兜岩山    1180m                                                                                                                                                                                                              
  2023.3.25(土)


  少雨    単独     田口峠より     行動時間:1H29M


@田口峠登山口(第一隧道西)6:09→(24M)→A三角点峰6:33〜34→(57M)→B兜岩山7:31〜36→(62M)→C田口峠登山口
8:38
                                                                                                                                           


 
群馬・長野県境 広川原地区 駐車場 田口峠
       
@田口峠の第一隧道西より 林道幅よりの登路 壊れたベンチ 尾根東寄りの階段路
   
林道幅が群馬側へと降りている。 堰堤のような尾根道 A三角点峰
     
A等級不明の「山」と彫られた三角点。三度山と同じ仕様。 A四等点 A境界標柱 三角点峰への分岐点。道標は朽ちている。
       
石仏と祠 峠から1.4km地点の道標 1263高点峰 兜岩山分岐。道標無し。
       
B兜岩山 B三等 Bいい感じの私設標識  Bヤキソバパンと 
       
Bこの向こうに八ヶ岳が見えるはずだが・・・。  分岐帰り  1263高点帰り  8:24ガスが晴れだす。
       
三角点峰南。西の谷の右岸に林道が上がってきている。  尾根道帰り C戻る  雨川ダム 



 

 群馬の南牧村と長野の旧臼田町を結ぶ下仁田臼田線。そのルートの最高所が田口峠。普通なら県境の場所だが、不自然な国境が引かれた場所で、大きく群馬側に長野領地が入り込んでいる。通常なら尾根筋で国境線とするが、ここだけ谷筋で境としているのだった。普通に田口峠を経由し、霊仙峰を通過するような線引きでいいと思う。群馬側に領地を得ている中心に広河原地区があり、おそらくここが不自然さのカギを握っているのだろう。飛び地にせず地続きにしたって事だろう。ただそれでも生活圏は長野でありながら群馬であろう。学校に行くにも買い物をするにも、郵便物もそうだが、南牧村の勧能地区に出た方が便利。

 
 荒船山には5回ほど登っているが、田口峠から入山したことが無かった。峠にアプローチするなら臼田側と思っていたが、グーグルのナビでは南牧村経由の方が「19分早く着く」と案内していた。本当かどうかは走ってみれば判る。田口峠を通過したのは20年程前、上州側の道幅は狭く信州側は広い記憶が残る。上州側は天領でもあり村落が拡大し住宅が増えたせいで、道の拡張が出来なくなったために狭いだろう事が見える。そんな南牧村も今や日本一の過疎村と言われている。一方の臼田町は佐久市に取り込まれ、軽井沢に隣接していることもあり涼しく住みやすい場所となった。お隣同士だが、陰と陽な感じ。

 
 志賀高原に上がろうと予定していたが、前日よりの雨が尾を引くようで一帯は雨予報になっていた。高所は雪であろうし、雨だったら融雪が進む。前年度に落穂になった場所を迷犬に踏ませようと思っていたが、これで今年もダメか・・・とも思えた。今年はかなり融雪進度が早い。残雪期がひと月早くにやってきているようで、ゴールデンウイークでは例年のような残雪歩きは出来ないだろうとも思う。雪遊びを諦め、田口峠から兜岩山を目指すことにした。


 4:24出発。下仁田のセブンでヤキソバパンを仕入れてから南牧村に入って行く。2019年に物見山を登った時以来、村落の細い道を対向車を気にしながら勧能地区まで入る。ここから下仁田臼田線へと右折してゆく。沢沿いに”こんな場所に住まいしているのか”と南牧村らしい村落があり、間坂地区そして馬坂地区と見ながら進む。狭いのでヘッドライトで走る時間帯を思っていたが、もう夜が明けてしまっていた。そして県境の場所となる。やはり変な場所で県境である。

 狭岩峡は、小滝があったり見栄えのする自然美があり、ここでバーベキューでも出来れば最高だろう。よそ見をし過ぎないよう進むと別荘のような住宅のような建物が見られ、既にここも広川原地区の南端となろう。大きなカーブを右に巻き込むと、南牧村に見られるのとそっくりな住宅仕様の広川原地区が現れる。大工も建材も上州側からなのだろう。さてここから、ここからが一番のくねくね道。地図上でも視覚的に負担で嫌っていたのだが、「早い」理由で今回は突っ込んで行く。実際走ってみると、南牧村の村落内の道より長野地内は広く走りやすい。対向車が来ないような時間だからの印象かもしれない。峠の手前570m地点にトイレ舎のある広い駐車場がある。峠に土地が無く、ここしかスペースが得られなかったのだろうが、ここから登山口まで距離と勾配があるのも、田口峠からの入山者数が増えない要因だろうと思える。


