地蔵山    1802m      堂岩山    12051m          猟師ノ頭     2042m  

 中尾根ノ頭    1920m   黒渋ノ頭    1895m     
八間山   1934.5m                                    

          
   
 
   2015.9.5(土)    


  晴れ    単独       白砂山登山口より     行動時間:4H53M 


@登山口5:32→(11M)→Aハンノキ沢5:43→(23M)→B地蔵峠6:06→(75M)→C堂岩山7:21→(19M)→D猟師ノ頭7:40〜41→(14M)→E堂岩山下分岐7:55→(14M)→F中尾根ノ頭(エアリア)8:09→(45M)GQG氏と立ち話10M→G黒渋ノ頭8:54〜56→(25M)→H八間山9:21〜28→(57M)→I登山口駐車場10:25


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@白砂山登山口 Aハンノキ沢。この形態にしてから橋が流されなくなった。 北沢分岐 B地蔵峠。切明へのロングコースはここから始まる。
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Bお地蔵様に挨拶して行く。猛暑だった為か、着せられた服は取られていた。 シラビソ尾根付近で、まず最初の朝露の洗礼を受ける。 水場分岐 C堂岩山到着。
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C標識の南側は刈り広げられ、休憩場所が作られていた。 堂岩山から白砂山側。中央左が猟師ノ頭。 池塘の先、ほとんど登山道が見えないような場所。暫く刃物は入れていない様子。ビショビショになる。 クロマメノキが大粒の実をつけておりビタミン補給。
ryoushinokashira1.jpg  ryoushinokashira2.jpg  ryoushishirasuna.jpg  ryoushisaburyuu.jpg 
D猟師ノ頭到着。 D行政の標識。 D猟師ノ頭から白砂山。 D猟師ノ頭から佐武流山。
ryoushidouiwa.jpg  bunki.jpg  nakaonenokashira.jpg  qgq.jpg 
D猟師ノ頭から堂岩山 E堂岩山下分岐。 F中尾根ノ頭現地ピーク。山名事典ピークは、さらに南。 途中で行き合ったヤマランの雄GQG氏。
kuroshibunokashira1.jpg  kuroshibunokashira2.jpg  tocyuukarahaxtukenzan.jpg haxtukenzanhyoucyuu.jpg 
G黒渋ノ頭。倒木が腰掛に。 G 八間山を望む。避難小屋がポツンと見える。 H八間山は相変わらずの展望ピーク。
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H等級が見えづらくなってきている。撫でられすぎか・・・。 Hかなり崩壊が進んでいる。 キャンプ場への道は刈り払いがされていた。 山塊全体で、オヤマリンドウが綺麗な姿で出迎えてくれた。
kayanooneshita.jpg nozoriko.jpg  cyuusya.jpg   
茅の尾根下登山口に降り立つ。 野反湖の様子。 I白砂山登山口駐車場。関東各地のナンバーが見られる。




 2009年4月、JCA氏に白砂山の南南東に位置する猟師ノ尾根の高点(1802)は有効座なのかと問い合わせたことがある。残念ながらこの時は、「猟師ノ尾根」はピーク名ではなく尾根の名前なので「無効」と判断された。今でこそ珍しくないが、昔から地形図に名前がふられている場所であり、ピーク扱いでもいいのではないかと私の判断であったが、大本営が無効と言ったら無効。話が飛ぶが、黒部の大タテガビンも尾根名でピーク名ではないとされており「無効」扱い。

 それから6年が経過し、猟師ノ尾根ではないが、その近くの猟師ノ頭が有効座になったと会報に記載されていた。2009年の事もあり、なにか気になっていた山塊であり、発表に呼応するようにすぐさま出向いてみることにした。私の中での有効座とは、地形図に載るか日本山名事典に載るかなのだが、ヤマランの特権はその双方の掲載情報が最速で入手できることがある。細かい事情は伏せておくが、大本営より発信される更新情報は本当にありがたく価値がある。
 

