトレーゼCC野辺山側ゲートより(ゲートより進入は許可が必要) 行動時間:2H37M
@ゲート5:02→(20M)→Aトイレ・量水堰堤5:22→(9M)→B観測機器・小屋5:31→(29M)→C林道終点6:00→(5M)→D県境鞍部1582m6:05→(18M)→E鎗岳6:23〜33→(9M)→F1700m峰6:42→(16M)→G林道に降り立つ1564m6:58 →(11M)→H小屋帰り7:09 →(30M)→I戻る7:39
@1405高点の南。スキー場の並列駐車スペースの南端より | @林道利用は許可が必要。許可を得て入山。当日連絡だと不都合のよう。 | @ゲート。以南は筑波大学の演習林 | 1426m付近。山手側に大きな小屋が見える。 |
1444m付近。出発地点より940m付近の分岐。右へ。 | 分岐には地図が掲示されている。上部の分岐にはない。 | A1453m付近。トイレ舎。 | A量水小屋。地図内では「量水堰堤」と書かれている。 |
1480m付近。西側の谷の左岸を見ると石積が続く。地形図の破線路辺り。 | 林道沿いの木には、この仕掛けが続く。 | 1481m付近。状態の良い道が続く。車はあまり入っていないよう。 | B1507m付近。小屋と観測機器が見られる。 |
B百葉箱と風速計 | B小屋内部 | Bここにも量水機器が設置してあった。 | B「立入禁止」から「一般車侵入禁止」と書き換えられている。 |
地形図上の林道終点。1520m付近。林道は先に続く。 | 1550m付近。分岐。絵図は無し。右へ。 | 尾根を乗越し南進に | C林道終点。1563m付近。 |
1559m付近。谷の中。 | 獣道あり。 | D1582m鞍部。県境に乗り上げる。 | D東進開始。細い道形が続く。 |
胸丈の笹があるが、その中に道形が続く。 | 手前峰。 | E鎗岳登頂。 | E前橋ハイキングの標識。表記はエアリアマップに従っている。 |
E補助三角点 | Eメンチカツバーガーと | E東側は展望がいいはずだが、雨の為・・・。 | 北の1700m峰(手前) |
F二つ目の1700m峰。ここから北西に下る。 | 北西尾根に杭が見られる。 | 1623m尾根の肩。好展望。 | 1618m付近で作業道に乗る。 |
北北西側。シャトレーゼ側が見られる。 | G1564m付近で往路の林道の乗る。 | 1550m分岐帰り | 上から見る林道の様子。 |
各沢ではクリンソウが咲き出していた。 | H小屋帰り | 沢でクールダウン。 | 下側の小屋内部。扉の無い資材小屋だった。 |
ゲート帰り | ゲートから南は筑波大学の土地。 | I駐車場所に戻る。縦列駐車ではなく並列駐車の白線が引かれている。 |
前週に続き、今週も山梨の古地図に載る山を選択する。前回は八ヶ嶽南麓図からだったが、 山梨デジタルアーカイブ内に一番多く読める、山梨管内全図を参照する。県全部なので詳細な場所までは載らないが、それでも県境の山は同定しやすく、甲信国境にある横尾山の西に「鎗岳」と読める場所があり、エアリアマップに記載される「槍」の場所と判る。古地図を具に見て行くと、大正3年から6年までは「鎗峰」と表記され、大正7年以降で「鎗岳」と書かれ推移していた。現在は「槍」になり、峰も岳も端折られてしまっている。
県境踏破の趣味は無い。あれば既に踏んでいただろうが、その時その時の思い付きでピークハントをしているので、そのおかげで槍の場所は落穂になっていた。東の木賊ノ頭は冬季に踏み、気になっていたら当日に鎗岳も踏んだのだが、全く眼中になかった。その横の横尾山はミレニアムな年が初登で、去年再び訪れている。攻め方として、西の飯盛山か東の信州峠よりの県境伝いが一般的だろう。しかし犬連れ、長いササ漕ぎにダニを考えてしまう。出来るだけ漕ぐ距離を省略したい。ここで川上村側である北麓の林道に目を付けた。