 第一隧道の上州側に田口峠の標識が立ち、隧道の西の長野側に入山口がある。以前は道標が在ったような記憶があるが、現在は杭が残るだけで無くなっていた。前後しての駐車余地が乏しく、本来はトイレの場所とは理解しているが、隧道西側の路肩余地に停める。雨上がりのタイミング、一帯はかなりジメジメしていた。前週の妙義山(佐久穂町)はダニが多かったこともあり、ジメジメしているとヒルが気になるが、ここは繁殖エリアではないと割り切る。

 
 6:09行動開始。北側に登り上げると、その先は林道幅が続いていた。すぐ右手に階段路が見え、それが登路と判る。入山口とこの場所共に道標は無い。隧道上の主尾根に乗る。道形が薄く、無いと言ってもいいほどに踏み跡になっていない。全ては利用者の少なさからだろう。尾根の上州側を伝って行くと朽ちたベンチや階段路が見られた。進んで行くと、いつ乗ったのか林道幅となり上州側へと降りて行っていた。その先に祠が在り、それは山の神のようであった。この先の尾根筋は堰堤の上のような感じで心地いい。この時はまだ晴れ間もあった。北進し尾根が広くなると道形があやふやになった。

 
 三角点峰に向かう予定だったので、西側から巻き込むように進んで行く。当然だが、大沼沢よりの昔道は完全消滅していた。三角点峰には3つの標柱が埋設してあり、人工物がニョキニョキと生えている。ここは未踏峰で初登頂となった。四等点が一つと、先日三度山で見た仕様と同じものがあり、3つめは境界標柱であった。無名峰のまま山と高原地図に登山対象の場所として記されているが、何かしらの名前はあるのだろう。麓に集落が無いので名前が伝えられずに推移しているのだろう。南戻り分岐点には、判読できない朽ちた道標が落ちていた。

 
 北進から東進となる。今ほどの分岐から9分程の場所に首のない石仏が立つ。その鞍部は昔の峠道のような雰囲気の場所であった。この先3分ほどの場所に、入山して初めて判読できる道標が見られ、ただし地面に落ちていた。峠から1.4kmと読めた。この先で1263高点峰を通過する。西風も強くなり雨も落ちてくるようになっていた。寒いので温度計を確認すると3℃を示していた。防寒手袋をし雨具を着込む。下界は晴れ予報であったが、山の天気は・・・ってところだろう。迷犬のひげや眉毛は白くなるほどだった。兜岩山への分岐点も道標無し。行政も地元山岳会も管理しなくなった場所のようだった。北進してゆく。


 兜岩山登頂。初登は1999年で2回目は2006年。前二回は標識類が無かったが、現在は立派な標識が二つ掲げられていた。一つは表面をバーナーで炙り腐食防止を考慮した仕様でレタリングも奇麗だった。もう一つは彫刻仕様で、どちらも長命だろうと思えた。標識があるだけで少し明るい印象の山頂。無かったら、このガスの中では陰鬱な気持ちになったろう。ヤキソバパンを迷犬と分かち合い朝食とする。さて戻る。


 分岐点からの御岳側は道形がしっかりしている。間違いなく北側からがメインルートになったよう。それに対しての南側は、分岐に道標もなく南進路はあやふやだった。西進し戻って行くのだが、分岐から6分程の場所で南進から西進に屈曲する場所がある。そのまま南に進んでしまい岩峰の上に立つ。迷犬はそのまま南に降りて行き、崖地形に入る。すぐにルートを外したのが判ったが、判っていない迷犬が居り、足場が悪くなり見ている方が冷や冷やしてしまう。再び1263高点を踏んで、時計は8時を回る。この頃からガスが晴れだし陽射しが入るようになってきた。


 三角点峰の南まで戻る。西に谷地形があるが、行動するのはその左岸側、対する右岸側を見ると、ハッキリと判る林道幅が上がってきていた。入山口で見た林道幅を伝ってもこの場所に来られるようだった。堰堤上を伝うような快適尾根は、何度通っても心地いい。往路は隧道上から東寄りを歩いたが、帰路は西寄りを伝ってみた。ピンクのマーキングは西寄りを導いているのだった。
尾根の狭い場所はいいが、広い場所はやや迷いやすくなっている。マーキングが点在していた。

 
 第一隧道前に降り立つ。北からの流れがあり、汚れや汗を拭うには適当な場所であった。初田口峠よりの登山。このままだと好事家のみが歩く場所になる様な印象だった。19号台風の影響を受けたのであれば致し方ないと思うが、被害ゼロの場所であり勿体ない。

 
 帰りは長野回りで戻って行く。結果、往路も復路も同じ経路時間であった。長野回りは距離的には遠回りになるが楽って事になる。臼田へ降りて行く途中、漁協のトラックがすれ違った。その下流ではたくさんの釣り師が見られた。特別解禁日だったよう。雨川ダムはエメラルドグリーンの水を湛え、夏の日差しの下では特に奇麗に見えるだろうと思えた。 




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