 一度踏んでいる場所であり、以前の記録に山名のみ追記してもいいが、こんな事でもなければ、あの登山道を再び辿る事もない。
その点では、追加掲載には再び足を向けられる恩恵もある。新規の場所は新規に登る。これまでもずっとそうしてきたので、行動に負荷もなければ疑問もない。

 白砂山登山口から入山するのは今回で5回目。1997年10月、この時は金沢在住時に200名山としての白砂山登りに訪れた。その次が2000年5月に八十三山と大倉山の2000m超狙い。2009年5月は赤土居山が事典に掲載となったので狙い、同じく掲載された中尾根ノ頭も抱き合わせにして長く歩いた。そして一番最近、2013年8月に寂峰障子峰を狙った時にこの登山口より地蔵峠まで伝った。そんなこんなのかれこれ5回目で、私の履歴の中では新穂高に次ぐ、白山の市ノ瀬に並ぶほどに訪れている場所となる。もっと言うと、2013年5月の石ドヤ山、2008年5月の三引山、2000年10月の湖畔の山周回があるので、野反湖を訪れるのは8度目。何度訪れても毎回が新鮮で飽きない場所。現地の美しさがそう感じさせてくれているのだが、全部踏み終えた今だが、山旅抜きにしてレジャーだけでも行きたいと思う場所で間違いない。

 2:00家を出る。須賀尾峠を越えて長野原に降りて、草津を西に置くように野反湖へ向かって行く。ここの405号が長い。まあ長野県境まで走るのだから長くても当然なのだが、目的地までの長さを毎回感じる経路なのだった。外気温は湖の畔で18℃。高度を思うと少し温かいような印象があった。そこに満天の星空。空気が澄んでいて星空観察にちょうどいい日であった。白砂山駐車場に到着し、星見たさに急いでエンジンを切る。既に5台の車が停まっており車中泊をされているようであった。シュラフに包まりつつ星空を見上げ朝を待つ。

 貧乏性なのだろう、朝をゆっくり出来ない性質で薄明るくなると動き出す。周囲の車は動く気配がない。これはなにかからくりがあるのか・・・。気にしつつもパンを齧りながら冷めたコーヒーを飲んでいた。そして気になるからくりは一つに絞れる。早出には「露払い」
が待っているのだろう。そう思い、山ズボンは脱いでしまい、雨具を履いて朝露に準備をした。

 5:52登山口をスタートする。綺麗に刃物を入れられ、刈らなくてもいいような場所まで綺麗に刈り払いされていた。これでは雨具のズボンは過剰装備であった。ここまで良く管理されているとは思わなかった。ひと山登る感じで登って下ってハンノキ沢に降り立つ。今の徒渉点になってからは流される事は無くなったよう。以前は訪れるたびに場所や形状が変わっていた印象がある。超一級の道を伝って進む。

 北沢分岐を過ぎ、このあたりで今日の快晴無風状態を感じる。外気温は16℃となっており、ハイキングにちょうどいい気温に思えた。切明への分岐が表れ地蔵峠、お地蔵様は猛暑からか以前は着ていた服がかかっていなかった。山旅の無事をお願いして先に進む。暫くしてシラビソ尾根の場所となるが、この辺りは刃物が入っておらず、まず最初の洗礼を受ける。一気に濡れたが距離が短く乾いてゆくのも速かった。

 ルートが屈曲する樹林帯の中で、先行する鈴の音が聞こえてきた。探すように少し足早に進むと単独の男性がおられ、「露払いお願いします」と開口一番頼まれてしまった。ルートの状況をよく知っているのだろう。これから本番かと思わされた。昔からのハイカーのようで、小さなメモ帳に筆記している。私の事も書かれているのか、覗き込むとぎっしりと書かれていた。こんな事も楽しそう。そして記録は大事。かなり御歳に見えたが、地道な日ごろがあって長く山を楽しめているのだろう。