林道への経路にシャトレーゼのゴルフ場とスキー場の敷地があり、林道もそこの私有地かと思い、まずは川上村役場に電話を入れる。商工観光は企画課振興係が担当していた。「林道は川上村が管理されているのですか?」と尋ねると、「演習林用の道で村のものではない」と返ってきた。「地形図に破線路も書かれ、通ってしまう可能性もあるのですが、伝ったらいけないでしょうか?」と畳みかけると「ダメです」と白黒ハッキリ伝えてくれた。「ちなみに麓のシャトレーゼの土地は通っていいのですか?」と問うと「判らない」と言う。さらに「県境にエスケープルートとしてスキー場を示したものがありますが、それでも通ったらダメなんですか?」と尋ねると、「ダメ」の一点張りでツレナイ応対をしていただいた。お役所対応としては100点の合格である。これで諦める私ではない。「演習林・川上村」と検索すると、筑波大学の所有地と判り、現地を管理している電話番号を知ることが出来た。
丁寧な内容で書かれ、利用申し込みが出来るとあった。メールでも郵送でも電話でもいいらしい。翌日の予定なので続けて電話をする。あまり電話がかかることは無いのか、9回呼び出し音が鳴り、諦めかけた頃に出ていただいた。先ほどの役所とは違う丁寧な話し口調であった。「県境への登山目的で林道を通らせていただきたいのですがよろしいでしょうか?」と伝えると「採集とかでないのなら許可します」とのことだった。ただ「いつですか?」と聞かれ「明日です」と伝えると、数拍置いてから「明日ですか〜」と若干困った様子で、「登山での利用ならOKです」と言っていただいた。もしかしたら、電話口の担当者も、上職に許可を得るのかもしれなく、実行日に対し数日の処理猶予が必要だったのかもしれない。一応これで堂々と利用できることになった。
3時に家を出る。南牧村のセブンに寄ると、店員が入荷したパンを並べているところだった。普通にあると思って「ヤキソバパンは・・・」と尋ねたら、「ヤキソバパンは無いです」と返ってきた。”なんで発注しないんだ!!” おかげでメンチカツバーガーの美味しさを知ることになったので結果オーライなのだが・・・。野辺山交差点からR141号を離れシャトレーゼカントリークラブ野辺山へと向かってゆく。そしてその敷地へと入って行く。手前のゴルフ場のエリアからスキー場エリアへと右折すると、そこから車道脇に駐車スペースが続く。1405高点の南が駐車場所の南端で、そこに車を停める。冬季以外停められることが無いだろう場所であった。舗装路は切れ、林道側には野草が茂り、すぐ南にゲートが見えていた。
5:02 小雨の中、雨具を着て出発する。ゲート前には演習林内の狩猟禁止看板と、山岳科学センターへの利用許可申請を促すの看板が出ていた。ゲートには確かに「筑波大学」と書かれていた。ゲートを山手側から抜けて行く。状態のいい林道だが、あまり車が伝っている雰囲気ではなかった。歩き出しすぐに困ったことが発生。迷犬に虻がたくさん寄ってきたことだった。ハッカ水ではあまり回避できず、虫よけスプレーで攻撃を弱体化させることが出来た。雨でもこのありさま、晴れていればもっと多かったろう。西に沢があり生息しやすい地形なのだろうが、となると西側のゴルフ場だって利用者が襲われることになる。迷犬と速足で歩き虻の集団を振り切る。
ゲートから7分程進むと、1425m付近の山手側に白い大きな小屋が見える。左に見ながら通過してゆく。次にゲートから940m地点で最初の分岐が現れる。ここには演習林全体の地図が書かれ現在地も示されていた。青線が多いので見辛い地図であるが、林道の延びる様子は良く判る。そして演習林の最高所なのだろう「鞍骨 1786m」と書かれているのが気になる。木賊ノ頭の事だろうか。右への道を選んで進んで行く。
1453m付近に、西側のログ調の小屋が見え、設置された塩ビパイプからトイレと判る。ここにも地図が掲示され、確かに「WC」と書かれていた。そのすぐ南に量水施設があり、ソーラーパネルが設置されている。樹林帯の中で、あまり日が入らない場所での設置であった。この先で、西に西川と近接する場所となる。木々の間から見ると、沢の左岸側に石積みが続いているのが見えていた。実線路が地形図表記よりさらに奥に延びているように見えた。快適な林道歩きが続く。ゲート辺りでは困ったが、この頃はもう虻の追従は無かった。