 少し足場が緩くなってくる。それと供に空が開けてもくる。堂岩山到着。山頂の南側は刃物が入れられ休憩地として広げられていた。以前はかなり密生した場所であったから、いくらか受け入れ態勢が整った感じ。堂岩山の北側に出ると白砂山側の山容が美しい。ここでは三国境を感じさせてくれる尾根筋がはっきりと見え、佐武流から白砂に続く信越国境の山並み、ここから白砂に続く上信国境の尾根筋、白砂から上ノ間山側へ連なる上越国境の山並が綺麗に見えていた。下って行く先の鞍部に池も見下ろせている。

 降りて行くと、八間山への分岐となる。細かい九十九折を降りて池塘を経て登りに入る。この辺りはクロマメノキがあり程よい酸味を味わせてくれる。ただ。急激にモシャモシャになった。スコールに遭ったように一瞬にして濡れ鼠になれる場所で、なんとも衣服が張り付く通過点であった。これが判っていれば、やはり露払いが出発してからゆっくり登山口を発つのが正解のよう。まあそんな登山は他力本願的でやろうとは思うわないが・・・。進む先に白砂山があり、その手前に突起しているのが猟師ノ頭。その先に深めの鞍部があり、白砂山に続くが、特に労せず到着してしまう。濡れる以外は・・・。

 猟師ノ頭到着。行政の標識が立ち、その下にすかいさんの見慣れた標識が掛けられていた。上州においてはGさんに変わっての標識となろうか。時代の変遷を感じるが、木製である美的要素も多いが、これまた運命は山部さんの3D標識と同じであろう。展望のいい場所で360度の展望地。かなりマニヤックだが、山容より渋沢への谷地形が美しく見下ろせた。ここを訪れた時、八十三山の時もそうだが、この谷をよく見下ろし印象に残っている。見ると堂岩山から赤い服のハイカーが降りてくる。この先の露払いはこの人に任せるとして往路を戻る。

 池塘付近で赤い服の若者とすれ違う。挨拶を交わし堂岩山に登って行くと玄人と思える男性がすれ違う。“おっ、この人は後から来て横に停めた人だ”と判ったが、そんな事は黙っておく。そして分岐点まで戻ると、往路に露払いをお願いされた男性が休んでいた。私を見てまたもやメモをされている。ここまで筆記するとなると、この人の山行文はさぞかし楽しいだろうと予想できた。挨拶をして背を向ける。振り返ると、こちらを見るでもなくメモを見ながらにこやかにしている。なんかいい感じ。

 尾根道を進んで行く。分岐からのトラバースこそ少し野草が茂っていたが、以降は邪魔するような場所は少なかった。中尾根ノ頭を望むと、山頂に動くものがあった。誰か居る。何かいる。と少し笹薮の中が気になった。進んで行くと男性が山頂から降りてきた。白砂山を目指すのに、メインルートの地蔵峠経由より、こちらの方が静かにゆったり歩けるだろう。その点ではこのルートで北上して行く人を見ると、よく判った上達者にも見えてくる。中尾根ノ頭は通過し下って行く。

 下って行く途中に、人の良さそうな方がすれ違う。「えっ、もう行ってきたのですか」「何処からですか」と立て続けに質問され「向こうに行って、こちらに抜けてキャンプ場側に戻ります」と伝えると、「僕は猟師ノ頭を目指します」と言う。この場所で、マイナーピークを目指すなど、あの団体メンバーしか居ない。「ヤマランの方ですか?」と問うと、目を見開き「えっ、どなたですか」と瞬時に返される。「DJFです。JF9DJFです」と言うと、一拍置いて「ああぁ・・・」と理解されていた。一拍は私が幽霊会員であるからであろう事は判っている。御仁はGQG氏であった。無線では2度繋がるが逢ったのは今回が初めて。氏は上州のヤマラン会員の中では一番頑張っている方であろうと見ている。真摯で紳士なハイカーなのであった。フルバンドに出られるようトランシバーとアンテナを持たれている様で、山と無線とを楽しまれているようであった。10分ほど長話をして、次のピークでの無線の約束をする。以前、中尾根ノ頭で声を出したのだが、全く無線が出来なかったという。私の存在は箪笥から駒が出たような感じかもしれない。別れ、430MHzのメイン周波数をウオッチしながら登って行く。

 GQG氏と判れ15分、メイン周波数で呼ばれる。黒渋ノ頭への登りに入り、呼吸を荒げながらの交信となった。GQG氏は1座獲得。何かひと助けをした感じで心地いい。ハムログも立ち上げているようで、ザックの中にはパソコンも入っていたようだ。感心する。「もう5分で、黒渋のピークに立ちますから待っていてください」と送り、最高速で駆け上がる。一度通過しているので経路が読めたので5分と言ったのだが、そのちょうど5分で到達した。

 黒渋ノ頭到着。相変わらず倒木が横たわっていた。GQG氏を呼び出し「5/9」を受け取る。近親者以外と交信したのはいつ以来だろうか、はるか昔に思える。展望のないピークであり足を先に進める。こちらから見る八間山の姿は美しい。避難小屋がぽつんと立つ姿も絵になる感じであった。キャンプ場への分岐を経て、その避難小屋を目の当たりにする。来るたびに崩壊が進んでいる。しょうがないが、折角の展望ピーク。建て替えればもっと絵になるだろう。

 八間山到着。相変わらず広く心地よく展望のいい場所。三角点脇の鉄の容器に腰掛けて休憩とする。すると下からにこやかにご夫妻らしき男女が上がってきて「着いたー!!」と声に出す。出したいほどに心地いい山頂とは判る。その後を単独の男性が登ってきた。この計3名の持たれていたカメラは、全てスマホのカメラだった。もうそんな時代で、デジカメの販売競争が大変なことが頷けた。彼ら彼女らに山頂を預け、キャンプ場側に降りて行く。

 こちらの道も刃物が入れられ、笹が刈られていた。黄色く変色していたので、お盆前後の作業か、白砂山登山口からの笹は青かったので、ほんの最近だとは思う。周辺域はルートが多いので、場所を決めてあっちこっちと刈り払い作業をしているのだろう。このルートは、湖に降りて行くにしては、その湖が良く見えない。もう少し見えればいいと思うが、9割がた樹林の中を緩やかに降りて行く。無いわけではなく、途中に湖の展望地がある。しかし樹木の成長は早く、自然に任せるままだと展望地では無くなってしまっていた。茅の尾根はカヤではなく笹が生い茂る。往時はカヤが在ったのだろうかと周辺を見てしまう。そんな事をしていると、このルートの登山口に到着する。

 湖畔の舗装路を伝って進む。坦々とした進路なのでスマホを触りながら外部との文面での連絡をとる。流石の観光地は行き来する車が多く注意は必要。釣客も多いようで、それらしい駐車余地には車が停まっていた。白砂山登山道へショートカットする入口の余地には、上州ナンバーの白いオフローダーが停まっていた。ルーフにはアンテナが立っている。GQG氏か、他にも無線家が入山しているよう。駐車場に到着すると、30台ほどの車が数えられた。全部ではないだろうが200名山としての白砂山人気は凄いと思えた。次は暫くここに来る予定はない。その時のために周囲記憶は留めておくように辺りをよくよく見ておいた。

 帰路、休憩舎側の駐車場も賑わっていた。高沢山側にも多くのハイカーが入っているようだった。秋のハイシーズンの入口、涼しさを求めに多くの人が訪れていた野反湖であった。帰りの温泉として尻焼温泉に寄ったが、雨の後で入ることが出来なかった。旅館での日帰り受付時間には早く、温川温泉まで戻って沈没する。温い山旅であったが、秋の心地よさは十二分に感じられた日であった。

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