1507m付近の林道カーブの場所に、小屋が見えてくる。その上の地形には百葉箱と風力計が見られた。そしてここにも流れの場所に量水計があり、通電している様子が赤ランプで判った。物置も併設してあり、その近くに注意書きが出ている。「立入禁止 此の中は大切な試験研究を行っておりますので、中には入らないでください。」の当初の文言に対し、「警告 これより 一般車両侵入禁止」と上書きされていた。当初は人に対する注意だったものが、後から車に対するものに変った・・・。なぜだろう。進む先、1520m地点が地形図の林道終点だが、終点の気配はゼロな感じでさらに先に延びて行っていた。流れのある小沢には、何処もクリンソウが咲きだしていた。この付近は大々的な伐採がされたようで、幼木が植林された明るい地形の中を登って行く。
各分岐には地図が掲示されていた麓側だったが、1550m地点の分岐には絵図が無く進路を悩む。どちらを選んでも良さそうだったが、西に行けば地形図の破線路に出合うだろうと、西に向かう道へと右折してゆく。進んで行くと、開けた地形が現れ、尾根を乗越し北進から南進に変わる。この一帯も伐採跡で幼木が並んでいた。どんどん西に進んで行き、予想通りに破線路のある西川源流の谷へと近づいて行っていた。林道の状態は相変わらずよく、掘れたり崩れたりの荒れた場所は一切見られず、ぬかるんでいる場所さえなかった。
出発から1時間、1560m付近で林道終点となり、人工物は赤い鳥獣保護区の看板のみだった。西を見下ろすと谷地形があり、ササの中を降りて行く。やや湿った泥濘した地形もある沢の中、破線路なのか獣道なのか判断が出来ないような道形が在った。濃い場所もあるが薄い場所もあり、上に行くほどに有耶無耶になっていた。
1580mの鞍部に乗り上げ、これで県境に乗った形となる。意外や伝う人がこれほど多いのか、一筋の道形が存在し、それに伝って行くことが出来た。ササを分けねばと思っていたが、迷犬もスイスイとその跡を追ってゆくことが出来た。場所によっては野草が覆うが、その中にしっかり道形が確認できた。若干薄い場所もあったが・・・。登り上げ、白い標柱が見られ山頂かと思った場所は1690mの肩で、そこから最後の登り。直登的な場所なので、そこそこ負荷のある登りであった。
鎗岳登頂。前橋ハイキングクラブの標識が唯一。珍しい補助三角点が見られる。依然小雨のままで辺りにはガスが垂れ込めていた。展望のいいピークらしいが、それを楽しむ事が出来なかった。楽しめなくても、暑くなく涼やかに歩けたことの方がありがたい。メンチカツバーガーを迷犬と楽しんだら下山となる。北側に降りて行ってみる。相変わらず道形は存在していた。南の1700m峰を経て北の1700m峰に乗る。ここから北西の尾根を降りて行く。林班の境だろうプラスチックの杭が続いていた。大半は頭を齧られていた。
1620mの肩まで降りると、伐採地の上で見通しがいい。雲間に三沢地区側が見えていた。適当に下ると作業道に乗る。最初東に進んだが行き止まり、西に進んで九十九折で高度を下げて行く。その先は分岐からの道の選び方をハズし行き止まり、そのまま北に下り、1565m付近で往路の林道に乗った。
1550mの分岐に戻り、まだ歩きたいのか迷犬は南への道を選び呼び戻す。帰りは小屋の内部を確認してゆく。ほとんど使われていない、使われた形跡の乏しい小屋だった。そう思うほどに埃が溜まっていた。トイレ舎を左に見ながら、もう一つの小屋の前まで戻る。林道から少し距離があるので通過して行こうと思ったが、気になったまま帰るのもスッキリしない。上がって行くと木造の小さな小屋もあり、場所柄扉のある小屋かと思ったが、東側が大開口となっており、ほぼガランドウの物置小屋であった。さてこの先は虻の急襲を受けた場所。心して向かってゆくと、案の定現れた。足早に、そして防虫スプレーを噴霧しながら戻って行く。
ゲートに戻り車に近づくと、嫌なことにそこでもアブが待ち構えていた。排気ガスに寄ってきた個体が居座っていたようだった。またスプレーを噴霧するのだが、迷犬はその様子を見ながら不思議な顔をしている。鼻の強い犬の事、強い薬剤臭が発しているので嫌がらせと思っていたのかもしれない。
帰路、ゴルフ場内を通過してゆくのだが、雨具を着てゴルフに興じている方々が見られた。雨の中に登山をしてきた者が言う言葉ではないが、雨の中にゴルフしている様子は不健康に見えた。傘をさして動いていない人の方が多いのだった。虻がいればいい運動になるかもしれない。